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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

漫画原作(作画済)

眠り姫 ビューティ!! 【シナリオ形式】

作者: 阿僧祇

 もともと、前作『氷の眠り姫』に、完結してて続きなんか書きようもないのに「続編、続編」言ってきた人たちをびっくりさせることだけが目的で書いた脚本だったため(悲恋物のヒロインが、続編では変身して悪の組織と戦ってしまう、という(笑))、一般公開作品としては不適当なトリックや構成が施されてますが、改変はめんどいのでそのまま再公開です。

 なお、このシナリオはキャラ原案の方が作画してくれることになりまして、その脚色によりそういう部分を改変したウェブ漫画が完成済み&数箇所で公開中です。


<主な人物>

里子:

 石川里子、17才。40年間の冷凍睡眠の後遺症がある少女。1990年代風の言葉を話す。

浩一:

 本村浩一、58才。里子の冷凍睡眠前のクラスメートで、医者。



夕子:

 クラスメート

舞:

 クラスメート


バルゾイド:

教授:

CB鼠:

CB人間:


<キーアイテム>

目覚し時計(ベルクロック):60年代風のデザイン。


○ 空間

  里子の幽体がふわふわと浮かんでいる。

里子「・・・・・?」

里子「私・・・?」

里子「あれ…なにか大事なことを忘れてるような…」

里子「でもなんか気持ちいい…私、このまま…」

声「石川さん! 駄目だ、正気に戻れ!」

  ジリリリリ、と目覚し時計の音。


○ 扉

T「眠り姫・ビューティ!!」

  冷凍睡眠カプセルが半分割れ、冷凍ガスが周囲に漂い、中には膝を抱えながら

  白目でこちらを見つめ微笑んでいる全裸の里子が。(イメージ画像:全裸でも下は

  カプセルに隠れ、上は膝で隠れれば全年齢OK…のはず。)

  カプセルの足元/または上に、古臭いデザインの目覚し時計がワンポイント。


○ 朝の学校。


○ 教室

  休み時間。

先生「石川さん、お父様が見えられてるわよ。」

里子「は?」


○ 生徒相談室。

  本村が座って居る。

里子「本村君!」

本村「違う。『パパ』だろう。それにダメじゃないか、大事なものを忘れちゃ!」

  本村の手に、古くさいデザインの目覚し時計(ベルクロック)が一つ。

里子「・・・・もっとさ、『かっきー』デザインの時計にならないの?」

本村「何いってるんだ、今の流行の『レトロファッション』だよ?」

里子「レトロ・レトロって……」

里子「今、ほんとうに2035年? 何もかもが、私の生まれた1970年代より古い感じ。」

本村「気に入らないんなら、そのうちデザインはなんとかするから。これがないと、

 いざというとき、君は……」

里子「…わかったわよ!」

  目覚まし時計を手に溜息を吐く里子。

里子「でも冷凍睡眠の副作用…予想もしてなかったわよね。」

本村「君の場合は偶然だったんだ。睡眠に入った時のHEガスと、大地震の後で間違え

 て追加注入されたガンマー剤が反応して……」

里子「あの町の病院で眠ってれば地震は心配ないって言ってたのに。」

本村「日本に地震の起こらない場所なんかない。」

里子「じゃ、わざわざとどけてくれてありがとね、本村く…じゃなくて『パパ』!」

  去っていく里子の後ろから

本村「超時研は血眼になって君を探してるから、気をつけろよ?」「CBにも!」


○ 教室

  友達が何人か・・・

夕子「石川さん、新しいカゲメークがあるんだけど、帰りにどう?」

里子「カゲメーク??? なにそれ?」

夕子「……知らないの?」

里子「ゴメン、私、帰国して日が浅いから。」

モノローグ「……ってことになってるの。」


○ 筐体のあるところ(ゲーセン?)

  プリクラみたいな感じの筐体。

  バシュゥゥゥ、と煙が。

里子「ゲッ!? フィギュア!」

  里子の手に、里子そっくりの人形が。

夕子「? なに驚いてるの?」

舞「まさか、3Dフォト見たことなかったりして?」

里子「3Dフォトって、こう、メガネかけて、写真が浮き上がって見える…」

舞「……平面3Dフォト?」

夕子「そんな、もう博物館でしか見られないものがどうかしたの?」

  里子、くらくらしてくる。

里子「あたし、疲れたみたいだからもう帰るね。」

夕子「またねー」

  里子が去ってから、ドリンクをすすりながら

夕子「石川さんって、どこの国から帰って来たんだろうね?」

舞「さあ? よっぽど辺ぴな後進国なのは確かだけど。」


○ 町中。

  里子、疲れきった様子で歩いて居る。

里子「だめ…私、ついてけない…」

モノローグ「心は17才のままでも、脳みそは57才になってるのかな、私。40年損した

 気分。」

  里子、溜息。

モノローグ「本村君も……すっかりオジサンになっちゃって。」


○大病院の庭(回想、40年前)

  入院のガウン姿の里子がベンチに座り、

  学生の頃の本村がその側に立つ。

本村「冷凍睡眠コールドスリープ……。」

  肯く里子。

  本村、里子の手を握り。

本村「僕、医者になるよ! そして石川さんの病気を治す方法を必ず見つけてみせる!

