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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
傲慢王女と元凶

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そして証言する。


「ところで、ラジヤ帝国のことなのですが。帰国前に、……プライド王女とお会いにはなりましたか。」


実はこのようなことが、とセドリックは宮殿内でアダムがプライドに会わせろと侍女に強く訴えていたことを伝えると、ステイルの表情に影が落ちた。まだ発言こそしていないものの、その反応で充分答えを示していた。すると、答えを言葉にされる前にセドリックは少し慌てるようにローザ達へ顔を向けた。


「私はっ……プライド王女殿下とアダム皇太子の接触は危険だと考えております!我が国の為にフリージア王国がラジヤ帝国と和平を結んで下さったことは重々承知しております。ですが、あまりにも危険過ぎるとっ……!」

勿論ティアラ王女にも、と訴えるセドリックにローザは数秒の間を作った後「……お気持ちはわかります」と返した。ローザもセドリックがラジヤ帝国を快く思っていないことも、大広間に彼ら二人が居なかったことを訴えていたことも知っている。だが、確たる証拠もなく、更には因縁ある国からの忠告など信憑性は低い。

当然、ローザにとってもアダムの何倍もセドリックの方が信頼できたが、それでも個人的な見解のみで一人の意見に傾く訳にはいかなかった。

そしてセドリックも当然、今はもうそうであることも理解できていた。続けられた当たり障りのないローザからの返答に、実際は和平という関係からも確たる対応でアダムを阻めないということも読み取れた。

アダムが、ラジヤ帝国がフリージア王国に敵意、もしくは害を与えようとする意志が掴めなければ。理由もなく王女であるプライドと皇太子であるアダムを引き剥がせない。

当然、今のプライドの状態では王女としての指導が終わるまで暫く病を理由に面会謝絶にはなる。だが、プライドの回復を知っているラジヤ帝国が断っても強く願ってきたら。プライドの回復という情報を外部へ秘匿してやっているということをチラつかせて面会をどうしてもと望めば。再び今回のようにプライドが自らアダムとの面会を望もうとすれば。現時点では、女王であるローザすら、ラジヤ帝国の皇太子を理由なく阻むことは難しかった。

ローザの言葉に返事を返し、セドリックは視線をテーブルに落とし、……見開いた。

息を飲み、今思い付いたことを頭の中で回転させた後、セドリックは「たとえば」と勢い良く口を開いた。

彼なりの結論が出たのか、それとも何か不備があったかと全員が目を向ければ、セドリックは掴んだ契約書をフリージア王国の面々に示し、上がりそうな声を抑えながら言い放つ。


「こちらの契約書にサインを書き、己が無実を証明した上で〝無かったことにし〟滞在延期というのは可能でしょうか…⁈」


自らの目を丸く開きながら最後には少し声を上擦らせるセドリックに、誰もが言葉を疑った。

契約による尋問をし、それを無かったことにした上で国に帰りたいと望むのならばわかる。だが、何故無実を証明した上で国に残る必要があるのか。逆に言えば何故、滞在延期を選ぶのに関わらず契約書にサインを書く必要があるのか。ヴェストやジルベールすらも流石に意味がわからず、返答に戸惑う。

彼らの代弁をするようにランスが「どういうことだ」とセドリックに説明を促した。更にヨアンが「理由を説明してくれるかい?」と尋ねるとセドリックは言葉が足りなかったことをローザ達に謝罪した後に考えたことを改めて言葉にした。


「先ほどの滞在延期については問題ありません。むしろ、郵便統括役となった暁には永くこちらに根を降ろす身です。長き滞在は望むところです。兄君達さえ帰れるのならば私は自らそれを望みます。プライド王女殿下のことも気掛かりでした。ただ〝それとは別に〟私はこの嘘偽りが叶わぬ力で、是非とも証明させて頂きたいのです。」

興奮からか少し早口になりながら話すセドリックの言葉に、殆ど同時にステイル、ジルベール、ヴェストは気がつく。もしや、とセドリックの次の言葉を待てば彼は短く、そして力強い声で言い放った。


