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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
傲慢王女と元凶

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そして操作する。


「早く外して頂戴?ぜぇ〜んぶ綺麗に外せたら、御褒美をあげる。」


誘うように高い声で言ってみれば、また彼の表情がガラリと変わった。

垂れ始めた涎を手の甲で拭い、私の拘束を一つずつ外していく。最初に自由になった右手で指先を使って軽く彼の顎を撫でれば、また彼が唾を飲み込んだ。私の反対の手の拘束を解くまえに両手で私の右手を掴み、その手首に何度も口付けを落とした。……汚い。

彼の唾液塗れになる前に、さっさと反対の手を外してちょうだいと言葉を重ねれば、彼はおもむろに私へ覆い被さるようにしてベッドに乗ってきた。

二人分の体重を支え、ベッドがギシ……と小さく悲鳴を上げる。至近距離でまた顔をまっすぐ覗かれ、卑しい彼の表情を正面から受け止める。私の右手を掴んでいた彼の手が、腕から腹、そのまま身体の表面を滑るように上がり、ゆっくりと味わうように私の胸部に伸び



……る前に、弾く。



「ちょっと。……気安く触らないでちょうだい?」

パシン、と自由になった右手で弾けば少し意外だったようにアダムが動きを止めた。胸に近づく彼の手を親指と人差し指で摘み、私の左手に落とす。さっさと拘束を解くようにもう一度命令すれば、彼はまた唾液が引いた口で吐く息が当たるほど私に顔を近づけ、笑った。


「貴方は御自身の立場がわかっていないらしい。……もっと私の機嫌をとるべきでは?」

胸は諦めたのか、今度は布越しに擽るように私の腹を撫で回した。ぐるぐると指先や手全体的で触れられ、まるでこれからどこへ指を滑らすか選んでいるかのようだった。

圧倒的に優位な立場を知らしめようとする彼に、私からも鼻で笑い返す。


「なに言っているの?私の機嫌を取りたいのは貴方の方でしょう。ほらほら、早く拘束取らないと御褒美もあげないわよ?」

試すように笑い、彼の顎を犬を相手にするように指先で擽る。

それだけで彼の顔が紅潮し、また私の手首に口付けを落とした。「早くしなさい」と命じれば、おあずけされた犬のように引き上がった口から涎を垂らし、私の拘束を今度こそ全て外した。


「よくできました。」


ゆっくりと、身体を起こす。

両手を上げて伸びをすれば気持ちよく身体がパキパキ鳴った。

腕を回し、身体の調子を確かめてからベッドに足だけ下ろして彼へと笑い掛ける。


「さて。……それで?どうやってここまで来たのかしら。」

ブラブラと足を振りながら尋ねれば、アダムは少し出し惜しむようにニヤニヤと視線を泳がせた。

ここは離れの塔の上。部屋の外にも塔の周りにもたくさん衛兵がいるし、皇太子だからって一人で簡単に入れるとは思わない。やはりステイルに何か交渉でもしたのかしら、と思うとアダムはニヤつきをそのままに仰々しく私に礼をしてみせた。


「私の秘密道具の賜物……とでも言いましょうか。御説明をする前に、私の問いにもお答え頂きたい。」

何かしら、と軽く返してみればアダムは私に跪く。

そのままベッドに座る私をダンスにでも誘うように手を差し出してきた。その手に右手を重ねれば薄く開かれた瞳が爛々と輝いて私へと向けられた。


「貴女の望みは存じております。少なくとも〝一つ〟は。私は最も貴女を理解しているという自負があります。……如何でしょう?私を選んで下されば、私は貴女の望みを共に叶えましょう。」

劇場にでもいるかのような語り口。

どこか陶酔しているようにも見える彼は、顔を紅潮させて私に笑んだ。自己陶酔だろうか、一体彼は私に何を見ているのか。

……でも、これは都合が良い。「素敵な御誘いね」と笑ってみせる。


「私も知ってるわぁ……貴方の望み。そして、それは私の望みでもある。」

フリージア王国を奴隷生産国に。そして、私がそれを進めればゲーム通りのエンディングが待っている。ティアラが選ぶ攻略対象者が誰にせよ、辿り着くのは私の断罪と新たな女王の誕生。……最高の、幸福な結末。


「良いわ、貴方を選んであげる。代わりにちゃんと働きなさい?」

パッと、アダムの顔が歓喜に輝く。

「光栄の極み」とまた私の右手首に口付けた。どれだけ私に媚びを売りたいのだろう。わかりやすい御世辞に偽の好意。……こんなのに私が騙されると思っている時点で所詮はゲームの小ボスだ。


