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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
傲慢王女と元凶

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467.騎士は見据える。


「……ティアラ。どうしたんだ、浮かない顔をしているな?具合でも悪いのか。」


……なんだ、……これ……?


「い、いいえセドリック様っ!そんなことありませんっ!」


……ティアラ…。…なんで…、……何故。……そのような悲しい顔をされているのか…。


「……ティアラ。やはり、お前の心は始めから……俺にはなかったのだな……。」

「………え……?」

次の瞬間、美しき彼女の両肩へ向かい彼が手を伸ばす。

まるで首でも締めるかのような手の硬い動きに、見ているこちらまで身を強張った。きゃあっ⁈と悲鳴を上げる彼女に酷く胸が酷く騒ぐ。頭に一瞬で血が上り、私は思わず


「ッティアラ様から手を離しやがれッ‼︎‼︎」


「‼︎アーサー⁈」

思わず飛び出した私にティアラ様が二度目の声を上げた。

目を丸くし「どうしてここに……?」と小さくその唇が尋ね呟いた。同時にセドリック王子が私に小さく振り向いた。しかし構わず掴んだティアラ様の両肩をそのまま乱暴に引き寄せ、……抱き締めた。

てっきり乱暴でも受けるのかと逸ってしまった私は、驚きのあまり立ち竦む。

来賓と女王の護衛の為に呼ばれた私は、庭園へと消えていくティアラ様とセドリック王子の背中を見かけ、堪らず追い掛けた。騎士達を先に女王の元へ行かせ、私一人……未練がましく彼女を追った。


ティアラ・ロイヤル・アイビー第二王女殿下。

あの女王の妹君とは思えぬ程に清く、……お優しい御方だ。

騎士団長とはいえ、私のような者にも親しく接して下さった。


『触れないで下さい。あの女と血を分けた人に触れられたくはない。』

あのような無礼な態度や不敬まで働いた私すらをも許し、


『ただ、傍に居させてください。そして叶うならどうか、…………貴方の痛みを、私にも分けてください。』

共に、涙まで流して下さった。


あの御方の言葉に、不思議と頑なにしていた心がほぐされた。

胸に詰まっていた淀みも憎しみも全て吐露できた。ハリソン騎士団長以外誰にも語れず、内に秘めていた父の話を聞いて下さり、本当に救われる想いだった。

更には私の本当の特殊能力も知り、秘密を共有し、……気が付けば特別な間柄にでも慣れていたかのような気さえし、自惚れてしまった。



彼女には、立派な婚約者がおられるというのに。



「……ティアラ。お前との日々、とても楽しい時だった。こんな時間、……もう久しく俺にはなかった。」

セドリック王子がティアラ様をその手に抱かれ、愛を説く。

腕を前に屈ませ、己とセドリック王子との身体に間を作るように身構えるティアラ様は惑うようにその瞳を揺らされた。

この場を去るべきかとも考えたが、……セドリック王子に無礼な発言をしてしまった手前、謝罪をするまで動くわけにはいかなかった。まるで見せつけるかのように強く愛おしそうにティアラ様を抱くセドリック王子に胃が焼かれ



「だから、逃げろティアラ……‼︎‼︎お前の愛する男と共にっ……今すぐ女王の手から逃げるんだ……‼︎」



なっ……⁈

突然、目に焔を宿したセドリック王子がティアラ様を抱き締めたまま拳を握る。

ティアラ様も意味がわからないように目を見開かれた。その途端、自らティアラ様の肩を再び掴み、引き剥がしたセドリック王子は真っ直ぐと彼女を見つめ、言葉を放つ。


「女王はっ……お前を殺す為に俺を呼んだ……‼︎ここに居ても、俺と共にいても殺されるだけだ!今すぐ城下に降りて身を隠せ‼︎」

女王が異国からの来賓の相手をしているうちに!と声を上げるセドリック王子は潜ませる声で叫び、初めて私に目を向けた。


「お前だろう。ティアラが心から想いを寄せる相手は。……ティアラを、頼む。」

険しい表情で私を見つめ、祈るようにティアラ様の背をこちらに向けて押した。

ティアラ様が驚いたように「何故それを私に……⁈」と声を上げて振り返れば、セドリック王子は悲しげに瞳を揺らし笑んだ。


「どうせわかっていた……。女王があの約束を守るわけがないと。ティアラ、お前は心の清らかな人間だ。だからこそ……俺のような人間の見て呉れに騙されず、その男を選んだのだろう。」

そんなっ……とティアラ様が呟く。

だが、セドリック王子は静かに首を振った。 私が促されるままにティアラ様の肩を抱き止め見返せば、セドリック王子は周囲を見回し、私を燃える瞳で再び強く見つめ返した。


「愛など幻想だと思っていたが、……お陰で今は少し信じてみたくもなった。愛しているのだろう?ならば守ってやってくれ。」

真摯なセドリック王子の眼差しに私もただ頷いた。……そうだ、私はティアラを愛している。私の傷を癒してくれた彼女を。雨の中、共に泣いてくれた彼女を。

戸惑う彼女の手を引く。躊躇うように足の固まった彼女だが「ティアラ様!」と声を掛ければ唇を噛み締めながら、私の手を取り駆け出した。「ありがとうございますっ!」とセドリック王子に一度だけ振り向き、掴む手を強く握り返して下さった。

