聖剣ですけど、ビックリです。
久しぶりの聖剣です。
おそくてすみません。
よるは肌寒くなりましたね。
秋の虫の声がしだしました。
美味しいもの沢山だけど。
なんでいつもギダシア神官と一緒なんだろう?
「ウエニア、あーん。」
ギダシア神官が美味しそうな
ホットケーキをフォークにのせて差し出した。
生クリームとベリーが山盛りの厚焼きの
ホットケーキにベリーソースがかかってて美味しそうだ。
「自分で食べられるよ。」
どうして、食べさせようとするんだろう。
帝都で美味しいと有名なホットケーキ店に来てます。
ここにくるまでもお姫様抱っこだったし。
席についてからも膝上抱っこだし。
恥ずかしいよ~。
「ウエニア、口移しがいい?」
ギダシア神官がにっこり笑った。
「食べるよ。」
ああ、美味しいけど落ち着かない。
「口元についてるよ。」
ギダシア神官は嬉しそうに私の口元を舐めた。
うーん、これねらってここの店かな?
なんか、女学生がキャーっていってるの聞こえたし。
ギダシア神官は私服着てるんだよね。
大神殿に入っていらい嫌みのように。
オーラダー神の神官は結婚奨励だから
神官服で街で手をつないだカップル見たけどね。
他の神様の神官も特に結婚不可は無かったはずだけど。
奨励はオーラダー神の神官だけだけど。
「こっちも美味しいよ。」
ギダシア神官が自分用に頼んだ
チョコバナナホットケーキをまた、あーんした。
諦めて食べようか…。
キノウエシにいないとなんか脱力感が強い。
動けない事もないんだけど。
本当は抱き上げてもらって移動は助かる。
寝所も一緒なのは恥ずかしい。
大神殿は刀身用の保管部屋用意しておいてくれたんだけどね。
ギダシア神官、あれできれたみたいだ。
「今夜は、皇帝に呼ばれてる、まったく困った男だ。」
クルミ入りのホットケーキにバナナとチョコソースを優雅にからめながら言った。
ギダシア神官ってじつは
高位の神官なのかな?
皇帝陛下に呼ばれるなんてさ。
まあ、さんざん、寝所で抱き込まれながら
考えたことだしね。
神聖皇帝はなにもいってこない。
もう、私の事どうでもいいのかな?
あんだけ、動けない私を翻弄しておいて?
よく覚えてないけど。
「ウエニアの衣装はメーイセントに…ああ、だめか…アイルパーン竜騎国のハブータエに呼び出されたといってたな。」
ギダシア神官がため息をついた。
あの聖騎士さんは
昔から竜の産地だった
アイルパーン集落…。
今の竜騎国にいったらしい。
「マダムリュラに頼むか。」
ギダシア神官が私の背中をなでながら言った。
なんか嫌そうだな?
マダムリュラというのは誰なんだろう?
「いやーん、可愛い!ギダシアちゃん、この子ちょうだい!」
素敵なドレスを着た上品な女性が叫んだ。
「なんで、マダムにオレの宝物をやらなきゃいけないんだ。」
ギダシア神官が言った。
「だって、理想じゃない!白にみまごう金の髪、軟らかい茶色の目、綺麗すぎない可愛い顔!私の娘が帰ってきたのよー!」
マダムが言った。
もしかして…娘さんって…。
「マダムの娘は大分前にオリテア技工国に嫁いだだけじゃないか。」
ギダシア神官がため息ついた。
ああ、よかった嫁いだだけか…。
「だから、なかなか会えないの!ギダシアちゃんのお嫁さんにするのなら、私の養女にしといた方が五月蝿くないわよ!」
マダムが叫んだ。
ぎ、ギダシア神官のお嫁さん?
「…なるほど、いいな、それは。」
ギダシア神官が言った。
あのー、聖剣って養女になれるもんなんですか?
