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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
無関心王女と知らない話

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そして答える。


「申し訳ありません、プライド王女殿下。…またセドリックがご迷惑を…。」


重々しく謝ってくれるランス国王、そしてヨアン国王に私は慌ててとんでもない、と言葉を返した。

セドリックとティアラの話が終わってすぐ、ランス国王とヨアン国王も客間まで訪れてくれた。

泣いているティアラとその頬に手を添わせているセドリックに、今度こそやらかしたと思ったランス国王が大慌てでセドリックを引き剥がしてしまった。

私から説明して誤解は解けたけれど、それでもセドリックがまたティアラに告白…というか求婚したのは変わらないので、ランス国王もヨアン国王も開いた口が塞がらないようだった。

私も正直まだ衝撃的展開に頭がついていってはいないけれど、今はまず表面上だけでも冷静でなければと必死に自分に言い聞かせる。


「それよりも、セドリックがまさか我が国に永住なんて驚きました。…お二人は、前々からご存知だったのですか?」

話を変える私に、二人は互いに目配せすることなく頷いた。

セドリックが統括役になるのは私とステイルも知っていたけれど、フリージア王国に移住するなんて知らなかった。確かに本部は我が国だけれど、ハナズオ連合王国にも設立はするのだし、てっきりそっちでセドリックは働くのかと思っていた。


「初めにセドリックが僕らに提案した時から、本人が決めていたことですから。」

「セドリックが己が意思で外へ出るというのならば、止めはしません。ただ、背を押すだけです。」

ヨアン国王に続き「一生会えない訳でもありませんから」とはっきり語るランス国王も曇りのない笑顔だった。

私なんて考えただけでも寂しくなったのに、やっぱり兄は違うなと思う。ステイルもずっと冷静だったし、もしかしたら私が一番甘えたがりかもしれない。


「ただ、…もしプライド王女殿下のご希望とあらば、セドリックを統括役にするのも検討し直しますが…。」

向かいのソファーに座る私とステイルに向かい、ランス国王が口元を手で隠しながら囁くように投げかけた。

目では警戒するように、部屋の隅で何やら話をしているセドリックとティアラを見つめている。

ランス国王に同調するように口元を引き攣らせながら笑って首を傾けるヨアン国王に、うっかり私も釣られて苦笑いしてしまう。


「いいえ、そんなことは。もう母上やヴェスト摂政も納得の上ですし。」

セドリックが郵便統括になることは母上達も合意している。しかもセドリックは、王族にも関わらずちゃんと試験を受けての実力採用だ。

もともと本人自ら自分が相応しいか試験をして確認して欲しいと望んだのだけれど、郵便統括役として必要な知識をがっっつり記憶して臨んだ彼は、本人の十八歳の誕生祭の後にフリージア王国、サーシス王国、チャイネンシス王国三ヶ国の摂政により出されたそれぞれの筆記試験にどれも満点合格をしていた。自他共に厳しいヴェスト叔父様まで凄く褒めてたぐらいだ。…まぁ、セドリックにとっては筆記試験なんて前世で言えばパソコンを持ち込んだ試験みたいなものなのだから余裕だろう。

しかもセドリックは将来的に全大陸と通じることもできるようにと、現段階でハナズオ連合王国とフリージア王国で把握している限りの異国語まで暗記してくれていた。…これにはヴェスト叔父様も驚いていた。ヴェスト叔父様やジルベール宰相もいくつかの言語は翻訳できるらしいけれど、流石に全部翻訳できるような人は居ない。

さらに言えば国際郵便機関自体は私とジルベール宰相が考案した部分が大半な上、その全てが新しい仕組みと制度だ。ゼロからそれを全て記憶し理解して、そして機関を回すという役割にセドリックは適任だった。


