531.配達人は意志で動く。
「ヒャッハッハッハッハッ‼そう︎簡単に逃すかよ!」
大量の瓦礫を操り壁を作れば、その振動が俺の足元を揺らした。
巨大な壁が行く手を阻み、壁の向こうのガキが「ッきゃあっ……‼︎」と情けねぇ悲鳴を漏らした。壁を壊そうとまた剣を突き立てて来たが、腕っ節で壊せるような柔な構造もしていねぇ。情けねぇ馬鹿なガキに壁の向こうから俺も吐き捨てる。
「可愛い王女サマには気の毒だが、テメェみたいな甘ちゃんは反吐が出るほど嫌いでね。」
その途端「ッお怪我は⁈」とまた別の馬鹿の声が飛び込んでくる。
もう追い付いてきやがった、どうやらさっき追い掛けていた後続の連中はやられたらしい。……まぁまだ主戦力は残ってる。
壁の向こうから今度はドン、ドンと拳で軽く叩くような音が聞こえてきた。それで叩いているつもりかと思うような音に顔を向ければ、壁の向こうから命乞いのような情け無い声を出してきやがった。
「ここを通して下さい‼︎お願いします!この国の未来が掛かっているんですっ!」
「ッ駄目ですティアラ様!そんなことをしてもこの壁はビクともしません……!」
間抜けなガキ共を壁の向こうから嘲笑う。
ンな安い説得で道を通してやるような奴がいるわけねぇ。俺が笑い声を上げている間も王女は「お願いっ……通して……‼︎」と声を上げ続けた。ここまでくりゃあ滑稽だ。王女の嘆きに続くように今度は男の方から「ここを通せ‼︎お前もフリージアの民だろう⁈」と声が上がる。
くだらねぇ、だから何だってんだ。王族ってのはそれだけで国の連中全員に崇められるとでも本気で思ってやがるのか。
「話を聞け‼︎この国の女王は我らがフリージア王国を奴隷生産国にするつもりだ!」
「貴方の大切な人も奴隷にされてしまうかもしれませんっ!私達はそれを止める為に」
「そりゃあ良い‼︎そうなってくれりゃあこっちも商売がしやすくなるぜ。」
腹の底から嘲笑ってやりゃあ壁の向こうから「そんなっ……」「人身売買の人間か……‼︎」と声を漏らした。
ここまで来て俺達がまともな生き方をしてる人間だとでも思ったのか。お綺麗な生き方をしてる王女には想像もつかなかったらしい。男の言葉に「人身……⁈」と知らねぇ言葉のように聞き返してやがる。更にはそれでもまだ懲りずに王女が「お願いします!この壁を解いてっ……‼︎」と壁を叩いてきた。言葉だけで望んだ通りになると思い込んでる王女に吐き気がする。聞こえるように鼻で笑い、壁に背を預けながら俺からも奴らに吐きつける。
「王族なんざ全員死んじまえば良い。」
なんでもかんでもテメェの思い通りになると思ってやがる王族が。
できるならこの手で殺してやりてぇが、依頼は〝生け捕り〟だ。王女共が道を引き返していねぇか壁越しに耳で確認しながら他の連中が来るのを待つ。暫くすればわかりやすく「ようやく追い詰めたぜ」と声が聞こえてきた。……これでふん縛って女王へ突き出せば、褒美にもあり付ける。
ぎゃあぎゃあと壁の向こうから騒ぐ音を聞きながら、壁に預けた背中を起こす。道を回り込んで連中に合流しねぇと手柄を奪われちまう。悔しいが腕っ節じゃあ誰一人にも敵わねぇ。
鎖の特殊能力者を始めとして、どいつも裏稼業じゃ名の知れた連中ばかりだ。下手に敵に回せば俺の方が今度は奴隷に回される。
面倒な道だが、裏通りと小道を使えば壁の反対側にも簡単に行ける。連中が手柄を持って行かねぇ内にと早足で回り込む。テメェで作った土壁の所為で遠回りしなけりゃあならねぇなんざ、間抜けな話だと思いながらも足を急がせる。
『貴方の大切な人も奴隷にされてしまうかもしれませんっ!』
クソのつく甘ちゃん王女が。
何でもかんでもお綺麗な言葉を並び立てれば涙でも流して言うこと聞くとでも思ったか。考えるだけで反吐が出る。俺達に依頼をしてきた女王の方がまだマシだ。
