残し、
「アッハハ!残念ねぇ⁈せっかくのチャンスだったのに‼︎」
アハハハハハハハッ‼︎と笑い声が響き渡る。
石畳みに転がりながら、プライドは既に勝ち誇っていた。傷口を抑え、血を吐き出すヴァルに笑いが止まらない。一気に形勢が逆転し、これからどうやって彼らを嬲り殺そうかと考える。
ヴァル、ヴァルとセフェクとケメトが叫ぶ中、ヴァルは痛みの走る箇所を手で押さえつけ確かめる。背中から僅かに刃先が貫通したらしく、前からも血が滲んでいた。ズプッ…と二度目の激痛が走り、背後から刃物を抜かれたことを理解する。栓をしていたものが抜かれたことで、同時に血が一気に溢れ出す。敵がまだ背後にいることを確信した瞬間ヴァルは
「ッ!ガッ、ァア゛ア゛ッ‼︎‼︎」
獣のように唸り、血を吐きながら己が拳で足元を殴りつけた。
ダンッ‼︎と拳がぶつかった瞬間、緻密に組まれていた筈の石畳みが音を立てて崩れ出す。特殊能力で石畳みを操り、自分の背後一帯を丸ごと崩せばガラリとまるで落とし穴でもあったかのように自分の背後だけが陥没し、ガラガラと音を立てて崩れ出した。瓦礫以外の何かの墜落音も響き、ティペットが落下したようだとヴァルは息を吐く。
立ち上がろうと足に力を込めれば、その途端に刺された傷から血がドプリと噴き出した。ガクン、と片膝をついて堪えれば、ケメトが「ヴァル!血が‼︎」と今度こそ駆け寄って来た。セフェクも続こうとしたが、膝の上のレオンを転がすこともできず、前のめりに手をついてヴァルへ叫んだ。
「っ大……たことねぇ、ずら……るぞ!」
ケメト!セフェク‼︎と二人を呼び、腹を押さえながら外へと目を向ける。
荷袋の砂はレオンの止血とプライドの拘束に使ってしまった。今は自分の止血よりもティペットが戻ってくる前に逃げることの方が先決だと判断する。
落ちた穴から這い上がってこないように大穴を能力で元どおりに埋めたが、操れたのは足元のみ。その下層にも穴は開けたつもりだが、全てを陥没させきるより確実にティペットの落下音が先だった。落下したのがどれくらいの高さなのかもわからない。ティペットが死んだか、それとも生きてるのか、ここまで再び戻って来るのにどれだけ時間がかかるのか、中の構造を知らないヴァルには想像もつかない。更にはアダムや将軍にまで上がってこられれば、かなりまずいという自覚はあった。
内部からの入り口を能力で開かないように塞げればと思ったが見当たらない。あるのは隣の塔に渡るための橋だけだった。外見通りに内部さえ無いのなら、このままティペットは生き埋めなんだがとだけヴァルは考える。
足元の石畳を下手に動かせず、荷袋の砂も使えない今、意識のないレオンを塔の外までは担いで運ばないといけない。団服も脱げ、鎧の一部も剥がされたレオンはかなり軽量化はされているが、それでも長身の男性だ。あれを自分が運ぶのかと、ヴァルは抱える前から舌打ちを零した。再び足に力を込め、今度こそ立ち上がるがやはり痛みと同時にフラついた。歯を食い縛り、唸るように息を無理やり吐き出しながらレオンへと歩み寄
「あらぁ⁈私は置いてけぼりかしら?」
敢えて高々と声を上げ、存在を主張するかのようにプライドはヴァルの背中に吐きつける。
プライドの問いに、ヴァルは一瞥しただけで答えなかった。今のヴァルには喋るのも体力を酷く使う。レオンに歩み寄ったまま、なるべく自分が負担なく運べるようにとレオンの長い脚を片方掴んでそのまま引き摺った。ズルズルと、死体でも扱うようにしながら一番近い壁際までレオンを運ぶ。
「良いのかしらぁ?レオンと同じように貴方も私が狙いだったんじゃないの⁈」
殺す為に。その言葉が言わずとも伝わるだろうと思いながらプライドは声を張る。
実際、ここでプライドだけでも連れ帰ることができれば戦況としても大きい。だが、怪我をしたヴァルはもうレオン一人を運ぶので限界だった。プライドの拘束とレオンの止血さえ諦めれば砂の絨毯で運べたが、それでは意味がない。何より、ここでプライドを連れて行ったとしてもどうせ無駄になることも自覚していた。
そして、今の彼にケメトとセフェク、そして重傷のレオンを守りながらティペット達を相手に守り切れる自信もない。特に姿も気配もないティペットは彼にとっても厄介だった。
……確実に、それまではもたねぇ。
言葉にせず、頭の中だけを冷やしてヴァルは考える。
