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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
消失王女と城

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暴露し、


「昨日はお騒がせしてごめんなさい。もう大丈夫だから。」


目の前で倒れてしまったヴァル達だけでなく、報せを聞いていたであろうレオンにも謝罪する。

すると、片眉を上げるだけのヴァルに反しレオンは身体を正面に向け、滑らかな笑みでそれに返した。


「元気そうで良かった。……だけど、あまり無理をしちゃ駄目だよ。」

やんわりとプライドを窘めながら、それでも目の前で元気そうに笑む彼女の姿が嬉しくて堪らない。ええ、ありがとうと柔らかく言うプライドの笑顔にそれだけでレオンは胸が温かくなった。

アランとエリックが椅子をレオンの隣に並べると、向かいの席をセフェクとケメトが譲るように椅子ではなく直接ヴァルのベッドに上がった。レオンの隣にプライド、ステイル。そして向かいの席にティアラとセドリックが並び、それぞれ腰を下ろした。

プライドの背後にはアランとエリックが控え、完全に王族と騎士に囲まれたヴァル一人が居心地悪い。プライドがベッドに座るセフェクとケメトに「二人も元気になってくれて良かったわ」と声を掛ければ、二人からも明るい返事が帰ってきた。間に挟まれたヴァルだけが苦虫を噛み潰したような顔で彼らを睨む。せめて俺を挟まずにやれと切に思う。その上……


「ヴァル殿、お目覚めになられたと聞き嬉しい限りです。この度は本当に感謝に絶えません。貴方が居られなければー……」

金色の髪だけでなく、瞳の焔まで輝かせて褒めてくるセドリックに気分が悪くなる。

レオンだけでも手一杯だというのにセドリックにまでこれ以上関わりたくはない。ティアラやレオンと一緒に運んだのはついでだが、それを勝手に恩に着られたら堪らない。

セドリックの語りが終わる前に「テメェの為じゃねぇ、俺に金輪際関わるな」と遮ると、セドリックは少し複雑そうに「申し訳ありません…」と頭を垂らした。自分に対して殊勝に構える王族を気味悪そうに見るヴァルは、今この場で面会謝絶したくて仕方ない。


「医者の話では、三週間ほどは大事を取れという話だ。必要なものがあれば言え。酒以外であれば何でも手配しよう。」

昨日話した褒美についても希望が思いついたら言え、と。

まだ少し不機嫌気味ではあるがヴァル達へ精一杯感謝の意を示そうとするステイルは腕を組んだ。杖を棚に掛けたまま、ベッドでうんざりした様子のヴァルと並ぶセフェクとケメトに順々に目を向ける。


「何でも⁈」

「僕!新しいナイフが欲しいです!」

私は服‼︎と、希望を次々と上げていく二人は目を輝かす。二人の欲しい物を耳で覚えながら、ステイルはちゃんと二人に配達の報酬は与えているのかとヴァルを睨む。それに舌打ちだけで返答したヴァルは「酒と金以外に欲しいもんなんざねぇな」と吐き捨てた。

金自体、アネモネ王国のレオンの部屋に置いてきた布袋にはまだたんまりと入っている。ただ、セフェクもケメトも〝貰える〟のならば欲しいものがたくさんあるというだけだった。彼らにとっても一番大事な出費は食費だ。

いつの間にか和気藹々としたその中心に自分が位置していることがヴァルには不愉快で仕方がない。本気でこの場で救護棟を崩壊させようかとも考える。

ぐんなりと顔を反らせば、そんな自分の姿に微笑ましそうに滑らかな笑みを向けてくるレオンが目に入る。今の自分を馬鹿にしているとしか思えないレオンの笑みにヴァルは眉間に皺を寄せた。そして先ほど言おうとしたことを思い出し、…………ニヤリと笑う。

予想外の反応にレオンがきょとんと目を丸くすると、ヴァルは悪い笑みをそのままにベッドの上にゆっくりと胡座をかいた。膝に頬杖を付き、ニヤニヤと笑いながら隣に座るプライドを覗き込む。


「そういやぁ、主。奪還戦中はレオンとお楽しみ中だったよなぁ?」


ヴァルの言葉にプライドは首を捻った。

ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべているヴァルは、そのプライドの仕草すら楽しそうだった。それに反し、奪還戦中という言葉にステイルやカラム達の眉間には皺が寄る。つまりはプライドが狂気に蝕まれている時のことだ。

