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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
ラスボス女王と叛逆

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543.貿易王子は探り、


「………なんだか、入っちゃうのが申し訳ないな。」


外側から扉を閉められながら、僕は思わず一人で呟いた。

女王の私室。

とうとうここまで来てしまった、とそう思う。

代々女王の為に設けられた部屋であり、そして現女王のローザ・ロイヤル・アイビー。最後はローザ女王の席を奪ったプライドが使っていたという部屋。今いるのはその一角でもある寝室だ。

緊急事態とはいえ、本来ならば第一王子とジルベール宰相にも許可を降ろせない筈のその場所に他国の王子である僕が足を踏み入れることが躊躇われる。できればこの部屋だけは控えたいと後回しにしていたのに。だけどもう王族の宮殿も確かめて、王宮も本陣の部屋以外は全てめぼしい場所は調べ尽くしてしまった。

せめてと、他の部屋を回った時と同様に護衛の騎士達には部屋の外へ控えて貰った。本来、王族の部屋は本人の承諾なく大勢に踏み荒らされて良い場所ではない。それにやはり一番〝そういうの〟に可能性が高いのは王族の私室だ。


広々とした、豪奢な女王の部屋はとても整えられていた。

多くの調度品が整頓されて並べられ、全身を映す鏡は汚れ一つなく輝いている。衣装部屋と別にある造りの良い衣装棚や上等な椅子にソファーにベッド。上質なカーペットだけが踏み荒らされた跡が残り少し汚れていた。恐らく、プライドの捜索の為に衛兵が入った時だろう。全てが終わったら全て張り替えるんだろうなと思いながら、窓の外を見る。大分陽も陰ってきている、まだ城に侵攻は許してないようだけれど、暗くなる前に彼女達を探さないと更に捜索は難しくなる。下手をすればラジヤ帝国軍を殲滅しても出てこない可能性すらある。


「まぁ、よくあるのだと……この辺かな。」

先ずは当たり障りのない場所から確かめる。

壁を中心に軽く叩き、調度品や絵画の背後、ベッドの下を確認する。だけど、こんなわかりやすいところだったら衛兵やステイル王子、ジルベール宰相も見つけているだろう。……いや。ジルベール宰相なら見当がついていてもー……


『レオン王子の頭脳と王族としての視点から捜索を願いたいのです』


「あ」

自分で疑問に思って、先に答えが出た。

思わず間の抜けた声が出てしまったのが恥ずかしく、片手で口元を隠してしまう。……やはり、ジルベール宰相も〝そう〟思ったということか。と理解した僕は一度目を瞑り、深呼吸で息を整える。

ジルベール宰相も目星はついている。ただ、あの場で公言するのは難しかった。そして何より予想がついているだけで、確証もなければ具体的にも知らないのだろう。






秘密の隠し通路なんて。






あると噂されても、実際にあるかどうかは別だ。

むしろある事が知られていては隠し通路の意味がない。何かしらの緊急事態が城に起こった時、人知れず女王が敵から逃れる、もしくは身を隠す為の隠し通路。あるとすれば最高権力者がよく使う部屋の何処か。……国王である僕の、父上のように。

僕だって王位継承権を正式に得てから、母上すら知らないあの通路を教えて貰ったのはつい最近だった。フリージア王国もそうだとすれば、きっとこの国で知るのはローザ女王と第一王位継承者のプライドくらいのものだろう。

アネモネ王国の城よりもずっと大きな城だし、もしかしたらプライドの部屋や宮殿ごとにあるんじゃないかとも考えたけれど、少なくとも僕の目には見つからなかった。隠すのが上手いのか、最初から一つもないのか、それとも我が国と同じく王位継承者にしか知らされないような場所にあるのか。

手探りで部屋中の至る所を探しながら、……王族というのが皆同じ考えだとしたらと。ある一箇所を念入りに確認する。これか、これか、これかと確認し、それでもなかった。やはりアネモネ王国と同じ場所というわけではないらしい。ならば、後は同じような発想のところだろうか。

通常はうっかり手が触れない場所。金目の盗難目的でうっかり見つからない場所。部屋の掃除をする侍女や従者、衛兵にも触れられる心配のない場所。


「部屋が先ず広いからなぁ……。」

壁に寄り掛かり、腕を組んでぼやいてしまう。

流石は大国フリージア王国の女王。

他の王族の部屋も見たけれど、どれも絢爛豪華な上に部屋自体の大きさすら僕らアネモネ王国とは段違いだ。本来ならば僕が一生入ることを許されない聖域でもあるん……、……。


「……いや、……あったんだな。本当は。」

僕が、フリージア王国の王配になっていれば。

そうすればこの部屋は妻であるプライドの部屋なのだから、入ることもきっと他者より容易だっただろう。

公務で疲れた彼女の部屋に訪れ、肩に手を置き、侍女の淹れたお茶でも出して労って。そして共にフリージア王国の空を見上げ、毎晩のように寄り添いながら愛を語り合っただろう。とても幸福で、……地獄のような未来だ。

夢のようで、悪夢のような未来。本当に、それは彼女がいなければ現実だった。

プライドと寄り添い合う未来が過ぎり胸が痛んだと思えば、今度はこの窓からアネモネ王国へ想いを馳せるだけの未来が過ぎり、ぞわりと悪寒が走った。

彼女がいなければ。プライドでなければ。……今日まで何百何千と考えたことだ。

女王となった彼女とこの部屋で共に過ごす時間もきっと幸せではあっただろう。だけど、きっと何があっても僕は満たされない。いくら彼女に触れ、顔を埋め、この胸に抱き、何晩もの甘いひと時があろうともきっと僕は