プライドの言葉を無視するようにセフェクとケメトに周囲を警戒させた。もし、隠し扉や人影が出たらすぐ教えろと伝えながらレオンを壁にもたれかからせる。
「良いの?私を殺さなくて⁇せっかくの機会なのに。アッハ!もう二度とこんな機会ないかもしれないわよ?」
敢えて挑発するように投げ掛ける。
プライド自身、今の自分個人の状況が不利なのはわかっている。だが同時に、深傷を負ったヴァルが自分を運ぶ事ができないのであろうこと、彼が重傷のレオンを置いていかないことも、……そして自分を殺せない理由があることも今の状況で理解していた。
自分を殺そうとすれば、最初の時に首を締めて殺せていた。ケメトの特殊能力を使わずとも、彼がその手で自分を縊り殺すことは容易なのだから。にも関わらず、自分を殺さず、置いて逃げようとするということは彼にその意思がないということだ。
だからこそ、彼女は引き止める。自分を餌にしてでもヴァルを引き止め、逃すことなくティペット達に一人残さず捕らえさせるその為に。
「私が憎いでしょう⁈殺したいと思うでしょう⁈まさか私に何をされたか忘れちゃったのかしら⁈」
命じ、踏み付け、弄び、ケメトとセフェクを殺させようとした。その時の怒りをヴァルが覚えている筈だとプライドは確信を持って声を荒げる。ヴァルが、家族である二人を奪おうとした自分を許すわけがない。それほどに大事な存在だと、自分はわかった上で彼から奪わせようもしたのだから。苦しみ、嘆き、絶望するその姿を見る為に。そして
今日という日に憎まれる、その為に。
最高の幸福な結末を彩らせる為に彼を、そして彼の大事な存在を道楽で殺そうとした。
許されることではない、むしろ許さないことだからこそプライドは嬉々としてそれをやったのだから。
プライドの呼び掛けに、ピクリとヴァルの肩が動いた。初めて彼女の言葉に反応して小さく振り返る。餌に釣られたかと確信し、更にヴァルを挑発する。ヴァルを捕らえたい、レオンの心臓を抉り出したい、セフェクとケメトをヴァルの目の前で嬲り殺したい。欲求を満たす為に己が危険も顧みず、彼女は更に叫び続ける。
「どうやって契約を解いたかは知らないけどッ‼︎二度と貴方にこんな機会はないと思いなさい‼︎‼︎」
ヴァル、逃げないと!また誰か来ちゃうわよとケメトとセフェクが引き止めるべく壁際から呼び掛ける。
ヴァルは二人にレオンと一緒に待つように言いつけると、大股でプライドへ歩み寄る。ボタ、ボタと歩く度に止血もされていない彼の傷から血が溢れ出た。時々覚束ない足取りになりながら、プライドの前まで来たヴァルは再びその場にしゃがみ込む。
鋭い眼が彼女に近付き、まだティペット達は来ないのかと目だけで一瞬隠し扉を確認した。さっきから一度も開く気配すらない。ヴァルの凶悪な顔と鋭い眼は今にも自分を殺しそうだと思う。
大丈夫、彼には自分をまだ殺せない。連れてもいけない筈だと自分に言い聞かせながらプライドは「……ねぇ?」と更に言葉を重ね、吐きつけるように問い掛ける。唇を両端に裂き、拘束されているとは思えないほど優越感を放った笑みで。
「それでも私を置いて行く?」
「………………。」
返事は、なかった。
無言でプライドを見下ろし、ギラリと冷たく光る目だけが闇夜に溶け出していた褐色肌から引き立った。早く!逃げるんでしょう⁈と背後のケメト達に叫ばれながらもヴァルは動かない。何か考えるように自分を眺めるヴァルに、思惑通り彼が自分を殺すか否か、それとも連れ出す方法でも考えているのかと思った、その瞬間。
ヴァルは、おもむろにプライドの流れる真紅の髪を搔き上げるように掴み上げた。
突然髪を乱暴に引っ張られ、流石にプライドも小さく声を上げる。束でゆっくり持ち上げられたから痛みはなかったが、僅かに頭が浮かせられるような感覚と髪に覆われていた首から肩が夜風と外気に晒され、ぞわりと総毛立った。それでも凶悪な顔で無表情に自分を見下ろすヴァルの姿にまさか本気で殺す気かと思う。またはやり返しかと。あの時、ケメトとセフェクを殺させようとした日に自分がヴァルにやったように、これから頭でも蹴られるのかとプライドは今から身構え
─ た、瞬間。剥き出しの首筋にヴァルの歯が舌ごと這った。
「ッッ⁈‼︎」
痛みはない、包まれるような生暖かくぬめりとした感触に声も出ない。
