聖剣ですけど、やや、つらいです。
ひさしぶりの聖剣でもうしわけありません。
今日は祭り当日だよ。
山車にのせられるらしい。
無事に終わるかな…体調いまいちだし…。
「ウエニアちゃん、大丈夫かな?」
デイアイルさんが言った。
「ウエニアさん、無事すんだら串回し焼き食べにいきましょうね。」
カスリダ神官が言った。
「うん、頑張るよ。」
邪神のつもりの子がいる店だよね。
「オレがいるから大丈夫だよ。」
ギダシア神官がなぜか勇者のコスプレをして言った。
市長さんに押し切られたんだってさ。
似てる…かな?昔の勇者の絵姿をまねたらしいけど…。
サテン地がキラキラしいな…あんな恰好じゃなくてもっとほこりまみれだったよね。
神聖皇帝の写真は出回ってないらしい…。
本人は…どんな人だったか覚えてないんだよね…。
「ウエニアさん、無理なら神殿に帰る?」
ギダシア神官が顔を近づけてきた。
「大丈夫だよ、刀身に戻って休んでるだけだから…。」
だから、今日は梱包材みたいなシンプルなサテン地のワンピースなんだし。
「無理しなくていいんだよ。」
ギダシア神官が私にキスした。
「やめてよ。」
このエロエロ神官。
「オレは勇者だからいいんだ、ウエニアさんの主人だよ。」
ギダシア神官が笑って今度は頬にキスした。
成りきってるな…エロエロ神官…。
山車にはの飾り付けに埋まるように座ると刀身に戻った。
思い出した…思い出さない?
…昔勇者オーダウエの背中にゆられてた。
まあ、剣だし…。
ゆれでそんな感じにかんじるのかな?
「ギダシア神官さーん素敵ー!」
沿道から声がする。
「今日は勇者様よ、こっちむいてー!」
若い女性たちのようだ。
「…まったく。」
ギダシア神官が呟きながらも微笑んだ。
…わー、聞かせられないよ…。
案外…いっぱい来てるな…。
「ああ、いいもんみた…長生きできるよ。」
八百屋のハザシおじいちゃんが拝んでる。
「ウエニアちゃんだよ。」
キーエおおばあちゃんが言った。
若い人はギダシア神官、お年寄りは一応 聖剣?目当てみたいだ…。
キノウエシ焼きの屋台がある。
良いにおい…。
向こうは魚の一口揚げかな?
魚コロッケの屋台もあるー。
鶏のから揚げとか
ジュースを凍らせて削ったのとか。
ワッフルにアイスクリームをはさんだのとかあるみたいだ…。
ああ、早く終らないかな…。
今の世の中平和でいいよね。
昔なんてたいしてご飯美味しくなかった。
干し肉とか干し魚に固いパンとかだったかな…。
旅の間は…。
アミリアーナさんにものを食べるなんて聖剣失格って言われたけど…。
勇者は食べさせてくれたな…。
食べられそうになったけど。
本当に…なにもなかったのかな?
「ウエニアさん、終ったよ。」
気がつくとギダシア神官にお姫様抱っこされてた。
まだ、勇者の格好だ…。
似てる…まさかね…この角度は起きてる時勇者見上げる定番だったし似てるように見えるだけだよね…。
「…お祭りは終りました…良い眠りっぷりでしたね。」
カスリダ神官が言った。
え?終っちゃったの?
「…屋台…行きたかったな…いつまでもつかわからないのに…。」
やっぱり…身体が重い。
「デイアイル…。」
ギダシア神官が低い声をだした。
「まあ、聖鉄鋼つかってるからな…補修にはよ…無理しなきゃ大丈夫だろう?」
デイアイルさんが頭をかいた。
「まあ、屋台ぐらいいってらっしゃい、そちらは終っていませんから。」
カスリダ神官が言った。
なんだかんだいって慈愛の神官様だよね。
「来年も再来年も、十年単位で頑張ってもらわないと元が取れませんからね。」
カスリダ神官が続けて言った。
このどS神官。
「やっぱり…消しさるか?」
ギダシア神官が呟いたの聞いちゃった。
消す?なにを?
「ただし、ギダシア神官に抱えられた状態しか許可しません。」
カスリダ神官が言った。
「ええ?歩けるよ。」
やや、ふらふらするけど。
「カスリダさん、ありがとう。」
ギダシア神官が満面の笑みをうかべた。
「カスリダ神官、ひどいよ。」
私は呟いた。
「なにいってるんですか?未来のだんな様に甘えてあげなさい。」
カスリダ神官は微笑んだ。
「未来どころが今すぐにでもなるのに。」
ギダシア神官が妖しい笑みを浮かべて言った。
「それより、屋台いきたい。」
私はごまかす事にした。
「そうだね…しっかり体力つけてたのしい夜にしようね。」
ギダシア神官が笑った。
なんとか逃げないと食べられる…。
そんな事してる体力ないよ。
私、隠居生活中なんだからね。
というか…本当にもうすぐ壊れるのかな…。
あがきたいけど…。
私、もう少しだけ、世の中が見たいんです、オーラダー様。
出来れば、もっといっぱいみたいです。
お読みいただきありがとうございます。