二足歩行と猫の村
ある日、夜中に母猫に起こされる。
ニャッ?(どうしたの?)
ニャーゴ。(名前を貰いに行くよ。)
名前?普通、飼い主が付けるんじゃないの?
ニャーゴ。(ほら、さっさと長老に会いに行くよ。)
そう言うと、家の隙間から外に出た。防犯もくそもないな。
空には見たこともない月が二つあった。異世界乙。
月を見上げ、しばらく、ぼーっとしていると二足歩行の体型に変わっていた。ミンハンのハンターと共闘するアレ。
ニャー!(カルチャーショック!)
飛び上がり、ガーーーン!!!
ニャーゴ!(遊んでないで、行くよ!)
ナ~。(うけない。)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ニャッ、ニャーゴ。(おお勇者よ、死んでしまうとは、何事だ。)
ナ~。(復活の呪文は忘れました。)
……ニャー?(長老の奇行はわかるとして、どうしてお前も?)
オカアサマが頭を抱えている。どうしたんだろう?
ここは、二足歩行する猫達が暮らしている村らしい。母猫に付いて歩くと霧の様なものが辺りを包むみ、抜けた先にこの村が現れた。
そして、奥のデカい家に連れてかれると長老と言ういきなりドラクエパロってくる髭の長い猫とのさっきの状態になる。
ニャーゴ。(長老、この子に名前を貰いたいんだが。)
ニャ、ニャ。(もう、『ああああ』でいいんじゃないの?)
ナ~。(だから、何でドラクエ?)
ナ~ゴ?(ドラクエ?)
ナッ!(知らんの?)
ニャーゴ、ニャ。(怪我したヤツを治療する時にそう呟いていたのがいたんで、気付いたら、それが移った。)
ナ~。(さいでっか。)
転生者とは、こんなに業の深いものなのか。
ナ~?(名前ってどう決めるの?)
ニャーゴ。(こちらに来なさい。)
長老の後について行くと、光る樹の下に連れていかれた。
ナ~。(きれいだ。)
色とりどりの葉が生い茂る樹を見上げ、呟いた。
ニャー。(ほいじゃ、やるぞい。)
長老は光る樹の幹にガリガリと爪をたてた。
ニャー。(何してる?お前もやるんじゃ。)
言われるがままに、爪をたてる。
ーーガリガリガリガリ……。
ニャーゴ。(よし、日課の爪研ぎも終わったし、聖霊樹に名前を貰うぞ。)
ニャッ!(爪研ぎ!?)
この光る樹でやってんの?ぜーたくだな。
ニャッ?(ところで、名前もらう聖霊樹って?)
ニャッ!(これ!)
今まで爪研ぎしてた樹のを指差す。
ナ~ゴ?(じーさんボケてんの?何で、聖霊樹で爪研ぎしてんの?)
頭痛くなって来た。一緒になってやってたけどもさ。
ニャーニャ。(ぞいじゃ、聖霊樹よ新しき命に名を与えたまえ。)
威厳たっぷりに聖霊樹に語りかける長老。さっきまでのボケ老人とは思えん。
聖霊樹の光がキラキラと俺に降り注ぐ。そして頭の中に声が響いた。
《汝に名を与えよう。》
………………あれ?
聖霊樹を見上げると、50音表があった。カタカナで。
ゲームの初期設定かよ!ここもドラクエか!
入れりゃいいんだろ。えーと、キムタク。
《現在使用者がいるため許可できません。》
マジかよ~!
《……顔に似合わないので止めてください。》
(怒)キムタク。キムタク。キムタク。……連打しました。
《いい加減にしろ!》
いい加減にしないと、どうなる?
《ニャン海キャンディのニャマちゃんにする》
m(__)m勘弁してください。
《なら、早く決めてください。》
……思いつかないんで、候補下さい。
頭の中に候補が浮かんだ。50音表関係無いじゃん。
《クレームが酷いので、こりゃダメだなって名前からルーレットで決めます。》
えっ?ちょっと待って~!
《ルーレットスタート!》
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ニャー?(どうした?)
ニャー?(聖霊樹を見たまま固まってる?)
ニャガ~!(それは止めて~!)
……決まっちまった。
『ペケりん』
男なのに何で?
なぜその名前?
聞かないで!