ここまで来て、嫌なことを蒸し返してくるヴァルに不快を示せばレオンが「何の話だい?」とわからないように尋ねた。

プライドは自分がレオンを殺し掛けたことのことを言っているのかとも思ったが、ヴァルが何故いまそれを引き出してくるのかと少し身構える。やはり、自分は責められるべき立場なのだと思い返す。


「……何の話だ。姉君もレオン王子も覚えがないようだが。」

ステイルの一際低い声がヴァルに放たれる。

言葉の節々に黒い覇気を纏わせ放つその声に、ヴァルより先にセフェクとケメトが肩を震わした。ヴァルを守ろうとステイルの方向へ身体を向け身構える。

すると、ヴァルは無言で自分に背後を向けるケメトの耳を塞いだ。ニヤニヤと笑いながら、ティアラに顎で指示をすれば、すぐに意図を理解したティアラがセフェクの両耳も同じように塞いだ。耳を塞がれたセフェクは、一気に臨戦態勢を解くように少しだけ不満そうに唇を尖らせ、ペタリと手を降ろした。

二人の耳を塞ぐというヴァルのその行動に、余計プライド達は不安が募っていく。一気に変わった不穏な空気にヴァルは満足げに笑うと、改めてステイルを見た。


「いや、覚えはある筈だぜ?嘘じゃねぇ、俺はテメェに嘘はつけねぇからなぁ?」

隷属の契約でヴァルはレオン以外の王族に嘘はつけない。

決定的な自分の潔白を語るヴァルに、ステイルは嫌そうに顔を顰めた。ヴァルは引き上げた口でそれを見ると、更にアラン、エリック、セドリック、そして最後にレオンを見ると楽しそうに目の奥を光らせた。


「まぁ、こんだけはべらしている主には大したことじゃねぇか。」

ニタニタと笑うヴァルに、やっとプライドが「はべらしてはいません、誤解を招く言い方はやめて下さい」と断り、命じる。

溜息混じりのプライドの言葉にも楽しそうに笑うヴァルに、突如レオンがはっとした顔になる。明らかに顔色が変わり「ヴァ……ヴァル⁈ちょっと」と慌てた口調になった。手を伸ばし、止めるべく彼の袖を引くがもう報復は止まらない。



「主がレオンに跨って脱がしてたなんざなぁ?」



きゃああああああああああああああああああ⁈‼︎

声にならず、プライドの頭が断末魔を上げる。

頭で叫びながら、口は開いたまま声が出ない。青褪めたまま絶句してしまう。

唯一自由になる目だけをきょろきょろと動かせば、ヴァルを止めようとしたレオンの顔が茹だっていた。レオンだけではない、ステイルやアラン、エリック、そしてセドリックも目を丸くしたまま真っ赤に染まる。ティアラも金色の瞳をくりくりと丸くしてしまう。口を覆いたいが、セフェクの耳を覆っている為それもできずに固まった。


「あの現場をそんなっ、やっ、疚しい言い方で誤魔化さないで下さい‼︎あ、アレはっ……そういう……〜っ。」

なんとか慌ててプライドが訂正しようとするが、それ以上が出てこない。

ヴァルが言っていることも嘘ではない。実際、プライドはレオンを撃った後に彼を押し倒し、下敷きにし、そして鎧を脱がせた。ただし、それは全く色気のある話ではない。だが、ここではっきりとそれを言う事も憚れた。何故なら


『〝心臓を抉り出しなさい〟……は、誰のルートだったかしら?』


自分の過去の所業を鮮明に思い出し、プライドの顔は蒼白だった。

本当のことを言ったところで、さらにこの場が凍りつくことは目に見えている。

レオンに目配せすれば、彼は彼で外から見たら自分はそんな状況だったのかと思い知らされていた。片手で口を覆い、必死に自分の頭で想像してしまったことを打ち消すが、考えてしまったという事実がもう恥ずかしい。まさかあの凄惨な現場をそんな風に言い換えられるなど思いもしなかった。自分が殺される直前だったと必死に頭を冷やす。

