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16 謎がドンドン増えていく仕様のようだ

今日は、力の限り更新する予定です。

何話更新できるか……

取り敢えず、ビッチの観察は続行する事に決めた。

そして、もう一人観察対象を増やす事になったのだが、それは……。

攻略対象の1人、鬼畜眼鏡担当のブラッドだ。


こいつ、どうも妙な動きをしてる様なんだよ。

ジェシカのいる前で、ビッチにロバートの話を振って嫉妬を煽る様な発言をさせたり、エイプリルの目の前でビッチとヒューイがイチャつく様に誘導したり。

そして、そんなビッチにアンジェリカが嫌味を言いに行くと、その姿を変な目付きで見ていたらしい。


今日なんかは、ルイスと一緒にいるジェシカの所へ近寄ってきて、「ロバートは今頃何をしてるのかな?」なんて聞いてきたそうだ。学園中の生徒が、あの騒動で2人が婚約破棄したと知っているのに、だ。

普通なら、そんな事を聞いてくるなど考えられない。

しかもブラッドは、マナーの(・・・・)教師だ。そんな常識からずれた行動を、生徒に仕掛けてくる理由が解らん。

しかもその時は、隣で静かに怒り狂っているルイスの様子を見て、不気味に微笑んでいたらしいんだよ。


更には、ヘンリーのビッチに対する独占欲を煽っているらしい。

何でも、ヘンリーとビッチが楽しそうに話している所に割って入り、ビッチに必要以上のスキンシップを図ったり、ビッチに群がっている他の生徒や攻略対象をあてがったり。

そういう事をして、ビッチがオロオロし始めたりすると、楽しそうに微笑んでいるそうだ。


…何がしたいのか、全く解らん。


ゲームでのブラッドの設定は「表の顔は人当たりの良い、怜悧なイケメンのマナー担当の教師。裏の顔は鬼畜眼鏡」っていうヤツだった。

銀髪・銀眼で細身のフレーム眼鏡をかけて、気弱そうな穏やかな笑顔で授業を行うスチールに妹が悶えていたのを覚えている。

攻略が進むと“鬼畜眼鏡”の本領を発揮して、主人公は甘い“お仕置き”と称したセクハラをされる様になるのだが……。

この時のスチールには、妹がとてつもなくハァハァしていて、居た堪れない気分になったのは思い出したくない記憶だ。


この世界のブラッドも、キャラクターとしてはもれなく鬼畜眼鏡なんだろう。でも、俺の知ってるゲームの中では、今の様なおかしな行動をとる事はなかった筈だ。

……一体どうなってるんだ?

調べれば調べるほどに謎が増えていくこの状況に、かなり混乱してしまう。

この謎をどの様に捉えて、どう対処するのが正解なんだろう……。


もういっそ、調べるのやめようかな?


なんて考えが、一瞬頭に浮かんだ。

だがブラッドは、アンジェリカ、ジェシカ、エイプリルという女性陣にも積極的に絡んできている様だし、何かを企んでいるなら、どうにかせねばならん!


ヘンリーの動きも気になるところだし、気合を入れて対応する必要がありそうだ。


「……アンジェリカ達女性陣は、絶対に1人で行動しないように説明……いや、女性で固まっていても危険かもしれないな……」

「だよね。いくら執事が付いているとしても、彼らの行動は僕らには予想できないしねぇ……」

「だな。例えばそれが運命で、彼らにそれを変えるつもりが全くなければ、危険回避は望めないからな」


ヘンリー、ブラッドという、ゲームにおいての“変態2大巨頭”が何をするか解らない現在、彼女達の身の安全は最優先で確保する必要がある。

“執事“はその能力ゆえ、学園内では護衛も兼ねているが、彼らには“領分”と言うものがあるらしく、それに反する事は絶対ない。

ゆえに危機が訪れた時、それが揺るがしようのない運命だと判断されれば、執事がそこに介入する事はないのだ。なので、彼女たちの安全確保について、執事に全面的に頼りきってしまうことは出来ない。

