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25 用意周到で怖いから!!

完徹でネカフェから更新中。睡魔が…

久しぶりのパソコンが使いにくいなり。

俺が囮役に対して嫌悪感を示さなかったことで安心したのか、ジャッキーの張り詰めていた空気が少し緩んだ気がした。

まあどう考えたって、そんな提案を他国の皇子に持ってくるのは、不敬罪で処罰されてもおかしくない事だからな。軽く発言しているように見えても、かなり緊張していたのだろう。

でも、たとえそんな危険を冒しても、ジャッキーは俺の人間性に賭けるしかなかったんだろう……。

それだけ“今”が、切羽詰った状態になってきているってことだ。


ジャッキーの話によると現状では、ヘンリーとブラッドの利害は、一致するようで一致しないらしい。ヘンリーは“俺”に危害を加えたいという強い思いがある。それに対してブラッドは、ぶっちゃけ誰でもいい訳だ。

だからヘンリーは、“俺”を排除するためだけに、ブラッドの希望する人物を生贄として、捧げる事を考えた。


例えば、俺とルイスがヘンリーの計画通りに捕まったとする。

そこで、ヘンリーの目的は達成される。更に、俺と兄が捕まったと知れば、猪突猛進な所のあるアンジェリカは、間違いなく敵の懐に飛び込んで行くだろう。何の策も持たないままに……。

俺とルイスが捕まるという事は、ダニエルだって身動きできない状況になっているという事だ。

そして、ブラッドの目的も達成される訳だ……。


ヘンリーにしては、中々考えてある作戦だよな。


次に、俺たちが、囮を引き受けて得する事を考えてみよう。

今のところブラッドの執着対象になっているのは、俺・ルイス・ダニエル(?)・アンジェリカ・ミシェルの5人だろう。

そして、ブラッドが誰をいつ狙ってくるのかが解らない現状では、どうしても対応が後手に回ってしまっている。

しかし、ヘンリーの策に乗っかれば、初手の対象が俺とルイスに限定されるのだ。

さらに、あちらの手駒であるジャッキーを此方に取り込んでいる事で、犯行日時も、方法も知る事ができる。計画の詳細を知ることができれば、対策も立てやすくなるのだ。

そして、俺やルイスなら、例えもし本当に捕まってしまっても、まあどうにかして見せよう。

多少のセクハラも我慢するし、微細な計画が解っていれば、絶対にダニエルがどうにかしてくれるという信頼もある。

とにかく、アンジェリカが狙われる可能性だけは、なんとしても回避したいんだよ!

だから、このジャッキーの提案は『乗る』のが正解だ。


『虎穴に入らずば虎児を得ず』だ。このチャンスに先手を打って一気に潰す!

気合を入れて、囮になる方向で話しを進めていくぞ!



「あの馬鹿王子、カイル殿下の執事がブラッドを見張っている間に、カイル殿下とルイス殿を自分の部屋に誘拐するつもりらしいんですよねぇ。なんでも、おれに協力させて、カイル殿下たちを自分の部屋におびき寄せる計画らしいですよ」


は? なに、その子供だましな計画。マジでそんな杜撰な計画で、何とかなると思ってるのかよ!?

何処まで小物臭いんだ、ヘンリーは……。


「それって、罠じゃないのか?もうあと一段階か二段階、計画が組まれているとか……」

「う~ん……。本気だと思いますよ? 自分の部屋に魔力・魔術除け結界を準備してましたし……。わが国の強力な媚薬や、いろいろな王子コレクションも取り寄せてましたし? あんな如何わしい物を片手に、楽しそうに会話ができるあの人たちは、完全な異常者だと思いましたよ……」


やだ、なにそれ! 怖い!!


ジャッキーは軽い口調で言ったが、その光景を思い出して頭が痛むのか、片手で額を押さえ軽く首を振っている。

俺も釣られて頭を抱えてしまった。

裏があるんじゃないかとは思ったが、そんなものは無いようだ。

ただ、えげつなさ過ぎないか? 『如何わしい物』ってなんだよ?

そんな物を、俺達に使うつもりなのか!?


俺たち3人の瞳は、どこか遠くを見るものになる。ミシェルは俺たちの会話が理解できないようで、キョトン顏で完全に空気になってしまってるし。


そんな物を使おうとしているなら、なおさらアンジェリカ達に目が行く前に退治しなければ!!