彼女を馬に乗せ、私が手綱を取り共に乗る。何処へ逃げれば良いかも、安全な場所もまだ思いつかない。ただ、彼の話が本当であればいずれ彼女は殺される。あの時の顔はどう見ても偽りではなかった。それに何より






もう私は、大事なものを失いたくはない。






もう、二度と。


……



「……長。…………ド。……フォー……、……アーサー・ベレスフォード。」


「……はい?」

名前を呼ばれて、意識が定まる。

気がつくとスプーン片手に完全放心してた。呼ばれて顔を上げれば、ハリソンさんがジットリとした眼差しで真っ直ぐ俺を睨んでいた。手が止まっているぞと言われて、食事が途中から手についていなかったことに気付いて焦る。すみません、と言って皿の料理を一気にかき込んだ。


「……また寝てないのか、隊長。」

口の中で料理を噛み切りながらハリソンさんの方を向く。

いつのまにか既にハリソンさんは料理も食べきっていた。もしかして食べ終わった後も俺を待ってくれていたのかと思うとすげぇ申し訳なくなる。口の中を飲み込んで、水で全部流し切った後に「すみません」とまた詫びる。もともとハリソンさんの食事が心配で一緒に食ってるのにこれじゃあ反対だ。


「いえ、寝はしたンですけど……なんか夢でもみたのか眠りが浅くって。」

覚えてはないんですけど。と呟きながら今朝のことを思い出す。悪夢ってほどでもなかった気がするけど、目が覚めた時にすげぇ胸がざわついた。

もう行きましょうか、と食器を片付ける為に纏めていく。これからまた演習があるし、気を引き締めねぇと。


「明日の法案協議会は、どんな法案が出ますかね」

なんとなく話を変えようと投げ掛ける。食器を片付け終わり、扉を開いて外にでれば勢い良く風が吹き込んできた。ハリソンさんから「知らん」と一言返ってきて、軽く言葉を返す。やっぱ興味ないことには本当にこの人は無関心だ。

年に一回の法案協議会。……多分、今年あの人は出ない。毎年法案協議会に参加していたプライド様。色々な法案を提案したり、時には他の意見に甲乙つけたりしていたあの人は、今は離れの塔に拘束されている。そしてそれを知っているのは、……騎士団では多分、俺だけだ。

父上とクラークは情報が入ってるかもしれないけれど、具体的には多分知らない。騎士団で王族からの勅命なんて最近じゃ、騎士が重鎮の警護で暫く国外に出される任務が今度あるくらいだ。セドリック王子から聞いた伝言も近衛騎士の先輩達にすら俺は話せていない。……話しちゃいけないとも、思う。

アラン隊長もカラム隊長もエリック副隊長も、最近は大分本調子に戻ってきている。一番全く変わらねぇのはハリソンさんだけど。……でも、アラン隊長達は笑う時にすげぇ違和感が時々して、何でもないような表情をする時とかも取り繕った感じがして。その度に俺一人が勝手に胸が痛くなった。


……プライド様が、離れの塔であんなことになってるって知ったらどうすンだろう。


考えようとしても、ただひたすらしんどい姿しか思い浮かばない。

考えれば考えるほどすげぇ辛い。その度にやっぱ言えねぇなと思い直す。酒にも何度か誘われたけれど、飲む気にも……ついでに余計なことを話すのが怖くて避けた。セドリック王子からの伝言を受けてからは余計に口を滑らすのもまずいし、酒は暫く駄目だ。

夜寝る時になると、どうしてもプライド様のことを考える。会ってもいないのに、気を抜くと何度も何度もプライド様がベッドに縛り付けられている姿を想像して、心臓が絞られるみてぇに激痛で苦しくなった。ベッドの上に転がったまま歯を食い縛っても拳を叩きつけても全然痛みはひかねぇし、……時々泣きたくなった。


「今日は確か、……最初は射撃演習からでしたね。」

射撃訓練所に向かいながらハリソンさんに確認をとる。また一言だけ返ってきた。

プライド様の近衛騎士が停止してから、任務以外は一日中演習場にいる日々が増えた。近衛騎士やその日の見張り以外は皆それが普通だけど、最初は何となく違和感が残ったそれも今はもう慣れた。


……プライド様が拘束。それなら、多分良くも悪くも暫くは現状維持が続いて何も動かないんだろう。

せめて原因だけでもわかりゃあ良いのに、それすら未だに掴めない。うっすら蜘蛛の糸ぐらいの細い可能性はラジヤ帝国の存在だけだ。でも毒を盛る暇もなかったし、ラジヤ帝国の皇族が何をすればプライド様をあんな目に合わせられるのかもわからない。何より、こうして状況も動かないっつーことは上層部もそうなんだろう。大体、もしそんな手掛かりでも手に入れたんなら絶対ステイルがー……。


