大魔王の配下はブラック企業の社長を異世界召喚する 〜サラリーマンを奴隷の様に扱う男に本物の奴隷や農民をコントロールする力を与えたら世界は闇に向かって……ってあれ!? 思ってたのと違う!〜
なろうラジオ大賞2第二十五弾。今回は『大魔王』『ブラック企業』『サラリーマン』『農民』『コントロール』と五光が揃いました! ここでこいこいする人は紛れもなくギャンブラー。
過積載に喘ぐ姿をお楽しみください。
くそ、神々め。異世界から強力な人間をぽんぽん呼びおって……。見ておれ。我々悪魔も凶悪な人間を召喚し、闇を広げてやる!
「ここが人間界か。どれ早速」
この片眼鏡を通して見ると、人間の悪魔力が分かる。
「悪魔力… たったの五か… 良い奴め…」
こんなの呼んだら無双して国を救ってハーレム一直線だ。
「他には……、悪魔力五十三万!? こいつだ!」
私はその男に声をかけた。
「成程、異世界の悪魔か。通りで表には知られていない筈の裏の顔に気づく訳だ」
「理解が早くて助かる」
「で、異世界に行くメリットは?」
「貴方は社員を奴隷扱いしている様だが、異世界なら本物の奴隷を存分に扱える。その手腕で異世界を闇に染めて欲しい」
「面白い。ただし見知らぬ世界だ。何らかのフォローはあるのだろうな」
「勿論。言語理解、身体強化、人の心をコントロール出来るスキルに加えて当座の資金も付けよう」
「十分だ。では行こう」
私は男を転送した。
さて、三ヶ月。闇はどれ位広がったかな……。
「は!?」
私は慌てて転移した。
「おぉ、デカい会社作ってる……」
男は真面目にやっているようだ。なら何故!
「久し振りだな」
「悪魔か。感謝するぞ。ここの生活はかつての何倍も刺激的だ」
「それは良い。だが闇の力が減ってるのは何故だ!?」
「そうなのか? 私は存分に悪どくやって来たが」
「例えば?」
「奴隷は契約で縛る為文字を教え、業務拡大の為に仕事後に技能研修を強制し、最低限の賃金で働かせている」
奴隷に教育!? 賃金!?
「農民は収穫量に応じて報酬を増額したら、笑える程必死に働いている。やる程費用対効果は悪くなる額なのにな」
報酬!? 徴収ではなく!?
「借金に喘ぐ町民に低利息で貸し付け完済させ、他の金貸しを潰した。これで寄る辺は私だけ。生活ぎりぎりまで搾り取ってやる」
破産させないんだ!
「あの!」
「何だ?」
「心をコントロールするスキルは?」
「使ってない」
「何で!? 使えばもっと楽にやれるでしょ!?」
「馬鹿かお前。世の理不尽を憎む心が、生活や家族の為に膝を折るから楽しいのではないか。無条件の隷属など何の価値もない」
悪魔力の使い方が高度過ぎる! 本人は嬲ってるつもりだろうけど、明日をも知れぬこの世界の住人には救世主だ! 通りで闇の力が減る訳だよ!
「!」
大魔王様の『即刻帰還せよ』の直電……! 超怒ってる……!
私、色んな意味で首が飛ぶかも……。あぁ、素人が異世界召喚なんかに手を出すんじゃなかった……。
読了ありがとうございました。
五題話、何とか走り切りました。これ最終回にした方が良いのかな……。
でもまだ期限までは時間があるのです! 1%でも音読して貰える可能性を高める為に、私は明日も書くのです! 多分!
また次回作でお会いしましょう。次はもうちょい楽なの書こう……。