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第一話:春はあけぼの、だが問題は山積み

「おい、清少納言。また変なこと書いてるだろう」

私が教会で筆を走らせていると、後ろから声が聞こえてきた。兼好法師である。前世の記憶を持つ転生者同士、なぜか隣り合わせで生まれ直してしまった奇妙な縁だ。

「変って何よ。春の美しさを書いているだけじゃない」

「『春はあけぼの。ただし蚊が多すぎて風流も台無し。虫除けスキルが欲しい』って書いてあるじゃないか」

うっ。確かに前世の知識で、つい現実的なことを書いてしまった。

「でも事実でしょう?この世界、蚊取り火なんてないんだから」

兼好はため息をついた。彼も転生者だけあって、現代の便利さを恋しがることがある。

「まあ、それはそうだが...。君の『枕草子2.0』、城の侍女たちに読ませて大丈夫なのか?」

私は振り返って笑った。

「大丈夫よ。むしろウケてる。『虫除けの術』について真剣に相談されたりして」

実際、この世界では魔法、スキルが存在する。前世の知識と組み合わせれば、意外と革新的なアイデアが生まれるのだ。

「それにしても」兼好法師が腰を下ろす。「この世界、前世より複雑だな。魔法はあるし、モンスターは出るし」

「でも基本的な人間関係は変わらないのよね。貴族の派閥争いとか、恋愛事情とか」

そう言いながら、私は筆を置いた。春の陽射しが暖かくて、少し眠くなってきた。

「ねえ、兼好。あなたの『徒然草異世界編』はどう?」

「順調だよ。『つれづれなるままに、魔法の修行でもしてみるか』って感じで」

私たちは笑い合った。転生しても、結局は文章を書いている。それが私たちの性分なのだろう。


あぁこの世界にも素敵な殿方はいるのだろうか。

中世日本の古典文学をなろう系風にアレンジした短編集を作成しました。清少納言、兼好法師、鴨長明の三人が転生者の器として現代の知識や感性も持ちながら中世ファンタジー世界で活動する設定にしています。

古臭さをできるだけ避け、原典の美意識などはできるだけ残したいと考えています。

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