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生まれ変わってニクキューを見る

 気がつくと毛むくじゃらでピンクの物をしゃぶってました。


ナッ!? (なんじゃこりゃ!?)


 えっ?今の声はなんじゃらほい?


ナ~。(俺、生きてる。)


 誰だよ!人の言葉ナ~ナ~言うのに変換してるヤツ!


 どこにマイク着けて……、あれ?俺ってこんなに毛深かったっけ?白い毛フサフサ?掌見るとニクキュ~プニョプニョ。わ~~い。


ギシャーー!(って、ちゃうわーー!)


 あれ?俺って確か車にはねられて、運転していたヤツに慰謝料払えってやってたよな?怪我してないけど。当たり屋だし。


 そんで、なんか立ち眩みしてフラフラと……。そっから記憶ないねん。


 いやいや、待て待て!落ち着こうぜ、俺。


 こんな時は、そこら辺にある柱で爪を研いで、


ガリガリ……ガリガリ……ガリガリガリガリ……。


 ふ~~。少しは落ち着いたか。


ニャーゴ?(何してんだ?チミは?)


ニャ、ニャッ!(そうです!ワタスが変なオイチャンです!)


 変なオイチャン!だから変なオイチャン!……四足じゃ踊れん……。


ナ~?(どちら様で?)


 声のした方を見ると、太った猫がいた。


ニャーゴ。(お前を生んだ母猫だよ。)


 じっっと、見る。


 フサフサの白い毛にデブッとした体。動けんのお前?って体型よ?


なんかガラスに正面衝突したようなつぶれた鼻してる。確かペルシャって猫に似てるな。


ニャ、ニャッ!(チェンジで!)


 デブ猫は、よっこらしょって感じでこちらに来ると、前足で俺の頭をチョイってやって転がし、玩ぶ。


フギャー!(ヘルプ!ヘルプミ~!)


 ゴロゴロと転がされ、目を回しながら叫ぶと首の後ろを噛まれ持ち上げられた。


ニャーゴ。(まだ小さいんだから、ナマイキ言ってんじゃないよ。)


ナ~。(イエス、マム)


 首に圧迫感を感じながらフラフラ揺れる視界を見ていると、俺って本当にどうッしちゃったんだろうな……考えた。


 布切れを敷き詰めた四角い箱の中に入ると、俺の体を舐めて毛繕いしてくれる。


 くすぐったいけど、気持ちいい。……そしてお寝むでござる。


 温かいものにくるまれて眠る。母親に抱かれるのってこんなんかな?……母親居なかったからわからんけど。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



ナ~。(欲しがりません。フサフサアフロ。)


ニャー。(何の夢見てる?いい加減起きろ!)


 嫌だ!このふかふかのベッドで寝かせろよ。


ナ~。(後、三年半。)


 不意にベッドが動くと、俺の体は放り出され床に転がった。そして首の後ろに噛まれた感触を感じると体が持ち上げられた。


ナ~。(眠いよ。)


 どこかに下ろされると、寝ぼけた顔を舐められる。顔中を舐められてジタバタ手足を振り回す。


フナー!(止めろ!)


 ジタバタではらちが明かんと噛みつく。ガジガジ。


 気がつくと母猫の顔の毛に噛みついてました。


 そして、前足で転がされ目を回す。


ナ~。(そろそろ、止めてケレ!)


 目が回るし吐き気まで……。


ニャー。(まったく!顔見せすんだから、大人しくしてなよ。)


 顔見せ?再び首の後ろを噛まれ、連れて行かれました。(ブラ~~ン)



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ぶらぶらされながら連れてこられた。てるてる坊主か!


「お母さん!シルクが子供産んでる!」


 シルクって誰よ?この母猫?イテッ!落っことされた。


 影が差し見上げると、上から覗き込んでる巨人がいた。


 両脇を抱えられ、目の前に持ち上げられた。


 栗毛の髪に青い目をした女の子の顔があった。


ナ~。(オイッス)


「お母さん!ないた」

 

 ないちゃ悪いか!


「オスだよ」


ナ~!(見んじゃねえ!)


 抱えられたまま母親の方に連れて行かれました。


ナ~。(美人さんどす。)


 見た目は先程の少女を成長させ落ち着かせた女性だ。胸もデカそうだ。


「シルクの子供?あまり似てないわね」


ナ~。(似てなくて、良かったです。)


 母猫と違いでっぷりとしてないし、毛の色も母猫の白い毛よりも臼青色をしている。


「顔もシルク見たいにつぶれてないし、耳と足に色着いてる~」


 えっ?マジっすか?見えないんで分からないんすけんど。


「耳の先の方が黒いわね?後ろ足も。片方ずつだけど」


ナ~。(マジでか~。)


 母猫に似て真っ白だと思ったのに……。


「お母さん!飼っていいでしょ?」


 母親が少し眉をしかめる。


ナァ、ナ~。(今ならお得よ!そこのデブ猫も付いて来るから!)


ニャーゴ。(私は元々家に飼われてるわ。)


「ほら、シルクも一緒がいいっていってるよ。ねぇ!いいでしょ!」


 俺達の声をそう自分の都合のいいように取る少女に、母親はき苦笑する。


「嫌いなニンジンを食べれるようになったら良いわよ」


「えぇ~!じゃあ、いらない」


ニャー!(落とすな!)


 床に落ちた俺は抗議の声を上げる。


 その首の後ろををいつものように噛まれると、


ニャーゴ。(顔見せタイム終了~。)


 そして元の寝床に戻っていった。マジ捨てられないよね?


 その日、少女が泣きながらニンジンを食べたおかげで飼われる事に決まりました。


「嫌いな物がなくなれば、捨てないわよ」


 黒いです!お母さん。少女よ、ガンバ!俺のために。


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