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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
第二王位継承者だった王女とケイショウ

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604.継承者は取り乱した。


「〜〜〜っっ‼︎きらいっ!嫌い嫌い嫌い‼︎大っっっっっきらい‼︎‼︎」


ベッドに飛び込んだ私は、枕を抱き締めて子どものように足をバタバタ交互に跳ねさせた。

柔らかなベッドが蹴ると同時にポポンッと跳ね返されて、それでも構わず気が済むまで足をバタつかせて枕を抱き締める。

ハナズオ連合王国から兄様の瞬間移動でフリージア王国に帰ってきた私は、母上への報告とお話を聞いた後自分の部屋に戻った。お姉様は騎士団への挨拶にと言って騎士団演習場に行ってしまったけれど「ティ……ティアラは疲れたでしょうしお部屋で休んで来たらどうかしら」と気遣ってくれたお姉様に甘えてしまった。そう言ってくれたお姉様も思い出した所為であんなに顔が火照ってたのに。

専属侍女のチェルシーとカーラーが驚いたように声を掛けてくれるけれど、いまはちゃんと返せない。ここに居ない人の顔ばかりが頭に張り付いて、あの時の言葉が声が今も耳に



『ティアラ・ロイヤル・アイビー。…貴方に、心を奪われました』



「〜〜〜〜〜〜っっ……ばか‼︎‼︎ばかばかばかばかばかばかばかっ‼︎ばかっ‼︎‼︎」

思い出すとまた顔が、身体中が熱くなる。

頭の中に響くあの人の声を振り払うように声が出て、大きくなりかけて枕に口ごと顔を埋めて叫ぶ。

今までだって、お手紙や社交の場で男性の方からそういう言葉を貰えた時はあった。あの人のあんな格好付けな台詞だって別に珍しくはない。それにあの人はお姉様に初めてお逢いした日にだって……っ、お姉……様……。


「…………何故っ……お姉様じゃないの……⁈」


髪を掻き上げたら、耳まで熱い。

顔を少し上げたら目を当てていた部分だけ枕が湿っていた。心なしか息まで熱い気がして、このまま焼けて死んじゃうんじゃないかしらと思う。

髪を掻き上げたのと反対の手が、拳を緩めたらチャリッと音を立てる。手の中に握られているものを思い出した途端、もっと身体が熱くなる。


『知識も、技術も、教養も全て。…必ず身につけてみせる』



「〜〜〜〜っっ……ばかっ……。」

あの人が、わからない。

私はあの人に意地悪なことしか言っていない。大嫌いとだって何度も言った。あの人が世界中の誰でもなく私を好きになる理由がわからない。それにあの人は、……あの人〝も〟きっと



お姉様のことが好きになると思ったのに。



お姉様は優しくて格好良くてとても素敵な人だから。

今までの人達だって、みんなそうだった。

お姉様の素敵なところを知った人達は、皆お姉様のことが大好きになる。それがとてもとても私は嬉しかった。たくさんの人に、お姉様のことを大好きになってもらいたかった。

……だから、あの時も最初は疑った。私ではなく、隣にいるお姉様に言ったのじゃないかと本気で思ってしまった。

あの人は、今まで私に素敵な愛の言葉を掛けてくれた人達とは違うから。ちゃんと、お姉様を大好きになった人達みたいにその目でたくさんお姉様の素敵なところを見てきた筈だから。

お姉様に何度も助けて貰って、優しい言葉も貰って元気付けて貰って最後は国まで護って貰えた。

本当にたくさんのものをお姉様から貰った人の筈だから。

だから絶対絶対セドリック王子もお姉様のことが大好きになったと思ったのに。


「っ……わけがわかんないっ……。」

恥ずかしくて、頭がぐちゃぐちゃでまた涙が滲んだ。

ぎゅぅうっと枕を掴む手に力を込めたら指が痛い。チェルシー達が心配してくれた声にやっと「何でもないのっ……」と言葉を返せた。

だけどやっぱりそれ以上をお話することは難しくて、ドレスが皺くちゃになるのも構わずに着替えないままベッドの中に頭まで潜り込む。「むぅぅ〜〜……」と変な声で唸ってしまって自分が余計に恥ずかしくなる。