「では、明日にでも婚約の意志を女王に……」

「はぁ?……何言っているの。いつ、婚約なんてすると言った?」

突然、意味のわからないことを口走るアダムの頬を指先で軽く弾く。

彼から手を引き、見下せば彼は狐のような鋭い眼差しを私に向け、軽薄に笑ってきた。

「お選び、頂けるのでしょう?……ならば、先ずは婚約を知らしめなければ。我々の意志さえあれば、もはや婚約者候補など不要。私はどちらでも構いませんよ。我が妃となるも、私が貴方の」


「よくお聞きなさい、アダム。」


なんて愚かで、浅はかな男。

私は彼の言葉をはっきりと断じるように声を張る。部屋の外にいる衛兵に気づかれないように気を配りながら、大きめの声で遮れば彼は素直に口を閉じた。

足を組み直し、跪く彼を見下ろす。涎が垂れかけたまま引き上げた口がまるで三日月のようだった。


「貴方の望みは、我がフリージア王国を奴隷生産国として傘下にいれることでしょう?良いわ、協力してあげる。だけど、私が貴方のものになるなんてあり得ない。」

俄かに開かれた彼の瞳が驚愕に染まる。

どうやら以前の手首の口付けで、私がぞっこんだとでも思っていたらしい。それとも、奴隷生産国にしたいと狙っていたことを当てられたのが予想外だったのだろうか。……まぁ、どちらでも良い。

情けない顔の彼を嘲笑い、私は軽く首を傾げながら彼の顎を撫でる。そこでふと、どこかこの光景に既視感があるなと思い頭を巡らせる。まるで、どこかでもう話したことがあるような。……!。


あぁ……そうだ。


思い出し、やはり十年前から未来は変わっていないと思えば笑いが込み上げた。

口端が勝手にどんどん悦に上がっていく。


「だぁって。……〝貴方が私のものになる〟んだもの。選ばれし人間である私が貴方ごときのものになんて絶対ならないわ。」

所詮は小ボス。フリージア王国を奴隷生産国にできる唯一の鍵が私である以上、決定権は私にある。

彼の顔がまた次第に紅潮していく。くるくると指先で撫でれば、喉を圧迫させて苦しかったのか、息をハァハァと荒くさせた。苦しそうな彼の顔が少しだけ愛しく見えて、顔を近づけてじっくりと眺めてあげる。「良い表情ね」と褒めれば、彼の喉が大きく波打った。


「服従なさい?アダム・ボルネオ・ネペンテス。……全てを欲し、求めるならね。上手に良い子ができれば、お望みどおり、フリージア王国は貴方のものよ。」


手を離し、人差し指を彼に真っ直ぐ向ける。

彼の細い目が段々と見開かれ、歓喜に満ちた笑みを広げた。跪いた体勢のまま深々と頭を下げた彼は、私の足を手に取った。そのまま素足の私の脛に口を近づけたから「ちょっと」とその顔を軽く足蹴にする。……何故かそこを彼に口付けされるのは凄く不快。

こちらでしょうか、とアダムがめげずに反対の足の甲へ今度は口付けを落とそうとしてきたから、それも乱暴に足を引っ込める。……やっぱりそこも不快。わからないように首を傾げる彼に、誤魔化すように私は鼻で笑って見せる。


「私の手首に証を残しておいて、脛にまで誓いを残せるとでも思って?……お生憎様。」

大体、ルートによっては私を置いてさっさと逃亡する彼が、服従を永遠に約束する誓いなんて守れる筈がない。


「所詮、私と貴方はそういう関係だもの。」

互いが都合が悪くなれば切って捨てるだけ。本当の味方であるわけがない。

この世界のラスボスは私一人だけ。彼はフリージア王国の奴隷を手に入れる為に私を、私は悲劇の末に攻略対象者に断罪されて死ぬ為に彼を利用するのだから。フリージア王国が彼の目的通り奴隷生産国にならないと知りなが…、…?……違う、私はフリージア王国を奴隷生産国にするために、この国をぐちゃぐちゃに陥れて破滅させ、最高の悲劇を演出する為にここにいる。だからこそ、本気でフリージアを滅ぼしにかからないと。


断罪される、その為に。


「そうそう……ご褒美。まだ、だったわね?」

物足りなさそうな彼を見下ろし、笑う。

オアズケを受けた犬のように従順を演じる彼に失笑しながら、私はベッドを降りる。彼の前に立ち、ゆっくりと視線を合わせるように膝を折る。彼の左手を掴み、ゆっくりと今度は私からその手首へ顔を近づける。舐め、咥え、口付ける。軽く歯を立て、吸い付き、……痕を残す。

以前彼をもう一度私の手元に呼びつける為に好意を演出した口付け。既に痕が消えていたそこに、再びくっきりと、……暫く消えないように何度も何度も強く痕を残す。すぐそこにある彼から、口から溢れる荒い息と零れるような笑い声を聞きながら、何度も。

