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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
傲慢王女と元凶

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484.衛兵は理解する。


「……ふぅん。」


くるくる、と手首を回しながらプライドは一人呟いた。

拘束を外した状態で、ベッドに腰掛けながら昨日捻られた手首の稼働を確認する。特殊能力者の治療後、大人しくベッドに拘束されていた甲斐もあり動かしても痛まなかった。試しにグーパーと動かしてみても、やはり問題ない。その感覚に満足げにニンマリ笑った。

ステイルは自分を止められない。

アーサーも昨日のことでもう動くことは許されない筈だと。ならば残すは騎士団の派遣だろうが、自分のことが外部に漏れるのを防ぐ為にもきっと上層部が躊躇うだろうとあたりをつける。そのまま、軽くストレッチをするように身体を伸ばした。

まだ侍女も入ってこない早朝に、両腕を伸ばして大きく伸びとともに欠伸をする。既にもう慣れたように寝衣の姿のまま立ち上がると、窓まで歩み寄った。そしていつものように外に通じる窓を開ける。そろそろ内側から施錠も固定されると思ったが、まだされない。固定されれば自分が窓を割って出るのも予想できているのだろうと考える。外を見下ろせば、やはり多くの衛兵が窓の下に集まり警戒していた。馬が見えず、隠したか乗ってこなかったのだろうと考え、そしてプライドは



軽い足取りで、窓を飛び降りた。



常人ならば死んでもおかしくない高さから平然と飛び降り、ストンと殆ど音もなく着地した。

当然、窓の下を見張っていた衛兵はすぐに赤い髪と残像に反応して構えた。が、彼女の敵ではない。

ニタァァァァッ、と笑みを広げる彼女はゆっくり衛兵へと顔を上げる。その不気味に歪んだ笑みに、衛兵達は物怖じせずに「プライド様が逃げたぞ‼︎」「王居に報告を」と後衛や周囲に伝達を広げる。プライドから目を背けずに、声だけを強く張った。目を一瞬でも逸らすわけにはいかない。一瞬でも逸らせば


「アッハ。」


にゅっ、と一瞬で衛兵の一人の足元へ滑り込んだプライドの顔が彼の視界から現れる。

突然の至近距離に背を反らす衛兵は声を上げた。王女相手に武器を直接振るうわけにもいかず、握る手に力だけを込めれば、背中を反らした勢いのまま彼は両肩を掴まれる。プライドが飛び上がり、細い足を空中で曲げた先には衛兵の顎があった。ゴンッと顎ごと脳を揺らされ、意識を手放す衛兵から槍を奪い取ると、プライドは真っ直ぐ王居へと歩み出す。

いつものように集まってくる衛兵を槍で振り払い、足元を引っかけ、手首を捻り、時には飛び上がって頭も狙う。


「ねぇ?いい加減に私を追うだけも飽きたでしょう?」


アハハッと笑いながら自分の前に再び立ち塞がりだす衛兵に、彼女は世間話のように語り掛けた。

ずっと自分の周りにくっついてくる衛兵は邪魔でしかない。それでも今まである程度手心を加えたのは、彼らに気を遣ったからではない。慣れない槍でうっかり殺してしまえば、確実に王位継承権を剥奪される。必要以上に怪我を負わせれば、次には新しい元気な別の衛兵と交代される。だからこそ、ある程度同じ衛兵に何回も追わせて疲労させた方が結果としては楽だった。だが


「私はその顔が見飽きたわ。」

捨てるようにそう言い放つと、プライドはケタケタと笑い声をあげながら槍を振るった。

飛び上がり、立ち塞がる衛兵の背後へ回り、槍で振り殴る。力の弱い彼女だが、振り向きざまに勢いをつけられれば大の大人もひとたまりもなかった。

更に近くの衛兵がその隙にと槍を手放し、自分の懐へと飛び込んでくる。両腕で彼女を掴んで捕らえようとする衛兵をやはりプライドは上へ跳ねて躱した。どさっと空振り、地面に顔をぶつける衛兵の背中へ真っ直ぐに着地し、踏みつける。ぐあっ、と突然の重みに声を上げる衛兵をプライドは素足で踏み躙った。

