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聖剣ですけど、抱き込まれてます。

今月二回目の投稿です。

よろしくお願いします。

夢をみた…オーラダー様があの天界の泉で…。

あれ?なんでおぼえてるんだろう?


天界の記憶もほとんどないのに、あるのは…。

ハーブの香りとオーラダー様の御手の記憶だけ。


「ウエニア、調子はどうだ?」

ギダシア神官が何かの書類を見ながら言った。

ギダシア神官の膝の上にだきこまれてるのは最近の定位置だ。


ここから見上げると勇者のような気がますますしてくる。


「うん、大丈夫だよ、カスリダ神官元気かな?」

私はギダシア神官のひとつにまとめた髪をいじりながら聞いた。

さらさらして指通りがいい。

「カスリダさんに会いたい?」

ギダシア神官がそういいながら私の首筋にキスした。

「うん、会いたい。」

というよりキノウエシに帰りたい。

あのオーラダー様の小神殿に帰りたい。

ハーブ香る庭で眠りたい。


皇宮の庭は綺麗だけど、あそこの空気には変えられない。


性別不詳のカスリダ神官が少し黒いこと言うの聞きたいな…神殿のみんな元気かな?


「じゃ、帰ろうか?」

ギダシア神官が言ったところでそれまで黙ってた秘書官が口を開いた。

「皇帝陛下の許可をお取りください。」

皇帝陛下の許可ってなにさ。

「ふーん、お前はむこうみずのようだな、オレを止められるとでも?」

ギダシア神官が危険な眼差しで言った。

「私はただ道理をいったのみです、キノウエシにオダーウエ聖騎士団の派遣をお望みでないのならば…それにカスリダ高神官はもう帝都にお着きです。」

表情を変えずに秘書官が言った。


あれ?カスリダ神官は一般神官のはずだよね…。

高神官?いったいどういうこと?


「あの人をそうして引っ張り出したのか?」

ギタシア神官が笑った。

「私は命じられた事をお伝えしただけです。」

秘書官が淡々と答えた。

「オーラダー神の愛し子の巫女をおとしめた大神殿は今度は高神官としてカスリダさんを利用するのか?」

ギダシア神官が嘲笑した。

「私は皇帝陛下よりのご下命を伝えただけですので。」

やっぱり淡々と秘書官が答えた。


なんか怖い…カスリダ神官は実は巫女?

愛し子って言われてるくらいだから多分声が聞こえる高位の巫女だったんだよね。


「まあ、よい、カスリダさんをよんで。」

ギダシア神官が書類にサインをしながら言った。

「かしこまりました。」

秘書官が丁寧にお辞儀をして出ていった。


「カスリダ神官は巫女?」

私はギダシア神官にきいた。

「ああ、今でも巫女だ、カスリダ神官を…カスリダ巫女を得ようととある国の影が忍び込んだ事からはじまる。」

ギダシア神官が言った。


よくわからないけど…さらわれたカスリダ神官はかの国の重要人物の死期を早めるように強要されたらしい。

カスリダ神官はオーラダー神の死の側面の巫女だから…死期が読めるし…愛し子ゆえに…。

大神殿がやっと助け出した時、カスリダ巫女はもう語らない、力は使わないと…。

なにがあったかわからない…かの国の重鎮を含める人々は急死したから。

オーラダー神の巫女の…地母神の巫女のせいでかの国は混乱したと責められたらしい。

大神殿は権威を護る為にカスリダ神官を辺境に送った。


そこであったんだよね…ボロボロの聖剣ワタシとさ。



「…カスリダ神官。」

呼び出されたカスリダ神官は高神官の正装をいやいやながら着てるのがありありだった。

「カスリダさん。」

ギダシア神官が私を抱えたまま言った。

「まったく、貧乏くじをひきました。」

カスリダ神官が微笑んだ。

「すまん、ここには顔を出したくないだろうに。」

ギダシア神官が頭を下げた。


カスリダ神官に付いてきた神官たちが息を飲んだのが分かった。


「あなた方の結婚式を近日中に執り行うように命じられました…オーラダー様は静観しておられますので大丈夫でしょう。」

カスリダ神官が最後のほうは声をひそめて言った。


なんでそこでオーラダー様の話が出るんだろう…ん?結婚式?


「け、結婚式?」

本当に剣と結婚するの?


聖なる武具と人間の結婚って過去にもあったのかな?


「ウエニア、心配する事は無い…。」

ギダシア神官がそういいながら頬にくちづけた。

「まあ、神聖皇帝宮によびだされなかっただけましですかね。」

カスリダ神官が小さい声で言った。


そういえば神聖皇帝ユウシャはなにもいってこない。


私の事忘れてくれたのかな?

それとも…まさか…。

私はギダシア神官の髪をそっとつかんだ。


「ウエニア、なにも心配する事はない。」

ギダシア神官がしっかりと私を抱き込んだ。

「…はやくキノウエシに帰してください。」

カスリダ神官が言った。

「…相変わらずだな…カスリダさんには。」

ギダシア神官が言いかけた。

「お断りします。」

ニコニコとカスリダ神官が言った。


本当にいつもなにをおことわりしてるんだろう?


「カスリダ神官、会えてうれしいよ。」

私がそうにいうとギダシア神官もうなづいた。


周りが余計ざわつく。


「まったく、余計なことを…私もうれしいですよ、まだまだ無駄出費聖剣さん。」

カスリダ神官が微笑んだ。


ざわざわはやはりあのうわさは…とかいってる。

うわさってなんだろう…。


なにはともあれ。

なつかしい顔がみられてうれしい。

け、結婚式って本当にやるの?


カスリダ神官の過去はなんとなくわかったけど…ギダシア神官は本当に何者なんだろう?

…勇者…なのかな?顔が思い出せないけどね。

オーラダー様の御尊顔が分からないみたいに…。

帰りたい…キノウエシの神殿の庭に…天界のあの庭に…。

駄文を読んでいただきありがとうございます。

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