「私の記憶では、確かに!今回の件にラジヤ帝国が関与している可能性が大きいと…‼︎」


自身の絶対的記憶力を形として証拠にする方法は無い。

だが、特殊能力で嘘がつけないセドリックが証言すればそれは確かに一つの事実になる。たとえ証明されてもそれでラジヤ帝国に犯人が確定する訳ではないが、ローザ達が警戒する為の要因になることは確かだった。

自分の無実ではなく、あくまでプライドが気を失ったことが人為的な要因である可能性を示す為にと強く望むセドリックに、流石のローザも少し気圧された。セドリックが帰国しないのならば、契約による尋問を施行したとしても記録に残す必要は確かになくなる。

ローザから了承を得て、ペンを望むセドリックにステイルはヴェストより先に懐からペンを差し出した。念の為にと改めて契約書の効果について説明するジルベールも冷静を取り繕いながら、鼓動が速まった。契約を通してセドリックがラジヤ帝国があの場に居なかったことを伝えられれば、それは少なくともセドリックの記憶の中では間違いない真実なのだから。

状況が少し掴めないように眉を寄せ、顔を見合わせるランスとヨアンに、ヴェストが手短にセドリックがプライドの倒れた原因についての究明に協力し、その場にラジヤ帝国の二名が居なかったことを明かした。

まさかハナズオ連合王国と因縁のある国の名前にランス達は驚いたが、同時に何故セドリックが突然ラジヤ帝国の存在や接触を図ったのかも納得した。それでか、と小さく呟くランスにヨアンも大きく頷いた。セドリックの〝神子〟と呼ばれるほどの記憶能力を知っている二人には、確信してラジヤ帝国への容疑が固まってしまう。

既にヴェストから報告を受けていたローザとアルバートも、まさか本当にそこまで記憶に自信があるというセドリックには驚いた。つまりは「居なかった気がする」や「ラジヤ帝国に違いない」という先入観無しの正真正銘の記憶のみを彼は告白したいということになるのだから。

ジルベールの説明を聞き終え、ペンを手早くセドリックは走ら……、……せる途中で止まった。

ピタリ、と文字の途中でペンを止めたセドリックにステイルが「どうか致しましたか……⁈」と逸るように尋ねる。顔を覗けば硬直しているセドリックは顔を上げ、もう一度契約書とジルベールから受けた説明を照らし合わせてから確認するようにローザ達へ尋ねた。


「こちらは、……この場でということは女王陛下方から全員が聞き届けて下さるということでしょうか。」

ええ、勿論です。と答えるローザとアルバートにセドリックの顔が僅かに曇る。

王族相手に、更には特殊能力を駆使した真実の告白だ。女王であるローザはそれを全て自分の耳で聞き届ける義務があった。


「……こちらの〝全て〟ということは、私の選択とは関わらずにプライド王女が倒れたことに関係すると私が判断される全てを語るということで間違いはないでしょうか。」

再びローザは肯定する。

ジルベールからも、プライドが倒れた事に関係すると思われること全てを話すことになると改めて説明を受けると、セドリックの顔色が僅かに青くなった。まさか、何か疚しいことでもあるのかとアルバートが少し疑念を抱くと、セドリックは時計とランス達、そしてローザ達を見比べ、……大きく溜息を吐いた。


「……兄君達を、先に馬車で帰しても宜しいでしょうか。」


少しぐったりと疲弊したような声がセドリックから放たれる。

申し訳ありませんが……と謝罪するセドリックにローザもそれは問題ないと答えながら理由を尋ねた。ランスが何か私達に言えないことでもあるのか、と尋ねるとセドリックは項垂れながら再び重々しげに口を開いた。





「一時間以内に語り終える気がしません……。」





……ああ。とランスとヨアンは同時に声を漏らした。

アネモネの便に間に合う為に馬車を乗るまで既に一時間を切っている。更に二人はセドリックがこの五日間、プライドが倒れてから何をしていたかもよく知っていた。いやだが、と仮にも尋問を受ける弟を見届けずに帰るのはと躊躇うランスとヨアンに、察しがついたステイルが言葉を掛ける。