『さぁ、愛しいレオン。折角この隠し通路を見せてあげたのよ。今日ぐらいはちゃあんと私の役に立ってちょうだいね?』




─ッッ⁈

ぞわっっ‼︎と。……急激に、身体が寒くなる。さっきの悪寒とは比べ物にならない冷たさと、恐怖がこみ上げる。ガタガタと小刻みに身体が震え、自分の腕をぎゅっと力の限り抱き締める。


『簡単よ?ここから先に誰も通さなければ良いの。……剣の使い方くらいわかるでしょう?』


何が何だかわからない。

ただ呼吸が勝手に荒くなる。ハァ、ハァッ……と肩を使って意識的に息を吸い上げて吐き出した。その度に息すら震え、心臓が酷く音を鳴らす。何も、理由が思いつかないまま「怖い」という恐怖にばかり襲われる。何故?今更、僕が怖気付いたとでも⁇そんなわけない!僕は、僕はプライドを絶対に……


『さぁ、行きましょう?早くしないとあの子達が来ちゃうわ。アダムが足止め程度はするでしょうけど、次は貴方よレオン。その後にステイルや騎士団長もいるし、死んじゃっても構わないわ。……ただし。』


怖い怖い怖い怖い怖い……‼︎‼︎

目が勝手に強く見開いたまま瞬きもできなくなる。悲鳴をあげたい衝動を歯を食い縛って必死に堪える。顎や唇どころか全身が震え出した。何かの病かと心配になるほどに拍動も震えも寒気も止まらない。耐え切れず自分を抱き締めたまま、その場に両膝をついて座り込んでしまう。


『ティアラ達をもし通したら貴方の故郷がどうなるか。……アッハ。言わなくてもわかるわよねぇ?王子サマ。』


いやだいやだいやだいやだいやだ‼︎‼︎

首を力の限り横に振る。吐くような拒絶感まで込み上げてきた。

胸元を震える手で掴み、瞬きもできなかった目を必死に力を込めて何とか瞑る。視界が黒くなり、それでも言い知れない恐怖感は消えない。筋肉がこれ以上なく強張ってくる。鼓動の音が大き過ぎて部屋中に木霊してるかのようだった。駄目だ、なんで突然、こんなっ……‼︎これじゃあ隠し通路を探すどころじゃない!本気でこのまま意識までとんでしまいそうになる。駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ!僕はっ……アネモネ王国の王子として!盟友として‼︎絶対に、絶対に彼女をっ……
















『なら、アネモネ王国も民も幸せね』














─ どくん。


「ッは……‼︎……、……ハァッ……、……っ。……プラ………イド……っ……?」

……突然、彼女の言葉が頭に蘇った。


『だって、こんなに愛してくれる人が将来の伴侶なんだもの!』


まるで枯れた地に水が注がれたように、心を満たされる。

過呼吸になりかけていた身体が、嘘みたいに正常に酸素を取り込み息を吐き出してくれた。掴んでいた胸元から手が解け、代わりに煩かった心臓を押さえつけるように手を置けば、とくんとくんと静かに鼓動していた。強く瞑り過ぎた目からは、開いた途端に涙が溢れてきた。ほろり、と大粒が二滴頬を伝う。



─ 君はまだ覚えていてくれるだろうか。僕が愛した花の名を。



願いにも似た想いが過ぎる。

自分の呼吸音を耳で確かめながら、彼女の言葉がいつのものだったか考えを巡らす。その途端、まるで目の前にいるかのように彼女の、プライドの眩しい笑顔が浮かび上がった。美しく着飾り多くの男性に求められる中、彼女はこの僕の手を取ってくれた。


『レオン。…貴方と踊れて良かったわ』


そう、言ってくれた。他ならない彼女が、この僕に。

息を整え、目を拭う。最後に大きく息を吸い上げれば、まるで全身に行き渡るかのようだった。

身体が、動く。強張っていた筋肉が緩み、膝をついた状態から片足でカーペットを踏みしめればちゃんと力が入った。


「……………愛してる。」


君を、この世の女性の誰よりも。

言葉にして唱えてみればさっきまで殆ど役に立たなかった頭が冷えるように澄み切った。

まるで、彼女の存在自体が光かのように内側を優しく照らし、冷え切った身体を末端まで血を巡らせた。……一体、いまのは何だったのだろう。

あまりにも恐くて、辛くて、……死んでしまいたくなるほどの恐怖と絶望感だった。まるで悪夢という名前の雫が、落ちた途端霧になって消えていってしまったような感覚だった。感情を揺らされただけで後には残らない。何故、僕はあんなにも……。

口元に指を添えながら考えていると、ふと視線の中に女王の為の化粧台や衣装棚が目に入った。さっきから目に入っていたというのに今は無性に気にかかる。……そうだ。

女性である女王くらいしか使わない。更には侍女達にも下手には触れない。あとは、この中で金目の物にも縁が多そうなのは…!

立ち上がり、一歩一歩それに近付いた。我が国の国王の隠し場所はあそこだった。ならば、女王が隠すとすれば……たとえば。


カチッ、と。


手探りで探してみれば、ある一点に指が引っかかった。

これは、と思い確かめてみれば、あった。隠し通路への仕掛けだ。父上に教わった時のようにそこをずらし、押して、最後に引いてみれば、人ひとりが通れるほどの大きさをした入り口が開けた。……どうやら、やはりどこかへ繋がっているらしい。

真っ暗だけど、入り口を通ればわりと広々した通路だ。部屋から一つ灯りを拝借してから覗いてみればまだまだ奥に続いて



「ッ貴様‼︎なッ何故ここがっ……!レオン……王子だと……⁈」



……………………あれは。


537.

411.

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[良い点] この夢はなんなんだろうなぁ
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