俺のアンジェリカで、そんな事を想像されるだけでも汚される! 妊娠したらどうしてくれるんだ!?



「……ふぅ。やるしかないのは解ったけど、その計画実行日って、いつを予定してるんだい? それに合わせて、こちらも準備する必要があるんだよね……いろいろと。特に、警護とか、警護とか! 警護とか!!」


ルイスも、ジェシカに迫ってくるかもしれない魔の手の事を考えたのだろう。顔色が悪い。さらに、俺たちの身の危険度もMAXだ。

魔力・魔術結界なんか使われてしまえば、“切り札ダニエル”が使えなくなってしまうよな?

てことは、打つ手なしじゃないか、コレ?


魔力・魔術結界とは所謂、魔族と魔術具に対抗するための物だ。この結界内にいる限りは、どちらの影響も全く受けず、使えるのは本人の持つ物理的能力のみ。

俺は、剣にはそれなりの自信は持っているし、多少の体術も使える。自分の身を、ある程度は守れる自信がある。

しかし、隣国の媚薬を使われるとなれば、対抗する手立てはないだろう……。

隣国の媚薬は、無味無臭で揮発性の高い物だ。だから、いつどこで使われるのか解らないんだ。

普段は、解毒の魔術具を持ち歩いたり、執事が常に一緒に行動して、有害なガス等は排除される為、毒被害などまず出ないのだが……。


魔力・魔術結界を貼られるのならば、媚薬を使う場所によっては、避けられずそのまま喰らうしかない。


「かなり危険な提案をしているのは承知してるんすよ。でも、いま何とかしないと誰かが不意に囚われた時に、助ける方法がないんすよね……」

「……確かに。下手に助けに行けば、一網打尽にされるもんな……」

「これって、僕たちでどうにかできる問題なのかな?」


俺たちは、この詰んでしまっている無理ゲーの攻略方法を探して、しばし考え込んだ。

でも、ルイスの言う通りここまで用意されてしまうと、俺たちでどうにかできる問題じゃ無いと思う。

その魔術具や媚薬を俺達に使うつもりであると、しっかり証明できれば違う対処の方法も取れるのだが、そんな事は不可能だ。

貴族の中には、媚薬を使って情事を楽しむのが好きな奴は、結構多い。仕様自体が禁止されている訳では無いものを持っているだけで、処罰は出来ないのだ。

魔力・魔術結界を張るための魔術具も、専属執事を持てない貴族はよく使っている物なのだ。

自分の寝室に使用して、後は厳重に鍵をかけておけば、外部からの賊の侵入を防げるのだから。それに、人間不信な者や、警戒心の強すぎる者なんかもこの魔術具を使っているので、こちらも容易に取り締まれる物では無いのだ。


日本でもそうだったが、人の利便性を考えて作られた物だとしても、使う側の心根一つで悪事に使われる事は多々ある。

今回のヘンリーが用意した物も、普段から普通に使われている物なのだ。

それを、悪事に使う為に上手く利用しているだけ。あんなに小物臭かった癖に、ここに来て大悪党の頭角を現し始めたのだろうか……?


「……ダニエル、何か良い対処方とか魔術具に心当たりは、ないか?」


どれだけ考えても、最適解が出てこない俺は、頭の後ろで両手を組み体をのけぞらせるようにして、背後に控えるダニエルに意見を求めた。

歴代最優秀と言われているダニエルなら、まだ俺たちが知らない魔術具や、結界への対処方法を知っているのでは無いかと思ったのだ。

だからもし、ダニエルにも策が出ないようであれば、この囮作戦は諦めなければならないだろう。その場合は、権力のゴリ押しで対処するしかないのか……。

できればそれは避けたいんだがな。

『理不尽な理由で、嫌いな者を排除する皇子』という評判は、将来の事を考えれば避けたい。しかし、それもアンジェリカと秤にかけてしまえば、容易くアンジェリカを選んでしまうのだが……。

そんな事を考えて俺がため息を吐いた時、それに被せるように


「では、こんな方法はいかがでしょうか?」


楽しくて堪らないという笑顔で、ダニエルの真骨頂ともいえるような方法が告げられたのだった……。

今日中にあと3話くらい挙げたいんだけど、間に合うかな?

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