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Nothing But Requiem  作者: Nothing But Requiem
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エピローグ 『セーラー服と少女』

最愛の人を失い、絶望と怒りの中で少女は悪魔と出会う。

悪魔は魔銃『ブルトガング』を渡し、「望むなら叶えなきゃ」と囁いた。

少女は全てを失い、代わりに絶対的な暴力を手に入れた──。

暴力と理不尽が溢れ返る世界で、少女は今日も銃声をかき鳴らす。

愛する人と再び出会う為に。

エピローグ 『セーラー服と少女』



 電車を待つ人込みを嫌い、少女はホームの片隅で空を仰ぎ見た。

 柔らかな光を放つ下弦の月。

 とても美しいこの月を人々が気に留める事は無い。

 誰も彼もが手元で光る薄い画面の機械にご執心だった。

 だから、少女が「あっ!」と驚愕の声を上げた時、人々はまず少女を見た。次に少女の視線を追いかけると、線路の先にある斜張橋……その鉄塔の上に人影が見える。

「自殺か!?」

 人々は口々に叫ぶと、撮影機能が内蔵された機械のカメラを向ける。それはまるで、もの珍しい光景を目前にした観光客の様だった。

 しかし……。

 一人、少女は駆け出していた。

 人々のざわめきを背に、『立ち入り禁止』と書かれた看板を無視してフェンスを乗り越える。

 少女は線路沿いを全力で走り、一直線に斜張橋を目指した。

 ──助けなきゃ!!

 少女は使命感にも似た気持ちで駆ける。

 何故なら、少女は一度、飛び降り自殺を目撃していたからだ。

 幾何学的に並んだ街灯の光の列が少女の行く手を照らしだしていた。


 栗色の髪、紺色のスカート、裾や胸のリボンが風に揺れている。

 ライトアップされた巨大な鉄塔の上から、アリオは眼下に広がる街並みを見下ろしていた。

 高くそびえ、ひしめき合うビル。行き交う鉄の車や、溢れ返る色とりどりの光がこの街の文明の高さを物語っている。

 しかし……。

 飽和した文明と技術は人々の傲慢と慢心を招いていた。

 アリオは嫌悪感に包まれ、眉をひそめた。

 ──セーレが居なくても解る……この街にも渦巻く黒いオーラが存在する。

 アリオは榛色の瞳を閉じると、ゆっくりと身体を傾けた。

「アリアお姉さま……今、行きますわ」

 そう呟いた次の瞬間。

 ふわり……と、アリオの小さな身体が宙に舞った。



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