 だから待っててくれ!」

里子(驚く)「本村くん……」

里子(笑顔)「うん、待ってる。」

  (回想終了)


○町中

  里子、さらに疲れきって、今にも膝をつきそうな様子で。

モノローグ「いや……私にとってはほんのひと眠りだったのよ。」「待ってたのは

 本村君(カレ)の方よね。」

里子「でも、本当に40年も、結婚もしないで研究してたなんて異常よ……」「そりゃ、

 昔は秀才でルックスも悪くなかったけど……今は将来性も無いオジンだし~。」

   気を取り直して、

モノローグ「ま、冷凍睡眠から無事蘇生できただけでもも奇跡的っていうし……それで

 満足するべきかな。」

  そのとき、突如ブレーキ音。

  車の扉を開けたのは本村。

里子「本…パパ!?」

本村「はやく乗って!」

  急発進。


○ 車の中

里子「どうしたの、いきなり?」

本村「超時研が君を見つけた。」

里子「え!」

本村「コールド・スリープの副作用はさまざまだが…正気を保ったままのCB現象…

 つまりCSB現象を起こせたのは君だけだからな。」

本村「やつらは何としても君をモルモットにしたがってる。」

モノローグ「CSB現象…そう。それが私に起こった、冷凍睡眠の副作用。」

里子「また…転校?」

本村「まだわからないが……しばらく身を隠した方がいい。」


○ 人気の無い海辺の道

  本村の車がつっぱしる。


○ 車の中

  里子、窓の外を見てる。

モノローグ「私が病気にならないでいたら……同い年の本村君が隣に居たのかな。」

  里子、ふと気がついて、ぽーっとした目を本村の方に。

モノローグ「もしかしてあのころ……私と本村君って、両……」

  耳をつんざくブレーキ音。

  ダッシュボードに突っ伏してる里子。

里子(汗)「な、なに……?」

  本村はシートベルトを外す。

本村「CBだ! 逃げろ!」

  里子、驚愕。

  フロントガラスに、巨大な化け物(巨大鼠?)が張り付いて、ヒビが入ってる。

  二人は車から走って離れる。

里子「きゃあああっ!!」

  本村は後ろに向かって拳銃を撃つ。


○ 森の中

  息も荒く逃げてきた二人が、ふらふらと。

  二人、窪地に身を潜めながら

里子「はぁ、はぁ、はぁ…あれもCB?」

本村「コールド・ビースト(CB)…冷凍睡眠の副作用で巨大化した実験用の鼠にちがい

 ない。」

  本村、拳銃を手に

本村「こんなものじゃ駄目だ…」

里子「しかたない…。本村君。私、スリープに入るわ。」

本村「大丈夫か、体力は? 昨夜もスリープに入ったろ?」

里子「眠ることでかえって体力を消耗なんて、冗談じゃないけど…」

  里子、目ざまし時計を置いて横になってしまう。

里子「疲れてるから、すぐ眠れると思う。」

本村「石川さんっ!」

里子「眠るんだから静かにして!」

  心配そうに見守る本村の前で、里子は

  眠りに就く。

里子(心の声)「私は、深く沈んでいく……トンネルをくぐって、どんどん、どんどん

 沈んでいく……」

  時計の文字盤の中に沈んでいく里子…。(イメージ画像)