何が起こったのか、至近距離に近づいたヴァルの顔も今はその顎と首筋しか彼女の目には入らない。何をされているのかを遅れて理解してからは、まさか噛み千切られるのかとも思ったが、違った。柔らかく突き立てられた彼の牙のような歯はそれ以上肌を刺さず、夜風で冷えた筈の首筋がヴァルに咥えられた部分だけが生暖かく、不自然に身体中に熱を帯びさせた。深く残されたその口付けに思わずプライドは喉を鳴らす。
やっと彼の顔が離れた後も、彼女は見開いた目が閉じられなかった。丸く開いた瞳で、疑問と共にその口付けの意味を考える。そして
「………………今だけは置いて行く。」
掠れかけ、ざらついた低い声が彼女の耳へと直接注がれた。
口付けの後のそれに思わず肩を微弱に震わせながら、プライドは漏れそうな声を押し殺した。瞬きを忘れたまま、彼女は静かに先程の口付けの意味を思い出す。
─ 〝執着〟の……誓い。
「……戻ったら。…………そん時はまた、テメェの奴隷だ。」
低めながら、囁くようなその声色は妙に優しく、憎しみの色はなかった。
意味がわからない。自分を殺したい筈のヴァルが、憎んでいる筈のヴァルが何故いまそんなことを言うのか。
〝執着〟が、自分の命を狙い続けるという意味であるのなら、余計に今の言葉は矛盾している。
再びヴァルが戻って来たら、何故自分に隷属するつもりだと宣言するのか。それともまさか彼までもがレオンのように、と。そう考えが及んだ時には既にヴァルが遠のくように顔を上げた後だった。どういう意味、何のつもり、なら今奴隷に戻りなさいなと疑問も皮肉も急き立てるようにやっと口が動いたが、ヴァルはやはり答えない。
掴み上げた髪をばらりと手を開いて離され、長い真紅が首や頬だけでなく目にも数本かかった。見開いたままの視界が細く遮られながら、声を荒げてヴァルを睨む。だが彼は無言のまま、その頭に手を置くと指の腹で一度だけその額を撫でた。皮肉そうに口元だけで笑み、鋭い眼差しが俄かに優しい光を宿したことにプライドは目を疑った。何故そんな表情を向けるの、と疑問と驚愕が混ざり合い、一度言葉を忘れた。ヴァルが手を引き、ゆっくり立ち上がってからやっと疑問よりも焦燥が優った。
待ちなさい、奴隷のくせに、いま殺さなければ二度と機会はないわ、セフェクとケメトもまた殺しちゃうわよ、と向けられた背中に投げつけても反応すら返されない。ボタボタと大粒の血だけが痕跡を残すように彼が通った石畳みを汚していく。
折角の獲物が、自分の手を下す前に逃げていく。
お楽しみ用のレオンが、とどめを刺す前に回収されていく。
暴れ、怒号を吐き、それでも拘束は解けない。秘密道具‼︎アダム!将軍は⁈役立たず‼‼︎︎と、とうとうまだ助けに来ない彼らに叫ぶが誰も来ない。その間にもヴァルは壁際まで移り、もたれかけていたレオンを重そうにしながら肩へ担いだ。担ぎきった途端、ブシュリと傷口から更に血が溢れた所為でセフェクとケメトが悲鳴をあげた。心配する二人の言葉も無視し、ヴァルは能力で背の高さほどある壁を左右に退けさせた。壁の一部を操り、壁面を滑る足場を作りそこに乗る。セフェクと手を繋ぐケメトの手を片手で掴み、塔の下へと降下していった。今度こそ一瞥もなく、まるで本当に捨てていくように拘束したプライドを置いたまま。
四人にあっさりと逃げられたことにプライドは身震いが止まらない。
顔が怒りで赤くなり、歯を食い縛る。ラスボスである自分が、モブキャラのような小悪党にレオンを奪われた。バッドエンドを迎えさせる前に目の前で掻っ攫われた。隷属の身に自分が唯一落とした人間に逆らわれてのこの体たらく。自分が敗北して良い相手はヴァルではないというのに。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すと、頭の中で百は繰り返す。だが、自分が彼に会う事は恐らく二度とない。
自分は今日、攻略対象者に殺されるのだから。最強である筈のラスボスが、その前に一つの敗北を抱えたまま死ななければならない。最強だった筈の自分の唯一の汚点。心拍が酷く遅れて聞こえ、拘束されたままの手でぎゅっと握り拳を作り、そしてとうとう屈辱に耐え切れずプライドは喉が裂けるほどの声で張り上げた。
ああああああああああああああああああああッッ‼︎‼︎と金切り声のような怒声が吐き出され、空に散る。
麻酔が解けたアダムが血相を変えて隠し扉から現れるのは、ヴァルが一定距離離れたことで拘束が砂に戻ってから間もなくのことだった。
……
「ッちょっとヴァル‼︎もう少し速度をっ……これじゃあ何処走ってるかもわからないじゃない‼︎」
