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言えない2 美味しい食事と締め切り

「正幸の料理は相変わらず美味しいねぇ」


「そうよね。私もそこそこのレベルはあると思うんだけど、流石にこれには負けるわ」


「……おいし」


3人はそれぞれ食事をしながら感想を言ってくれる。普段は眠たそうな顔をしている津久美も。食事の時は顔が輝いているぞ。こいつ、幾つかの場面で人が変わったような表情になるんだよなぁ。


「そうですか?そう言って貰えると俺としても嬉しいです」


俺はお礼を言っておく。だが、それを聞いた3人は不満そうにして、


「むぅ。話し方、相変わらず変わんないね」

「素の話し方をしてくれれば良いのに」

「……髪も、夜の方が格好良い」


などと不平を述べてくる。俺の素を知っているからこそ、表と変わらない俺を見せることが不満なようだ。

とはいえ、この3人にも長いことこの話し方をしている。


「勘弁して下さいよ。一人称を「俺」に変えただけでも大きな変化なんですから」


俺の一人称は、普段は僕を使っている。が、3人から素を出してほしと強い希望が述べられ、3人の前では一人称を変えたのだ。それだけでも俺にとっては大きな違いだ。


「やっぱりアレはベッドの上だけの特別かぁ~」

「くっ。最近忙しくて相手して貰えないのよねぇ」

「……次のオリ曲出したら押し倒す」


3人はそう言って、それぞれため息をついたり気合いを入れたり。

そう。この話から分かるかもしれないが、3人とはそういうこともする関係だ。とはいえ忙しい3人なので、何か大きな仕事が終わった後にだけ相手をする形になっている。

それでも充分3人とも美人だし、役得ではあるぞ。


「はいはい。皆さんお仕事頑張って下さいね」


「「「はぁい」」」


そこまでやる気は感じないが、しっかりとした返事は返ってくる。頑張って欲しいところだ。

そして、そのためなのか、


「くるみちゃ~ん。顔の可愛く見える角度とか教えてぇ」


「津久美さん。動画で映る顔の角度とか教えてもらって良いかしら?配信者の人のメイクはドラマ用のと変えた方が良いみたいなんだけど」


「……舞。人気キャラ教えて。コスプレする」


それぞれアドバイスを求め合った。人気者達がまた成長して更に人気を加速させそうである。こういう勉強を欠かさない姿って良いよな。俺も聞いたことを趣味の活動の参考にさせてもらおう。


「じゃあ、私はこの辺でぇ」

「私も失礼するわ」

「……帰る」


その後、わいわいと騒いで夕食を食べた俺たち。仕事があるということで、それぞれまた帰って行った。暇なときとかは飲んだくれてるんだが、本当に忙しみたいだな。

俺は食器を洗って片付け、また趣味部屋へ向かう。そしてメッセージを確認し、


『A出版社:3巻の表紙をお願いします』


そんなタイトルのメッセージが来ていた。俺は内容を読み、OKだと返信する。それから始める、イラストメイキング。

実は俺も、家族にしか知られていないが漫画家なんだよな。舞とも実は何度か同じ出版社で連載したこともあるし、ネットの繋がりであいつの背景を手伝ったこともある。

ただ、そんなことを絶対に言うことはできない。俺は残念ながら、普通の漫画家ではないのだから……。


「……あぁ!!!!終わらないぃぃぃぃ!!!!!」


数日後。

舞が荒れていた。食事中なのだが、片手にはペンが握られていて、その下には液タブ、そして彼女の前にはモニターが。

お仕事が終わらないようだ。


「それでも一緒に御飯は食べるのね」


「……おにぎり。おいし」


作業しながらでも食べられるように本日はおにぎりである。俺たちもおにぎりをもしゃもしゃと食べていた。……もしゃもしゃって表現するとあまり美味しそうではないかもしれないが、ちゃんと時間をかけて作っていて美味しいからな?種類も鮭と昆布だけでなく、チーズを混ぜたり野菜を混ぜたりして栄養バランスにも気を遣ってるし、ボロボロと崩れないように工夫もしているし。


「流石に6作品同時に勧めるのはきついぃぃぃぃ!!!!」


「「当たり」」


くるみと津久美はツッコミを入れて、俺は苦笑いを浮かべる。6作品なんて同時並行してたらそれは大変に決まってるよな。

1作品だけでも辛いというのに。逆に複数作品描けている方が化け物なのだ。


「締め切りに間に合わないいぃぃぃ!!!!」


「締め切りいつなんですか?」


叫ぶ舞に俺は尋ねてみる。すると舞は目線はモニターに向けながら、


「今日までだよぉぉぉぉ!!!!!!!!」


「……後どれくらいあるんですか?」


「後2作品残ってて、描いたやつも背景が終わってないぃぃぃ!!!!!」


「「「…………」」」


俺たちは思った。

無理じゃね?と。

今日2作品描いて、背景を描くことが出来ると思うだろうか?勿論答えは否。無理に決まっているだろう。


「……はぁ。分かりました。背景だけ俺手伝います」

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