能力の高い執事は、他の執事とは見える運命の種類が増えるらしく、“領分”も広がると言われている。だから、執事としての行動そのものが違ってくる。

運命に、積極的に関わってくるのだ。

その為、能力の高い執事は大人気なんだよ。

でも、主人を選ぶ権利は執事にある為、どんなに権力やお金を持っていても、能力の高い執事を手に入れられるとは限らないのだ。

俺の様に、歴代最優秀と言われる執事を得るのは、ホントに幸運な事なんだよ。


ダニエルクラスの能力があれば、安心して危険回避を託す事が出来るのだが、残念ながら彼女達の執事には任せられない。

そして、執事は自分の主人以外の運命を視る事をしない。だから、ダニエルにアンジェリカ達の護衛を任せる事は出来ないんだ。

そんな事をすれば、アンジェリカ達の執事を侮辱する事になる。他の執事の領域に介入するという事は、『お前は仕事が出来ない執事だ』と言っている様なものなのだ。

だから、この件でダニエルを頼る事は出来ない。

それなら……。俺たちが守るしかないよな?


「……。明日からは、朝から晩まで6人で行動するようにしよう」

「取り敢えず、それが一番確実かもしれないね……」


二人で顔を見合わせ、ゲッソリしながら明日からの予定を決めた。その後は、ダニエルが淹れなおしてくれた緑茶を啜り、二人で大きく息を吐く。

俺たちは、対策らしい対策を立てる事もできず、グッタリとした気分でこの日の会合を終えたのだった……。





翌日からは、講義以外は常に6人で行動し、奴らの動向を伺っているのだが……。


ブラッド……、マジで気持ち悪い。


コイツ、ビッチの行動を巧みに誘導して、こちらの癇に障るような行動をさせている。

そして、俺達の反応を見て楽しんでいやがるんだ……。


そう! 愉しんでいるのだ!!

その表情には、何時もの気弱そうな穏やかな微笑みを浮かべている。だが、眼鏡の下の瞳に、暗い愉悦が見えるんだよ!

あれは正にドSの顔。いや、変質者か?

嫌がらせを仕掛けて、不快感を表情に乗せる俺達の反応を見て、興奮しているようなんだ。ウットリとした表情でこちらを見ているブラッドは、スッゲェ不気味。

さらに、自分がビッチを誘導して他の男とイチャつかせているにも関わらず、凄い嫉妬丸出しの顔でその様子を見てるし……。ドMの属性もあるのか……?

そして、それに気付いてしまってドン引いている俺とルイスにも、嗜虐的な瞳を向けてくるのだ!

あれは絶対に、獲物を見つけた肉食獣の瞳だ。


マジで怖い。

思わず尻を隠してしまうような怖さが、その瞳の色にはあった。


もしかして、最も危険なのは俺達2人なのかもしれない……。




数日観察を続けていたら、時々ビッチの様子がおかしくなる事が出て来た。

それは数分だったり、数十分だったりなのだが、どうも人格が変わっているように感じるのだ。

その人格が変わった時を狙って、ブラッドはビッチの反応を楽しむ様に色々と仕掛け、ビッチもその思惑にまんまとハマっている。

以前ルイスから報告があった、“オロオロするビッチ”。話しを聞いた時にはチョット信じられなかったのだが、人格が変わっている時はホントにいつもオロオロしている。

本人は周囲に悟られない様に、必死で平静を装っているが、かなりバレバレだ。

気付かないのは、ヒューイぐらいじゃないか? いや、案外ヘンリーも気付いていないのかもしれないな。


ビッチのその変化は、日毎に長くなってくるようだった。そして、5日位経った頃には、完全に人格が入れ替わってしまった様だった。


周囲に気付かれない様に注意しているのか、行動の変化は余り大きくないのだが、宇宙人が人間に変化した感じで、知性が感じられる様になって来た様だった。

表面上は、ブラッドの誘導に乗ってみせたり、他のメンツとイチャついたりしているが、極力ヘンリーやブラッドの気持ちを逆なでしない様に気をつけているのが解る。

彼らに向ける笑顔も時々引き攣ってるし、ヘンリーやブラッドが執着心を見せたりすれば、涙ぐんでたりなんかする。


ここで更に謎がついかされるとか……。俺のキャパはもう一杯一杯なんだが。

この先、どうなるんだ?

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