……あの人が、嫌い。

だけど、初めて選ばれた。

お姉様の本当に本当の素敵なところを知って、その上でお姉様ではなく私を選んでくれた。

世界で一番素敵なお姉様よりも、私の方が好きだと言ってもらえた。だけど、何故私なのかはわからない。もしかして単にお姉様の代わりじゃないの?と捻くれたことまで考えてしまう。

お姉様には酷いことばかりして、自分では絶対に相応しくないし絶対に叶わないから、代わりに妹の私を好きになったんじゃないのとか。お姉様のお近付きになりたくて妹の私を好きと言っただけなんじゃないのとか、自分でもこんな嫌な考え方をしてしまうことに驚いた。だけど本当にそれくらい信じられなくて。本当に本当に本当に本当にそれくらいに













…………嬉しくて。













「〜〜〜〜〜っっ……。」

ベッドの中で膝を抱えて、強く目を瞑ったらまた涙がちらちら溢れた。

あの人が嫌い。お姉様に酷いことをして泣かせて、そのくせに泣き虫で甘えたな彼が大嫌い。

なのに初めて、生まれて初めてあんなに素敵なお姉様よりも私が好きだと思って貰えた。ずっとずっと、お姉様の素敵なところを知った人達は皆お姉様が大好きになったのに‼︎私を好きだと言ってくれる社交界の人も令息も王族も皆みんな、お姉様の本当の本当に素敵なところは知らない人達ばかりだった筈なのに‼︎‼︎


『…必ず、相応しい男になってみせる』


……初めて、見つけて貰えた気がした。

初めて、誰かの一番になれた気がした。

何故、よりによってあの人がと何度も思う。世界中であの人以外の人に言って貰えたらもっと飛び跳ねて素直に喜べたかもしれないのに。

何故、よりによってこの私をと何度も思う。世界中で私以外の人にそう言ったのならば、お姉様が相手でなくてもこんなに驚かなかった。むしろもっとちゃんと祝福してあげたのに。

世界で一番私を選ぶわけがない人が、誓いのピアスと言葉を与えてくれた。

握った拳を胸の前で強く力を込めれば、込めすぎて少し痛かった。だけど今はそれ以上に何故か胸が火の針で突かれてるみたいにちくちく痛い。


あの人が、わからない。


だけどもし次に会った時に、冗談とか私が思った通りお姉様目当てだったとか言われたらきっと私はとても傷付くのだろうと思った。

……だから、期待なんかしない、きっと一時の気の迷い。一緒に戦場に出てあげて、それできっとドキドキして勘違いしちゃっただけ。どうせ次に会った時には、彼も後悔しちゃってる。大丈夫、ちゃんとその時には忘れたふりをしてあげる。

だって相手はあんなお馬鹿で向こう見ずなセドリック王子なんだもの。きっと人に本気で恋なんてしたことがないに決まってる。最初にお姉様にやってしまったように、あの言葉と誓いの重さだって本当にわかってなんかいない。

このピアスだって、軽い気持ちに決まってる。


「………………だいきらいっ……。」

言い聞かせるように、もう一度そう呟いた。

一人でベッドの中に蹲っていると、気が付けばずっとセドリック王子のことばかり考えてしまった。それが悔しくて落ち着かなくて、バタつかせたくなる足を押さえるように抱えてひたすら卵みたいに丸くなる。

そのまま休みたくても眠れなくて、ナイフ投げの練習も集中できなくていつもの三倍時間が掛かった。

ちゃんと心の整理をしてからお姉様達に会いたかったのに、どうしても何をやっても纏まらなくて。



『その隣を俺は、…生涯の居場所にしたい』



一人でずっと考えているのが耐えきれず、お姉様の部屋へ逃げ込んでしまったのは翌日の朝すぐのことだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 3時間かかったとはいえ、達成しちゃったのか……ノルマ(ソコカ
[一言] 漫画版だと、このティアラ編どう入れ込むんだろう・・・外伝?いやいや、連番の中に入れて欲しいエピソードなんだけどなぁ
[良い点] さすがはゲームのメインヒロイン本領発揮ですね ティアラがめちゃくちゃ可愛い
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