表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
ラスボス女王と叛逆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

654/2278

541.王弟は確認し、


「……おい、王女!一体全部でいくつあるんだ⁈」


城内。

ヴァルは苛々と塔の前で荷車に肘をつきながらティアラへ唸る。

塔から出てきてすぐ息をはぁはぁと切らせたティアラはヴァルの言葉に「たくさんっ……」とだけ答えた。ティアラと護衛の騎士と共に塔から出てきたセドリックが代わるように正確な数を答えればティアラと、あまりの数にうんざりするヴァル二人に同時に睨まれた。セフェクとケメトが「そんなに⁈」「まだ五つ目ですよ!」と驚くが、ティアラは揺るがない。


「次のっ……お願いします!」

額をこれまで以上なく汗で濡らしながら叫ぶティアラに、ヴァルは顔を顰めて不満を露わにするが逆らう余地はない。再びセドリックとティアラ、そして護衛の温度感知の特殊能力を持つ騎士と共に地面を荷車ごと滑らせる。


「王女サマが逐一確認しなくても、騎士だけで良いじゃねぇか。……いっそ俺の方がさっさと済ませられるんだが。」

「駄目ですっ!私達が、……行きます!騎士の方は、……私の護衛で離れられませんしっ……。……それに、ヴァルには見張りと、この荷車を見てもらわないといけませんから…。」

未だ息を切らし、膝に手をついたままのティアラは軽く視線だけで背後の荷車を示した。

アネモネ王国からの補給と最新鋭の武器まで積み込まれた荷車。ヴァルがティアラの代わりに塔に上がるには荷車を一時放棄しなければならない。細い塔相手では荷車ごと上がった途端に折れかねない。だからといって地上に放置すれば、万が一にも城へ雪崩れ込んだ敵兵に奪われた時に大変なことになる。

ティアラの言葉に「別に荷車程度は奪われねぇように手は打てる」とヴァルは断ったが、それでもティアラは首を縦に振らない。「ヴァルはちゃんと待って、セフェクとケメトを守って下さい!」と返されれば、何も言えなくなる。低く息だけを吐きながら、ヴァルは再び次の目的地へ荷車ごと地面を走らせ、また数十メートル先で地面の動きを止める。「次だ」と短く答えると、再び特殊能力を解いてティアラとセドリックを降ろした。未だ息を切らしたティアラにセドリックが「大丈夫か……⁈」と声をかけるが、彼女はもう次の為に息を整えるので精一杯だった。

ふらついた足で次へと行こうとするティアラに、セフェクとケメトが休憩をするように呼び掛ける。それを眺めながらヴァルは「大体」と改めてティアラに投げ掛けた。


「主を探す為にどうして城中の塔を確かめる必要があるってんだ。」


ハァ……と、フラつきながら塔へと歩みを進ませようとするティアラと塔をヴァルは見比べた。

レオンと分かれてから、ティアラ達は城内の塔という塔を調べて回り始めていた。もう使われていない塔から、増築されたもの。低い塔から百メートル以上ある塔まで目についたものから選ばずに。

当然、塔の中を確認する必要がある為にも階段を登らないといけない。ヴァルであれば特殊能力で足元から石階段の上をエスカレーターのように上ることもできるが、ティアラとセドリック、そして護衛の騎士は自分の足だ。更には塔内に隠し扉や仕掛けがあればヴァルや騎士よりも王族であるティアラやセドリックの方が気付くことができる。

その為、ティアラとセドリックは塔内を一つひとつ登って調べ回り、頂上に登った後は外からヴァルの特殊能力で降りるを繰り返していた。

セドリックは未だしも、もともと体力は一般女性レベルのティアラに、重い団服と鎧を着ての階段登りはかなりの負担だった。


「……お姉様はっ……きっとそこに居ます……!だからっ…」

「なら王女の特権で衛兵や騎士共にしらみつぶしにさせりゃあ良いじゃねぇか。何でさっき王子や宰相に言わなかった。」

セフェクとケメトに支えられながら、それでもフラつく足で塔に向かおうとするティアラは、首を何度も横に降る。

その度に括られた金色の髪が左右になびいた。言葉では答えず、それだけでしか返さないティアラにヴァルは眉の間を寄せて見やった。セドリックも言葉に詰まるように険しい表情でティアラを見つめ、拳を胸の前で硬く握る。その時


足元に違和感を覚えるほどの地響きが起こった。


ヴァルの特殊能力ではない。

まるで何かが墜落か崩落した時のような一時的な地鳴りだった。ぐらり、と足元が揺れ、ティアラは今度こそ倒れ掛かった。切れた息で悲鳴も出ないままに立て直すより先にセドリックに背後から受け止められる。

セフェクとケメトは「何⁈」「今のはっ……?」と周囲を見回す。だが、今いる位置からでは全く何が起こったのかもわからない。ヴァルが片眉を上げながら同じように見回すが、少なくとも自分達の周りではないようだった。


「ヴァル殿、一度この頂上まで上げて頂けないだろうか?」

そう言いながらセドリックはこれから登る予定の塔に手を触れた。

塔の上から周囲を確認したいと願うセドリックに、ヴァルは面倒そうに歩み寄る。そのまま軽く足先で塔の壁面を蹴れば、ぼこりと足場ができる。そこにセドリックが乗れば、ヴァルは壁に手をつきながらセドリックを足場ごと塔の頂上まで一気に上げた。エレベーターのように足場が頂上まで素早くあがり、セドリックは塔の上から周囲をぐるりと見回した。

すぐある一点に注視して固まるセドリックに、ヴァルは下から「何かあったのか⁈」と苛立ち混じりに怒鳴る。それを受け、セドリックは一度頷くと合図することなくその場から飛び降りた。