「ハナズオ連合王国としても、世界と交わる為の絶好の機会です。必ずや成功させて見せましょう!」

そう言って力強く笑ってくれたランス国王は、凄く頼もしかった。

最初にセドリックに相談された時は驚いた。でも学校制度が軌道に乗った今、郵便機関もそろそろもっと動かしたいと私もちょうど思っていた。

ステイルから聞いたという郵便制度についてセドリックはちゃんと理解してくれていたし、何より多くの同盟、和平国間を行き来して回すのにフリージアから遠く離れたハナズオ連合王国との共同は有難い申し入れだった。拠点が遠距離に二箇所あれば中継地点にもなるし、サーシス王国には港もあるから一気に活動可能範囲も広がる。配達範囲を分担すれば、各自負担を軽くして配達ができるのだから。

…まさか、ティアラにプロポーズする為の必殺技だったとは思いもしなかったけれど。


ティアラは、第二王女だ。

歴代の女王とならなかった王女がそうだったように、ティアラも他国に嫁がなくてはいけない。でも、セドリックがハナズオ連合王国の王弟としてティアラと婚姻して、フリージア王国に永住すれば妻となるティアラも当然フリージア王国に住むことになる。

セドリックが何故、そしていつ、どうやってティアラが望んでくれていることに気付いたのかはわからない。でもきっと、……その為に本当に色々考えてくれたのだろうなと思う。私自身、ティアラと別れることになるのは凄く寂しいし考えるだけで憂鬱だったから凄く嬉しい。

ティアラ達の方に顔を向ければ、何やらセドリックが一生懸命声を潜めた様子で話していた。それに泣き止んだティアラが目を丸くして話を聞い




「ッばか‼︎」




……突然、ティアラがまた顔を真っ赤にして叫んだ。

また一体セドリックがどんな恥ずかしい発言をしたのか。もう驚きもせずに私もランス国王達も何とも言えない表情でセドリックとティアラに目を向けた。今度は怒られたセドリックの方が目をぱちくりさせてティアラを見返している。


「セドリック。…またお前は何を言った。」

頭が痛そうに片手で抱えながら唸るランス国王に続き、ヨアン国王が「同意を頂いたからとはいえ、まだ婚約者候補なのだからね?」と声を掛けた。するとセドリックが狼狽えるように怒るティアラから一歩引き「い、いや俺はただっ…」と口籠った。すると両手に拳を作ったティアラが真っ赤な頬を膨らませてポカポカとセドリックを叩き始めた。


「なんで!貴方は!そう!ばかなの!ですか⁈」

ばかっ‼︎とまた声を上げるティアラにセドリックが反射的に腕で顔を庇いながら「す、すまない…⁈」と謝った。

あまり深刻そうではない様子にほっとするけれど、私とランス国王、ヨアン国王は同時に「すみません、ティアラが…」「申し訳ない、セドリックが…」とお互いに謝ることになった。…まさか超完璧王女のティアラのことでこんなに私が謝る日が来るとは思いもしなかった。逆ならあり得るけれど、まさかティアラが…。…なんだかセドリックに絡む時だけ、凄くティアラが幼い気がするのは気のせいだろうか。

いつもならティアラに一言止めに入るであろうステイルも、今は私の隣に座ったまま放心していた。完全に心ここにあらずだ。可愛いがっていた妹のティアラが目の前でセドリックに奪われてショックを受けているのかもしれない。

そんなことを思いながらアーサーに目を向けてみる。…意識は保っているけれど、顔色悪いし何か考え込んでいるみたいに目が泳いでる。隣のエリック副隊長がティアラとセドリックの熱気にまだ当てられているのか、顔を少し火照らせながらも「任務中だぞ」とアーサーの肩を叩いていた。

やはりアーサーもステイルと同じようにショックなのか。…まぁ、二人ともセドリックには食べ物の恨みがあるからそんな相手にティアラを渡したくない気持ちもわかる。でも、正直勝手ながら私はティアラの相手がセドリックという驚きよりも、ティアラが我が国にずっと居られることの方がやっぱり嬉しい。

セドリックにポカポカと攻撃していたティアラは、最後に「もう!知りませんから‼︎」と大声で叫ぶと両拳を作ったままソファーに座る私達の方に早足で向かってきた。

私がどうしたの?と聞くと「本当にセドリック王子に郵便統括なんて大役を任せて良いのですか⁈」と叫んで頬を膨らませた。…直後、目の前に兄二人がいることに気が付いて凄い勢いで謝っていたけれど。


