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第186話 元S級ハンター、魔族の正体を知る

☆★☆★ 2月発売新刊 ☆★☆★


本編前に宣伝失礼します。

延野原作の『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる』の単行本7巻が来週2月8日に発売されます。

こちらも是非よろしくお願いします(公式リンクは後書き下にて)。


挿絵(By みてみん)

竜虎咆哮斬(レーバテイン)】!!



 炎と雷が溶け合う。

 直後、竜虎の咆哮もかくやと轟音が鳴り響いた。

 十文字に切り裂かれたのは異形の者――魔族だ。


「グオオオオオオオオオオオオ!!」


 炎と雷から生まれる強烈な痛みに、さしもの魔族も悲鳴を上げる。

 炎は皮膚を焼き、雷は神経を刺激し、痛みを増幅させた。俺が編み出したこの『戦技(スキル)』は単に斬るだけのものじゃない。相手に徹底的に痛みを()いるための技でもあるのだ。


 罪人を苦しめる拷問に特化した『戦技(スキル)』とも言える。


 シエルたちから離れ、ついに魔族と1対1となった俺は、一息入れる間もなく奥の手を繰り出した。


 相手は魔族である。

 最初から全力でなければこちらがやられる。奥の手を隠しておく余裕は俺にはなく、【炮剣】を握って、最大の火力で魔族を切り裂いた。


 そもそも【竜虎咆哮斬(レーバテイン)】は、師匠亡き後、対魔族用に生み出した技術である。今、使わない手はない。 本来一撃入れれば、たとえSランクの魔物でも裸足で逃げていく威力を持つ。しかし、魔族はその場にいた。炎と雷に焼かれた肉体はすでに再生が始まっている。


 動きが止まったところを俺は逃さない。


竜虎咆哮斬(レーバテイン)】!


 再び炎と雷が魔族を襲う。


 出し惜しみをしている場合ではない。

 再生するなら、その再生以上の火力で燃やし尽くすだけだ。


「俺が今まで抱いた痛みのすべてをお前にぶつけるぞ、魔族」


 久方ぶりに忘れていた火のような殺気が俺の背筋を通って剣に伝播する。

 家族を持ち、守るものができて、ゼレット・ヴィンターは変わった。


 正直戸惑う部分もあった。

 本当にいいのか、それで……。

 あの時燃やした復讐の炎を絶やしていいのか、と。

 でも、シエルが生まれた時、その火は心のどこかに隠れた(ヽヽヽ)

 そう。消えたわけではない。隠れていたのだ。


 そして、今魔族が俺の前に現れた。


 それも大事な家族がいる目の前でだ。


 師匠を失った悲しみ。

 魔族を恨んだ憎しみ。


 それが一気に転化し、そして俺は元のゼレット・マタラ(ヽヽヽ)・ヴィンターに戻ることができた。


 S級ハンターと言われた時のゼレットに……。


「俺は絶対お前たちを駆逐する。お前たちが何かを企んでいるなら、それも絶対にぶっつぶす。そしてお前はここで絶対に……」



 仕留める(ヽヽヽヽ)!!



 3度目の【竜虎咆哮斬(レーバテイン)】を魔族にぶつける。

 心なしか魔族の再生能力が落ちてきているような気がする。いや希望的観測ではない。着実に落ちてきている。


 俺が調べた上では、魔族の再生能力は魔力に依存する。単純に説明するなら、あれは魔力を使った自動回復なのだ。


 魔族の魔力量は人族やエルフ族よりも高い。かといって、無尽蔵というわけではない。魔力が尽きれば、再生は叶わなくなる。皮膚を剥げば、核の場所がわかる。

 核を見つければ、俺の勝ちだ。


「もう1度……」


 4度目の【竜虎咆哮斬(レーバテイン)】を繰り出そうとする。しかし、気が付けば膝をついていた。


「なんだ?」


 力が入らない。

 手足が痺れる。

 ボンズの毒が残っていた?

 いや、あり得ない。ボンズは気を失い、その毒の効力もなくなった。


 ならば魔族?

 しかし、そんな素振りはなかった。

 ただあいつは俺の拷問を受けていただけなのだから。


 俺が見逃している情報が何かあるはず……。


 すると、頭によぎった可能性を確認するべく俺は後ろを振り返った。


 そこには山が聳えている。

 言わずもがなエシャランド島の象徴とも言えるエシャラ火山だ。


 俺は慌ててコートの中からマスクを取り出す。


「正体は火山性のガスか」


 今いる場所は森の中だが、おそらく森のどこかで微かにガスが漏れているのだろう。

 よく見ると、枯れている樹木も存在する。風の方向などによって、森の中でガスが滞留しているのだろう。


(……あまり時間はなさそうだな)


 ならば今一度最大限の火力を以て……。


 俺は二振りの【炮剣】を構える。

 幸い魔族は何も動いていない。雷属性の『魔法(ルーン)』によって神経が過敏になり、歩くことすら困難なはずだ。


「待っていろ。今ここで」


 俺が飛びかかった直後だった。

 突然、魔族の肉体が弾ける。死んだかと思ったが、そうではない。魔族の中にいた何かが膨張し、膨れ上がったのだ。


 肉と血を辺りにまき散らす。


 中から現れたのは、手だ。

 続いて、頭、首、そして下半身が露わになる。それも真っ黒な肉体が……である。


「お前、よくもやってくれたじゃねぇか。スーツがボロボロだぜ」


 と言ったのは、人間だ。しかし、その姿は異様だった。闇を纏ったような黒い肌に、長くハリネズミような黒髪。そこに黒目と白目が逆転した蛇のような瞳。何より立ち上る殺気と威圧感は、俺が知る何よりも大きい。


 そう。あのシェリル・マタラ・ヴィンターよりも……。


「スーツ?」


「お前が着ているダサい黒コートと同じだよ。あれを着てないと、こっちでは1時間ぐらいしか活動できないからな」


「なるほど。貴様が純魔族というヤツか……」


 ランクにすれば、SSSランク。


 魔族の中の支配階級的な存在。


 それが純魔族である。


「へぇ~。オレたちを知っているのか?」


「シェリル・マタラ・ヴィンターという名前に聞き覚えはないな」


 純魔族が少し考えてから。


「知らないな」


「そうか。知らないか。ならば思い出すまで。お前を痛めつけるだけだ」


 第2ラウンド。


 相手は純魔族。


 俺は未知の領域に突入しようとしていた。


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表紙などは近日中にアップされます。お見逃しなく!

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