聖剣ですけど、夢を見たらしいです。
久しぶりの聖剣です。
いつの間にか暑くなって来ましたね♪
うーん…動けない。
もう、朝…ねたりないよ…。
ふかふかの布団の中で身動ぎもできずに目を開けた。
まだ…暗い…夜みたいだ。
豪華な天蓋ベッドの向こうの大きなガラスの入った窓から月が見えた…あとは夜回りの騎士の明かりがチラチラと回廊通っていったのも見える。
「だから身動きとれないのか…。」
ギダシア神官の手足がしっかり絡まってる。
ボソボソ言ってギダシア神官の顔を見上げた。
まつげが長い整った顔…ん…やっぱり記憶が…。
勇者とにてるような気がしてきた。
「起きたの?ウエニア。」
ギダシア神官が眠そうに言って私をさらにだきこんだ。
しばらくもがいたけど抜け出られないからあきらめた。
いつの間にか寝たらしく夢を見た。
深い森の中の泉の前にたつ濃い茶色の長い髪と意思の強そうな赤い瞳の女性が憂いの眼差しで私をみている。
『私の聖剣よ、過酷な運命を送らせてすまぬ。』
女性が深みのある美声で言った。
この人は…地母神…生と死の神、オーラダー様だよ。
『オーラダー様~。』
私は後ずさった。
『なぜ逃げるのだ。』
オーラダー様が半眼になった。
『だって…勇者に投げ与えたじゃないですか~。』
トラウマだよ~。
『……勇者の心はそなたしか癒せぬようだ…手放してどんなにくるしかったか…。』
苦々しい顔をして麗しい女神が近づいてくる。
『私はそなたをこの手よりはなしたくはなかった。』
オーラダー様がそういって私をこどもだきで抱き上げた。
相変わらず力持ちだな。
『行きたくなかったです。』
私は横を向いた。
神殿ではよくこの状態で抱き上げられて散歩したりしてたよ。
『やせたな…早くとり戻したい。』
オーラダー様が幼子にするようにほほに口づけた。
『オーラダー様…。』
私はオーラダー様に抱きついた。
お慕いする私の女神オーラダー様。
私がお母様と思う方。
万物の母の胸は暖かい。
『オーラダーちゃん、まだ滓を増やすわけにいかないんだからね。』
銀髪の明るい男性が能天気にやって来た。
『最高神邪魔をするでない。』
オーラダー様が男性を睨み付けた。
『逢瀬中に悪いけどさ…世界をまだ終わらせるわけにいかないんだよね。』
グラと呼ばれた男性が妙に真面目に言った。
『…………ウエニア、そなたには苦労をかける…勇者に子を与えれば…そなたはここに帰れるであろう。』
オーラダー様が悲しそうな顔で私の額に口づけた。
私…子供作れるんだ。
『それをすれば我が巫女が苦労するのではありませんか、姉上!』
赤いツンツン髪に深い青い目の長身のマッチョ男が飛び込んできた。
『エウリール、そなたの巫女は今、その滓に巻き込まれておる…なんとかするがよい。』
オーラダー様が赤い髪の男…弟神、戦神エウリールを追い払った。
『私の巫女~待っておれ!』
全力疾走するマッチョ男…ある意味怖い。
『僕の巫子も滓に巻き込まれてるしね…やっぱり子供とウエニアちゃん両方が必要かな?』
グラ様が頬にてを当てていった。
『そなた…巫子の影響を受けているな?』
オーラダー様がグラ様に嫌そうな顔で聞いた。
『パルラの影響なんてばっちりだよ、今度はホットケーキを山盛り焼いてもらうんだ。』
そうに言うとグラ様はルンルンと帰っていった。
『相変わらずだ…ともかく私はまたそなたと暮らしたい、務めはたして速やかに戻るがよい。』
オーラダー様が微笑んだ。
つ、務めって勇者と子作りですか?
勇者ってやっぱりギダシア神官?
『さあ、戻るがよい、愛しい我が聖剣よ。』
オーラダー様がそういって私の額に再び口づけた。
チュンチュンと鳥の声がして目が開いた。
朝の光が大きなガラスの窓から入ってきている。
どうしよう寝た気がしない。
私抱き込んだままのギダシア神官を見上げる。
やっぱり勇者の顔が思い出せない。
窓の外の広大な庭ではもう掃除をしたり庭木の世話をしたりしている様子が見えた。
回廊には花瓶から枯れた花を回収している様子が見える。
起きたいのに起きられないって辛い。
「ギダシア神官。」
私は必死で出ようとしてますます抱き込まれた。
結局、朝の準備をした皇宮の侍従が起こしにきてくれるまで抱き込みは続いた。
そのあとも膝上抱っこで朝食です。
…まったく食事介助されるほどよわってないよ、私。
駄文をよんでいただきありがとうございます♪