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24 リア充は爆ぜて良し!

ここから、一気に話が進む予定です。

残酷描写や下劣な表現が出てきますので、苦手な方はご注意ください。

ジャッキーも含めての話し合いは、意外とスムーズに進んでいる。

驚いたのはヤツの特殊な能力の事で、未来予知ができるというものだった。この能力については、隣国でも父親と国王、第一王子の3人しか知らないらしい。


しかしどうやら、その能力も完璧な訳ではないらしく、見える人物と見えない人物の差が激しく、見える内容にも大きな差があるらしいという事だった。


そんな大事な秘密を俺にバラして良いのか??


なんて思ったのだが、「おれの話を信用してもらう為に必要だ」と言われて、それならしょうがないかと納得した。

その話を聞いていた時、いつもはコチラから声を掛けなければ意見を殆ど出さないダニエルが、自分から会話に参加してきて。


「……魔族の……先祖がえりのようですね……」


と、少し楽しそうな顔をして呟いていた。

魔族の先祖がえり……、ね……。


これには、ジャッキーもブルーグレーの瞳を見開いてダニエルを凝視した。そういえば、二人の瞳の色はとてもよく似ている。ほかの執事も同じような瞳の色をしているし、もしかするとあれが魔族の特徴なのかも知れないな……。

そして、髪の色も関係あるのかな?

髪色は、ジャッキーがスチールブルー、ダニエルは、黒に近いシルバー系のダークブルー。

他の執事たちの髪色も、シルバーブルー系の濃淡なことを考えると……、髪の濃淡で魔力の強さが解るのかも知れない。


「おれの力って、魔族由来だったんですね…」


ダニエルの言葉を聞いて、なんだか力の抜けたような、安心した顔をしたジャッキーの小さな声が、やけに印象的だった。

きっと、幼いころからその能力で困ったことも多かっただろうし、得体の知れない力に困惑する事も多かったんだろうな……。




しばらくは、お茶を楽しみながら和やかに2人のなれ初めや、最近の奴等の動向についての話を聞いていたのだが……。

新たにジャッキーのもたらした情報は、中々にドン引きなものだった。


「ヘンリー王子は、皇子をブラッドに差し出そうと考えてるみたいですね? ……あ、ついでにルイス殿の事も……。お二人のせいで、色々と計画が狂ったとか言っていましたし、相当根に持っているのだと思います」


明日の天気の話でもするような軽いノリで、トンでも情報キターーーーっ!!

そ、それって……。それってアレって事だよな!?

うう……尻が…


いーーやーーだーーっ!!


マジ、勘弁してほしい! 何なんだよ!?

いったい俺が何をしたって言うんだ?

なんでそこまで強烈な敵認定されたんだよ!?

「計画が狂った」って、どんな計画で、俺たちが何をしたんだ??


俺が脳内でのた打ち回っているというのに、ジャッキーはのんびりと紅茶を飲んでいる。しかも、時々隣に座るミシェルがテーブルに置いている手に自分の手を重ねたり、手のひらをくすぐったりしてイチャイチャをしかけ、ミシェルは『男慣れしてない女子高生』まんまの反応でアワアワしている。

……その様子は………まさしくリア充!


あのさ、俺達二人とも忙しすぎて、2人きりデートも録に出来てないんだよ?

かなり欲求不満気味なんだよね?

なのに、ここで! 目の前でイチャイチャされるとか……。


リ ア 充 爆 ぜ ろ !!


2人に軽く呪いを掛けてから、ふと隣を見ると、ルイスが死んだような瞳をしている。

お前の気持ちは解るぞ!!

俺も早く、アンジェリカと2人きりでイチャつきたい。俺の行動一つ一つに反応して、真っ赤になる彼女の姿を見たいんだ!

俺も早くリア充生活に戻りたい!


