表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

162/222

第160話 元S級ハンター、釣り上げる?

☆★☆★ おいしい料理作品のご案内 ☆★☆★

HxSTOON (へクストゥーン)より「ごはんですよ、フェンリルさん」というお話の原作を書かせていただきました。

おいしいご飯を作って、フェンリルさんをモフろうというお話になりますw

WEBTOON作品ですが、カラーも入って、めちゃくちゃ料理がうまそうに見えますので、

是非ご賞味ください。


配信日は5月23日より。

HykeComicサイト内で連載開始です。

宣伝失礼しました(詳しいあらすじは後書きにて)


挿絵(By みてみん)

 氷漬けにしたダブルランサーを3日熟成させる。

 ギルドマスター曰く、魚もきちんとした下処理をして、熟成させて食べるのがいいそうだ。特に白身魚は絶品らしい。逆に青魚などは腐ってしまうこともあるので、すぐに食べた方がいいという。


 さてダブルランサーはどうかというと、どちらかというと白身魚に近い性質を持っているようだ。

 大事なのは血抜き。時間を置いて、魔力を抜き、氷締めによって鮮度を保つ。

 そうすることによって、興奮したダブルランサーでもおいしく食べられるらしい。


 海の中にいる魔物を興奮させずに仕留めるのは難しいが、俺には造作もないことだ。


「これぐらいか……」



 ドンッ! ドンッ!!



 【砲剣】が2度唸る。

 一瞬にして装填された弾丸は海の中に消えた。しばらく何も起こらなかったが、やがて海面に浮き上がってきたのは、2匹のダブルランサーだった。


「……え?」


 オリヴィアは目を丸くする。

 ギルドマスターはお手上げというばかりに、肩を竦めた。


 2匹のダブルランサーは水夫たちによって引き上げられる。

 甲板に3匹目のダブルランサーが転がる。


 1度目は暴れ回ったダブルランサーだが、ピクリともしない。

 ただ頭の辺りに、丸い穴がポッカリと空いていた。


 見ていた客たちは困惑している。


「さすがゼレットくぅんだけど……」


「あははは……。お客さんが引いてますね」


「仕方ないですわ。普通【砲剣】で魔物とはいえ、海中にいる魚を仕留めたりしないですからねぇ」


 ギルドマスター、オリヴィアが苦笑いを浮かべる。ラフィナも首を振っていた。

 三つ首ワイバーンを仕留めた時を思い出すな。俺はこれといって、凄いことをしてるわけではないのだが……。


 水中の魔物と、水中で戦うのは自殺行為。

 釣ることも難しい、網なんて食いちぎってしまう。海面に出てきた所を銛などで攻撃するか、『魔法(ルーン)』による遠距離攻撃するしかない。


 だが、総じて水中の魔物は移動が早い。

 上記の攻撃を当てるのは難しい。


 そういう意味では、弾速が速く、威力もある【砲剣】は理に叶っているのだ。

 実際、以前リヴァイアサンを仕留めた時は、陸からの【砲剣】による狙撃が決め手となったしな。


 パメラは俺が仕留めたダブルランサーをキュールとともに捌く。

 巨大魚の中骨に沿って、身を開いた。

 桜色の綺麗な身が露わになる。


 おお、と野次馬たちは驚いている。

 普通は魔物の血は青なのだそうだが、これは普通の鮮魚の色と変わらない。

 興奮する前に俺が仕留めたから、血に魔力が混じっていないのだ。


「ちょっと……。ゼレットぉ。わたしが血抜きした意味がないじゃない」


「俺は早くダブルランサーを食べたいというから仕留めただけだ」


 パメラが解体し、氷締めしたダブルランサーは熟成に3日かかるというと、落胆の声が上がった。

 特に釣り上げたプリムは縄張り争いする猫みたいに「ふー!」と抗議し、リルとともに食べさせろと訴える。

 いくら言っても聞かないので、仕方なく俺がダブルランサーを追加で仕留めたのである。


 そもそも俺たちは目立ち過ぎた。

 これで俺たちだけがダブルランサーを食そうものなら、さすがに嫉妬の視線を浴びることになるだろう。

 ラフィナが買い上げることもあって、俺がもう2匹、他の客用に追加したのである。


「師匠、ありがとう!」


『ワァウ!』


 プリムは俺の胸ではなく、思いっきり跳躍して俺の頭に飛び込んで来る。いーこいーこ、とばかりに頭を撫でた。重い。やめろ。

 馬鹿弟子はともかく、リルも喜んでいるようだ。

 まあ、今回はバカンスだからな。

 たまにこいつらを労うのも悪くないだろう。旅行もタダだしな。


「氷締めしたのは、このまま熟成させるとして、これはどうしようかしら」


「うーん。やっぱり鮮魚といえば、あれじゃな~い?」


 迷っているパメラの背中を押すように、ギルドマスターは妻の肩を叩いた。


「そうね。やっぱりあれにしちゃおう」


 思ったがなんとやらだ。

 早速、俺の妻は精霊とともに動き出す。


 パメラが下ろしたダブルランサーを切り分け、客船の料理人に渡す。さすがは船の中の料理人だ。手早く一口サイズに切っていく。


「これは……」

「すげぇなあ。これが魔物の身か」

「スルスルと包丁が入っていくぞ」


 ダブルランサーの身の締まり方に、初めて魔物の身に触れた料理人たちは驚く。

 切っているのを見ているだけで、身の弾力が伝わってくる。リルやプリムが唾を飲み込む気持ちが少しわかる気がした。


 最後にギルドマスターが軽く聖水をかけ、ダブルランサーの身を清め、布で水分を拭き取る。これは食中毒対策だ。


「できました」



 ダブルランサーのお刺身です!



