地母神ですが、傍観します。
気がついたのですが、12月に更新していませんでした。申し訳ございません。
神様の裏事情?が少し出てます。
鬼畜神官とのほほん聖剣はメインでは出ません。
TS転生エルフにでてるあの人(神?)も登場します。(たいした事は言いませんが。)
今年もよろしくお願いいたします。
ウエニアが壊れたら、世界は動く。
ウエニアが壊れなかったら世界は繁栄する。
「オーラダーちゃん、なにたそがれてるの~?」
世界を見通す泉で下界を覗いていたら能天気な最高神がやって来た。
「………最高神。」
私は最近能天気さがました最高神を見つめた。
「名前でよんでよ。」
最高神が悲しそうに言った。
「……グラ。」
そう、今、最高神はグラでいいはずだ。
「僕の名前はグラだけじゃないよ。」
最高神グラが泣き真似をした。
鬱陶しい男だ。
「あなたの巫女はグラと呼んでいる、それがあなたの今の名前では?」
この男はあまり名前を知られてはいけない存在だということを忘れているようだ。
「グラ○○○○だよ!」
グラが叫んだが思った通り巫女の呼び名以外聞こえない。
神など人にわすれられると存在さえ危うい存在だ。
最高神は逆に知られない方が良いのだが。
「グラ、なんのようだ?」
戦神エウリール、私の双子の弟がやって来た。
「エウリールくーん、僕はグラ○○○○だよ!」
最高神が地団駄を踏んだ。
「まあ、いいだろう、アミリアーナはもう限界だ、オーラダー姉上のところの聖剣はまだ滅びないのか?」
エウリールが物騒なことを言った。
「お前の愛しい再生巫女のおかげで、当分滅びない。」
私は元勇者にして未来の邪神に抱き上げられて口づけされているわが聖剣を見つめながら答えた。
かつてあの男が私の前に現れたとき…。
『へぇ…これが地母神の盾?』
あの勇者はものを見るように私が鍛えた盾を見た。
盾自身はあの勇者のかけているものに気がつかずぽっとしていた。
『そなたの剣はこちらのものだ。』
私は本来自分の癒しのための聖剣を渡した。
田舎の鍛冶屋が…普段、農機具や日常品を造ってるものが心を込めて造った聖剣は私の癒しだった。
勇者などに渡したくなかった。
『しけた聖剣だ。』
あの勇者は歪んだ笑いを浮かべた。
このものは優秀だ。
だが、邪神にはなれぬ。
執着するものがなくば、世界の歪みは引き受けらない。
私の癒しウエニアにかけたのだ。
『オーラダー様、私、無理です。』
その日もハーブつみをしていたウエニアを勇者に投げ与えて。
私は後悔した。
いつも私のそばでか弱く優しくのほほんといたウエニアの存在がないと苦しい。
思惑通り勇者はウエニアに癒された。
思惑外なのはエウリールの戦槍がウエニアを傷つけて、勇者がウエニアにより執着しだしたこと。
本来ならば…邪神を倒すまでに他の執着するものを作らせる予定だったのに…送り込んだ乙女も友達も財宝も勇者の前ではちりにひとしいらしい。
あのウエニア以外は…。
だから、勇者がオーレウス帝国を作ったときは驚いた。
ウエニア以外の女性と子供をつくり帝国の繁栄に心を砕いた。
我々は成功したはずだった。
あとは勇者がキノウエシのオーラダー神殿に放置したウエニアを引き取りに…。
さっしたかのようにえせ神官があらわれてウエニアを囲いこんだ。
ウエニアの刀身が壊れたら魂はここに戻ってくる。
もう、出したくない。
勇者が邪神になり次の勇者が歪みを解消したときはウエニアは恐らく人に転生して元勇者にして元邪神のもとにいかせなければならない。
それが辛い道を歩かせた代償だからだ。
「オーラダーちゃん、うちの巫女がねー、チーズケーキくれたから食べよう?」
能天気に始まりと終りの神…いわばあとは世界の終りしか仕事のないニートな最高神がチーズケーキを虚空から取り出して言った。
「私は忙しい、エウリールはいただいたらどうだ?」
私は再び泉に目を向けた。
「もらってやるぞ、グラ。」
エウリールが偉そうにグラのケーキをまるごととって歩き出した。
「ええ?分けようよー。」
グラはエウリールに追いすがった。
泉は元勇者の腕のなかで安らぎの表情で眠るウエニアの姿を写している。
ウエニア、しばらくはそのままで…。
私はしばし傍観しよう。
そなたが還るその日まで…。
愛しい私の癒しの聖剣よ。
駄文を読んでいただきありがとうございます♪