女王の、依頼。逃げた第二王女と匿っている奴も纏めて生け捕りにする。それだけで一緒遊んでくらせるだけの金にもあり付ける。……どうせなら嬲って殺せという依頼だったら最高だったんだが。
まぁ、仕方ねぇ。所詮は仕事だと思いながらやっと壁の反対側に回り込む。さっきの騒ぎが嘘みてぇに静かで、まさか本当に手柄を持って逃げられたかのかと曲がり角へ駆け込むと
「!お前はさっきの……。どうする?お前もこの連中のようになりたいか?」
全員、やられてやがった。
鎖の特殊能力者も真っ二つに斬られ、他の連中も地面に倒れたまま動いてねぇ。壁際で胸を両手で押さえた王女が怯えた顔で俺を見た後、俺に向かい剣を構える男へ声を掛けた。
「アーサーっ……!」
大丈夫です、と王女に言葉だけを返した男は剣を構えたまま俺から目を離さねぇ。
じりじりと距離を詰めながら「壁を解き、私達に道を開けろ」と迫ってきやがった。駄目だ、こっちは瓦礫が殆どねぇ。壁を作ったところで道幅を防げるほどの大きさは作れねぇ、回り込まれてすぐに殺される。
「……特殊能力は使い手が死んだ途端に解けるものもある。要求を飲まないというならば……。」
男の躊躇いのない蒼色の眼差しが俺を刺す。
王女に聞こえねぇように潜ませた声と目前まで突き付けられた剣は、どうみても俺を殺す意思しかなかった。喉を反らし、剥き出しにした歯をギリギリと食い縛る。一か八か、俺は特殊能力を解く。ガラガラと崩れ出す瓦礫音に王女が声を上げ、男が背後に目を向けた瞬間。
「ックソが‼︎‼︎」
吐き捨て、その場にしゃがみ込む。特殊能力を使い、少ない瓦礫でドームを作る。「なっ……!」と声を漏らした男は一歩引き、その間に俺の身体を瓦礫が覆った。しゃがみ込んだ身体を覆うので限界だったが、何とか瓦礫も足りた。ガン、ガンと試すように剣で叩いてくる音がしたが、砕ける様子はなかった。後は、酸素が足りるまでの間にコイツらがいなくなりゃあ……
「ッ急ぎましょうアーサー!今は早く城に向かわないとっ……!」
壁もなくなったわっ!と王女の声が足音と一緒に近づいてくる。
男もそれに応じるように言葉を返す。剣を鞘にしまう音がして、足音が一つ分離れていく。二つ分じゃねぇってことはどっちかはまだ近くにいるのか。
息を潜め、足音が確実に二つ分遠退くのを待ち続ければ、コンッと軽く壁に何かが当たる音がした。足でも当たったのか、大して厚くもねぇ壁だと軽い衝撃でも聞こえてくる。身構えながら、音のする方向を睨み続ければ男の低い声がまた潜めるようにかけられた。
「……次はないと思え。命が欲しくば二度と我が国に戻ってくるな。」
「ッ……」
侮蔑と俺を見下すような声に、殺意が湧く。
歯を食い縛り、無言で返し続ければ「アーサー‼︎」という遠くからの声の直後、今度こそ男の返事と遠退く足音が続いて去った。
……ふざけやがって。
好きでこんな国に戻ってきたわけじゃねぇ。稼ぎが良くなけりゃあ死んでも戻って来たいなんざ思うかよ。
暫く待ってから特殊能力を解く。
思った通り、もう誰もいなかった。軽く転がっている連中を覗いて踏み付けてみたが、どいつもコイツもピクリともしねぇ。鎖の大男も傍についていた男と一緒に一太刀でくたばっていやがった。
コイツらが勝てねぇなら、女王の依頼も不可能だ。俺一人があの男に勝てるわけもねぇ。……なら、もう国から逃げるか。あの女王が失敗した連中を生かしておくわけもねぇ。どうせ俺の事なんざ覚えてもいねぇだろう。コイツらが死んだとわかりゃあ全員失敗だと思われる。
適当に目につく金目の物だけ連中から剥ぎ取る。それから踵を返し、連中に背中を向ける。いまのこの国じゃあ、道端で野垂れ死ぬ人間なんざ珍しくもねぇ。どうせ明日には誰かしらが
パァンッ!