一生の傷になりかねなかったあの現場を、こうして平然と思い出せる程度に過去のものと整理がついた自分には安心したが、これはこれで別の意味で頭に焼き付いてしまう。

赤く染まるレオンを見て、今度はプライドまで妙な気分が伝染し恥ずかしくなる。

あの時の自分は正気じゃなかった。だが、間違いなく自分だ。そして自分は、女性でありながらレオンにそんなことをしたのだと考えればじわじわと恥じらいまで強まった。それ以前に第一王子を殺し掛けたことの方が遥かに問題なのだが、それも含めて改めて自分の行動の愚かさに死にたくなる。

赤くなるレオンと青くなるプライドを凝視するステイル達は言葉が出ない。

普通に考えればプライドがレオン相手に色事などあり得ない。しかも奪還戦の最中だ。ヴァルの言葉はただの誇張か悪意のある抜粋だろうと思う。

しかし、それはあくまでいつものプライドだった場合だ。

狂気に染められたプライドが過去にどのような行為をしたか、そしてティアラの誕生祭翌日は起き抜けにレオンへどのようなことをしたかも覚えている。

何より、他ならないヴァルの証言ということは


「プライド……。今のは本当か……?」

ニヤニヤと笑うヴァルを置いて、最初に尋ねたのはセドリックだった。

セドリックの純粋な眼差しで言われると罪悪感と気恥ずかしさが増す。どういう意味の本当なのか、と先ずはそこから考えてしまうところからプライドの顔が今度は赤らんだ。もう自分の顔が青か赤かもわからない。

そのプライドの反応に、余計に嫌な疑いが濃くなる。あわあわしていると、二人の狼狽する姿を楽しむようにヴァルが更なる投爆を仕掛けてきた。


「主も大胆なことするじゃねぇか。なぁ、レオン?テメェも正直悪い気分じゃなかっただろ?」

心臓抉られる前に良い気分なわけないでしょう‼︎とプライドは叫びたくもなったが、言葉に出せない。

いっそレオンが否定してくれればと待つが、レオンはレオンで最期の最後を覚悟した時の自分の心境を思い出せばと、何とも言い難い。自分はあの時本当に死を覚悟し、そしてプライドにならば心臓を差し出して良いと本気で思ってしまったのだから。

顔の赤みが増し、言葉が出ない。口を必死に押さえつけて呼吸を整えるが赤面が全く引いてくれなかった。

わかりやすく赤くなり、羞らいで死にかけるレオンにステイル達の中でヴァルの発言の信憑性が跳ね上がる。


「別に成人した王族の男女なら悪くねぇだろ?なぁ、主。」

「ッ悪いに決まってるでしょう‼︎私はレオンと……やっ、疚しいことはしてません‼︎」

耐え切れず、プライドが怒鳴る。

だが、彼女が顔を真っ赤にして怒り出すのを眺めながらヴァルは全くに気にしない。むしろ放心するレオン達を置いていくようにプライドを使い、遊び、そしてレオンを追い詰める。


「丁度イイところを邪魔しちゃ悪かったか?」

「むしろ邪魔してくれたところを感謝しました‼︎」

「俺が止めた時にはもう〝女〟になってたよなぁ?主。」

「私はもともと女性です‼︎」

「もうあの時から晴れてレオンのモノになっちまったんだよなぁ?」

「なってません!」

「何なら俺が貰ってやるぜ?アンタならいくら手付き後でも構わねぇ。」

「手つきでも何もありません‼︎」

「なんだ、塔の上であんだけレオンとイチャついてたじゃねぇか。」

「ですから‼︎‼︎…、…………?」


……あれ。と、そこでやっとプライドは違和感に気付く。

ニマニマと始終笑うヴァルに、一気に頭が冷える。最初はあまりにも静か過ぎることに気付き周りを見回した。

先ず最初に、顔を真っ赤に火照らせたまま顔を両手で覆って蹲ってしまったレオンに目がいく。椅子の背もたれよりも小さくなってしまったレオンは前のめりに小さくなり過ぎて肩がプルプルと震えていた。

ヴァルの言葉の真偽を誰よりもわかっているが、恥ずかしい会話の往来で完全に無力化される。単なる猥談ならば平然としていられた。だが、よりによって自分とプライドを対象にされれば堪らない。

