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プロローグ
そして、彼女は永い眠りから目を覚ました。
依り代の情報によれば、時は昭和。
徳川家の封印も既に薄れ、日本の中枢は隙だらけ。
スキルキャンセラーさえ排除すれば危なげなく進めるだろう。
計画を勧めなくてはならない。
手駒を集めなくてはならない。
そのための苦労を彼女は厭わない。
何故なら、もう一度支配者に返り咲かねばならないからだ。
異世界とのゲートを使い、日本を支配する。
その、ゲートを開くという作業が中々に困難だ。
いや、簡単だろう。
要は、中枢を握ればいい。
それを防ぐための封印は今も数百年の時間の流れのうちに薄れている。
だから、自分は目覚めた。
始めよう。
どれだけの血の海を作ろうとも。
どれだけの死体を作ろうとも。
その上に自分は乗って、歩き出そう。
そう、彼女は決めた。
いや、今の依り代に憑依した時からそのつもりだったのだ。
まずは暗躍すること。
彼女は歩き始めた。