チャキ、と槍の刃先を首筋に突きつけられた衛兵は動きを止める。周りの衛兵達も下手なことをすれば、確実にその槍が動くと理解し、プライドへ制止の声を上げながら全員で彼女の周囲を囲った。

恐れ、まさかと武器を握り締めながら、彼女がどう動くかと全身に緊張の糸を走らせる衛兵と王女に命を握られ、僅かに槍の刃先から首を逸らす衛兵にプライドは口端を引き上げた。「まだやったことないのよね」と唄うように呟く彼女に、衛兵は目だけを上げた。そして



「ねぇ、刃が身体にゆっくり入っていくのってどんな感じ⁇」



裂くような口端と、爛々と光る紫色の目に血が凍った。

プライドに今まで何度も関わったことがある衛兵は、その笑みを目にしたことを後悔した。自分達が知るプライドと完全に別物の苛虐的な笑みに、彼女が皮を被った別物にしか見えなくなる。

恐怖と、そして第一王女という立場の相手に制止の声しか出せない彼らを、プライドは舐めるようじっくり眺めた。それから槍を衛兵の首から一度引き、今度はその背に突き立てる。コン、と鎧越しで刃は通らない。剣でなければ鉄を破れないプライドは、コン、コン、コン、とまるで確かめるようにわざとらしく衛兵の至る所を突いた。

プライドが何のつもりが察した衛兵は、いますぐ下敷きの状態から起き上がって彼女の足を逆に捕らえようと


「動けば首を刺すわ。……一番わかりやすいところだものね?」

チャキ、と素早く首にまた槍を掛けられた。

誰もがわかる、自分達の反撃や突撃よりもプライドの一撃の方が速いことは、痛いほど。


「貴方達も困るんじゃない?王女にみすみす人殺しなんて出させたら。」

アッハハハハハ!と吹き出すように嘲笑う。

自分の立場と、そして衛兵である彼らの立場も理解して。単に王女に怪我をさせることばかりが禁忌ではない。王女を止められないどころか、その手まで汚させるなど最悪の失態だ。プライドだけでなく王族の名すら汚しかねない。

歯を食い縛り「おやめ下さい!」と衛兵が口々に叫ぶ中、彼らの顔から汗が滴り顔色が青く変わっていくのをプライドは愛でるように眺めた。コン、コン、コン、と微弱に震える衛兵の鎧に刃先を何度も下ろし続けながら、最後に足元の衛兵へと笑いかける。


「大丈夫よ。ちゃあ〜んと死なないように痛くしてあげるから。」


ピタン、と。刃先がとうとう一箇所で止まった。その感覚に衛兵の全身がビクリと大きく震え上がる。さっきまでの鎧越しの感触ではない。鎧と鎧の隙間、服越しの生身があるそこに、プライドはそっと槍の刃先をなぞらせた。触れる程度の刃先はまだくすぐったい程度の感覚だが、そこにだんだんと圧力が加えられていく。

ちくり、という痛みがゆっくり、ゆっくりと己の皮膚を突き破ろうと進んでいく。「ァ……ップライド様……‼︎おやめ下さい‼︎プライド様‼︎」と下敷きになった衛兵が声を荒げるが、荒げれば荒げるほどに過重が増して痛みが強まった。

