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短編小説

どうか私を連れ去って。

作者: 雨宮雨霧
掲載日:2024/09/10

青春時代。

あの頃はとても楽しかったね。

君の写真にそう話しかける。

どれだけ泣いても笑っても。

あの頃はもう二度と戻ってこない。


久しぶりに夢を見た。

あの時と変わらない笑顔の君を。

元気かな。

メールを打つ手。

走らせては止まってしまう。


会社に行かなきゃ。

早く行かなきゃ遅れてしまう。

君の写真に手を合わせる。

「行ってきます。今日もよろしくね。」

そう言い残して。


響き渡る踏切の音。

聞くたびに君の顔が目に浮かんでしまう。

顔を叩いて、前を向く。

君に情けない姿見せることはできないから。

大丈夫。私は生きている。


昼休憩。

君が好きだった甘いココアを自販機で買った。

プルタブを開けて口をつける。

君の温かい手が恋しいな。

それにしても甘いや。


仕事は失敗できない。

失敗して怒られるのもう疲れた。

これ以上頑張っても。

きっと意味はない。

それでも頑張らないといけない。


今日も一日お疲れ様。

家に帰って君の写真に手を合わせる。

生きてるよ、頑張ってるよ。

大丈夫。安心してね。

涙なんて見せないから。


既読のつかないメールたち。

それでも私は送り続ける。

もしかしたら既読になるかもしれない。

もしかしたら返信が来るかもしれない。

そう思うとずっとメールを書いている。


また朝が来る。

憂鬱だけど今日も頑張るよ。


しんどくないよ、楽しいから大丈夫。

大丈夫って無責任な言葉だよね。

君はいつも大丈夫って言っていたな。


今日も響き渡る踏切の音。

動けないまま時間が過ぎる。

君の顔、声、全部そこにある。

なんで、どうして。ここにいるの。

なんでそこに立っているの。


手を引かれた。

「こっちにおいで。」

君の声が聞こえる。

夢じゃない。君はここにいる。

生きている。


「抱きしめたら辛いの全部吹っ飛んじゃうからね。」

笑顔で君は言う。

抱きしめられた瞬間、何もかもが吹っ飛んでいった。

これからはずっと一緒に居られるよね?

君に問う。


「おつかれさま。ずっと一緒に居ようね。」

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