「?やはり、婚約者候補のことは白紙か……⁇」

ぽつん、と壁際に残されたセドリックが狼狽えるように哀しげに投げかけてくる。まるで捨てられた子犬のような眼差しだ。

するとティアラがまた怒ったように顔を真っ赤にしてセドリックへと勢いよく振り返った。


「選びますよっ‼︎大好きなお姉様と兄様とアーサーとジルベール宰相と近衛騎士の方々とヴァルとセフェクとケメトとレオン王子と一緒に居る為に‼︎」


ふんっ‼︎とそのまま再び正面を向いたティアラは私の隣に飛び込んできた。

ぼすっ、とソファーに音を立てながら私の腕にしがみつき「これでずっと皆で一緒に居られますねっ!」と嬉しそうに笑った。ちょっと人選が色々引っかかったけれど、それでも嬉しそうなティアラの頭を撫でながら「嬉しいわ」と私も返した。…目の前にいるランス国王とヨアン国王に再び謝りながら。

二人共苦笑いで許してくれたけれど、私はやっぱり少しセドリックが不憫になって目を向けてしまう。また落ち込んでたら…と思って見れば



……静かに笑っていた。



私にしがみつくティアラの後姿を見ながら、嬉しそうに。

本当に、ティアラの笑顔さえ見れれば満足なのだなとよくわかる。私の視線に気付くとセドリックは、ハッとしたように頭を下げ、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。ティアラが怒ったように顔を逸らしたけれど、気にせずに私とステイルに「お騒がせして申し訳ありませんでした」と再び謝ってきた。更にステイル王子殿下、とステイルを呼ぶと目線が高くならないように片膝をついてから話し始めた。


「…以前にもお伝えした通りです。私は、貴方やプライドとも近しい存在になりたい。そして、この地に永住したいと願っております。」


突然の妹さんを僕にください発言に、ステイルは珍しく言葉が出ないように瞳をグラグラ揺らしながらもぽわりとした返事を返した。

すると、ステイルの惑いを察してかセドリックが「私で御不安なのは承知しております」と断った。その上で再び言葉を続ける。


「私はまだ未熟です。だからこそ、何か至らない点があれば遠慮なく御指導頂きたい。フリージア王国の第一王子で在らせられる、貴方に。…ティアラの婚約者候補確定の時までには必ず、貴方にも認めて頂けるように努めさせて頂きます。」

ハナズオ連合王国の王弟としてではなく、ティアラの婚約者候補として語るセドリックにステイルは目を見開いた。ポカンと口を開けたまま少し固まり…最後は、小さく笑んで手を差し出した。


「…僕などで宜しければ、是非。」


宜しく御願いします、とステイルが返すとセドリックの瞳が嬉しそうに燃え上がった。

ステイルの手を両手で掴みながら御礼を言うセドリックに、ランス国王とヨアン国王も一安心したようだった。私もステイルが少しでもセドリックをプラスに見てくれたならと少し胸を撫で下ろす。この場で「お前などに妹をやれるか‼︎」とか言って大乱闘にならなくて本当に良かった。

すると今度は奥に座る私に視線を投げかけてきたセドリックは「プライド」と既に訴えるように瞳の焔を揺らした。何故か私に対しては祈るような姿勢で見つめてくる。そんなに私が怒ると思っているのか。


「国際郵便機関を両国の為に繁栄させたいという思いは本当だ。決して邪な理由ではない。必ずお前達が与えてくれた役目は全うしてみせる。…この誓いに賭けて。」

そう言って自分の右手を拳のまま私に示して見せてくれた。

私に贈ってくれた指輪があった場所には今は一つも嵌められていない。自分の力で必ずやり遂げて見せるという彼の意思に、私も笑みと共に言葉で返した。

最後、帰る時間になったランス国王達を私達は馬車まで見送った。

セドリックが乗り込む瞬間まで怒っていたティアラだけど、馬車が動き出した途端少し複雑そうな表情になった。そのまま唇を尖らせながら見えなくなるまでずっとセドリック達を乗せた馬車を見つめ続けていた。


