表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第四話:ホットな話題 兼好法師の懺悔室

「兼好様、お忙しいところすみません」

聖協会の庭内で座禅を組んでいると、若い騎士がやってきた。最近、人生相談を受けることが多い。この中世の世界観に合わせ、最近リメイクした『徒然草』は現世での独特な人生観が評判になっているらしい。

「どうした?」

「実は...モンスター退治の仕事に疲れました」

騎士――クリストフと名乗った。クリストフは重いため息をついた。

「毎日毎日、スライムを倒してゴブリンを倒して...何のために戦っているのか分からなくなって」

なるほど。この世界特有の悩みだが、本質的には現代のサラリーマンと変わらない。

「王国の平和のためだとは思わないのか?」

「それは…」

まあ、国のためだとか会社のためだとかで続けるのは難しいだろう。

「クリストフ殿、君はなぜ騎士になった?」

「父が騎士でしたし、当然かと...」

「当然、か」

私は立ち上がった。

「つれづれなるままに、と前世で書いたが、君の人生も『つれづれなるまま』になっていないか?」

「前世?」

「あ、いや、昔読んだ本の話だ」

危ない。つい転生のことを言いそうになった。

「要するに、惰性で生きていないか、ということだ」

クリストフは首をかしげた。

「でも、騎士以外に何ができるか...」

「例えば」私は境内の桜を指差した。「この花を見て、何を感じる?」

「綺麗...ですね」

「その感動を、誰かに伝えたいと思わないか?」

「え?」

「詩を詠むとか、絵を描くとか、歌を作るとか」

クリストフの目が少し輝いた。

「でも、それで生活できるでしょうか?」

「この世界なら案外できるかもしれん。魔法と芸術を組み合わせれば、新しい表現方法が生まれる」

実際、これは思い付きではなく、私がこの世界に生を受けてから考えていたことだ。私は魔法が使えないが、魔法で光を操って絵を描く芸術家や、魔法で音を増幅させる吟遊詩人いたっていいではないか。というか見てみたいのだ、この世界特有の輝きとやらを。

「それに」私は続けた。「人生は短い。嫌な仕事を続けて一生を終えるより、好きなことに挑戦した方がいいんじゃないか?」

「でも、失敗したら...」

「失敗しても死にはしない。また挑戦すればいい」

クリストフは考え込んだ。

「兼好様は、どうしてそんなに自由に生きられるんですか?」

私は苦笑いした。

「前世で...いや、私は2度、やりたいことをやらずに後悔した経験があるからかな」

「前世って、よく言われますが...」

「ああ、それは...」

私は慌てて話題を変えた。

「とにかく、一度きりの人生だ。後悔しないように生きろ」

クリストフは深く頭を下げた。

「ありがとうございました。少し、考えてみます」

彼が去った後、私は再び座禅を組んだ。

転生しても、結局は人の悩みを聞いている。でも、それが私の役割なのかもしれない。前世の知識を活かして、この世界の人たちが少しでも幸せになれるなら...

「つれづれなるままに、人助けでもするか」

私は小さくつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