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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
傲慢王女と元凶

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436.傲慢王女は戯れる。


…さて、どうしようかしら。


近衛騎士が交代して、顔色の悪いアーサーとエリック副隊長が去った後。カラム隊長とアラン隊長が今度は私の背後に付いていた。

母上達には外出禁止を言われたから、城の外には出られない。…ということはレオンに会うのも難しいだろう。いつまで外出禁止を続けるつもりかはわからないけれど、多分父上達は誰にも私を会わせるつもりはないのだろうから。


…でも、そうするとレオンで遊べないことが問題なのよね。


教師からいつものように勉学を教わりながら、そう考えて欠伸をする。

優秀な悪徳プライドの頭ならば、覚えようとすれば覚えられるけれど…もうどうせ不要だしと思うとやる気も失せてしまう。

私は攻略対象者に殺されないといけない。でも、攻略対象者は皆すごく善人だし「来なさい!」と言って「よし!」と簡単に殺しにかかってくれるとは思えない。しかも私は第一王女。それなりに理由を与えないと難しい。……まぁ、あのイベントを起こしさえすれば全員私に敵意剥き出しで殺しにきてくれるだろうけれど。

まだ、ティアラが選ぶルートが誰かは見当もつかない。セドリックと形だけ結婚を選んだティアラに実は本命がいるのかもしれないし。せっかくならとびっきりの悲劇で最高の幸福な結末を際立たせたいのだけれど。

女王であれば、レオンやセドリックには国を騎士団に襲わせて滅ぼしてやれば済む話だ。でも、残念ながら私にそんな権力は無い。母上を亡き者にでもしちゃえば良いのだけれど、監視されてる今は難しい。取り敢えず今はじわじわと言葉で刺すしかない。どうせゲームでは父上が死んだ途端に娘二人の為に生きるほどのメンタルもなく、憔悴死した母上だ。追い込めばそれだけで勝手に死んでくれるかもしれない。…あれ、じゃあいっそ父上を殺しちゃえば楽なんじゃないだろうか。やっぱりあの時に父上を助けたのは間違いだったと改めて反省する。本当にこの十年、余計なことしてばっかりだ。


…もしかして、ゲームの私もわざと父上を見殺しにしたとか?


そこまで考えて、すぐに一人で小さく首を振る。いや、それはない。

当時のプライドにとって父上は数少ない味方だったのだから。母上ならまだしも、父上を殺すなんて。それにあの時父上の危機がわかったのは私が前世の記憶を思い出したからだ。予知能力とは関係ない。大体、十年前のあの時。予知能力に目覚めた私が見たのはティアラの存在を語る父上の姿なんかではなく







この私がフリージア王国を裏切るところだったのだから。







『貴方の望みは、───────────────────────────────でしょう?良いわ、協力してあげる』

その姿は確かに、今の私で。


『選ばれし人間である私が貴方ごときのものになんて絶対ならないわ』

その語り口は確かに、ラスボス女王プライドで。


『服従なさい?─────────。……全てを欲し、求めるならね。上手に良い子ができれば、お望みどおり、フリージア王国は貴方のものよ。』

ゲームでは見たことも聞いたこともない未知の場面で。


『さぁ、ゲームを始めましょう。』

間違いなく、ゲームの世界であることも知っていた。

すぐにわかった、確信できた。アレは、ゲームのプライドではなく〝この私の〟未来なのだと。


今思えば私が前世を思い出したあの時から、既に未来は変わり始めていたんだなと思う。

そう考えると、ゲームの私はどんな予知をしたのだろうと少し気になってくる。ティアラの存在がわかるということは、多分存在を仄めかすか予知した映像自体にティアラがいたのだろうけれど。もしかしてティアラに負けるところとか⁇……いやそれなら離れの塔なんかに閉じ込めずに速攻で殺すだろう。なら、一体どんな予知を……、……。

考えたまま思わず頬杖を突いて溜息を吐いてしまうと、教師が「どこかわからないところでも?」と尋ねてきた。ああうるさい、せっかく考えが纏まりそうだったのに。

眉間に皺を寄せて軽く顔を一人で顰めた後、頬杖を解いて私は身体を起こす。


「は〜い、おしまい。…今日はここまでで良いわ。帰ってちょうだい。」


適当に手を振って、さよならの仕草で追い払う。「ですが、まだ時間がっ…」とそれでも口答えするのが煩わしい。王女の私が言っているのに何故そうも逆らうのか。仕事しなくて良いと言ってあげてるのに文句なんか言われたくもない。

教師の文句を適当に聞き流しながら私は手に握ったペンを



思いっきり教師の足へと振り下ろす。



ブスッ!と服と一緒に肉が破れる音と感触がして手だけが気持ち良い。同時にギャアアアアアッッ⁉︎と男のくせに高い声を上げて教師が転がった。至近距離で煩かったけれど、大の男が転がる姿がおかしくて思わず声を上げて笑ってしまう。……嗚呼、愉しい。やっぱりこうでなくっちゃ。

侍女の悲鳴と同時にカラム隊長が急いで応急処置へと駆け寄った。アラン隊長が「何をしてるんですか⁈」と私に向かって声を荒げた。…なによ、ゲームにも出なかったモブキャラのくせに。