そしてプライドが向かいの席を見ればセドリックが瞬きもせず固まったままプライドとヴァルを真っ赤な顔で凝視している。

ティアラは話の内容が恥ずかしいことだけはわかるように両手でセフェクを塞いだまま結んだ唇を力一杯結んで俯いてしまった。

隣を見ればステイルが耳まで真っ赤に染まって眼鏡を曇らせている。ヴァルの言葉に慄くように僅かに首を反らすが、それ以上は固まっていた。眼鏡の縁に触れる一センチ手前で指がピンと止まっている。

背後を向けばアランは口を開けたまま丸い目で呆けたまま耳まで赤くし、エリックまでも真っ赤なままあまりの情報量に片手で口を覆うように押さえつけている。

自分とヴァルがとんでもない会話をしていることはプライドもわかっている。だが、ちゃんと自分は否定した。今回は以前のように自分からは誤解のある会話もしていない筈だと思う。にも関わらず、彼らから動揺や焦燥の色がよく取れる。

自分よりもヴァルの発言が信じられているというのかと思うと、少し落ち込む。第一王女としての信用も大分落ちたらしいと考える。……が。


…………⁈ちょっと待って。なんでヴァルは……


やっとそこで違和感の正体に気が付く。

ヴァルを見れば、まだニタニタと悪い笑みを自分に向けている。そして理解する、ヴァルの発言の信憑性と全員の動揺の理由を。


「……ちょっと待って下さい。ヴァル貴方」

「今度はこう言ってやろうか?まずは……」

プライドが狼狽えるように唇を震わすのを見て、やっと気が付いたか、とヴァルの笑みが強まる。

ニンマリと嫌な笑いを浮かべながら、プライドの制止も聞かず口を動かす。その行動にプライドは一気に確信する。ちょっと‼︎と遮るように声を上げたが、止まらない。全員の顔色が変わるのを楽しみながらヴァルがまた語る。

「主はレオンに口付けして押し倒して服脱がせてー……」



「ヴァル‼︎なんでさっきから嘘をつけてるの‼︎⁈」



ぺらぺらとプライドの前世であれば放送禁止用語になりそうな言葉を並び立て始めるヴァルをプライドが必死に声で遮る。

だがそれでも顔色が変わる彼らを楽しそうに眺めながら口を止めないヴァルに、プライドの顔がとうとう青から完全な赤になる。

若干レオンのような詩的な表現まで用いて〝情趣溢れる〟だの〝逢瀬〟だの言葉を使うせいで余計に生々しい。ヴァルがケメト達の耳を塞いだ理由をプライドはこれかと思い知る。

あまりに官能小説のようなイベントの数々をその口で語るヴァルに、レオンが途中から止めるように彼の肩を掴んだ。顔を真っ赤に火照らせ、湯気まで出しながら焦点の定まらない目で必死に唇を動かす。「ヴァル、謝るから……さっきからかったことは謝るから……」と許しを求めているレオンにプライドが余計わけがわからなくなる。そしてそこで許すヴァルでもない。

もうヴァルの言ってることの八割以上が理解できなくなるプライドは、思考が何故ヴァルがここまで嘘をという方面に回る。そして


ああああああああああああああああぁぁあ‼︎‼︎


「ヴァル!許可を取り下げます‼︎今年のティアラの誕生祭までの許可以外全て剥奪します‼︎」

貴方の主プライド・ロイヤル・アイビーの名において‼︎‼︎と、正式にプライドが最も強い命令をヴァルに掛ける。その途端、さっきまでぺらぺらと話していたヴァルの口がピタリと止まった。ニヤニヤと笑いだけは変わらないが、満足したようにケメトの耳から手を離し、再び頬杖をついた。

レオンが力尽きたように掴んだヴァルの肩にもたれかかり、ぐったりと項垂れた。


「なんだ?もう俺への全許可は取り下げか?主」

「貴方が変な大嘘ばかり吐くからでしょう‼︎‼︎」

意外と気付くのが遅かったな、と思いながら笑うヴァルにプライドが顔を真っ赤にして怒鳴る。

プライドの言葉にやっとさっきまで言葉も出なかったステイル達が少し目を覚ます。「嘘……?」と口々に呟き、怒るプライドとさっきまでの爆弾発言を閉ざしたヴァルを見比べる。

彼らもまた、プライドの証言よりもヴァルの方が信頼できると思ったわけではない。ただし、今回に限ってはヴァルの方が信憑性が高かった。単にプライドが狂気に蝕まれている間の行いだけではない。


