表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
ラスボス女王と叛逆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

669/2210

551.義弟は報告を受け、


「ッレオン王子までもだと⁈」


本陣。

一体どうなっている⁈とあまりの報告の数々に俺はとうとう声を荒げた。城下前の防衛にアネモネ王国が加わってから、俺達の元には次々と通信兵による報告が流れ込んできていた。

アネモネ王国騎士隊到着と参戦、フリージア王国騎士団の城下への追討開始報告。

更にはアネモネ王国騎士団も二時間ほど前から援軍として進攻とは別の国門から入国を果たしていた。レオン王子が出国前に指揮権を我が騎士団にも託してくれていたお陰で滞りなく彼らを我が城下に誘導することもできた。敵軍の掃討も順調だ、なによりまだ死者の報告もない。……ッだと、いうのに……‼︎


レオン王子の重傷報告。

更にはヴァルと思われる男も同様とのことだった。


レオン王子は騎士団演習場に隣接された救護棟。ヴァルは城内の別の救護棟に運びこまれた。

緊急性の高いヴァルは現場近くの救護棟。そして命に別状はないと判断されたレオン王子は安全性の高い救護棟。……レオン王子と共に先に運ばれたことで、ヴァルと別々にされたケメトとセフェクは苦情を訴えているらしいが今は安全の為にも耐えて貰うしかない。

レオン王子は母上の部屋での捜索をしている筈だったらしく、どうして全く別の場所に居たのかはまだわからないらしい。今、急ぎ王居内の騎士へ母上の部屋にレオン王子の足跡確認へ向かうよう通信を送った。ヴァルならば、母上の部屋の窓からレオン王子を連れ出すことも可能かも知れないが、それならばレオン王子が通信兵に報告しなかった理由がわからない。大体、もともと別行動を取ったヴァルが何故レオン王子と共にいたのか。そしてヴァルと共にいる筈のティアラとセドリック王子は何処にいる?そしてレオン王子も護衛のアネモネ騎士はどこに?

大体、二人が発見されたのは城内。更にはヴァルもレオン王子も戦闘での実力は高い。にも関わらず二人揃って重傷を負わされた。……敵兵がまだ侵攻していない筈の、城内で。そして騎士団を抜いてあの二人に重傷を負わせられる人間など想像に難くない。

セフェクとケメトに事情を聞こうにも、今の二人はヴァルの元へと訴えるばかりで問答できる状態ではないらしい。あの二人に聞く耳を持たれる相手など、ヴァルかティアラ……そしてプライドくらいのものだろう。

それだけでも、プライドとアダムがやはり城内に潜伏している可能性と暗躍の恐れが強まっている。レオン王子達がプライドの元へ何かしらの方法で辿り着いたのか、逆にプライド達に何かしらの方法で襲われたのか。そうだとすれば、何故本陣や騎士団ではなく彼らを狙ったのか。一体プライドがこれ以上どうするつもりなのか、そしてアダムが何をするつもりなのか、これだけでも読めなくなってくる。……そして、更には。


「ステイル様。ヴァルと思しき重傷者は、七番隊の騎士の特殊能力を受け始めたとのことです。恐らく一命は取り留められるかと。……そして、衛兵は。」

ジルベールが通信兵からの報告を纏めて俺に報告する。

一命を取り留めたのは良かったが、レオン王子と同様にすぐ事情を聞くのは難しいだろう。ヴァル達を発見した周囲を騎士達に調査させてはいるが、今のところ大した報告はない。最後に言葉を切ったジルベールへ顔を向ければすぐに目が合った。俺に一度頷き、切れ長な目を尖らせる。


「ヴァルが運ばれた救護棟に保護されていた衛兵全員、七番隊の話では〝体調に問題なし〟……全員、護衛や警備も可能とのことです。」


……これだ。

ヴァルの報告を受ける一時間以上前。既に奇妙なことが起こっていた。

プライドを幽閉していた離れの塔の警備中、アダムに襲われ意識不明になった衛兵達。

数が多過ぎることもあり、地下には避難させられずに騎士の警護がつけられていた。だが、突然その全員が意識を取り戻し目を覚ましたという。


正体不明の〝フードを被った男〟により。


身長からして男と判断はされたが、それ以外の情報は無い。

その男が突然救護棟に単身で押し入ってきたと通信兵から報告が入った時は、奴隷化された特殊能力者がとうとう入り込んだかとも考え、本陣も騒然とした。急ぎ周辺を護衛している騎士達へ捕らえるように指示を出したが、……そこで信じられないことが二つ起きた。