「考えておいてね、ドレスよね、ドレス!手配しておいたわ!プレタポルテ(高級既製服)だけど、こんどはオートクチュール(高級特注服)にしましょうね♪」
マダムがうきうき言った。
私みたいな田舎の聖剣にドレスなんて着る機会はほとんどないですよ。
「マダムリュラ、今回はお引き立てありがとうございます。」
デザイナーが言った。
後ろに助手さんが持ってきたドレスの森はなんですか?
化身は一つしか無いんですが?
「その、金のドレスがいいわ。」
マダムが言った。
あのー、胸で過ぎてますけど。
「いや、皇帝にウエニアの胸は見せたくない。」
ギダシア神官が言った。
「そうなの?」
マダムが言った。
マダムリュラは皇族から降嫁したらしい。
旦那様は高位の貴族様みたいだ。
「二人の時はいいな。」
ギダシア神官がにっこり笑った。
私の胸にはキズがあるからな…。
まあ、補修で目立たなくなったけどさ。
「ウエニアちゃん、いいの?変態にそんなこと言わせておいて。」
マダムが言った。
「ああ、えーと、キズがあるんで、嫌です。」
私は言った。
「ああ、あの傷跡気にしてたか。」
ソファーでいつものごとく私を
膝上抱っこしているギダシア神官が
やさしく背中を撫でた。
この傷は…多分、昔、勇者と旅した時にできた傷だよね。
私が体調が今一なのと関係あるのかな?
「ウエニアちゃん!可愛そうに!乙女の柔肌に傷だなんて!」
マダムがハンカチで目もとをぬぐった。
乙女の柔肌…鋼鉄ですけど。
「その金糸刺繍のドレスがいいな。」
ギダシア神官がホルターネックのドレスを選んだ。
背中丸出し…下着どうするんだろう?
「背中にも傷跡あるんだよね。」
貫き傷って言うの?
デイアイルさんのお陰で目立たないけど。
「ウエニアの傷は綺麗だよ。」
ギダシア神官が頬を舐めた。
「あら、乙女は気にするのよ、そのスタンドカラーの銀糸のドレスにしましょう、誰が私の大事な娘を傷つけのかしら?許せないわ。」
マダムは本気で怒ってる。
「報復はしておいた。」
ギダシア神官がそういいながら私にキスした。
報復…?この傷、遥か昔の傷で…。
ま、まさか、ギダシア神官…。
ま、まあ、いいや、精神安定上
ギダシア神官のままの方が。
仮に結婚しても
普通の生活送れそうだし。
もちろん、キノウエシの神殿でね。
そういや、噂の巫子様に会ってないや。
ギダシア神官はあったらしいけど…。
天竜にギダシア神官に抱き込まれて
乗って、帝都にきたあと寝込んだからな~。
デイアイルさんの師匠の聖武具師に
見てもらってるうちに、意識も無かったみたいだし。
目を開けたときその人に
世界が救われた~!
みたいなこと言われたんですが…。
ギダシア神官、なにしたんでしょうか?
「まあ、似合うわ~、今夜はウエニアちゃんが主役ね。」
マダムが言った。
久しぶりに床におりたよ。
「こちらの髪飾りとネックレスをお召しください、靴はこちらです。」
デザイナーが言った。
「あら、地味じゃない?」
マダムが言った。
ええ?充分です!
と言うか、もう、脱いでいいですか!
汚しそうで怖いです。
「そうだな、ウエニアにはもっと大振りの宝石がいいな。」
ギダシア神官が私をガン見して言った。
ええ?これ以上重いの困るよ。
本当に、動きづらいんだからね。
それに、私、本当に皇宮にいっていいのかな?
大神殿で待ってた方が良いような気がするよ。
神聖皇帝に会ったらどうしよう。
ギダシア神官はじつは…みたいな…。
ああ、なんか不安だよ…。
読んでいただきありがとうございます。