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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
無関心王女と知らない話

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404.無関心王女は怯える。


「では、姉君。行ってきます。」


笑顔で私に挨拶してくれるステイル。

そして、その後に続く二つの影に私は見送ることしかできなかった。

あまりにも絶対的に引き止めることを許されない空気がその場には漂っていて。…本当に何も、できなかった。


「…………いってらっしゃい…。」

ぎこちなく笑みを作れば、引き攣らせた口元が震えた。

まるで兵士を死地に見送るような心境に、良心が痛む。軽く手を上げ、振る動作をしたらやっぱり指先もピクピクと震えていた。背筋に冷たいものがぴったり張り付き、全身が強張った。

遠くなっていく影を見送りながら、最後に…むしろ心境としては〝最期〟に一言だけこれは言わなくてはいけないと途中で気付く。「あ、の…!」と戸惑う声のまま張り上げ、振り返ってくれた三人に向けて真っ直ぐに顔を向ける。

どうかしましたか?と尋ねてくれるステイルに、私はこの言葉だけを願い、告げる。


「お手柔らかにね……?」


何を仰いますか、とにこやかに笑うステイルに何故か背筋が更に冷たくなる。

私の顔色が素直に青くなったのか、ステイルが小さくクスリと笑った。怖い!すごく怖い‼︎三人の内の一人が私の方を心配そうに見つめてくれる。それに気付いたステイルが「大丈夫ですよ」と彼に返し、続けた。



「さぁ、行きましょうか。アーサー殿、……セドリック殿下…?」



ステイルに促され、頷いてアーサーと共に去って行くセドリックが、最後には死地の兵士どころか売られていく子牛に見えた。


ティアラの誕生祭まで残り五日。

城も、更には国中も少しずつ慌ただしくなってきていた頃。ハナズオ連合王国の三人が少し早めに我が城に滞在することになった。交易中のレオンと一緒に船でアネモネ王国に渡り、そこから馬車で訪れてくれた。もともと王族の馬車での出発予定日だった日に、アネモネ王国行きの貿易船が出ることになったので便乗したらしい。

レオン自らの舵だったこともあり、無事に五日後にはアネモネ王国にも到着した。ただし、……そこから彼らが我が国に馬車で向かったのは翌日だったけれど。

もともと、船では海路によって何日掛かるか前後するし、昨日彼らが訪問しなくても別に驚かなかった。むしろ今日到着した馬車を見た時はたった六日で到着したことに「流石レオン!」と思ったくらいだった。

でも実際、到着した彼らから話を聞くと前日にはアネモネ王国に到着してはいたらしい。つまりレオンはまた最短の五日でアネモネ王国まで渡りきっていた。そこまでは彼らの予定通りだった。ただし、



……ヨアン国王が船酔いでかなり大変だったらしい。



話を聞くと、三人とも船は初めてでランス国王とセドリックは全く平気だったけれどヨアン国王が二日目から船酔いに襲われたらしい。

レオンや船員の処置と対応のお陰もあってか、悪化はしなかったし引き返したり途中の港に寄る必要もなかったけれど、二日目からは完全に自室で寝込むことになってしまった。

五日目にやっとアネモネ王国に到着した時はもう一人だけぐったりで、流石にこの状態で馬車はという話になり、一晩アネモネ王国の城にもお世話になったらしい。

この話をしてくれた時、ヨアン国王の顔は恥ずかしさで真っ赤になっていた。もともと、チャイネンシス王国での体裁もあってアネモネ王国に滞在はしないという方向だったのに、その国王である自分が原因で滞在することになるなんて、と最後には両手で顔を覆ってしまっていた。ランス国王とセドリックは笑っていたけれど「帰りは僕だけでも馬車で帰ろうと思います…」と力なく呟いたヨアン国王は大分落ち込んでいた。レオンに迷惑を掛けてしまったことも気にしているらしい。対してセドリックは船上でも殆ど船外に噛り付いてレオンや船員から色々教われて有意義な時間だったし、アネモネの滞在が伸びた分色々話も聞けたと凄くご機嫌だった。

それに、船旅自体は船酔いに襲われるまではヨアン国王も楽しめたらしく、その話題の時だけはランス国王とセドリックと同じくヨアン国王も表情が明るかった。…そう思うと余計に船酔い体質なのが可哀想だけど。

私やステイル、ティアラもまだ船には乗ったことないし、一度は試してみたい気もする。…けど、ヨアン国王の話を聞くとちょっと悩んだ。行くとしたら一泊二日旅行とかだろうか。前世でも船に乗ったことなんて一度もなく人生を終えたし、船に耐性がある自信がない。


そうして、体調が整ったヨアン国王と一緒にハナズオ連合王国が我が城に訪れてくれたのが今日だった。

今日からティアラの誕生祭、そして翌日までハナズオ連合王国は我が城に滞在することになる。ティアラとセドリックはあいも変わらずギクシャク…というか一方的にセドリックが怒られている様子だけれど、前みたいにティアラがあからさまに動揺することもなくなった。ヨアン国王達との話の時も私の隣に並んで、穏やかに聞いていた。

そうして皆での団欒も一区切りついた頃、アーサー達が近衛騎士の交代の時間になった。するとステイルはこの後は休息時間かとアーサーに尋ねた後、セドリックに気さくに声を掛けた。


『宜しければ、僕と手合わせにお付き合い願えませんか』


…正直、すっっっごく焦った。

アーサーも少し戸惑っていたけれど、私はもう一気に冷や汗が滝のように止まらなかったしティアラも「兄様…?」と半笑いみたいに強張ってた。セドリックは「是非とも」と嬉しそうに答えていたけれど、正直私には体育館裏の呼び出しにしか聞こえなかった。

ステイルはヴェスト叔父様にハナズオ連合王国の方々のお迎えと挨拶を任されていたようなものだし、手合わせも普通に考えれば単なる接待だ。

セドリックがステイルと稽古場に行くとのことで、ランス国王とヨアン国王も先に部屋で休む事になった。

それが決まった後には流れるように、アーサー殿も是非。とステイルに誘われ、強制的にアーサーまでもが共犯者として連れられていってしまった。私とティアラも一緒について行こうとしたら、……笑顔で断られた。


『セドリック王子殿下ともお話ししたいことがありますし』


…そう、言って。

もうなんかセドリックの死亡フラグしか見えなくて怖い。ステイルとアーサーにとってセドリックは食べ物の恨みプラス可愛いティアラの婚約者候補なのだから。


「兄様…あまりやり過ぎなければ良いけど。」

ティアラが私の隣でなんとも言えない苦笑いでそう呟いた。うん、私もそう思う。

五日後にティアラの誕生祭が控えているのに王弟が大怪我で欠席なんて大事件だ。しかも相手はティアラの婚約者候補。どうか手合わせは普通に王族同士や騎士らしくお手並み拝見で軽く談笑しながら打ち合って終わって頂きたい。






…たぶん、無理だと思うけれど。


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