聞き慣れた音の直後に、熱が刺した。
わからず見れば、腹に血が滲んでた。鉛玉を撃ち込まれたんだとすぐに理解した。貫通したのか、触れればベッタリと血がつきやがった。口から込み上げ、吐き出せばまずい量の血が散らばった。足に力が入らず膝から崩れる。蹲りながら背後を覗けば、連中の一人が煙の上げた銃を握ったまま突っ伏してやがった。……クソが。まだ生きてやがった。
当たり前だ、テメェだけ生き逃れようとする奴なんざがいれば道連れにするに決まってる。今更になって全員にとどめを刺しておくべきだったと後悔する。
蹲りながら、また血が口から吹き出る。いっそ心臓撃ち抜いてくれりゃあ楽に死ねたってのにクソが。
地面に倒れ、傷を押さえながら動けなくなる。まだ昼間だってのに信じられねぇくらいに寒い。
「……ク……ッが。」
……別に珍しくもねぇ。
この国じゃあ、道端で野垂れ死ぬ人間なんざ珍しくも。どうせ明日には身包み全部剥がされて、俺も連中も死体処理場に捨てられてる。……よくある話だ。
『貴方の大切な人も奴隷にされてしまうかもしれませんっ!』
甘ちゃん王女の言葉が嫌に頭に張り付く。
死ぬ前にもっとマシな言葉は思い出せねぇのかと思ったが、……そんな言葉、受けたこともねぇと思い直す。
クソ王女が。俺らみたいな人間にそんな奴がいるわけもねぇ。そういう人間だから生き延びてこれた。そういう人間だからこうやって死んでいく。俺達はそういう生き物だ。
手じゃ押さえきれねぇほどに血がドプドプ溢れてく。内臓をやられたらしいと冷えた頭で考えた。やっぱり所詮はこんな死に方かと思うと笑えてくる。何の意外性もねぇ、産まれてから死ぬまで思った通りの人生だった。
─ ……ああクソ。…………それでも
目を開けるのも面倒になり、睨んだ地面から瞑る。
痛みを堪えて食い縛った歯だけがガチガチと震えてくる。俺みてぇな奴はこうやって死ぬのがお似合いだと頭ではわかってる。
吐き出す息だけが、血生臭くも熱がある。もう死ぬと薄れる意識の中でそう思えば、問題なんざ何もねぇ。堕ちるところまで堕ちただけだった。思い残すこともやり残したことも惜しむものも何もねぇ。……だってのに。
─ …………………死にたくねぇ……。
最期の最後まで生に縋り付く。
本当にどうしようもねぇ、クソな人生だった。
……
「ちょっとヴァル!ティアラ置いて行っちゃって良かったの⁈」
……ああ、うるせぇ。
セフェクの甲高い声に叩かれながら国壁の上を歩く。寝不足の頭に響くってのに朝からぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあと。
今朝の胸くそ悪りぃ目覚めを思い出せばそれだけで疲れる。内容こそ覚えちゃいねぇが、目が覚めた途端に息を整えるのにすら苦労した。その上、まだ外は暗かったってのにもう目を閉じたくねぇ衝動にまで駆られて結局一睡もできなかった。
「ティアラなら騎士達やセドリック王子もいるから大丈夫じゃないかな。」
「?セドリック王子は強いんですか⁇」
俺の背後についてくるレオンにケメトが投げ掛ける。
あの馬鹿王子がまともに剣を振れるところすら想像がつかねぇが。レオンの「防衛戦では活躍したとプライドから聞いたことはあるよ」という言葉を聞きながら俺はやっと国門を目で捉えた。
目で見ただけじゃあ誰一人いねぇが、途切れねぇ銃声や砲撃音と一緒に「止まれ!何者だ⁈」「あれは確か配達人の……」「レオン王子殿下……!」といくつもの声だけが飛び込んできた。ここも全員特殊能力で姿を消してやがるらしい。姿も見せねぇ連中と話す気にもならず、適当に足を止めて睨めばレオンが「前、失礼するよ」と言って俺らの間を通って前に出た。
