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聖剣ですけど、まあまあです。

ウエニアは職業神殿の雑用係のようです。

はて?聖剣のはずでしたが?


ああ、空が青いだけでテンション上がるよ。

隣がエロエロ神官だと下がるけど。


いつもの神殿での雑用作業のあと神殿の庭で惰眠をむさぼって起きたらお腹に手を回されて添い寝されてました。


「ギダシア神官、私、ソロソロ起きたいんだけど? 」

私は馬鹿力なギダシア神官の腕を撫でていった。

なんか筋肉ついてるなぁ。


「もう少し……」

眠そうによけい抱き込まれた。


「ギダシア神官! 苦しいんだけど! 」

この怪力! 本当に生身なんかい?

一応息らしきものがくるしいよ。

ペチペチ腕を叩いたら私の手のほうが痛かったって何さ。

「ウエニアさん? 苦しいって……」

エロエロ神官が薄目を開けた。

うん、くるしいというと何故か更に抱き込まれた。

誰かー助けてー。


がらりとサッシが開く音がして足音が聞こえた。


「ギダシア神官、どこですか〜」

カスリダ神官の声が聞こえた。

「こ、ここにいますよ! 」

私はいきも絶え絶えに叫んだ。

ウエニアさんあんまりうるさいとキスするよと寝言をエロエロ神官がつぶやいたのを聞いちゃったよ。


足音が近づいてくる。

カモミールの茂みのむこうからカスリダ神官が顔をのぞかせた。

「ギダシア神官、市長さんが祭りの件でおいでになっていますよ」

「俺は今いない」

ギダシア神官は私をさらに抱き締めて寝に入ろうとした。

本当に息らしきものができない。

「……ウエニアさんお茶出しにいってくだい」

カスリダ神官が私を鋼鉄の拘束から救い出した。

い、意外と力あるよねカスリダ神官も……神殿の畑仕事してるから?

「カスリダさんいい度胸だ」

ギダシア神官が危険な目で起き上がった。

「あなたがたぶらかしたのでしょう」

カスリダ神官が半眼になった。

「……仕方ない、いくよウエニアさん」

「ウエニアさんは先に行って準備を」

ギダシア神官に抱き上げられそうになったのをカスリダ神官が止めた。

「俺の癒やしをとっちゃうの? 」

「ゴクツブシにさせておくわけに行きません」

カスリダ神官がちらっと私を見た。

「はいはい、どうせゴクツブシですよ」

ブツブツいいながらも強制労働に駆り出された。

まあ、直してもらうのもメンテナンスもお金かかるしね。


ギーアイア市の市長さんはツルツルピカピカの天辺ハゲの壮年の哀愁親父だ。


孫に頭がツルツルピカピカと言われてむせび泣いたとかいないとか、この際どうでもいいけどね。


そう思いながらハーブティーとハーブクッキーを出した。


「ギダシア神官さーん、祭りの公告塔がサボっちゃダメダメですよー」

若者のような話し方に思わずビクッとなる。

「オレは、ウエニアさんしか目に入らないんだよ」

不機嫌そうにギダシア神官が足組した。

あんたはどっかの王様かいって言う迫力にみちあふれている。

「なーにいってるーんですかー?ウエニアさんはお祭りの象徴のためになおーしたんです」

市長が妙な迫力でギダシア神官に迫った。

カスリダ神官が手招きしたので近づいた。

「ウエニアさん、旦那さんのお膝へどうぞ」

カスリダ神官が私をギダシア神官の膝の上につき倒した。


わ~ん旦那じゃないもん。


「なに?寂しかったの?ウエニアさん」

エロエロ神官が嬉しそうにそのまま抱き上げた。


カスリダ神官のバカー。

膝抱っこなんか恥ずかしいよ〜。

私は思わずエロエロ神官の胸に顔を埋めた。


ウエニアさん可愛いとエロエロ神官が私の頭をなでた。


ちがうもんと顔をあげたら市長と目があった。


「あーら、そういう関係なのですかー? 」

市長が両手の拳を握って口元に持っていったのが見えた、楽しそうだ。


後で娘さんにチクってやる〜。

魚屋のおばあちゃんのお店でよく会うもん。


「ええ、ウエニアさんをもらってくれるかもしれない奇特な方なんですよ」

「いいのねーん、お祭り終わればいくらでも〜」

何故かカスリダ神官と市長がうふふと笑ってる。


寒気がする光景だよ。


軽く髪を引っ張られた。


「ウエニア……よそ見してたら唇奪うよ」

エロエロ神官に呼び捨てされた上に耳たぶ噛まれた。


「お祭りではギダシア神官さーん目当てんの若いお嬢さんがくるんだから、それじゃダメダメねーん」

市長がますます絶好調な口調で指を振った。

「オレより、タレントよんだほうが集客力あるよ」

エロエロ神官が私の髪にキスをした。

「ノン、ご当地アイドルがいいのねー、ギダシアさんみたいな色気のある危ない男性いいーね」

市長が身悶えた。


わーんやっぱり娘さんにチクってやる〜。


たしかに腰まで伸ばしてひとつに縛った濃い紺色の髪と紫の目が神秘的でどこで鍛えたって言う細マッチョな身体と相まって色気があるよね。


神官服なんて正装でもない限り地味なのに。ストイックな感じがいいとかいってたな? 喫茶店のキラノーヌちゃん。


でもアイドルじゃないような……


女の子にモテモテいいじゃないーですかー

市長がやっぱり拳を口元にやって笑ってる。


「ウエニアがいればいい」

ギダシア神官がそっけなくいって私を抱き上げて立ち上がった。


ええ、一途はいいけど商売になりませーん。

と市長がぼやいてる。


「さあ、行こうか」

ギダシア神官が甘く囁いて頬をなめた。


く、食われる?