一つは、その男が異様に強かったということ。迎撃する騎士全員を突破し、保護されている衛兵の元まで辿り着き、最後には最上階の窓から逃亡まで成し遂げた。

二つ目は、……その男が何故か衛兵全員の意識を取り戻させたとのことだった。衛兵達が眠らされている部屋に男が辿り着いた時点で騎士達も衛兵を巻き込むような下手な攻撃はできなくなったらしい。そうしている内に男は眠らされた衛兵の一人に触れ、あっという間に目を覚まさせた。更にはそれに呆気を取られている間にも男は衛兵達に危害を加えるどころか、全員の目を覚まさせた後は何も言わずに逃げたと。……男に突破された騎士達にも怪我人は無し。ただ衛兵を起こして逃げていっただけだ。

正直、そんなことができる人間は俺が把握しているだけでも二人だけ。一人は騎士団に隣接された救護棟に重傷の身で保護されている、騎士達を掻い潜れるほどに動けるわけもない。そしてもう一人は……


「……アダムが、衛兵達を今更起こす理由もない……。」


思わず、こぼしてしまう。

俺の言葉にジルベールも考えるように眉間に皺を寄せた。騎士団長達も顎に手を当て、今までの報告を合わせるように考えているようだった。

衛兵達の意識を奪ったアダムならば、同様に彼らを解放することも可能だろう。……侵略国のラジヤ帝国とはいえ、皇太子である奴がそれほど戦闘に特化しているというのも気にかかる。アーサーの話でも奴が特別強いということは聞かなかった。まだ将軍だった方が納得もいく。大体、何故今さらになって衛兵を起こす?プライドの指示か⁇だが、そのようなことをして何になる。今のプライド達に利点があるとは思えない、むしろ逆だ。

衛兵が目を覚ましたことで、彼らの護衛に割いていた騎士達は城門や城下の応援にも行けるようになった。衛兵達も地下に避難どころか、城内の避難所や救護棟にいる医者達の護衛も任せられる。いっそこちらに全てが優位に動いている。

ヴァルが運ばれた時には、衛兵も医者も七番隊騎士も患者が居なく、万全の受け入れ態勢だった。お陰で急患が入ったにも関わらず、医者やヴァルの護衛も、衛兵と少人数の騎士で可能になった。

これもプライドの〝負けることが目的〟という策の一つなのか。だが、既にこちらが優先な時点で何故そのようなことをする必要がある?

考えれば考えるほどに意味がわからない。眼鏡の黒縁を再び押さえつけながら、更に続く通信兵からの報告に耳を傾ける。残す敵方の奴隷にされた特殊能力者もたった一名。城下も次々と掃討が続いている。城内も動ける騎士や衛兵が増えたことでプライド達の捜索も進められる。ティアラ達のことも発見次第本陣に報告せよと各陣の騎士達に伝えてある。不明な要素は多いが、未だ上手く回っている筈だ。


「……引き続き、報告と情報共通の徹底をお願いします。」


通信兵を介して陣一つひとつに返答を送りながら、拳を強く握り締める。

頭を冷やせ、目の前のことに集中しろ、効果的な策は、どうすれば裏をかけるのか、敵の先手を打てと自分自身へ言い聞かす。

レオン王子、ヴァルの容態、フードの男の消息、ティアラとセドリック王子の安否、そしてプライド。

戦況が目紛しく変わって行く中、今の俺にできることは本陣を護り抜くこと。目的を果たす為、指示を送り続けることだけなのだから。


この国の、王族として。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] フードのおとこ……一体何ーサーなんだ……
[気になる点] この防衛戦になってからステイルくんのメッキが…
[一言] アーサーwww 通り魔みたいなことをすなwwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