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神官してるよ、どうでもいいけど。

本日はエロエロ神官目線です。

やっぱりな感じです。

ああ、早く引きこもりたい。

オレはウエニアさえいればいいんだよ。


あの連中の面倒なんぞ見たくない。

そう思いながら天竜から降りた。


神殿の事務室に入ると忙しそうにカスリダさんが書きものをしていた。


「帝都はいかがでしたか? 」

気配を感じてカスリダさんが顔を上げた。


相変わらず察しがいいな。

さすがあいつの子孫だ。


「あいかわらずうるさい連中ばっかだよ」

思わす顔が歪んだ。

お帰りくださいと拝まれてもうるさいばかりだ。

「まあ、色々と上の方はお考えなのでしょう」

カスリダさんが冷笑をうかべた。

色々カスリダさんもあったからな。


まったく、帝都の連中もカスリダさんくらいさっぱりと物分かりがよければいいのに……


俺が信頼する上級神官はまたすぐに書き物に戻った。


いっそ……大神殿のトップをカスリダさんに据え変えてやろうか?


その姿を見ながら思っているとカスリダさんが再び顔がをあげた。


「おことわりします。」

なにかさっしたようにカスリダさんがきっぱり断った。


俺は何も言ってないぞ。


恐ろしいな……こう言うのを正しい天啓の神官と言うんだよな……あいつもそうだった……まあカスリダさんの場合事情が……


帝都の疲れを振り払おうと振り向くと扉が開いた。

入ってきた姿を見た途端疲れが吹き飛んだ。


愛しい聖剣がはいってきて俺見てたじろいた。


「カスリダ神官〜施療院の午前診療終ったよ、ご飯だってさ」

「俺は誘ってくれないんですか? 」

愛しい聖剣に近づいて逃げようとする腰を抱いた。


「お、お帰り〜」

ウエニアがにげようとみもだえたけど逃がすつもりはない。


それに……いつもより動きが鈍いな。

調子がわるいのか?