「ッどう、やら!……城門の方でひと騒動起こっているらしい。」

ストンッ、と。騎士でも飛び降りたら怪我で済まないかもしれない高さに軽々と着地したセドリックに、ヴァル達は少しだけ驚いて塔とセドリックを見比べた。

口をあんぐり開けたままのセフェクとケメトに並び、ヴァルは七年前に崖から飛び降りて無傷だった王女を思い出し「これだから王族は」と口の中で憎々しげに呟いた。


「城、門……?」

セドリックの言葉にティアラが息を切らせながら顔を上げる。

カラム隊長達に何か、と続けたかったが喉が渇いて声が出なかった。セフェクがそれを見て心配そうに手から水を出すと、ティアラは礼を言ってその水を両手で掬い、喉を潤した。


「ああ、火柱が見えた。正確には城門から外に三十メートル離れた地点だ。攻撃の方向から考えて、恐らく火力武器か特殊能力者との戦闘だろう。」

特殊能力者、と喉を潤したティアラは深刻に呟いた。

とうとう特殊能力者の奴隷が城門まで辿り着いてしまった。その事実と危機に少しだけ彼女は肩を震わせる。

数時間前の国門から突入してきた奴隷。元を正せば自分達の国の奴隷被害者だ。既に捕らえた奴隷はヴァル達のお陰で安全が取れた国壁内に避難しているが城門の彼らはと。

城内ならば独房も牢獄もある。だが、城門からはかなり離れている為、移動には時間もかかる。その間にもし城門が破られれば。更に言えば保護対象者である奴隷を連行する為にも騎士がその場を一人は離脱しないといけない。今、この場での離脱は一人でも大きい。しかし危険な城門に保護対象者を捕縛したままなのも危険だとティアラは思う。

少し考えた後、ティアラは「ヴァル!」と彼らの方に顔を向けた。ティアラのその威勢に、面倒なことを頼まれそうだと先に予感したヴァルは嫌そうに顔を歪めて返した。


「今すぐ城門の様子を見に行ってくれますかっ!必要そうなら援助と補給の提供、保護対象者の捕縛や連行を手伝ってあげて欲しいんです。」

私達はその間にこの辺の塔を調べます。と続けるティアラにヴァルは正直な表情で返した。

一応、命令にはならないように言葉に気をつけてくれてはいるが、どうせ自分が嫌がってもティアラは曲げるつもりはないのだとヴァルはよくわかっている。


「……連中は騎士だぞ?しかも門を通った時には補給すら要らねぇと言われた。俺の助けなんざ必要ねぇだろ。」

「それでもです。本当に何も必要なかったらすぐに戻ってきて下さい。」

お願いしますっ!と続けるティアラを見下ろすように睨んだままヴァルは喉を反らす。

何故また騎士なんざの手助けを、と心の底から不満も残ったが、確かに今の自分が手持ち無沙汰なのも事実だった。ティアラ達が塔を登りきるまではずっと彼は外で待ちぼうけ。それなら、その間にでも城門を見に行く程度は大したロスにもならない。いっそ少しぐらい理由をつけて憂さ晴らしに暴れてくるのも良いかもしれないとも思う。

セフェクとケメトが「行ってあげれば良いじゃない」「僕も気になります!」とティアラを支持する中、セドリックはヴァル達に持っていかれる前にと既に使えそうな武器をいくつか手元に残すように選別していた。


……この王女は()()()めんどくせぇところで強情過ぎる……。


頭をガシガシと掻きながら、ヴァルは仕方なく了承した。

見回せば目の前の塔以外にも、その先に似たような塔がいくつも並んでいる。ここを確認しても無駄足だったら、そのままあの辺の塔を調べるのかと確認しながらヴァルとティアラは合流方法を打ち合わせる。最後にヴァルは荷車から選別を終えたセドリックに歩み寄ると、軽く睨んだ後に荷車から一つの武器を掴み上げてセドリックに差し出した。


「……使い方は知ってるか。」

「!あ……ああ、先程レオン王子に教えて頂きました。」

まさかヴァルから言葉を投げ掛けられるとは思わず目を丸くしたセドリックは、少し驚きながらも大きく頷いた。

既にいくつかは所持している、と団服の下に引っ掛けたそれを見せれば、ヴァルは溜息を吐いた後にそれをティアラに投げ渡した。


「王女。テメェの為に仕方なく、だ。良いんだな?」

念を押すように言うヴァルに、投げ渡されたそれを両手で受け止めながらティアラは強く返した。

セドリックは少し首を傾げたが、彼の反応に構わずヴァルは二人に背中を向けた。荷車の傍に立ち続けるセドリックを「邪魔だ」と軽く睨んで退かすと、その場を中心に地面を盛り上げる。セフェクとケメト、そして荷車のみを乗せた地面は勢い良く城門の方へ滑っていった。

ぽつん、と残されたまま暫く彼らの背後姿を眺めるティアラにセドリックはちらりと目を向けた。少し躊躇うように口を結び、そして次にはそっと声を掛ける。


「ティアラっ……お前は、ヴァル殿と」

「行きますよセドリック王子っ!早くお姉様を見つけましょう!」

敢えてセドリックの言葉を上塗りするように声を張るティアラに、「わ、わかった」とセドリックは簡単に押されてしまう。

自分を置いて行かずに連れようとしてくれたことに、小さく安堵しながらセドリックはティアラに続いて騎士と共に塔へと入っていった。施錠されていた鍵と鎖を銃で撃ち壊し、螺旋階段を登って行く。疲労と早くも筋肉痛で悲鳴を上げる身体に構わず、手摺を掴みながら一歩一歩隠し扉や仕掛けは無いかと注意深く進む。


「お姉様っ‼︎」


プライドに、会うために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