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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
消失王女と城

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恐れ、


「ほんっっっっとに。ごめんなさい……。」


昨日の朝、ずっと寝込んでいたヴァルが意識を取り戻したことに安心した私は倒れて爆睡してしまっていた。

あのヴァルまで許してくれて、更には彼が無事ケメトとセフェクと再会する姿を見たら一気に張り詰めていた糸が切れてしまった。アーサーが何か声を掛けてくれていた気がするけれど、そこから一気に記憶が朧げだ。

ヴァルが目覚めるまで私もセフェクもケメトも日が経つごとに心配になって殆ど眠れなかった。最初は付き合ってくれていたティアラやセドリック、ステイルには無理はしないでと部屋で休んで貰うように御願いしたのも私だけれど、……正直一番自分が無茶していた自覚もある。ステイル達にも無理はしないで下さい、目が覚めたらすぐお伝えしますから、どうかベッドにと言われてもこればかりは譲りたくなかった。

私のせいでローブちゃんに刺されて、それでも命懸けでレオンを救出してくれたヴァルに私も半端なことはしたくなかった。

結果、……レオン達のお見舞いや怪我の治療以外殆どヴァルの部屋に入り浸っていた私は完全に過労で倒れてしまった。

まさかの丸一日爆睡していたらしく、ただの過労なのに目が覚めた時には私の部屋に医者まで控えていた。思っていた以上に疲れていたらしく、なんか変な夢まで見たような気がする。しかも、近衛騎士にも引き続き寝ずの番をさせてティアラやステイルまでベッドに付き添ってくれていて……。本当にあまりの大ごとにされていたことに目が覚めて早速血の気が引いた。ステイルなんて、あと一週間は杖生活にも関わらずヴェスト叔父様のお手伝いまでして忙しいのに。


「……いえ、今回は原因が明白だったので未だ良い方でした。…………それでも、心臓には悪かったですが。」

眼鏡の黒縁を押さえたまま溜息交じりに言ってくれるステイルに本当申し訳なくなる。

続けてティアラが「兄様も皆とっても心配していたのですよっ!」と言ってくれて余計に肩が丸くなる。飛び込んできてくれたティアラを抱き締めながら、ベッドの上のまま再び皆に謝る。ティアラの背後には、二日前にアネモネ王国から送迎されて帰ってきたティアラの専属侍女のカーラーとチェルシーも居た。

私の専属侍女であるロッテとマリーも、その隣ですごくほっとした顔で笑ってくれた。

奪還戦では城の地下に避難していた二人は、再会した途端に私を見て泣いて喜んでくれた。足引っ掛けたり酷い扱いや暴言ばかり吐いて、もう愛想尽かされても仕方ないと思っていたのに。

私が正気に戻ったと聞いてすぐに駆けつけてくれたロッテは口を両手で覆って涙ぐむし、いつもは少し厳しいマリーまで凄く優しい笑顔で泣いてくれて。近衛兵のジャックまでいつもは冷静沈着なのに、ロッテ達と私の部屋に来てくれた時には凄い形相だった。ジャックが涙目になっているのなんて初めて見た。本当に皆、あんな酷い事ばかりした私を心配してくれたんだなとわかって嬉しかった。…………のに。


「今、衛兵が母上達にも報告に向かいました。レオン王子やセドリック王子にも今朝中には伝わるでしょう。騎士団と……ヴァル達にも。」

……また心配をかけてしまった。

しかも、思った以上に広く伝わっていたらしいと理解する。最後ヴァル達のところだけ若干苦々しく言うステイルに、私が倒れたのが彼の所為だと思われているのではないかと不安になる。


「あの、ステイル……無理したのは私が勝手にしたことだから。だから、ヴァルのことは」

「わかっています。プライドが奴に気を掛けている理由も、その功績も充分に。ただ、俺が勝手にむくれているだけですから。…………もう、無理はして欲しくないというのに。」

最後だけ小さくステイルが呟く声が聞こえた気がしたけれど、聞き返したら「いえ」と返されてしまう。

でも、本当に純粋に私のことを心配してくれたのだなということはちゃんとわかった。ステイル、ともう一度呼んだら、片手で杖を突いたまま眼鏡の縁を押さえ振り返ってくれた。


「心配かけてごめんなさい。……次はちゃんと気をつけるから。」

平気だと示す為に笑いながら、やっぱり申し訳なさが勝って眉が垂れてしまう。

するとステイルは一瞬目を見開いた後、今度は唇をきゅっと結んだ。眉間に皺を寄せて、少し怒ったような表情で私をじっと見つめ返してくる。未だ怒っているらしいと肩に力が入ってしまうと、直後に彼は大きく溜息を吐いた。


「本当に……ずるい。」

ぼそぼそとした言葉にまた聞き返したけれど、やっぱり言い直してはくれなかった。

だけど「わかりました」と渋々頷いてくれた後は、力の抜けた笑みを向けてくれた。私からお礼を言ってからティアラと目の前にいるロッテとマリーにも謝り、それから振り返る。