「アネモネ王国、第一王子レオン・アドニス・コロナリアです。ティアラ第二王女よりお話を頂き、援軍に伺いました。……どうか、姿を見せて下さい。」
レオンの言葉に、騎士共が姿を現わす。
見れば、既に跪いた状態でレオンに頭を下げていやがった。まだ砲撃や銃声は聞こえるってことはまだ姿を消してる連中もいるんだろう。レオンがうだうだと俺らのことや事情を騎士共に話している間、国門の下を覗く。国内は疎らに敵兵が雪崩れ込んじゃいるが、国外をみればその数百倍以上の軍隊が押し寄せていやがった。
煙に紛れて見える人並みにセフェクが「きゃっ……⁈」と声を上げた。ケメトが「この人達全員が敵なんですか?」と目を丸くする。それに一言で答えりゃあ口をあんぐり開けた。フリージア王国が敵の侵攻を許すなんざとは思ったが、この数をあれだけに減らしてんなら流石は化け物騎士団だと思い直す。
「……この下には本当にフリージアの連中はいねぇのか。」
国外を覗きながら適当に聞けば、姿を消している騎士から一言返事が返ってきた。
レオンへ目を向ければ、騎士と話しながらふやけた笑みで手を振ってきやがる。舌打ちで返し、更に国外の方へ崖淵まで足を進める。途中で誰か透明人間を踏んだらしく騒がれたが無視をする。ケメトが周りに謝り、セフェクが置いてかれねぇように俺の腕に両手でしがみつく。……うざってぇ。テメェは俺よりケメトに触れてねぇと役立たねぇだろうがと思いながらセフェクを睨む。するとセフェクに倣ってケメトまで俺を掴む手に力を込めてきやがった。どうにもこうにも離れようとしねぇガキ共にうんざりしながら俺は
滑り降りる。
軽く淵より先に足を伸ばせば壁面が盛り上がって足場ができた。
止める声より先に能力を使えば、足場が俺達を乗せたまま国壁を滑るように降下した。下からの風圧で被ったフードが持ち上がり、髪を舞い上げセフェクの長い髪が俺の顔に掛かる。地上に近付くにつれ、土煙と硝煙で視界が鈍る。流れ弾が何発か飛んできたが、全て荷袋の砂が弾き防いだ。
近づけば近づくほどにラジヤ共の殺気がかかってきやがる。「なんだあれは」「撃ち落とせ‼︎」「ガキから狙え」と似たような言葉がいくつも投げられる。今更怖じけたのか、セフェクもケメトも俺に余計引っ付いてきやがった。怯えるなら最初から留守番してやがれクソガキ共が。
銃弾は全て砂が弾くが、降りていくほどに連中の殺気は増した。地上に降りた途端、串刺しにするつもりだと見ればわかる。少なくとも俺ならそうする。そう思った瞬間、今度は連中の大砲がこっちに向けられた。流石に荷袋の砂だけで防ぐにはでか過ぎる。ここから飛び降りるか、それとも国壁で防ぐかと考えている内に砲撃手が頭上から狙撃された。見上げりゃあレオンだ。そしてその直後には
セフェクが大砲ごと敵兵を吹っ飛ばす。
「ヴァルとケメトに何するのッ……‼︎」
唸るような低い声で、連中をセフェクが睨む。
大砲も、その周りにいた兵士も全員がセフェクの放水で溺れるより先に吹っ飛んだ。
湿気りゃあ大砲も使えねぇだろいと思いながらセフェクを見れば、ケメトに俺へ回した腕を掴まれながら反対の手を連中に向けていた。俺らが着地する先の地面にいる兵士を水で吹っ飛ばし、流す。
滝が降ったみてぇな勢いと水量に、銃をもった兵士が慌てて逃げる。水を浴びたら銃も大砲もただの鉄屑だ。怯えていたわりには戦う気があるセフェクを鼻で笑い、とうとう地上に足が着く。セフェクの放水の所為でグチャリと泥に足が絡まった。
国壁に背中を付け、辺り一面にセフェクが放水を繰り返す。放水が届く範囲の敵は全員吹っ飛び、背後の兵を巻き込み倒れた。