 波模様がついた磨り硝子の器に、玉葱がレタスといった大量の野菜。中に宝物のように脂ののった身を光らせていたのは、ダブルランサーのお刺身だった。


「まるで宝石……。いえ、美の女神の誕生を見ているようですわ」


 ラフィナはうっとりと呟く。

 俺も大きく頷いた。盛りつけの仕方、多くの生命を育んだ海という場所だからだろう。出来上がったお刺身は、何かが生まれた瞬間を想起させる。


 俺は思わず唾を呑む。俺だけではない。他の乗客たちもまた頻りにのど仏を動かしていた。

 中には魔物の身が珍しいと思う者もいるだろう。だけど、大半の人間がその美しさに魅入られるように固まっていた。


 先陣を切って食べていたのは、プリムとリルである。

 この2人にとって、その場の空気など関係ない。おいしいものを前にして、選択肢は2つである。


 即ち『食べるか』『黙って食べるか』だ。


「おいしい! おいしいよ、師匠!」

『ワァウ!』


 唇についたダブルランサーの身の一片をペロリと舐め取り、プリムはキラキラお目々をこちらに向ける。


 プリムを見ていると、空気を読むのが馬鹿らしくなってくる。

 何度もいうが、今日は狩りでもなければ、家族サービスというわけでもない。

 俺も大いにはっちゃけるとするか。


 箸を持ち、身を摘まむ。

 たったそれだけの日常所作だったが、思わず固まった。


「おも……」


 見た目以上に身が重い。

 それだけ詰まっているということに他ならないが、相変わらず魔物食は食べる前から驚かせてくれる。


 用意されていたのは、魚醤、塩、橄欖油(オリーブ・オイル)である。


 まずは塩を選択し、俺はそろりと身を口元に持っていく。

 パクリと一気に食べた。何の恐れもないのは、魔物食になれたからではない。とにかく食欲が抑えられなかったのだ。


 一噛み、二噛み、さらに三噛み……。


 俺はダブルランサーの身を味わう。


 …………。


「うめぇ……」


「ごはんですよ、フェンリルさん」あらすじ


動物好きOL・伊万里サチはある日異世界へ転生してしまう。

これが噂の異世界転生! 

聖女になってイケメン王子と結婚か……と妄想を膨らますサチだったが、告げられたのは、自分が魔王のいけにえだということ!

今から自分を食べるこわ~い魔王様とご対面…と思ったら、魔王・フェンリルはなんとモフモフのおっきなワンちゃん!

 

サチはたまらずそのふかふかな体毛をモフモフしてしまい、さぞや魔王もお怒り…と思いきや、なぜかぐったり。


100年以上何も食べておらず衰弱しているのだという。


見かねたサチは、祖母譲りの知識と腕前で異世界の素材を使い絶品雑炊をふるまう。

それをペロッと平らげたフェンリルに、自分の「ごはん係」になるよう命じられたサチ。


そしてサチは、ごはんを作るごとに一回「モフる」、一日一膳ならぬ「一膳一モフ」を条件に、フェンリルのごはん係に就任するのだった。


──さて、今日のフェンリルさんの献立、何にしよう!




……なんだ、いつもの延野かと笑っていただければ幸いです。

配信日は5月23日になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最新作です!
↓※タイトルをクリックすると、ページに飛ぶことが出来ます↓
役立たずと言われた王子、最強のもふもふ国家を再建する~ハズレスキル【料理】のレシピは実は万能でした~

コミカライズ9巻1月8日発売です!
↓※タイトルをクリックすると、販売ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる⑨』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『アラフォー冒険者、伝説になる』コミックス8巻 11月12日発売!
50万部突破! 最強娘に強化された最強パパの成り上がりの詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



『魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する』
コミックス最終巻10月25日発売
↓↓表紙をクリックすると、Amazonに行けます↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



シリーズ大重版中! 第5巻が10月18日発売!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』単行本5巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


9月12発売発売! オリジナル漫画原作『おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました』単行本2巻発売!
引退したおっさん勇者の幸せスローライフ続編!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



6月25日!ブレイブ文庫様より発売です!!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~』第1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


6月14日!サーガフォレスト様より発売です!!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『ハズレスキル『おもいだす』で記憶を取り戻した大賢者~現代知識と最強魔法の融合で、異世界を無双する~』第1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『劣等職の最強賢者』コミックス5巻 5月17日発売!
飽くなき強さを追い求める男の、異世界バトルファンタジーついにフィナーレ!詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large






好評発売中! 全編書き下ろしですよ~。
↓※タイトルをクリックすると、カドカワBOOKS公式ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる2』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large

小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