人にぶつかったらどうするの⁈と、セフェクが叫ぶ。
塔を降下してすぐに肩から降ろしたレオン、そしてセフェクとケメトの足元を固定したヴァルは高速で地面を滑らせた。今まででも滅多に出したことのない超高速に、足元を固定されても重量に煽られ二人はフラついた。ヴァル自身、レオンを降ろした時の体勢で地面に片膝をついたままだった。二人も立っているのが難しくなり、埋まった足元をそのままにしゃがみ込む。
「ヴァル!止血しましょう‼︎すごい血がっ……‼︎」
今度はケメトが悲鳴を上げた。
隣から腕を引いて必死にヴァルへと呼び掛ける。片膝をついたままのヴァルの腹からは血がボタボタと溢れ出し、地面に次々と吸われていっていた。それでもやはり答えない。ケメトに引かれるままにグラグラと揺れながら、俯かせた顔で何も反応を示さなかった。その間も高速で滑る地面は暴走するように進み続ける。ひたすら真っ直ぐに、救護塔の方向へと一直線に走り続け、そして急激に速度が緩まった。
セフェクの言葉が届いたように、一気に速度を落とした地面がそれでも進み続ける。
既にプライドのいた塔も殆ど見えなくなり、セフェクが振り返っても闇夜に解けて遠目からは何処にあったかもわからなくなった。もう離れたから一度止まって止血をと、彼女からも声を掛ける。すでに地面が足元にある今、レオンと同じように止血する為の砂も土もある。自分の服を破り、セフェクが固定されたその場から手を伸ばす。ヴァルの傷口に届かず、隣にいるケメトへ代わりに渡す。ケメトはそれを受け取り、動こうとしないヴァルの傷口へ当てようと手を伸ばした瞬間。
グラリ、とヴァルの身体が大きく揺れた。
片膝を付いた状態から横に崩れ、糸が切れたように倒れたまま動かなくなる。
えっ⁈ヴァル‼︎と二人が同時に叫んだ直後、今度は足元の地面が揺れ出した。特殊能力が途切れ、勢いよく滑っていた地面が推進力を失い、グラグラと揺れ、更にはセフェク達の足元を固定していた土も硬さを失い、サラリと彼らを手放した。悲鳴を上げ、振り落とされそうになりながらヴァルとレオンを掴まえた二人が堪え切った時には、盛り上がっていた地面が歪に崩れ、最後には放り出された。既にヴァルが速度を落としていた為、放り出されても怪我は無かったが、顔を上げた二人はそれどころではなかった。
「セフェク‼︎血っ……ヴァルが!レオンが‼︎血がっ……‼︎」
ケメトが最初に気付いた。
倒れ込んだままのヴァルから、夥しい量の血が溢れ出ている。更には隣に転がったレオンもまた、再び血を流し始めていた。ヴァルの特殊能力が切れた所為で止血の為に締め付けていた砂が解けてしまい、止められていた血流が勢いよく流れを取り戻していた。
二人で布を当て、力を込めて縛るが血の量はおさまらない。誰かっ……と叫んだが、周りには誰も見当たらない。遥か遠い城門の方角には戦闘の音や騒がしい声が聞こえるが、二人で彼らを背負って行けるわけもない。自分達が具体的に何処にいるのかもわからない今、音のする城門以外は何処に人がいるのかもわからない。その間にもぱたぱたとヴァルからもレオンからも血が滲み、溢れ出す。どうにも素人手では止まらない重症と血の量に二人は見ているだけで息が止まりかけた。
ティペットに刺された時点から、ヴァルは既に限界に近かった。
普通ならば歩けない。レオンを担ぐどころか、言葉を交わすことすら難しいほどの致命傷をティペットに負わされたのだから。
刺されたとわかってすぐ、ヴァル自身もそうだと自覚していたからこそ逃亡を決めた。もしあそこでプライドを連れて行ったとしても自分の意識が途中で途切れてしまった瞬間、彼女の拘束は解けてしまう。そして、自分が気を失えばプライドの手によってセフェクとケメトにまで危険が及んでしまう。だからこそ彼はプライドを置いていった。
そして必死に逃げた。一秒でも速くプライド達から離れた場所へ。少しでもケメト達を安全な場所へ避難させる為に。
ヴァル、ヴァル、死なないで、誰か、誰か、と混乱状態になったセフェクが倒れたヴァルの身体を揺らす。ケメトが近くの建物を確認し、誰かいないか見てきますと声を上げて駆け出したが、セフェクが呼び止めるより前にすぐ彼は立ち止まることになった。
突如として目の前に現れた、二人の〝敵〟に。
ケメトは見上げたまま言葉を失い、セフェクは再び悲鳴を上げた。
その悲鳴を聞いても尚、ヴァルはぴくりとも動かなかった。