「アラン隊長、エリック副隊長も……心配を掛けてごめんなさい。」

昨晩から私の護衛に付いてくれていた近衛騎士の二人にも謝る。

本来は体調不良ぐらいなら夜まで騎士がついていることはないのだけれど。今回は奪還戦からまだ一週間経っていない厳戒体制だったこともあり、念の為二人も夜通し付いてくれていた。

私が声を掛けた瞬間一気に二人の肩が強張り、上がる。いえ‼︎‼︎と勢いよく声を合わせてくれたアラン隊長とエリック副隊長は二人とも顔が赤い。多分、昨晩からずっと緊張感を張り詰めてくれていたのだろう。そうでなくてもエリック副隊長なんて奪還戦からずっと私に顔を硬ばらせているのに。

奪還戦で酷く騎士団全体に心配を掛けているし、城の人達にも迷惑を沢山かけた。教師のデズ先生や離れの塔の警護についてくれた衛兵に信じられないほど酷いこともした。

この四日間王女としての公務が停止中の私は、とにかく擦れ違いでも城内で会った人達に一人一人お詫びとお礼を伝えて回ったけれど全然足りていない。殆どの時間はヴァルの付き添いに注ぎ込んでしまったのだから。

奪還戦勝利については民を城下に戻してからすぐ母上が民の前に出たけれど、私とティアラは一週間後の検討会まで自粛ということになった。私の補佐であるステイルも道連れで民の前に出なかった。

どこまでを〝全て〟として話すか決まっていない今、安全が保証されたこととひと月後に正式な発表を行うということしか民には公表されなかった。


コンコン。


「プライド様。セドリック王弟殿下がお見えです。もし可能であれば、面会を願いたいと。」

ノックの直後、扉を開けたジャックが引き継いでくれる。

どうやらセドリックまで朝一番に私の様子を見に来てくれたらしい。衛兵が行き違いになっていなければよいのだけれど。

母上から許可を得たセドリックは、王居の私達の住む宮殿に宿泊していた。ヴァルやレオンへの見舞い以外は、以前と同じように図書館に篭って本の虫になっているらしい。

面会可能時間きっかりを狙って伺いに来てくれたセドリックに私からも許可を下ろす。「着替えが終わり次第すぐに」と伝えてベッドを降りれば、近衛騎士達やステイルも一度部屋を出る為に扉へ向かった。

もう私は起きたけど、近衛騎士の二人はこのまま引き続き午前からの護衛も担ってくれるらしい。ふと、杖を付いて歩くステイルを補助しながら付き添ってくれるアラン隊長とエリック副隊長の背中を見て思い出す。ステイル!と慌てて声をかければ、皆が振り返ってくれた。


「今日は騎士団演習場に行きたいわ。あとまたレオンとヴァルの救護棟にも。馬車の手配をお願いして良いかしら?」


あと騎士団長と母上達への言付けも。と付け足せば、……ステイルの顔が仰け反った。

更にアラン隊長とエリック副隊長まで唇を結んだまま目を皿にする。何か、悪いことを言っただろうか。

私が首を捻ってしまうと、ティアラが「とても良いと思いますっ!」と嬉しそうに声を跳ねさせた。優しいティアラの反応にほっとしつつ、ステイル達に再び目を向ければ、何故かアラン隊長達と三人で目配せし合っている。最後にエリック副隊長が重々しく頷いた後、ステイルはものすごく言いにくそうに口を絞り、眉を寄せてからやっと口を開いた。


「……騎士団は、まだ奪還戦の後始末と厳戒態勢で忙しいですから。救護棟にならば、馬車が無くとも俺がまた直接お送りします。」

あれ?

厳戒態勢はわかるけれども。でも確か昨日の朝の時点で、もう後始末は城下の建物整備と国門前の土壁取り壊しと大穴埋め立てぐらいしかなかったのに。

昨日まで毎回私はステイルに瞬間移動で救護棟まで送って貰っていた。隣接された騎士団演習場には全く寄れていない。ステイルから報告は入るし近衛騎士達からも近況を色々聞いているから問題はなかったけれど。

ヴァルも目を覚ましたし、やっと騎士団にも正式に会いに行けると思ったのに。

それでもステイルの言葉に、アラン隊長もエリック副隊長も同意するように凄い勢いで頷いている。もしかして騎士団の中には今も私へ怒りや不満を隠しきれない人達がいるのだろうか。国家転覆しかけた王女なんて許せなくて当然だ。

思わず裾を握って肩が強張るのを押さえる。

ここで落ち込んだ姿を見せるわけにもいかない。ヒクついた口で「わかったわ」と返し、何とか笑う。すると、今度はアラン隊長とエリック副隊長の方が「申し訳ありません!」と深々謝ってくれた。絶対二人が謝ることではないのに。


三人とティアラが今度こそ部屋から出て行くのを見送りながら、悪い予感ばかりが過ぎる私は騎士団演習場に行くのが少しだけ怖くなった。


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いつものように笑って、心配かけてごめんなさいと眉を垂らすのだろう。

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