……ってもまあ、目の前の2人も、ゆっくり2人きりでイチャイチャする時間なんか取れる訳ないし、今みたいな『二人の世界』を前面に出してしまえば、破滅ルートへまっしぐらになっちまう。

今、この空間でしかイチャつく事が出来ないんだから、少しぐらいは多めに見てやる必要があるんだろうな……。


ジャッキーは、俺の脳内での一人会議の内容を理解しているかのように、楽しそうな笑顔で俺を見ている。しかしその瞳の中には、笑いは一切なく、どこまでも真剣な色を持っていた。

それが意味するのはきっと、俺という人物の人間性の見極め。

隣国とはいえ、王族に対してとは思えない失礼な態度の意味は、そういう事なんだろう。まぁ俺は、彼が敵じゃないなら、そんな態度、何とも思わないんだけどね。


そしてジャッキーは、瞳だけは真剣な笑顔と冗談口調で


「ヘンリー王子は絶対に潰しておきたいんですよねぇ~。……なので、協力、してもらえませんか?」

「それは僕たちに、ヘンリーの思惑に乗って囮になれって事かな?」


とんでもない協力要請がきましたよ、ええ。何の罰ゲームなんだろうな、コレ。

ジャッキーが本気で囮とか言っているのか、彼の表情からは何も読み取れない。俺は何も言葉を発する事もなく、ジャッキーの本音を探るようにジッと見つめる。

しかし、俺と同じく囮にされそうなルイスはいち早く呆然状態から立ち直り、ジャッキーに対戦を仕掛けにいいった。


「まあ、簡単に言えばそういう事ですね。」

「囮を引き受けたとして、僕たちの貞操は君が守ってくれるのかい?」

「それは、自分で何とかしてください、としか。……守れなかったとしても、それはそれで……新たな世界の扉が開けるかも知れませんよ?」

「新たな世界への扉は、自分で開いてきなよ。少なくとも、僕には必要のない世界だ」


……オッソロしい会話だな、おい。

ブラッドの危険さを充分認識しているルイスは、今にも噛み付かんばかりの獰猛さを表情に出して、ジャッキーを威嚇している。

そんなルイスに対してジャッキーは、飄々とした態度を崩す事なく応対していた。

この様子からだけでも、ジャッキーが意外と使える男だという事が解る。人間性に問題があるような気はするがな。


しかし……、2人の真っ黒すぎる会話に、ミシェルはドン引きしてるぞ?

「ふふふふふ」「ははははは」なんて白々しい笑い声が、俺も超コエーよ。

どこの魔族会議なんだよ。

今のお前らの黒さは、ダニエル級だぞ?


しかし……。

ジャッキーが、どこまで本気なのかは解らないが、囮作戦か。


確かに、この国の皇子である俺に手を出したとなれば、重罪だ。上手くすれば、一気に2人を片付ける事もできる。

まぁ、かなり強引過ぎる提案ではあるのだが……。

きっと、ミシェルがあいつらの相手をするのも、限界なんだろう。彼女の精神は、それだけ幼く未熟なのだ。取り繕えなくなりボロが出てしまえば、彼女が危険に陥る可能性が跳ね上がる。そして、好きな子を守るには、ジャッキーは自分では力が足りないと思っているのだ。

もし俺がジャッキーの立場でも、同じように、多少強引にでも手段を選ばずに2人の排除に走るだろうな。好きな女を変質者の傍において置くなんて、俺なら気が狂う。

いつ、何をされるのか解らないんだしな。


早く片付けておかなければ、アンジェリカ達にも何をされるか解らんし……。


……ふむ。


「解った。どうしてもというなら、囮役は引き受けても良いよ。しかしあの2人は、そんな簡単に引っかかってくれるのかい? この国の後継者を危険にさらして、勝算はあるんだろうね?」


俺が囮役を引き受けても良いと言うと、ルイスはとてもイライラとした表情になり、反対にジャッキーはうれしそうに笑ってミシェルの顔を見つめた。

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