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ナノマシンで魔法チートな俺、政府に放り込まれてダンジョン配信することになりました  作者: 塩野さち


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第6話 エルフさんで同接爆上げ!?

 悲鳴の聞こえた場所へ飛び出すと、そこは少し開けた広間のようになっていた。

 俺とあかりは、その光景に思わず息を呑んだ。


「い、いやぁぁっ……!」


 壁際に追い詰められているのは、透き通るような金髪に、長い耳を持つ美女。

 ファンタジー映画やゲームでしか見たことのない存在――『エルフ』だ。

 そして、彼女に襲いかかろうとしているのは、豚のような醜悪な顔を持つ巨漢、オークだった。


「グオォォォッ!!」


 オークが巨大な棍棒を振り上げる。


『うおおおおおっ! エルフだ!』

『マジかよ、本物のエルフきたああああ!』

『クッソ美人www』

『ヤバいヤバい、襲われるぞ!』

『助けろ主人公!!』


 さっきまでアンチコメントばかりだった配信画面が、一瞬で興奮の渦に包まれた。


「チッ、させるかよ!」


 俺は地面を蹴った。

 ナノスウォーム、出力全開。脚力を強化し、一瞬でオークの懐へと潜り込む。


「ふんっ!!」


 オークの腹部に、ナノマシンで硬質化した拳を叩き込む。

 さらに、インパクトの瞬間に圧縮空気を開放。ゼロ距離からの衝撃波が、オークの巨体を吹き飛ばした。


 ドゴォォォォン!!


 オークは壁に激突し、白目を剥いて沈黙した。

 激しい砂煙が舞う中、俺は息を整えてエルフの女性に向き直った。


「怪我はないかい?」


 俺が手を差し伸べると、彼女は震えながらもその手を取った。


「‡‡‡‡‡‡‡‡、‡‡……」


 彼女の口から紡がれたのは、鈴を転がすような美しい響きの言葉だった。

 俺の脳内では、能力者特有の『共感能力』によって、意味が自動的に補完される。

『え、ええ。ありがとうございます、勇敢な騎士様……』と言っているようだ。


「よかった。立てる?」


「‡‡‡。(はい)」


 俺たちは自然に会話をしていた。

 だが――配信のコメント欄は別の意味でパニックになっていた。


『は?』

『何語?』

『音声バグってる?』

『主人公、なんで会話成立してんの?』

『エルフ語わからんwww』

『字幕班、仕事してくれ!』


 そう。能力を持たない一般の視聴者には、彼女の言葉がただの異国語にしか聞こえないのだ。

 マイクは音を拾えても、意味までは翻訳できない。


 その時だった。

 あかりが、ドローンのカメラに向かって一歩前に出た。


「あ、あのっ! リスナーの皆さん! アタシが通訳します!」


 あかりはおずおずと、しかし一生懸命に言葉を紡ぐ。


「彼女は今、『助けてくれてありがとう』って言ってます! えっと、それから……『あなたたちは地上の人ですか?』って……!」


 あかりの言葉に合わせて、エルフの女性がこくりと頷く。

 その瞬間、コメント欄の流れが爆発的な速さになった。


『おおおおお! 通訳助かる!』

『すげえ、リアルタイム翻訳だ』

『あかりちゃん有能!』

『エルフさんの声かわいいし、あかりちゃんも健気で可愛い』

投げ銭(スパチャ)投げとくわ!』

『¥10,000 ナイス翻訳!』


 画面の隅にある同時接続者数のカウンターが、ものすごい勢いで回り始めた。

 五百人……千人……五千人……一万人!

 数字がぐんぐん跳ね上がっていく。


「す、すごい……! 天城くん、見てください! 一万人超えましたよ!」


「マジかよ!? これならインセンティブも期待できるぞ!」


 俺とあかりが顔を見合わせて喜んでいると、エルフの女性が俺の服の裾をくいっと引っ張った。

 彼女はどこか切羽詰まった表情で、ダンジョンのさらに奥を指差した。


「‡‡‡‡、‡‡‡‡‡‡‡……」


 俺にはわかったが、あかりがすかさず視聴者に向けて翻訳する。


「えっと……『お願いです、私の住む村まで来てくれませんか? まだ仲間が危ないのです』……だそうです!」


 村だって?

 ダンジョンの中に、エルフの村があるのか?


『行こうぜ!』

『エルフの村とか激レアじゃん』

『絶対見る!』

『拡散しとくわ』


 コメント欄は完全に『行け』という流れだ。

 俺は覚悟を決めた。


「わかった。案内してくれ」


 こうして俺たちは、エルフの美女に導かれ、ダンジョンの未踏領域へと足を踏み入れることになったのだった。


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