「あ、の……プライド様。」

ティアラが疲れたと言って部屋に戻った後、ステイルと一緒に私の部屋に戻ったアーサーが久々に口を開いた。

すごく躊躇うような言葉の詰まらせ方に心配になりながら「どうしたの?」と尋ねるとステイルも気になったようにアーサーへ顔を向けた。

アーサーは一度下を向いた後、意を決するように私を見つめてくれた。


「プライド様はっ…、…その、…セドリック王子がティアラに求婚して、…どう…思いましたか…⁉︎」


凄く深刻そうに言ってくれるアーサーに私は小首を傾げる。

もしかして可愛い妹のティアラを取られて落ち込んでいると思って心配してくれているのだろうか。優しいアーサーに少し心が温かくなりながら、私は笑みを返す。


「確かに突然のことには驚いたけれど…。でも、婚約後はセドリックにもティアラにも沢山会えるようになるなら嬉しいわ。それに、セドリックの片想いはずっと前から知ってたから。」


え⁈と、次の瞬間アーサーだけでなくステイルやエリック副隊長からも声が上がった。

あまりにも分かりやすい反応に思わず笑ってしまう。ステイルが目を丸くしながら「そ、それはいつから…⁈」と尋ねてくるからここだけの秘密と約束して、ハナズオ連合王国の別れ際にセドリックが告白していたことと、それからちょくちょく恋愛相談もどきに乗っていたことを少しだけ伝えた。

少し納得したようにエリック副隊長は大きく頷いてくれたけれど、アーサーとステイルは開いた口が塞がらないようだった。

やっと口が動いたと思えば、あの時笑っていたのは⁈とかまさかアレは⁈と二人から質問が飛びまくった。つい思い出して笑いながら答えたけれど、二人はそれに比例してぐったりと脱力していた。

色々二人の知らなかったティアラの恋事情を知ってしまって疲労してしまったらしい。最後に両手で頭を抱えたアーサーが絞り出すように「最後一つだけっ…良いっすか…⁈」と問い掛けてきた。

私が快諾すると、セドリックの恋事情に恥ずかしくなったのか真っ赤に火照らせた顔を私に向けてきた。片腕で口元から隠すように押さえながらも、私の目をしっかり見て投げかけてくれる。

「プライド様、にとって…セドリック王子は…?」


「?…可愛い…友人…⁇かしら。なんだか、弟みたいで。」


義弟とはいえ、本物の弟を前に失礼かもしれないけれど。そう続けながら苦笑して正直に答えてしまうと、次の瞬間アーサーとステイルが同時に酷くフラついた。特にアーサーはまた知恵熱か頭から湯気が出てた。

仮にも一国の王弟を弟扱いすることに呆れられたのか、弁明するようにちゃんとセドリックが今は立派に成長しているし、郵便統括役としても信用できると思っていると訴えたけれど、二人とも聞こえていないようだった。

エリック副隊長が笑いながらもアーサーにちゃんと立てと活を入れてたけど、本人は大分疲労困憊の様子だった。ステイルもその場に一度しゃがみ込むと、抱いた自分の膝に顔を擦りつけて固まってしまった。

なんか昔にも同じようなことがあったなと思い、二人に心配を掛けていたらと謝ると「いえ…」「そういうことでは…」と二人とも同時に首を振ってくれた。ならやはり、呆れられたということだろうか。


何故か蹲ったまま動かないステイルと完全に燃え尽きた様子のアーサーで、交代のアラン隊長とカラム隊長が部屋に来る頃には私の部屋は外が真冬とは思えないほどの灼熱だった。

391.5

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[一言] プロポーズもしていないどころか恋心に自覚すらしてない段階で嫉妬したりヤキモキしている野郎共にはなんとも言えない気持ちにさせられますのー
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