「母上にさえ御許し頂ければ、僕がハナズオ連合王国までお送り致しましょう。既に皆様は僕の特殊能力についてはご存知ですから。」

馬車は我が国の使者に後日届けさせれば問題もありませんし。と告げるステイルにランス達は目を丸くした。「良いのですか?」と三人は綺麗に声を揃える。世界最速の移動手段。五日どころかたった一瞬で帰国できるなら、それに越したことはない。

フリージア王国からしても、無実にも関わらず王弟であるセドリックを軟禁することになってしまう以上、それくらいの詫びと配慮は当然だった。ローザの了承を得た後にステイルがランス達に笑顔で返せば、誰よりもヨアンがほっと息を吐いた。セドリックを見届けられることもそうだが、五日間の船旅という苦難を避けられるのだから。

三人の反応に「憂いが晴れたようで何よりです」と返したステイルはそっとセドリックの契約書に手を添える。「では、どうぞ」と今すぐ書くようにうっすらと笑顔で圧をかけるステイルにセドリックは少し背中が冷たくなったが、ペンを握り直した。そして続きの文字を書き進めながら昼を過ぎた時計をもう一度確かめ、呟いた。


「〝今夜までには〟話し終えると良いのですが………。」


何……?と言葉を飲み込んでセドリックをステイルが凝視すると同時に彼はサインを書き終えた。

特殊能力の効果により、セドリックの口が真実のみを語る為に動き出す。一番最初にはやはりラジヤ帝国二人の不在


……の、説明の為にその日の出席者の名前を端から順に上げだした。


彼はいた、彼女と彼と彼女と彼女と……と。ジルベールからの補完を終えて出席者の顔と名前を全員一致してしまったセドリックからその全てが語られる。最終的には「ですが、この二人は居ませんでした」の一言で落ち着くのだが、契約で全てを語らねばならない彼はその全員を語る。更にはその一人ひとりの名前だけでなく、容姿や服装特徴まで明確に。

決して適当なことを言えない筈のセドリックの口から次々と出席者の全てが語られ始め、ローザもアルバートも口が開いたままになってしまった。

セドリックの発言を書記するヴェストを見兼ね、ジルベールが今のうちにと紙とインクを補充するように部屋の外の従者に使いを頼んだ。


セドリックは語る、自身の絶対的記憶の全てを。


ラジヤ帝国不在を説明しきった後も、セドリックの口は止まらない。プライドが倒れた原因として考えられる薬や毒薬について、フリージア王国の図書館や薬師から聞き学んだ詳細とその生体に至るまでの知識。それが言い終えたと思えば今度は同じく図書館で学んだ病に関する知識と対処方法。更には宮殿で聞いたラジヤ帝国の不審な反応や侍女への騒ぎ立てについて。それも説明を終えてやっとこれで語りが終わると思えば今度はティアラの誕生祭での自分が見た来賓の動き全て。この時に誰がどこにいて、そして自分は何を話していたか、ラジヤ帝国がどのような言葉を交わしていたかについてまで、自分が読唇術で思い出せる限り全てを並び立てた。更にはこの時にはラジヤ帝国の人間がここに、プライド王女はあちらにと当時視界に入った分の全員の配置までをも語り出す。やっとダンスパーティーが終わった後の話まで進んだ時には、自身がティアラに語った言葉までをも暴露してしまい、その時ばかりはセドリックの顔が羞恥で赤くなり口を動かすことを躊躇った。耐え切れず目を逸らし、口を覆いながらもティアラの母親と父親と叔父の前でそれを語らされたセドリックは、疲労とは別の理由で死に掛けた。

最後に先日のラジヤ帝国と侍女の会話を最後にやっと全てを語り終え、話していたセドリックだけでなく、聞いていたローザ達すら流石に疲労の色が濃くなった頃。



既に時間は、翌日の朝となっていた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 大事故
[気になる点] この証言シーンはもう何回目か分かんないくらい読み返してるのに今更ふと思ったんだけど、「病を癒す特殊能力者」の存在については隠し通せたの?あの時ランスと一緒にステイルに確認してたのに??…
[気になる点] セドリック……、一晩中話し続けるとかキツくない?
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