槍の刃先が皮を破り、とうとう血をうっすら滲ませながら肉を割いていく。その感触にプライドは裂いた笑みのままゴクリと興奮で喉を震わせた。

自分を嬲ろうとしている相手に、痛みと恐怖にどれだけこの衛兵が己が立場に沿った言動を保っていられるか。そして自分を捕らえようとしている衛兵達が、仲間である筈の衛兵をどこまで見捨て、次は自分がそうなるという恐怖まで思考が行くか。誰が先に恐怖から憎しみへと目の色を変えるかと衛兵の叫びに耳を傾ける。反応を待つように周りを囲う衛兵一人ひとりにも目を向け、槍を突き刺し続ける手に更に奥へと力をそそ









「ップライド様‼︎‼︎」









タタッと聞き覚えのある怒声と共に自分を囲む衛兵の向こう側から何かが近づいてくる音がする。

ピタリと槍を突き刺した状態で動きを止めたプライドは、痛みに悶え続ける衛兵を足蹴にしたまま顔を向けた。自分が向かおうとしていた王居の方向からそれは駆け込んできた。

ダンッ‼︎と地を蹴る音がしたと思えば、プライドを囲む衛兵を余裕で飛び越え、彼らとプライドの間に入るようにして彼は着地する。


「……あら、おはよう。アーサー。」


少し意外そうに笑んだ後、すぐにニタァァアとプライドは笑みを引き上げた。

鎧を着込み、昨日と同じく団服を羽織っていない彼は、静かに剣を構える。プライドが衛兵に刃を突き立てる姿に目を見開いた後、真っ直ぐとその剣を彼女に向けた。


「プライド様、その人を離して下さい。」

「離さなかったら⁇今度は骨でも折るつもり?」

痛かったわぁ……?と、心優しいアーサーが傷つくように大袈裟に彼女が声を上げる。

そして見せつけるように一度抜いた槍先を軽く上げて見せた。ゆっくりと刺し込まれていた槍先は無抵抗に抜けたが、裂かれた肉の間にあったことを主張するように槍先が二センチ近くまで血が滴っていた。呻く衛兵の声にか、それともプライドの言葉にか、険しく眉を寄せるアーサーは、静かな声色で口を開く。


「……折りませんよ。そのつもりなら昨日ちゃんと両脚を折っています。」

いつもの丁寧口調に反し、話す言葉は彼から想像がつかない程に恐ろしい。

衛兵達すらぞわりと肩を上下させる中、プライドだけが笑みをやめなかった。「その通りね」と楽しげに返しながら、やはりアーサーは自分に対してあの程度が限界だったのだと理解する。「じゃあどうするの?」とプライドがニタニタと笑いながら更に言葉を続け



「もう、警告しましたから。」



シュバッッ‼︎

空を切る鋭い音が、周囲の衛兵の耳にまで届いた。

アーサーが構えていた剣を投げ放った音だ。槍とは違う刃の大きさと、更には目でも追うことも難しいほどの速さにプライドまでも思わず身を反らし、僅か半歩下がるのだけは反応も間に合った。その一瞬の間に、放たれた剣はプライドの槍を弾き、勢いよく地面へと刺さった。

やられた、とプライドが思い、弾かれた槍かそれとも地面に刺さったアーサーの剣どちらを拾うかと目を向けた瞬間。アーサーは一気に駆け込み距離を詰めた。彼女が気が付き、振り返った時には既に懐まで潜り込まれた後だった。銃弾のように予知しようにももう遅い。残像に銀色の髪が走り、その蒼い瞳が自分の目と合ったと思った瞬間



重厚な振動が、腹部を襲った。



ズン、と腹部から身体中を振動させる衝撃にプライドは目を見開き、口から数呼吸分の空気を吐き出し、崩れ落ちた。

プライドへ腹部に掌を打ち放ったアーサーは、そのまま崩れる身体を腕で受け止め、もう片腕で彼女をそっと抱き抱えた。


「………………‼︎」

あまりにも一瞬でプライドを無力化してしまったアーサーに、衛兵は目を疑った。

昨日もそうだったが、今日は人質もいたにも関わらずの一瞬だったのだから。

アーサーは腕の中でプライドが気を失っていることを確認すると、今度は倒れたまま顔を上げている衛兵を覗き込む。「大丈夫ですか」と気遣うように声を掛ける声はいつもの彼だった。

