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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
ラスボス女王と叛逆

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557.騎士隊長は佇み、


「もう九番隊はステイル様と向かったか……。……アラン、お前もプライド様の元へ行きたかっただろう。」


フリージア王国、城前。

通信兵から報告を聞いたカラムは、隣に並ぶアランに投げ掛ける。一時間以上前から続く特殊能力者からの防衛を続けながら、膠着状態が続いていた。

陣営の最後衛に二人で並びながらアランとカラムは城門の戦況を眺める。カラムの三番隊もバリーの六番隊も既に騎士団長であるロデリックの指示に従い、九番隊の穴を埋めるべく編成を組んで王居へ向かった後だった。六番隊隊長のバリーは編成した隊と共に向かったが、カラムとアランは城前に残ったままだ。


「いや〜、どっちにしろ目の前のコレ放っていけねぇって。王居の方はエリックに任せたし、俺だけが現場放棄はできねぇよ。」

三番隊と六番隊に色々迷惑もかけたし、とアランは付け加えながらカラムではなく正面に目を向ける。少なくとも目の前の膠着状態を解決するまでは動けない。城門前で炎の特殊能力者を捕縛してから、アランの班は城を目指す特殊能力者の奴隷を待ち構える為、三、六番隊と共に城門前の防衛に協力していた。


「だが、今はお前達もこれには手の施しようがないだろう。」

「そりゃあ今はお前ら三番隊の作戦頼みだけどさ。いつアレが城門以外を狙うかもわかんねぇじゃんか。」

城門前を守る騎士達は盾を使い、特殊能力を放ち、敵からの攻撃を防ぐ。

半ば作業化された防衛体制の中、アランだけでなくその場の騎士達もかなり落ち着いていた。たとえ三分の一近い騎士が王居へ向かった事で騎士の数を減らしていようとも。たとえ保護した特殊能力者の奴隷を守りながらの攻防であろうとも。たとえ



視界を埋め尽くすほど鳥の群勢が襲来していようとも。



「今、手の空いた者で鳥を操っている特殊能力者の居所を特定している。……恐らく、そう遠くにはいない筈だ。」

カラムの言葉を聞きながら、アランは「うわぁ……」と改めて目の前の鳥の群勢に顔を痙攣らせた。

城門前に並ぶ騎士達へ向かい、千は余裕でいるであろう鳥の群勢が一つの巨大な生き物のように突撃を繰り返していた。その度に六番隊が撃ち落としては盾で防ぎ、特殊能力を使って纏めて燃やし、凍らすなどをして対処をしていた。空を飛べる鳥が敢えて城壁や自分達を越えて城内ではなく城門を攻撃してくることから考えても、一定距離しか鳥を操れないのだろうとカラムは考える。更には鳥自体も単純な突撃しか繰り出してこないところから、出せる命令も単純なものしか出来ないと推測される。


「俺、暫く鳥は食いたくねぇかも……。」

「初任務の時も三日後には平然と肉を食べていただろう。」

いやそうだけどさ、とカラムの言葉にアランが濁す。

目を向ければ、それを言うカラムもまた若干顔色が悪かった。単純な攻撃命令しか受けていない鳥が次々と地面に落ち、山を作っていく惨状は騎士達にとってもそれなりに気持ちの良いものではなかった。人間の死体は慣れていても鳥の死骸の山は彼らにも見慣れない。あまりの鳥の数に城門は味方の騎士ですら往き交いをすることができなくなっていた。王宮へ収集された騎士達も、城門からは入れずに城壁を直接越えることになった。通常の兵士ではとても登れない高さの壁も騎士達には手軽い。

鳥の群勢は攻撃こそ単純だが、問題は数だった。信じられないほどの数の鳥は、倒しても倒しても次々と空の彼方から飛んで来る。無限にも思える数は、国門から攻め入ったラジヤ帝国軍よりも厄介だとアランは思う。ヴァルが置いて行ったアネモネの荷車に積まれた物資により今のところ補充に問題はないが、それでも鳥と弾どちらが先に尽きるかは不安でもある。更には


