表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

聖剣ですけど、まあ、普通です。

もうすぐ、秋ですが、日中はまだ、暑いですね。

最近、なんか思い出せそうな気がするんだよね。

まあ、良いんだけどさ。


「ギダシア神官はいらっしゃるか?」

神殿の門ふきんで草むしりをしていたら

なんか、きりっとした感じの男性がきた。


紫の短い髪に緑の瞳か…。

後ろにいるのは天竜だな…今も竜乗るんだね。


「ギダシア神官ですか?お待ちください。」

私はそういって立ち上がった。


「大丈夫か?」

男性はよろけた私を支えた。


あ、足腰が弱ってる。


「オレの前でウエニアさんを抱き締めるとは良い度胸だ、メイーセント。」

ギダシア神官がごみ袋を持ってやって来た。

「ご、誤解です、ギダシア神官。」

メイーセントさん?がたじろいで私をそっと離した。


いい人だな、ギダシア神官に威嚇されてるのに。


「もちろん、冗談だ、メイーセント・キリヌア・チリアエシ、なんのようだ。」

偉そうにギダシア神官が言った。


「ハブータエ皇女殿下にアイルパーン竜騎国から、縁談がありました。」

メイーセントさんが言った。


「それで、オダーウエ聖騎士団、副団長なぜここに?」

ギダシア神官が私を抱き込みながら言った。


オダーウエ聖騎士団って神聖皇帝の直属の騎士団じゃなかったっけ?

良家の子女がメンバーなんだよね。

その副団長ってある意味究極のお坊っちゃまかな?


「皇帝陛下は、一度、お戻りをとのことでございます。」

メイーセントさんが言った。


「断る、ウエニアを離したくない。」

ギダシア神官が言った。


「…皇帝陛下からの伝言でございます、聖剣様の体調不良を直すにはオーラダー神を下ろせる巫子と話すのが良いのではないかと、最近覚醒した、巫子が素晴らしい力の持ち主だそうです。」

メイーセントさんが言った。


巫子?そんなんのこってるんだ。

大昔、ウソっぱちの似非巫子なら、会った事あるけど…勇者に暴かれてたな。


ん?細かいこと覚えてるのに…勇者の顔がわからないや。


「ふん、それなら、なぜ、カスリダさんを迎えに来ない。」

ギダシア神官が言った。


カスリダ神官?巫子だっけ?


「カスリダ神官?なんのことです?」

メイーセントさんが言った。

「いや、メイーセントは知らん、まあ、奴らは自分の権力とやらが大事なんだろうよ。」

ギダシア神官が笑った。


「ハア…それで、帰っていただけますか?」

困った顔をして、メイーセントさんが言った。


「…ウエニアと離れたくない。」

ギダシア神官がさらに抱き込んだ。


ち、ちょっと苦しいんですが?


「おや、こんなところでラブシーンですか?」

向こうから庭ぼうきを持ったカスリダ神官がやって来た。


「カスリダさん、さすがだ、この天竜を見ても動揺しないなんて!」

ギダシア神官が言った。


「…天竜?…お引き取りを私はなにも語りません。」

カスリダ神官が固い表情なった。


「カスリダさん、オダーウエ聖騎士団の副団長だ、神官騎兵の天竜じゃない。」

ギダシア神官が言った。

「………ああ、そのようですね、ここに天竜がいると町の皆さんに迷惑なので中へどうぞ。」

いつもより、若干固い表情でカスリダ神官が言った。


なんかあったのかな…。

あ…なんか意識が遠退く…。


「ウエニア?ウエニア!?」

ギダシア神官の声がして私は意識を失った。


抱き込みし過ぎだよー。


「大丈夫なのか?デイアイル。」

ギダシア神官の声がする。

「大丈夫だ、天竜で迎えに来るのはやめてくんないか?ウシオダのおっさんが腰抜かしてたぞ。」

デイアイルさんが言った。


「ウシオダさん、腰抜かしたの?」

私は目を開けた。


また、ギダシア神官にお姫様ダッコされてるよ。

なんか、諦めた。


「ああ、しりもちついてたぞ、よかった世界が救われたぜ。」

デイアイルさんが大袈裟なことを言った。


「そうですね、あの若者も救われます、今度結婚するそうです。」

カスリダ神官がニコニコして言った。


「…メイーセントは悪くない、悪いのは皇帝だ。」

ギダシア神官が不敬的なことを言った。


「まあ、許してやんなよ、たよりになる叔母さんが嫁入りしちゃうんだしさ。」

デイアイルさんが言った。


「…ともかく、帝都にウエニアと行ってくる、カスリダさん、お守りをウエニアに作ってくれないか?」

ギダシア神官が言った。

「え?私もいくの?」

帝都なんかはじめてだ。


昔のあの辺って、荒野だよね。

ペンペン草くらいしかはえてなかったような…。


「もう、離したくないんだ。」

ギダシア神官が言った。


離したくないって、勇者みたいなこといわない…ま、まさかね…。


「私、キノウエシの町で待ってるよ。」

その方がいい気がする。


真実何て知らない。

知りたくもない。


このまま、静かに余生を送りたいんだ。


「ウエニア、帝都には美味しい料理もたくさんあるから行こう。」

ギダシア神官が優しく言った。


「良いけど…。」

私、なんて、食い意地がはってるんだろう。


行きたくない。

ギダシア神官が勇者でも

もう逃げられない気がする。


「ギダシア神官は勇者…違うよね。」

私は呟いた。

「ウエニア、大丈夫だよ。」

ギダシア神官が私にキスした。


ああ、もう、この人から

逃れられない。

でも、逃れる以前に

きっと、何かあれば私は壊れてしまう。

そんな気がする。


もうすぐ、終わりが来るかもしれない。

ギダシア神官ともう、会えない。


カスリダ神官が言うように結婚しちゃおうかな?

でも、想いだけのこして去りたくないんだよね。


ギダシア神官が壊れそうで怖いから。


もう少しだけ、この世界にいさせてください。

メイーセントと結婚相手は短編小説『ふすまをへだてて半同棲』に出ております。

よろしくお願いいたします。


読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