『もう姉君の傍には居られない。約束を違えてしまってすまない。……お前に会わす顔がない』


「ッ……あンの……‼︎‼︎」

思わずギリッと食い縛った歯を鳴らす。

イラっと身体が一瞬で熱くなって、ハリソンさんに剣を構えられた。「すみません、何でもないです」と謝って背後へ頭を下げる。すぐに気を収めないとハリソンさんは反射的に斬りかかってくる。

朝食を一緒にするようになって、更には近衛騎士も停止されてからはハリソンさんと一緒に演習に行くのも日課になった。……別に食った後なら先に行っててくれても良いんだけど、今まで俺がハリソンさんが食い終わるまで見張って待ってたから、ハリソンさんも同じように待ってくれているらしい。いつもは俺のが食うのが先だけど、近衛騎士停止からは立場が完全が逆になった。……待たせるなと睨まれてるみてぇで怖ぇけど。


「……ったく。」

……俺からセドリック王子に伝言を頼んだ夜は、結構遅くまで待ってみたけどステイルは来なかった。

今も一度もアイツは来ていない。セドリック王子が会えてないだけかもしンねぇし、わかんねぇけど…こういう時アイツが王子なのは厄介だと思う。

殴りに行きたい時に簡単には行けない。騎士の俺が王子を呼びつけれるわけもいかねぇし、稽古だって前もって約束した日時じゃないと会えない。何より、今は絶対稽古どころじゃねぇだろう。プライド様に関しての調査や摂政業務……それがなくても





今のアイツは、大分まずい。





絶対、確実に。

プライド様が拘束ってだけでもしんどいのに、俺と違ってそれをたぶん真近で見てる。

それ以外にも何かあるのか……それとも何も手掛かりがなさすぎるのか。その両方か。どっちにしろ、プライド様の傍にいられねぇとか相当だ。

俺に合わす顔も何も、互いに合わせれねぇような顔なんかねぇと思ってたのに。

こんなことを言われるのも距離を置かれるのも長い付き合いで初めてだ。直接会ってもいねぇのに変な胸騒ぎはするし、ピリピリした感覚が皮膚を何度も走った。いっそセドリック王子に頼んで、直接会いに行かせてもらえば良かったとあれから何度も思う。

プライド様も、ステイルも。あの兄弟姉妹は絶対自分だけがキツい時は隠そうとするし、尋ねても簡単には言おうとしない。自分から言ってくれるのは糸口を掴んだ時か全部終わった時くらいだ。そんなに俺は頼れねぇのかと思うと、少しへこむ。王族だから住む世界も違うし、仕方ねぇと頭ではわかっても、俺だってそれなりに覚悟を持ってあの人達と関わっているのに。…………特に、今は。


「……っ。」

思わず腰の剣に添えた手に力を込める。あの時に決めたことは、今でも変わらない。ただ、今はその覚悟があっても……悔しいけど本当にどうしようもねぇ状況だから。


「もう整列しているぞ。」

射撃訓練所が視界に入って、ハリソンさんが背後から呟く。

確かに、見ればもう殆どが整列していた。時間まではまだあるはずだけど、待たせてるのが悪いから足を速める。ハリソンさんに「必要ない」と言われたけど、隊長とはいえやっぱり騎士の先輩が多い中で待たせるのは申し訳なかった。

駆け足で辿り着くと、八番隊の騎士から声を張られる。「すみません、待たせました」と言いながら号令をかける。やっぱ他の騎士の人達にも敬語が抜けない。人数と各自の体調を確認し、今日の演習内容を伝える。


「何かあればすぐに自分かハリソンさんに報告をお願いします。では……」


─ どうしようもねぇ状況だから。今は、ただ……待つしかない。


「始め!」


─ ステイルか、プライド様……または状況自体が動き出すその時までは。


短い発声の返事が騎士達から同時に返される。

一気に演習へと駆け出す騎士達の背中を見守りながら、今度は歩いて副隊長のハリソンさんと一緒にその後を追う。


─ 絶対、何があっても受け止めきる為に。


「……いつまでも一人でウジウジしてられッと思うなよ……?」

湧き上がる怒りを抑え、最後に口の中だけで呟いた。

ハリソンさんに聞き返されたけど、首を振る。約束を反故なんか知るか。俺が納得してねぇんだから約束反故だって成立しねぇ。アイツを殴れるまでは絶ッ対に認めねぇ。

他の誰が諦めようと、よりによってアイツがプライド様を諦めるとかふざけンな。こっちはもう腹決めてンだ。

たとえ本当にアイツがプライド様を見限ろうと国がどう決めよォと俺が何を失おうが絶ッッ対に







大事なものは手放さねぇと決めたから。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 怒涛の展開すぎて辛い。何がどうなってラスボス女王が出てきちゃったのか…おヴァルさんが雨の中叫んでるのが辛すぎました [気になる点] いつ戻るんすか [一言] 控えめに言って最高です
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