〝隷属の契約〟


それをしている筈のヴァルは王族に嘘や隠し事はできない。つまり、その上で語った彼の発言は全て〝真実〟だと確証づけられることになる。

最初こそ、ぼやかして曖昧な発言で彼らの心中を掻き乱していたヴァルだが、途中からはっきりとそういう行為を明言してくる。嘘のつけない筈のヴァルの発言は恐ろしく真実味があった。

だからこそプライドも途中で違和感を感じ、余計に混乱させられた。


「…………姉君。今のは一体……?」

二分以上の沈黙の後、何とか呼吸を整えたステイルがプライドに希望を見出し投げ掛ける。

ステイルの言葉にプライドが顔をパタパタと仰ぎながら今度は口元が引き攣った。言ったら確実にステイルに怒られるなとはわかったが、この場で隠した方が確実に面倒なことになる。

その……、と一度口籠った後にプライドは穏便に済むように言葉を選んで搾り出す。


「実は……昨日、うっかりヴァルに全許可与えたまま倒れちゃって。だからさっきまで彼は嘘も言えたし、私の命令にも逆らえて……。」

昨日、目覚めたヴァルにプライドは全てを許可してしまった。

その直後、気を失ってしまった彼女はヴァルからその許可を回収していなかったことを忘れていた。そして、ヴァルもまたその事実に気がついたのも今朝。確信できたのもつい先ほど自分の背中を摩ろうとするレオンを突き飛ばせた時だった。

ごめんなさい……。と恐る恐る言うプライドの言葉に、ぐらりと気が抜けたステイル達の視界が揺らぐ。

顔を真っ赤に火照らしたまま目に見えて安堵で息を吐き、足元すら覚束なくなる彼らの姿にヴァルは









「ヒャッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ‼︎‼︎」









指を指し、大笑いする。

笑い過ぎて傷口が痛んだが、それよりも目の前の彼らを嘲笑うことに忙しい。ヒャハハハハハハッ‼︎と何度も高笑いを上げながら王族と騎士が狼狽えていた姿を思い出す。

自分の発言をまんまと信じ、顔を赤く染め、プライドがそんなことをことをしたのかと目を回し、口をぽっかり開けたまま言葉もなかった彼らの姿を。

自分の膝を叩き、笑い過ぎて目尻に涙が滲むほどの大爆笑をするヴァルに、場の空気に憤怒と殺気が混ざった。特に怒りを露わにするステイルは手をプルプルと震わせながら、今すぐ鉄拳を叩き込みたくて仕方がない。ヴァルが怪我人でなければ確実に三撃は与えていた。


「ッならばさっきのも全て出まかせか‼︎‼︎」

部屋にいる誰の耳も劈くような怒声がステイルから放たれる。

ヴァルはそれを楽しそうに眺めながら、耳だけを軽く押さえた。うるせぇ、とは思うが今はステイルの憤怒に燃える姿の方が面白い。


「大体はな。何なら今度こそ嘘無しで話してみるか?主。」

「ッ駄目です‼︎もうその事は誰にも話さないでください‼︎」

試すように投げるヴァルにプライドが大急ぎで待ったをかける。

どちらにせよ自分がレオンに乗って鎧をひん剥いて心臓を抉ろうとしたのは事実なのだから。

プライドからの命令に、ヴァルは予想通りといった顔でニヤリと笑った。「それが良い」と返しながら、満足げに身体を揺らす。


「ヴァル……君、本当に君は……。…………それが性分なのかい?」

ヴァルの考えていることに、粗方予想がついたレオンが荒い息混じりに嘆く。

横からヴァルの両肩に両手をがっしり乗せて掴み、顔の火照りこそ引いたものの大分疲労した様子だった。熱くなった額をヴァルに当て付け、熱を押し付けるように項垂れる。


その言葉にヴァルは「さぁな」と振り返らず適当な言葉で返した。


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― 新着の感想 ―
[一言] もう ヴァルは絶対岡本さんで
[良い点] 皆ウブですね。 なんか、やっと平和になった気がしました。 ヴァル推しなので 「何なら俺が貰ってやるぜ?」 大興奮しました。 [一言] 応援してます。
[良い点] ヴァル推しです 絶対無いんだろうな… [気になる点] 誰ともくっつかなそうな感じだね [一言] まだあいつ生きてんのかぁ まだまだ続くのかなぁ あと皆が皆 ウブ過ぎやしないか?
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