里子(心の声)「どんどん、どんどん沈んでいく……」

  そして里子の体から光が発する。

本村(心配そうにつぶやく)「君にだけ奇跡が起きたんだ、石川さん。」

  さらに光が強く。

本村「レム睡眠時の幽体離脱…そして夢の実態化…CSB(コールドスリーピング・

 ビューティ)!!」

  光の中で、里子から幽体離脱したスーパーヒロイン、“コールドスリーピング・

  ビューティ”が目を開く。

本村「石川さん、今度は正気か!?」

  ビューティ、身を起こして手を見る。

ビューティ「完全に正気みたい。成功ね。」

  そのとき、後ろから幽体鼠が現われ、咆哮をあげて本村に襲い掛かる。

ビューティ「本村君!」

  ビューティ、とっさに鼠に体当たり。

  鼠とビューティ、山林の坂を転がり落ちる。


○ 海辺の道路。

  鼠が引っくり返ってる。ビューティも腰を抑えてる。

ビューティ「いたたた…」

  鼠、ビューティに襲い掛かる。ビューティはよけて、

ビューティ「おっと!」

  ビューティの手に棒状の光が。

ビューティ「ビューティ・ロッド」

  ビューティがロッドで鼠を一発

鼠「シャァァァァッ!」

  鼠は一撃で倒れ、ピクピクと体を震わせている。

  そのとき

本村の声「うわあああっ!」

ビューティ「しまった!」

  ビューティ、ロッドを手にものすごいスピードで森の中を駆け上る。


○ 森の中

ビューティ「本村君!」

  本村、里子の体に抱き着くように守って倒れているが、その背は血まみれ。

  そして手前に、やはりCB(コールドビースト)となった人間がロッドを手に。

ビューティ「人間のCB!?」

CB人間「セェッ、ゼェッ、ハァ、ハァ」

ビューティ「正気を失ってるようね…」

  ビューティ、CB人間に襲い掛かる。

  ロッドとロッドがぶつかり、激しい火花。

ビューティ「本村君がケガを……いつまでも遊んでるわけにはいかない!」

  スッ…と、右手のロッドを構えて左手を突き出した構え。

ビューティ「ビューティ・スリーパー・ウェィブ!」

  ビューティのロッドから波動が起こる。

CB人間「ウグググ…グゴゴ…」

  CB人間、膝をつく。

ビューティ(耐えながら)「早く熟睡しちゃってよ…こっちも眠くなるんだから、この技

 は!」

  CB人間、崩れて倒れる。

  そしてそのまま消滅していく。

  ビューティも膝をつき、

ビューティ「はぁ、はぁ、はぁ…」

  急に気がついたように

ビューティ「も、本村君! 大丈夫!?」

  本村、里子を抱きしめながら身を起こし

本村「な、なんとか……君の本体と、目覚めるために必要な時計(ベルクロック)は守った。」

ビューティ「でも、その背中のケガ!」

本村「ああ、これ? 敵を油断させるためのフェイクさ。」「ほら、血のり。」

  と、見せる血のりの袋。

  ビューティ、驚き呆れるが、

  ハッと気づいて

ビューティ「だったらいつまでも私の体に抱きついてんじゃないわよ、すけべジジイ!!」

  ごきっ、と頭に一発。


○ 超時研本部。

  暗い一室の奥に、ごてごてと装置のついた椅子があり、シルエット姿の人物が座っ

  ている。(教授…超時研の首領である) その斜め前のテーブルに、里子のフィギュ

  アが。

  そこへやってきた、角のついた鎧?を着込んだ悪の幹部・バルゾイド。

バルゾイド「教授閣下! 本村浩一と石川里子の捕獲に失敗しました。」

  シルエットの指がピクッ、と動く。

  そして、バルゾイドに武器を向けようとするが……。

バルゾイド「お、お待ち下さい! やつの弱点を確認しました!」

バルゾイド「CSBが戦っている間、本体は眠っていなければなりません。すなわち」

 「コールドスリーピング・ビューティをおびき出せば、本体の石川里子は無防備!」

  テーブルの上に、里子のフィギュアが。

  シルエット、しばらく考えていたが、

  おもむろに手を下ろして見せる。

バルゾイド「ハッ、教授閣下! このバルゾイドにお任せ下さい、次の作戦こそは!」

 「CBより優れたCSBの秘密を暴き、その力による世界征服を!」


○ 車の中

本村「お別れは言ってきた?」

里子(淋しそうに)「うん……」

本村「…………」(黙って見つめる。)

里子(あえて笑顔を作り、舌を出して)「…なんでパパと私と苗字が違うの? って

 友達に言われちゃった」

本村「……後悔してるの、冷凍睡眠したこと?」

里子(淋しそうに)「……少しね。」

本村「ごめん……君を蘇生させるべきじゃなかったのかも。」

里子「本村君の所為じゃないわ。40年後とはいえ、病気も治ってこうしてまた会えたん

 だし。」

本村「石川さん……」

里子「過去はもう変えられないんだから……だから、これからのことを考えよ。ね、

 『パパ』?」

  本村、溜息を吐いてから微笑んで

本村「……そうだね。」


○ 海辺の道

  車が走り去っていく。

モノローグ「コールドスリーピング・ビューティの戦いは、まだ始まったばかり!」


                            ~完


一矢春吉さん(キャラ原案+脚色+作画)のインタビュー記事

http://manganavi.jp/interview/doujin/20070823/

「眠り姫・ビューティ!!」作画日誌

http://isikawasatoko.blog13.fc2.com/

ウェブ漫画 『眠り姫・ビューティ!!』 全4話 (作画&脚色:一矢春吉)

http://mixpaper.jp/scr/book_detail.php?id=54703a9baced6

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