表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第三話:清少納言のドキドキ♡恋愛相談室24時

「清少納言様〜!」

現在、私、清少納言がいる国はバルドゥル王国。この大陸で2番に大きな王国だ。

この国で生まれた私たち転生組3人は皆その頭脳を買われ、王国の元で働いている。私は作家稼業もしながら王族の教育係として、この城に勤めている。


振り返ると、メイド姿の少女が息を切らして駆け寄ってくる。最近、恋愛相談を持ちかけられることが多い。

「どうしたの、ソフィー?」

この子、ソフィーは小さくて可愛い私の同僚。

ソフィーはこの私が認定したうつくしきものリストの筆頭なのだ。たびたび私のエッセイに勝手に出して稼がせてもらってる。メイド姿のドジっ子属性は男受け抜群なのだ。

「実は...」

頬を赤らめるソフィーの仕草も可愛らしい。

「魔法騎士の方からお文をいただいたのですが、どうお返事したらよいか...」

「魔法騎士?あの竜退治で有名な?」

「はい!光源氏様という方で...」

私は思わず噴き出した。

「光源氏って、まさかあの『源氏物語』の?」

「え?」

「あ、いえ、なんでもありません」

どうやらこの世界にも光源氏は存在するらしい。しかも魔法騎士として。

「それで、どんなお文を?」

ソフィーは懐から手紙を取り出した。美しい文字で書かれている。

『夜半の春 君を想ひて 龍を駆く 彼の地抱きて 君へ捧げむ』

「...…なんか壮大ね」

壮大すぎて、なんだか分からないけれど、ドラゴンに乗って征服した国をささげるぜ、といったところだろうか。

前世のままの固定観念では出てこない発想ね。

…勉強になるわ。

「それで、お返事は?」

「相談というのはそのことで…なんとお返事すればいいでしょうか」

私は考え込んだ。この子の恋愛は素直に応援してあげたいけど…

どうにも光源氏という名前がひっかかる。前世で光源氏と言えば、私の宿女である紫式部の源氏物語という小説に出てくる主人公だ。なにを隠そうこの男、大の女たらしで有名である。私の知る限りソフィーの初物を、こんな男に進めていいのだろか。…いやダメだわ。この世界に到底似つかわしくない名前を持つ魔法騎士は、はたしてただ偶然の他人の空似なのだろうか。

……いや、前世でも小説の中の架空の人物な訳で、本物の光源氏なわけないか。いやあ急にこの世界で宿敵の関係者の名前が出て動揺したぜ!

そうだよ、私のお気に入りのソフィーの恋よ。応援しないわけにいかないでしょ。

切り替えた私は前世の知識と、この世界の常識を組み合わせて考える。

「…こう書いたらどう?『空を飛ぶのも素敵ですが、たまには地上でお花見はいかがでしょう』」

「地上で?」

「魔法騎士って、空ばかり飛んでて疲れるんでしょ?たまには普通の夜這、いやデートもいいんじゃない?」

「デート?」

「あ、えーっと、お忍びでお出かけ、ということです」

ソフィーは目を輝かせた。

「なるほど!さすが清少納言様!」

「それに」私は付け加えた。「手料理でも作ってあげなさい。男性は意外と家庭的な女性に弱いものよ」

「手料理...でも私、料理は...」

「大丈夫。私が教えてあげる。『清少納言流・男性の胃袋をつかむレシピ』」

前世の知識と魔法を組み合わせれば、きっと美味しい料理ができるはず。

「本当ですか?」

「任せて。ただし...」

私は人差し指を立てた。

「恋愛成就の暁には、私の『枕草子改訂版』の感想文を書いてもらうからね」

「はい!喜んで!」

藤子は嬉しそうに駆けていった。

私は一人になった廊下で、春の風を感じながらつぶやいた。

「転生しても、女性の悩みは変わらないのね」

でも、それがまた面白い。前世の経験を活かして、この世界の人たちを幸せにできるなら、転生した甲斐もあるというものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