衛兵には意識も、そして受け答えするだけの余裕もあることを確認すると、そのままアーサーは周りの衛兵に彼の救護をと声を掛けた。内臓や骨までは達していない刺し傷は、幸い激痛に悶えるだけで済んだ。すぐに止血をと衛兵達が集まり、彼を保護する。

その間にアーサーはプライドを抱き抱えたまま歩き出し投げ放った剣の場所まで行くと、空いてる片手で地面に深々と突き刺さったそれを軽く抜いた。それから応急処置を受けている衛兵の元へ再び歩み寄ると、彼の視界に入る位置まで移動しゆっくりと跪いた。


「……気付くの遅れてすみませんでした。昨日と同じとこで張ってたンですけど、まさか塔の梺でこんなことになってるとは思いませんでした。」

丁寧な口調で、本当に申し訳なさそうに語るアーサーに、怪我を負った衛兵だけでなくその周囲も目を丸くした。

あくまで、プライドの逃走妨害は自分達の役割だ。それを止められなかったことを責められるなら未だしも、助けに入ってくれた騎士に謝罪されるとは思わなかった。

いえ、そんな、ありがとうございましたと痛みに耐えながら言葉を返すが、アーサーはそれでも彼らにまた深々と頭を下げる。


「申し遅れました、自分はアーサー・ベレスフォードです。プライド様がご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。プライド様に代わってお詫びします。この程度で許されることではありませんが、……申し訳ありませんでした。」

この通りです。と何度も頭を下げるアーサーに、衛兵はとうとう虚をつかれてしまう。

何故彼がそんなにも謝るのか。

更に言えば、自分達に詫びられる権利などない。プライドを止めろという命令を遂行できず、逆に返り討ちに遭ったのだから。嬲ろうとしたプライドへの怒りよりも、自分自身への不甲斐なさの方が深刻なほどだった。


「いま、プライド様は自分が離れの塔までお送りします。」

それでは、とまた最後に頭を下げ、ゆっくりと立ち上がるアーサーに衛兵の何人かが声を漏らした。

「待ってくれ」と声を上げ、アーサーへと駆け寄る。プライドの回収も衛兵である彼らの仕事なのだから。手柄を奪うというつもりは全くないが、昨日もそうだったようにプライドを送迎するのは自分達の役目だと。説明し、彼からプライドを受けと






「できません。」






きっぱりと、静かに強い口調でアーサーは言い放った。

まるで切り落とすような言い方に、プライドを受け取ろうとした衛兵も手を広げたまま口が開き、固まった。

アーサーは顔を逸らすように他の衛兵を見回すと、プライドを片腕で抱き抱えたまま歩き出した。一体どういうつもりかと衛兵が声を再び掛けようとした途端、アーサーが「言い損ねました」と上塗りするように大きめの声を彼らに向けた。


「今、プライド様は少し気を失っているだけです。……多分、数分で目を覚ますと思います。」

ぎゅ、と軽くプライドに触れる指先に力を込める。

先ほど目にしたアーサーの掌打は騎士団で教わる技ではない。また、王族の護身格闘術ですらないそれは、衛兵達すら目にしたことが殆どなかった。

その技でどれほど気を失っているかまでもはわからない。だが、アーサーから説明を聞けば、今にもまたプライドが目を覚ますのではないかと誰もが僅かに慄いた。あんな至近距離で目覚められれば、次の瞬間には返り討ちに遭いかねない。


「あと、言い直します。自分は……〝元〟騎士のアーサー・ベレスフォードです。なので、今やっていることは騎士団とは関係ない、単なる王族への〝暴力行為〟と衛兵の方々への〝越権行為〟です。」


