プロローグ 『始まりの葬列』
最愛の人を失い、絶望と怒りの中で少女は悪魔と出会う。
悪魔は魔銃『ブルトガング』を渡し、「望むなら叶えなきゃ」と囁いた。
少女は全てを失い、代わりに絶対的な暴力を手に入れた──。
暴力と理不尽が溢れ返る世界で、少女は今日も銃声をかき鳴らす。
愛する人と再び出会う為に。
プロローグ 『始まりの葬列』
世界の果てで鎮魂の鐘が響く。
地平線の彼方まで伸びる生気を失った葬送の列。
その最前には黒のゴシック様式の服装に身を包んだ少女が黒の日傘をさして立っている。
背筋をぴんと伸ばし、凛とした美少女……だが、その榛色の瞳は他の人と同様に虚ろだった。
今、少女の目の前には小さな棺と巨大な機械時計があった。
少女はそっと棺を覗き込んだ。
鐘の音と機械時計の調速機の音が規則正しい時を刻む。
どのくらい経っただろうか……。
やがて、少女は何かを思い出したかの様な表情になると、葬列から外れ踵を返した。
蛇行する葬列に逆らい、歩き始めた少女は思い出したのだ。
自分のすべきことを。
少女は振り返らずに歩いた。
しかし……。
過去と決別しようとしても、愛しい思い出がそれを許さない。
自然と足取りは重くなり、少女は立ち止まった。
耐え難い喪失感と怒り。
ついに心が悲鳴を上げ、溢れ出た気持ちが両頬を伝う。
──お姉さま、どうすれば良いの!? お願い助けて!!
絶望し、心中で叫んだ時……目の前に影が差した。
顔を上げると、そこには漆黒の翼、額に角を生やした少年が立っている。
「望むなら、叶えなきゃ」
魔性の瞳を持つ少年はそう言うと、両手を差し出した。
その手の上には美しい蝶の文様が刻まれた銃があった。
第一話 『双子と悪魔』