「せっかく帝都で美味しいって評判の焼きドーナツ買ってきたのに」

「わーい、ギダシア神官ありがとう〜」

笑顔いっぱいのウエニアを見ただけで行列に並んだの報われるな。

「よし、一段落した行きますか? ギダシア神官」

キノウエシ支社の責任者は帳簿を閉じて伸びをした。

ウエニアが焼きドーナツとルンルン言って少しヨロけたので慌てて支えた。

「ええ、ウエニアさん抱えて行くよ」

「大丈夫」

ウエニアが首を振ったけど強引に抱き上げた。


大丈夫だよ〜おろして〜。

そう言うウエニアの顔色の悪さにまゆをひそめる。


やはり……あの事のダメージから回復してない……いつか……


羽根のように軽いウエニアを感じながらある種の安らぎと不安を感じて歩きだした。


「今日のご飯は焼き魚のバシルソースにサラダ、ライ麦パンだよ」

開き直った嬉しそうにウエニアが俺を見上げた。

美味しいごはんに間に合ってよかったねと笑ってる。


ウエニアは食べることが大好きらしい。

帝都の『空のダイヤモンド』につれていってやりたいあそこのシェフは皇宮で料理長していたほどで豪快なのに絶品料理をつくる……美食家絶賛の高級店だ。


今の皇宮料理長も繊細な料理を作るな……喜びそうだ、念願かなった暁には食べさせてやろう。

文字通り膝に抱えてあーんだ。


素朴な神殿の食堂に素朴なテーブル椅子に湯気の立つ料理……ある意味高級店にもまさる風景だ。


そこを預かるのも素朴な料理人……アウル神官の夫のティウソアさんだ。

売店の売り子兼業だがしかも売店優先で忙しくなければの貴重な料理だ。


まあ、だいたい売店暇だのようだが。


「ごめんね、いつも変わらなくて」

ギダシアさんは帝都で美味しい料理食べてきたから見劣りするよねとティウソアさんがお茶を入れながらつぶやいた。

「あなたの料理には心があるから帝都のものよりうまい」

ああ、毒味と称して冷え切った料理に比べれば何倍うまいだろう、俺に毒はきかん。


お世辞でも嬉しいとティウソアさんが満面の笑みをうかべた。


「本当に美味しい、アウル神官はしあわせですね、いつも美味しい料理が食べられて」

ウエニアが幸せそうにライ麦パンに魚とサラダを挟んで頬張っている。


なんて幸せそうなんだ。


嬉しいけど帝都はきっと材料も豊富なんだろうね。

そうにティウソアさんがため息をついた。


材料が豊富ね……たしかに多彩で繊細な料理が多いが……それより俺はここの地のものを使った素朴な力強い料理に郷愁を感じる。


俺の生まれた村も地産地消の素朴な料理の……


まあ……思い出はいずれにしよう。

ウエニアが美味しそうに食べてるのを見るだけでほっとする……いつか消えてしまうのではないかと怯えてる心がある。


それにいつも料理も同じではない。

パンも全粒粉だったり胚芽だったりハーブだったりするし。

魚も肉もハーブを使って上手に作ってる。


なんといっても自家菜園の野菜は新鮮だ。


貴族どもが田舎に別荘を買いたがる理由がわかるな。


「ティウソアさん、売店の売上はどうですか? 」

カスリダさんが魚のソテーをフォークでさした。

さっきまでうなりながら帳簿付けしていたからな。


神殿の予算が少なければ大神殿に……あまり中央に頼りたくないのだろうが……


「うーん、いまいちかな?」

ティウソアさんがパンを口に運んだ。


ここはど田舎の支社だからな……

ここの領主も特にオーラダー神の熱心な信者じゃないし。

商売の神チゥアステあたりを熱心に信仰してたはずだ。

だから俺がいるのがバレてないんだけどな。


いっそ俺の個人資産で……いやそれでは上がめんどくさいか……


「……そうですか……無駄出費と一緒にクッキー売ってきてくれないですか?ギダシアさん」

カスリダさんがにっこりわらった。


私、無駄なの〜。

俺の隣のウエニアが騒いでカスリダさんににっこりされて口を閉じた。


無駄出費ねぇ……

カスリダさんじゃなければ瞬殺してるところだ。


ウエニアがくすん言いながらパンをモグモグ食べてる。

可愛いなぁ……あの唇にキスしたい。


「帝都はいかがでしたか? 」

ティウソアさんが話題をかえるように聞いた。

帝都なんぞクソ面白くもないが……興味があるのか……

「帝都はいつも通りにぎやかだった」

新鮮なサラダをつついた。

いつも通り帰ってこい、皇宮に帰れのそれだけだからな……


何代か前の総神官長がどういう運命をたどったかしらないのか?


あまりうるさければ……大神殿ごと消してやろうか……


皇宮は……まずいがそれかカスリダさんを……いっそ。


ちらりとカスリダさんを見た。


「おことわりします。」

パンにバジルソースを塗りながらカスリダさんが答えた。


やっぱり、ある意味人間じゃないな。

まあ…オレもあやしいが…。


ともかくウエニアさんとギダシアさんはクッキー売りに行ってください、無駄なこと考えずにとカスリダさんが言った。


「カスリダ神官、なんでいつも、ギダシア神官と一緒に行動させようとするの?」

ウエニアが可愛く小首を傾げた。


ウエニア、そんな可愛い姿他の連中にみせるな!

オレの腕の中だけにしろ! 


「……ギダシア神官はウエニアさんと結婚してくれる可能性がある奇特な方ですよ」

カスリダさんはパンをかじった。


ええ、そんな奇特いらないよーとウエニアがさわいだ。


……カスリダさんじゃなければこの世にちりひとつないくらいに消す……結婚の後押ししてくれてるのだからあいつらよりましだが……


「あなたがかたずけば余分な出費も減りますし」

「やっぱり、無駄出費なんだ……」

カスリダさんのダメ出しにウエニアがさびしそうだった。


カスリダさん……消すか……


「あなたがいるほうが楽しいですから」

だからもっと働いてくださいねとカスリダさんが微笑んだ。

うん、頑張るねとウエニアが顔をあげた。

明らかに嬉しそうだ。


凄いな……落ち込ませといて持ち上げる技……

恐ろしい……様子みるか……カスリダさんいなくなるのも寂しいしな。


「アウラもご飯食べてるかな 」

ティウソアさんが遠くを見る目をした。


アウラさんはいつもは副業? の託児所勤務だからあっちで幼児と児童たちと他の先生たちと食べてるらしい。


向こうは近所のバイトのばーさんが食事とかおやつをつくってるそうだ。


「ギダシア神官とクッキー売りよろしくお願いします」

カスリダさんがそういいながら立ち上がった。

事務室に戻るんだろう……本当に働き者だな。


うん、隠居だけど頑張るよ。

とウエニアが拳を握ったのがみえた。


どこにあんなに可愛い隠居がいるんだ。


本当は抱え込んで離したくないな。

ウエニアの体調は……やっぱり悪いんだろうな。

大怪我だったからな。

聖武具師デイアイルに見させるか……

あんな奴でも腕は最高にいいからな。


帝都はいっそ、消し去ってやろうか?

……まあ、すべて気に入らないわけじゃないからおさえるか……

オレも化けもんになりさがったもんだな……昔からか?


ウエニアと俺の幸せのためには邪魔ものは排除する。


たとえ化物と言われても……


だから……はやく戻ってこい……俺の腕の中に……

読んでいただきありがとうございます。

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