わたしの話9
「直美の家って家族写真多いよね。」
みんなで食事を美麻が言った。
「うちも写真撮ってはいるだろうけど飾ってはないからなぁ…。ねぇ他の写真とかないの?」
「俺も見て見たいな。」
「どこにあるかわからないなぁ…そういうのは春ちゃんが持ってたと思うから。」
春ちゃんがいなくなってから宗ちゃんと春ちゃんの部屋には掃除以外入っていない。
「きっとクローゼットとかに入ってると思うけど…」
「よしっじゃあ探しに行ってみよー!」
美麻はそう言って私の手を掴み、部屋へ向かった。
部屋を開け、クローゼットも開けて探し始める美麻。
私はどうしていいか立ちすくんでいた。
洗い物が終わった恵吾が部屋に来て
「美麻!買ってに探っちゃダメだよ!こんな荒らして…」
と美麻を注意していたがそんなことお構いなしにクローゼットの中を探していた。
「ちゃんと片付けるから。ここじゃ無いのかなぁ。…あっなんか箱があったよ。」
クローゼットからダンボール箱を出してきた。
「直美。開けてみていい?」
「ここまで勝手に探しておきながら。開けていいよ。」
自分で開ける勇気もなかったので美麻に開けてもらえて良かった。
「おっ!これアルバムじゃない?この赤ちゃん直美でしょ?」
そこには赤ちゃんを宗ちゃん、春ちゃん2人で抱きしめている写真があった。
「こんなの私初めて見たかも。」
赤ちゃんから私が就職内定したときまでの写真がアルバムの中にあった。
写真と一緒に春ちゃんのコメントが書いてあった。
―こんなに可愛い赤ちゃんが僕たちの元に来てくれた。
―宗ちゃん休みをとって育児をしている。…2人でやってもヘトヘトだ。けど直美の笑顔に癒される。
―洋子さんと娘の美麻ちゃん。洋子さんいつも助けてくれてありがとう。
「私とママも写真に写ってるー!ママ若っ。」
「見てこれ俺たち3人の写真もある。高校の卒業式も。」
―直美もついに高校卒業。しっかりしてきたけど、もう少し子供でいて欲しいな。
―大学入学。宗太にお互いそろそろ子離れの練習しようと言われた。直美!子離れしてもいつでも応援してるよ。
「…春ちゃんこれ若干日記になってるよ…」
アルバムを見ながら突然涙が出てきた。
「直美大丈夫?辛いなら片付け…」
「恵吾、大丈夫だから。春ちゃん…こんなアルバムあるんだったらもっと前に見せて欲しかったなぁ。」
春ちゃんがいなくなって、宗ちゃんと春ちゃんについて何も知らないことに気づいた。
どんな家に住んでいたとか、2人の親は今何しているのか、なにも知らなかったから春ちゃんを探す事ができなかった。
「そうだ!宗ちゃんと春ちゃんのアルバム。私が生まれる前のやつ。その中に無い?」
少しでも今春ちゃんがいる場所のヒントになればと思った。
「これかなぁ。なんか2人の写真多いよ。他にも人写ってるけど…」
美麻は1冊のアルバムを手渡してきた。
今までの事、これからのこと。
やっぱり春ちゃんと話したい。
もしかして会いたくないかもしれないけど。
私は会いたいよ…春ちゃん。