聖剣なんて美味しくないよ〜。


「カスリダ神官、助けて! 」

「祭りは大事ですからウエニアさんは好きにしていいので出てくださいね」

カスリダ神官が無情にも私を売った。

頑張ってくださいヒラヒラ手を振った。

「カスリダさん……」

「お断りします」

エロエロ神官がカスリダ神官をみたら速攻で何かをお断りされてた。


何なんだろう? うーん、こっちもわかんないな?


「なーんの話なーの? 」

市長が頭を光らせながら小首をかしげた。

もう、市長がゆるキャラになっちゃえ。

「こちらの話ですよ……ギダシア神官が結婚すると…クッキーの売上げ落ちますよね」

カスリダ神官ため息をついた。

王都は頼りたくないですしとつぶやいてる。

なんでなんだろう? 大神殿ってケチなのかな?

「…カスリダさん、オレの幸せ、邪魔する気? 」

ギダシア神官が妖しく笑った。

「……ま、無駄出費がなくなるからいいですけど」

カスリダ神官が私を見た。


やっぱり無駄出費なんかい。


まあ、何だかんだいって三食昼寝付のうえに最近は小遣いまで出してくれるからな。


黒いけどいい人だよね。


「小遣いが神殿の経済を圧迫? 」

「別に圧迫してませんよ、普通の雑用係雇ったらもっととられます」

カスリダ神官がニヤリとした。


チャリーンと小銭が貯まる幻影がカスリダさんのうしろに見えた。


わー、鬼畜だ…低賃金で働かされてるんだ。


「結婚したら苦労させない」

ギダシア神官が首にキスした。

あ、なんかクラっと来たけど……ギダシア神官って平だよね、あんま給料良くないんじゃ……配偶者手当がつくのかな?

「ギダシアさーん、祭りのときはーせーそうねーん、ウエニアさーんとふれあいダメダメねー」

市長が口を挟んだ。


「消してやろうか? 」

ギダシア神官がつぶやいたのが聞こえた。


私は寒気がしておもわずギダシア神官に身を寄せた。


寒気の元に擦り寄ってどうする〜。

ギダシア神官から離れる前に嬉しそうに背中を撫でられた。


「ウエニアさん、ギダシアさんお昼寝再開していいですよ、後は私が聞いておきますからね」

カスリダ神官が私達を部屋から押し出した。


「相変わらず、さっしがいいな…ウエニアさん、オレの部屋で昼寝しようか? 」

ギダシア神官が妖しく笑った。

「え?外の方が気持ちいいよ」

身の危険を感じる。

「外でしたいなんて大胆だね」

ギダシア神官が笑った。


なんか、不味いこと言った?


「じゃ、いこうか? 」

ギダシア神官が言って歩き出した。


庭には青々としたハーブ。

緑溢れる木々……いつもは落ち着く風景なのに寒気がとまんないよ。


聖剣なんだから体調わるくても風邪は引かないよね?


「ここでいいよね」

ギダシア神官がさっきのところに戻った。


私の定位置だ。

ちょうど寝やすい角度なんだよね。

カモミールの茂みがお気に入りでさ……木陰があって大好きなんだ。


そんなことを思ってるとギダシア神官が私をそっと下生えの上に下ろした。

そのまま一緒に横になる。


本当に昼寝するだけ……


「ゆっくり休んで」

ギダシア神官がまた抱き込んだ。


ちょっと……抱きついてるところさっきと違うんですが。


「どこさわってるんですか! このエロエロ神官! 」

私はなんとか位置をずらそうとした、胸のすぐしたに手を入れられてるんだよね。

「エロエロ神官だからね」

嬉しそうに力を込める。

く、苦しい、ああ、せっかく戻ってきたのに

エロエロ神官に抱き殺されるんだ。


足音がしてやっぱりここかぁという若い声がした。

カモミールの茂みから若い男性が覗いた。


「ギダシア神官、帝都から御使いが来てるよ」

覗いたティウソアさんが声をかけた。

「まったく、なんだって言うんだ…せっかくウエニアさんと戯れてたのに、フフフ、いい度胸だ」

エロエロ神官はそういいながらなんか黒いオーラを漂わせて立ち上がった。

「僕のせいじゃないよ」

ティウソアさんがたじろいだ。

「もちろんそうだよ、ウエニアさん、一人でお昼寝しててね、すぐ戻るから」

ギダシア神官がティウソアさんの後を足早についていった。


どっかの王様みたいに偉そうだよ。


本当によくギダシア神官には帝都から御使いだの、呼び出しだのあるな……でも、今のうちに避難しておかないとヤバイ気がする…小遣いもって町にいこっと。


おばあちゃんのところに魚コロッケ買い食い行こっと。


ぜんは急げだよね。

私は大急ぎで茂みから起き上がって神殿の私室に向かった。


エロエロ神官が戻るより早く行こうと。


結局、出る前に捕獲されたよ……もっと用件なかったの〜帝都の人〜。


後でゆっくりでいいんですって聖竜騎士の人が疲れた顔してたけど……何したのさ〜。


この正体不明のエロエロ神官〜。


結局、元の位置で二人お昼寝したという……

なんとかいきつづいてよかったよ……


次こそ逃げるもん。

読んでいただきありがとうございます。

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