「だぁって、私のいうこと聞かないんだもの。言ったわよね?…〝もう良いわ〟って。」

アラン隊長を押しのけ、席から立ち上がった私はゆっくりと転がった教師に歩み寄る。

どうせこのくらいの傷、怪我治療の特殊能力者に掛かれば痕も残らないだろう。

私が歩み寄るにつれて、痛みに悶えながらも怯えるように私を凝視する教師の目にうっとりする。やっぱり、こういう顔が好き。

アラン隊長が腕を伸ばして教師と私の間を阻むせいで、至近距離に近づけず数歩離れたところから私は教師を見下ろした。


「大丈夫よ?デズ先生。これくらいの傷ならすぐ治るわ。何度も何度も刺しても何度でも治せるから。……安心なさって?」

顔色が更に青くなっていく教師を眺めながらしみじみと特殊能力者って便利なものだなと思う。

能力が使える範囲の傷であれば何度でも再利用して何度でも楽しめるのだから。


「だから覚えておきなさい。私が「良い」と言ったら良いの。……覚えるのは得意でしょう?」

自分でも口端が引き上がるのを感じる。ガタガタと歯を鳴らして怯える教師の反応が愉しくて愉しくて、思わずそのままアハハハハハハハッ!と笑い声を上げてしまう。

プライド様‼︎とアラン隊長にまた怒鳴られたけど、敢えて笑い声で打ち消した。どうせ騎士が女性…さらには王女の私を殴れるわけがない。転がる教師と止血するカラム隊長を放って部屋を出るべく扉を


バンッ‼︎


……開ける、前に。まさかの片腕で勢いよく押さえつけられてしまった。

あまりにも良い音で扉から手を引っ込めてしまうと、私の背後から手を伸ばして扉を押さえつけた人の息遣いが耳元まで聞こえてきた。


「…なにを、されているんですか。貴方は他者を傷付けるような方ではなかった筈でしょう…⁈」

アラン隊長の声だ。

振り返らなくてもその声だけで怒りを耐えているのがよくわかる。荒い息も私を追ったことより、感情を抑えていることの方が大きいだろう。

少しわくわくとしながら振り返れば、予想以上に苦しそうに顔を歪めているアラン隊長がそこにいた。教師が傷つけられたことが大分気に障ったらしい。仲間想いのアラン隊長らしい理由だ。


「一体、どうされたんですか…!どうして、こんなことをされるんですか⁈」

扉に手をつけながら至近距離で私に詰め寄るアラン隊長は凄く真剣な目をしていた。私を視界にも入れたくないのか、歪めた顔をそのままに目元を痙攣させるアラン隊長が



すっっごく、魅力的で。



「…どうしてって?〝楽しいから〟以外に理由なんて要るのかしら。」

アラン隊長の苦しげな表情に思わず口元が緩んで、ゆっくりとその綺麗な瞳を覗く。

私の反応に驚いたのか、見開かれた瞳がまん丸で水晶のようだった。そっとアラン隊長の両頬に手を添えれば、軽く肌が震えた。反応が楽しくてアラン隊長を今度は私から覗き上げる。


「ねぇ?……イイコト、教えてあげましょうか?」


口端を引き上げ、返事も聞かずに私は静かにアラン隊長の顔を引き寄せる。

そして耳へと囁くように口を近付けばアラン隊長自らも私の言葉に耳を傾けようと少し腰を落としてくれた。真っ直ぐなアラン隊長に私は心から笑みを向けながらその耳に



ガリッ。



良い歯にまで感触が響き、囓り出したと同時にアラン隊長が凄い勢いで飛び退いた。アッハハハハハハハハ‼︎と反応があまりにも速すぎて指を指して笑ってしまう。

痛みで顔を顰めたアラン隊長は、囓られた耳を押さえながら信じられないものを見るような目で私を睨んだ。口の中に鉄の味はしたけれど、残念ながらそれだけだった。私の噛む力が弱いのか、アラン隊長の反応が速すぎたのか。一瞬で囓り切るには至らなかった。やっぱり前世の漫画みたいにはいかないものだなと思う。

応急処置を終えたカラム隊長が「アラン⁉︎」と掛けてきた。アラン隊長が「大丈夫だ」と返しながら、振り向くことなく私を睨み続ける。どこか悲しみも含んだような強い眼差しが気持ち良くって、顔が火照ってしまう。まさかアラン隊長でこんなに楽しめるなんて思いもしなかった。


「プライド様‼︎何故、御自身の教師や近衛騎士まで傷つけるのです⁈」

「だぁから、楽しいからって言ってるじゃない。…他に理由なんていらないわ。」

耳を見せろとアラン隊長に詰め寄りながら私に声を上げるカラム隊長の顔が面白くて仕方ない。ああこれならアーサーやエリック副隊長にもやってみれば良かったわと後悔する。


「ほらほら、もう帰ったら⁇王女一人に怪我を負わされる騎士も、立つこともできない教師も邪魔なだけだもの。…母上に報告でもお好きにどうぞ?」

じゃあね、と今度こそ扉を開けて部屋を出る。てっきり付いてこないかと思ったけれど、侍女達に後を任せてカラム隊長もアラン隊長も後を付いてきた。

こんな目に合わされても仕事に従事するなんて、流石は騎士隊長だなと少し感心する。

一瞬、このまま彼らにも憎まれて私の傍に居ることが苦痛までなって近衛騎士をさせたら凄く楽しいのにと思ってゾクゾクしてしまう。…いや、それは駄目だった。だって


邪魔な近衛騎士も全部さっさと解体するんだから。


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