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どうか、消えないで
記憶の中にある声は すでに消えていて
ただ残るのは 優しい微笑みだけ
人ごみの中で ぶつかり合いながら
冷たい視線と 戦いながら
遠慮がちの 言葉並べながら
大切で単純な思いさえも
忘れようとしていたんだ
懇願するような瞳を鬱陶しく思い
恐れた瞳を疎ましく思い
輝く者を貶めたいと思い
強い者にだけ媚びへつらい
弱き者を虐げる 厭うべき輩に成り下がる前に
助けてくださいと 言えずに
周りに当たり散らしながら
期限が迫る時計を見たくなくて
走り続けた
虚像を作りたて
押し付けてしまった あの人の
言ったことがようやく分かる
厳しいことを言っていたように思えても
そうなんだ 甘言だけじゃダメになる
子どもで御免ね
そう 言える日は来るのか
もう 分からない
けど あれは幻じゃなかった
あの透き通るような瞳だけは
醜い心を糾弾する瞳だけは
どうか 消えませんように
どうか 忘れませんように