「……カラム・ボルドー。捕縛者は未だ牢に運ばないのか。」


ズン……と、重量を宿した声が二人の背後から放たれる。

カラムとアランが同時に顔だけで振り返れば、最後衛の二人の背後にはハリソンが重々しい表情で睨んでいた。佇む彼の傍には捕縛された特殊能力者が詰められていた。鋼鉄の特殊能力者と炎の特殊能力者は既に牢へと連行されたが、王宮へ向かう騎士達から一時的に預かった捕縛者はそのままだ。鳥を操る特殊能力者を捕縛後、全員纏めて牢へ連れていく為に最後衛で保護された彼らの見張りを今はハリソンが務めていた。


「運ぶ、ではなく、せめて連行といえハリソン。……今は膠着状態だ、ただでさえ少なくなった騎士を更に減らすことは避けたい。お前も重要な戦力だ。」

「ならば私にやらせろ。」

副団長であるクラークから城門の援護をせよ指示を受けたハリソンは、カラムの指示で見張りを任されたが本人は若干不満だった。

高速の足を持つ特殊能力者のハリソンならば必ず捕縛者が逃げても捕らえることができ、更には一挙一動を彼自身が見逃さない。たった数人の特殊能力者をハリソン一人で御しきるカラムの采配は的確だった。結果、数人必要な見張りもハリソン一人で済み、全員が安心して防衛に集中することができるのだから。

ハリソンの意見に、カラムは「駄目だ」と一言で断った。

確かにハリソンならばこの状況を一転できる可能性もある。だが最初の暴走を鑑みても再び彼がそうならない保証はどこにもない。鳥の群勢の対応に追われている今、最初のように武器弾薬を味方で無駄にするわけにもいかない。更に言えば、再びハリソンが暴走してクラークに報告が必要となれば結果としてハリソンの立場を更に危ぶめてしまうのだから。

クラークからの命令で、仕方なくカラムの指示に従うハリソンだが、相変わらず表情は暗い。断られて仕方なく俯きながら捕縛者を長い髪の向こうから監視する。殺気を孕んだその眼差しに、捕縛者の数人が気づいて縮み上がった。

ハリソン自身、カラムの意図もわかってはいる。単に信用を失ったという話でも、嫌がらせや罰という訳でもない。今の自分の状態を理解した上で最も効果的な采配を彼が割り振っていることも理解する。だが、城門前でカラムに今の任務を任されてから、暫くしない内に女王を含む最上層部の復帰。更には拷問塔にプライドとアダムがいるという報告だ。

クラークに直接命じられてさえいなければ、八番隊の権限で今すぐにでも拷問塔へアダムの首を取りに向かったのにという気持ちが捨てきれない。むしろ、だからこそクラークがあの場で自分を本陣から立ち去らさせたのだろうということもわかった上で、それでも歯痒くて仕方ない。自分以外の八番隊は全員城内で個人行動中だ。だが、九番隊の動きを気取ればすぐに各自判断で拷問塔へ向かうだろうと思う。……副隊長の自分を差し置いて。

クラークの命令に不満はない、だがそれでもどうしても衝動は抑え切れない。自国が侵攻され、プライドが危機的状況にあり、拷問塔には仇すべき敵の皇太子がいる。クラークに右腕を奪う事は止められたが、首の骨の一本でも良いから折ってやりたいという想いはまだ残る。将軍にはそれなりの報復を少しはできたが、元々それを将軍に命じたのはアダムだ。ならば今度は彼をアーサーと同じ目に合わせてやりたいと何度も思ってしまう。

当然、ハリソンもわかってはいる。いくら復讐しようとそれは自己満足、アーサーはそんなことを望んでもいない。それに何よりそんなことをしてもアーサーの右腕は戻ってこないのだと。ハリソンは頭を冷やすように必死に自分自身へ何度も言い聞かせ




「ッカラム隊長!アラン隊長‼︎……ッは、ハリソンさん⁈」




バッ‼︎と、この場ではあり得ない人物の声に彼らは瞬時に身体ごと振り向いた。

視界に捉えた後も、彼らはそれを疑った。特殊能力者による幻や変装か何かだとも考えた。だがその間にも幻は自分達と同じように目を丸くした顔で駆け込んでくる。

声に反応した他の騎士達も顔を向けてはその名を呼び、声を上げた。一瞬、指揮系統が乱れかけるほどの騒めきと最上層部の復活を聞いてから二度目の歓声が上がる。

そして驚愕のあまり胸一杯に息を飲み込んだアランが、全員の声を上塗るような声で幻の名を呼び叫んだ。


「アーサー⁈‼︎」


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[良い点] ※首の骨1本おれると死にます
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