〝元〟を強調して言うアーサーに、躊躇いはなかった。

更に暴力行為と越権行為という言葉に、まさかと衛兵の何人かは息を飲む。昨日、プライドを止める為に彼女へ怪我を負わせた彼が、再び現れたその意味を改めて考え直す。〝元〟という言葉から、昨日の時点で彼がどんな処罰を受けたのかは想像に難くなかった。


「なので、ここで自分からプライド様を皆さんが預かれば……それを、自分の違反行為を黙認したことになってしまいます。」

だからできません、と。少し申し訳なさそうに笑むアーサーは、最後に視線を彼らからプライドへ向けた。気を失い、眠るようにする彼女は先ほどの姿が嘘のように、力の抜けた彼のよく知る顔だった。


「でも自分は、まだ捕らえられる気はありません。」


水を打ったような静まりがその場に広がり伸びた。

昨日、アーサーが衛兵に捕らえられたのは本人の意思だ。プライドに怪我を負わせた責任を自ら負い、何の抵抗もなく衛兵と共に城まで連行された。だが、もしも


「つまり」

言葉を切り、地を踏み込んだアーサーは正面からもう一度衛兵へと向き直る。

何故か剣を鞘に納めないままずっと片腕でプライドを抱き抱え続けていた理由を、彼らはやっと理解する。丸くしていた目を更に大きく見開き、喉が鳴る。


「今の自分は王族への〝叛逆者〟です。どうぞ、捕らえるなら遠慮なく掛かってきてください。」

剣を、構える。

もう片腕に力を込め、プライドを自分の元へと引き寄せた。言葉を受けてすぐに武器を構えようとする衛兵は誰もいない。


「ただ、自分も片腕が塞がっているので上手く手加減ができません。……なので」

淡々と語るアーサーに迷いはない。

剣を構えると同時に、彼の全身から凄まじい覇気が放たれる。衛兵の誰もが、武器を握り直すことすら躊躇った。

昨日、何の抵抗もなく衛兵と共に城まで連行された彼がもしも〝己が意思〟で抗う意思を向けた場合、彼に勝てる人間などそう簡単にいるわけがない。









「殺す気でかかって来て下さいッ……‼︎‼︎」










深い蒼眼が、青白く光を放った。

ギラリと鋭く光らせる眼差しと、凄まじい覇気にいっそ武器を落としかける者もいた。無傷が条件とはいえ、自分達が全く叶わなかったプライドを殆ど一撃で無力化した彼に、たとえ束で掛かっても勝てる気がしない。


元、王国騎士団八番隊隊長アーサー・ベレスフォード。

最年少で新兵、本隊入隊を遂げた第一王女の近衛騎士。更には完全実力主義の八番隊で副隊長、騎士隊長に昇進し、史上最年少記録を持つ彼の噂を知らない者は衛兵の中に一人もいなかった。


「……失礼致します。」


誰も戦闘の意思が無いことを確認し、アーサーは一度構えを解く。

頭を下げ、ゆっくりと離れの塔へ足を進めていった。数歩歩いた後、彼の覇気にあてられ、身動きすら奪われてしまった衛兵に「どなたか、自分を見張って下さると助かります」と、敢えて声を掛けた。

アーサーの言葉に正気付くように衛兵は戸惑いながらも、彼の後に続いていった。怪我人と応急処置の為の人数のみ残し、残りの衛兵はアーサーと共に持ち場である離れの塔へ戻っていく。

通信兵が王居へ報告するのを聞きながら、アーサーは真っ直ぐと聳え立つ離れの塔を見上げた。彼の背後や左右に広がる衛兵も、アーサーの一挙一動に目を配りながらも武器を向けようとする者はいなかった。


「……帰りましょう。」


それほどまでに、彼の意志は明らかだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] (無言の腹パン)
[一言] このシリアス展開のなか不謹慎かもだけど、アーサー格好良すぎて痺れる……!! 大事な人たちを守ってくれる最高の騎士だよ…!!
感想一覧
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