聖槍です、あいつが嫌いです。
久しぶりの聖剣です。
本日は聖槍目線です。
通信機の画面から目を離す。
ラララ、レシピ掲示板でマドンナ?廃エルフさんに励まされて浮上したけど…現実は厳しい。
「セリカは無事にオヤルルの砦についたのでしょうか?」
神聖皇帝陛下の代わりにしている仕事の山がなければセリカに癒してもらえるものを…。
書類の山にため息をついた。
「聖槍様、最高位の巫女…。」
侍従が顔を出して言った。
「入れてください。」
最高位の巫女で私を訪ねてくれるのはセリカ以外いませんからね。
「いいのですか?」
ちらっと書類の山を見ながら侍従が聞いた。
「もちろん、いいんですよ。」
ええ、とっておきのクッキーを出しますよ。
可愛いセリカのためなら…。
しばらくして入ってきたのは…。
「何であなたが来るんですか?」
私はムッとしながらとっておきのクッキーをしまった。
白い髪と白銀の瞳でオーラダー神の神官の盛装に身を包んだこの女はあの女を再生させた敵だ。
そういえばセリカはオヤルルの砦にいってるのでした…自分で思っていて忘れるなんて…いい加減天に帰る時なのでしょうか?
「おや、あなたの大事な方から伝言を届けに来ましたのに。」
性別を隠す盛装はこの女を性別不詳にしている。
でも、私にはわかる。
「神聖皇帝陛下はなんとおっしゃってるのですか?」
こいつなんて堅焼きビスケットで十分とそちらに差し替える。
「あのクッキーをくれたら教えますよ。」
あの女…皇族の血を引くくせに意地汚いカスリダが底知れない笑みを浮かべた。
「…同じ最高位の巫女なのにずいぶん違いますね。」
しかたなく、貴重なマダラジャルのクッキーを差し出した…お茶を侍従がもってきた。
こいつなんて、エウリール印のプロテインドリンク(ゲキマズ)でも飲ませておけばいいんですよ。
「あなたの大事なファリシア巫女と私は違いますので。」
クッキーを遠慮なく食べながらカスリダが言った。
「それで神聖皇帝からの伝言は何ですか?」
私はカスリダから目を背けて言った。
「結婚するそうです。」
唐突にカスリダが言った。
「誰がですか?」
私は嫌な予感を感じながら聞いた。
「もちろん、ギダシア神官と聖剣ウエニアさんがですよ、二人の間に子供ができればあなたも嬉しいでしょう?丸い巫女なんて愛でなくとも。」
さらにクッキーを食べながらカスリダがいった。
ふん、神聖皇帝陛下の子供など何百年前らいのあいだに何人いたことか…ましてあの女との子供など…興味…まあ、神聖皇帝陛下の子供である以上あるが。
「セリカは神聖皇帝陛下とは違う意味で私の最愛の娘ですから、あなたに言われる筋合いはありません。」
ムッとしながらマダラジャルのクッキーをつかむ、今度オーダーメイドで注文してセリカに言付けて…。
「ふーん…まあ、いいです、私はオーラダー大神殿に戻るように拝命を受けました…死側面の最高位の巫女にして高神官だそうですよ、厄介払いしたくせに…。」
カスリダが貴重なマダラジャルのクッキーを二枚重ねてバリバリと食べた。
「ならば、キノウエシにかえればいいですよ。」
私はぶつぶついいながらお茶を飲んだ。
「このクッキーのお店紹介してください、もちろんしてくれますよね。」
カスリダがニコニコ言った。
マダラジャルは超高級菓子店で皇室御用達で完全オーダー制でその人にあった菓子を作るからなかなか買えないのに…しかも厳選素材使うから高いんです。
「嫌です、あなた今まで単なる地方の平神官でしょう?買えませんよ。」
私はカスリダを睨み付けた。
「別にあなたに気にしていただかなくても結構ですよ、従弟に頼みますので。」
カスリダが微笑んでバリバリとクッキーを食べた。
先々代皇帝陛下の末の皇子ヤサゼシス…ツムギア公か…セリカの婚約者候補だった。
「それで神聖皇帝陛下は私に何をせよと。」
いっそあのくそ聖剣を熔鉱炉で溶かしてしまいたい。
「なにも…ただ邪魔したら許さないとのことです。」
カスリダが最後まで微笑んで言った。
「わかりました…ところでカスリダさん、お暇ですか?」
私は立ち上がった。
「忙しいです。」
カスリダがニコニコ言った。
「ではこちらをお願いします。」
私は神聖皇帝印をカスリダに押し付けて歩き出した。
「どちらへ?」
さすがのカスリダも動揺している。
私はにっこり笑って振り返った。
「オヤルル領にいってきますのでよろしくお願いします。」
困ります。と騒ぐカスリダを無視して歩き出した。
エウリール大神殿に常駐している聖竜騎士を使えば明日には…。
セリカに癒されに行かないともう限界です。
もう、神聖皇帝陛下なんてしりません。
セリカ、すぐにいきますよ。
私の癒しの最高位の再生巫女。
クッキーはカスリダにとられましたが…パウンドケーキはありますからね。
ぽっちゃり巫女は看護師さん。
と微妙にリンクしてます。
ヤサゼシスの説明はそちらにありますのでよろしければご覧ください。
駄文を読んでいただきありがとうございます♪