なんだあのガキは、撃て、特殊能力者だ、さっさと殺せ、先に国内へとここから聞いてるだけでも指示が入り混じってやがる。耳をほじりながら見渡せば、先の見えねぇほどの数の兵士が押し寄せていた。俺らの周囲から離れた連中は国門を今も通り抜け、狙撃と砲撃に数を減らしながらも侵攻してやがる。
─ ああクソめんどくせぇ。
目の前の掃除する量を確認してうんざりする。ラジヤの大軍相手になんでこの俺がガキ共と一緒に立ってんだ。
半端な攻撃はセフェクを怒らすだけだとわかったか、放水が届かねぇ距離から兵士が銃を構えてくる。連中を睨み、さっさと憂さ晴らしをすると決める。雑魚共に構ってる暇なんざねぇ、まだ王女とレオンから以外フリージアの状況も全く知らされちゃいねぇんだ。別にラジヤが騎士共をどうしようとも構わねぇ。嬲ろうと殺そうともどうでも良い。国の連中やフリージア王国をどうしようとがどうでもー……、……
『今の私の足では…誰の元にも届かないから。お願い。どうか、一人でも多く』
……クソが。
こんな時に死ぬほどどうでも良いことを思い出す。今は一年前とは違う。主にはそんな命令も受けちゃいねぇ。もし、受けていたとしても〝今の俺には関係ねぇ〟ことだ。
『君も、フリージアから離れるのは嫌だろう?』
『生憎、俺には愛国心なんざ毛ほどもねぇ』
レオンにもそう言った。あれは嘘でもねぇ本心だ。
フリージア王国がどうなろうと関係ねぇ。単に主がこの国の王女だった、それだけだ。主が別の国の王女だったらここにも居なかった。全く縁もゆかりもねぇ連中の為になんざ身体を張りたくもねぇ。……だってのに。
『ッ貴方も、私の国民でしょう⁈』
「………。」
半端に頭に乗ったフードを払いのける。
頭を痛みが出るぐらいに引っ掻き、顔を上げる。数十メートル離れた連中を見渡せば、どいつもこいつも殺気立ってやがる。狙いは国か、王族か、略奪か。そう考えている間も国門へは変わらず敵兵が雪崩れ込む。コイツらの狙いがなんであろうと興味はねぇ、……ッ興味はねぇが……!
「人の国、土足で踏み荒らしてんじゃねぇよ……‼︎」
ドッガァァアアアアァォォオゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ‼︎‼︎
地鳴りが、轟く。
足場ごと揺れ、砕け、連中が恐怖に踊り出す。
開かれた国門を土壁で覆い尽くす。これ以上ラジヤの連中一人も潜らせねぇと俺が決める。
ボコバコと足場が崩れ出す。ケメトの力がどれだけ上がったのか確かめるのにも丁度良い。ふらつくケメトの肩に手を置き、セフェクと一緒に足場を固定する。もっと、もっとと望めば望むほど笑えるぐれぇに地が激しく揺れだした。粋がった野郎共が馬から落ち、立つこともできずに地面へ転がり四つん這いにしがみつく姿を見てやっと愉快になる。軍団の周りを地面が盛り上がり囲もうとすれば連中の足場が壁を作る分、地面が擦り減り俺たちの足場よりも下へ沈んでいった。全員一網打尽に覆っちまうのが一番だと思ったが、もっと楽な方法があると思い付く。
足で地面を踏み付ける。その途端、意思に呼応するように連中のいる地盤一帯がベコリとへこんだ。急激に足場が低くなったことで一瞬落ちたと感じたのがラジヤの響めきが広がった。間抜けな連中に向かい、心の底から嘲笑い、さらに力の限り踏み締める。
「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハッッ‼︎‼︎沈め雑魚共ッ‼︎‼︎」
─ 俺達の国から失せやがれ
27.88.84
266.299.115