はっきりと赤々と彼の手首に残ったことを確認してから、私は彼に顔を近づけ、顎を指先で掬い上げて私に向ける。


「私が貴方を駒として欲しがってあげる。……だけどもし、本当に貴方が私の願いを全部叶えられた暁は……」

言葉を切れば、アダムはうっとりと酔ったかのように溶けた顔を私に向ける。

くるくると顎を擽ればまだ息が上がった。くすぐったいのかとも思いながら途中で手を離し、私一人が立ち上がる。恍惚と輝く彼の顔を見下ろし、スカートを膝上までたくし上げて見せる。


「私の〝どこにでも〟誓いを残す許可と、私からも貴方の身体に証を残して上げる。」


望む箇所にね。とそう言って笑ってみせれば、彼が私の耳まで届くほどに喉を鳴らし、歓喜した。

私に隷属の誓いでもさせたいのか、それともこれも演技か。まぁ何でも良い。ゲームのエンディングさえ終われば約束を果たす前に私は死ぬ。この約束も、最初から守るつもりなんて欠片もない。


「さぁ、ゲームを始めましょう。……まずは、貴方の秘密道具から。」


教えてちょうだい、と。アダムを床に置いたまま、は再びベッドに腰掛ける。

ボフッ、とベッドが空気を含んで吐き出し、私は適当に足を組んだ。

仰せのままに、と語る彼は跪いた体勢のまま語り出す。秘密道具の存在、ここに来た方法、塔の外と彼の現状、こうなることがわかっていたかのように十日後に用意された〝私達〟の戦力。そして、確信する。



彼らだけでは、フリージアに手も足も出ない。



だって彼らはフリージア王国を全くわかっていないもの。

笑っちゃうくらい、何にも。

流石ジルベール宰相。見事に情報を守り切っている。……ラジヤ帝国は本当に和平国程度の情報しか得られていない。同盟国が知れる範囲の情報すら彼らは知らないままだった。

城の警備すら把握していたのは来賓が知らされる程度のことまで。それなりに警戒はしていたらしいけれど、それでも全然足りていない。城門から城壁を監視する為の特殊能力は知っていても、我が国で珍しくはない氷や火は未だしも怪我治療の特殊能力者の存在は知っていない。どうせ自国の商品以外把握もできてないのだろう。これじゃあゲームでも歯が立たなかったのは当然だ。……だけど、それならそれで都合も良い。

彼らがフリージア王国を知らなければ知らないほど私達も負けやすい。いっそ私が情報操作して彼らを縛り、操ってしまえば良い。


「…………貴方が?」

途中、意外な事実がアダムから語られた。

ゲームではそんな設定どこにもなかったのに。興味が湧いて聞いてみれば、……なかなか面白い。


「それ、もしかしてハナズオのランス国王も……?」

「‼︎ご存知でしたか……‼︎」

嬉しそうに細い目の奥をギラギラと輝かせたアダムに私は鼻だけで息を吐く。

だとすると彼は意外とゲームにも関わっていたらしい。……!だからセドリックルートでー……。


「……使えそうね。」

「お褒めに預かり光栄です。」

そんな凄い力があって何故ゲームではあんなに簡単に負けたのか。探るように問いを重ねてみれば、彼はペラペラと上機嫌に答えてくれた。

〝対象制限〟……それを聞いてなるほどと、全てに納得がいく。通りでゲームの攻略対象者達に歯が立たなかった筈だ。もしかしたらゲームの私にも歯が立たなかったから仕方無く従っていたのかもしれない。だとすれば攻略対象者に追い詰められた途端にすんなりと逃げたルートも頷ける。

彼が部屋に戻らなければならなくなる明け方まで、私と彼との計画と打ち合わせは続いた。

話が終わればもう用はない。最後に立ち去る彼へ私は背中を向けて、見送らずにベッドの上へ倒れ込んだ。このままもう一眠りして、……侍女が起こしに来たら始まりだ。


「……やっぱり。……ゲーム通りに回っているわね。」

全てが今の私にとって都合良く、そして全てが必然に。十年前の予知とも変わらない。

気が抜けたら眠気が襲ってきて、ベッドの中にも潜らずに枕を抱き締めて目を瞑った。毎回睡眠の特殊能力者を使われて生活習慣だけは正しく寝て起きてを繰り返していたから今は凄く寝不足だ。


「……楽しみね。」

フフッ……アハハッ……と、自分で言った途端に笑いが込み上げる。エンディングまであと少しだと思うとおかしくて楽しくて仕方がない。

レオン以外の攻略対象者は我が国にいる。ちゃんと彼らをそれなりにも傷付けた。残すはこのわたしが今日からまたたくさん




ちゃんと憎まれてあげなくちゃ。




私を殺してもらう、その為に。


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