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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
疎まれ王女と誕生祭

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375.疎まれ王女は受け取る。


「お、おおおおおぉお姉様っ!大変です‼︎‼︎」


誕生祭の翌朝。ばたばたばた!と、珍しいティアラの慌てた声が私の部屋の外から聞こえてきた。

今日届いた手紙を読み終わり、ちょうど大きく伸びをしようとした時だった。突然のティアラの声に私の背後に控えてくれていた近衛騎士のアーサーとエリック副隊長も扉の方に振り返り、扉の前では近衛兵のジャックが驚いたように扉に手を掛けた。扉の向こうからは衛兵の声で「どうかなさりましたでしょうか⁈」「プライド様はいま…」と慌てるティアラを心配するような言葉も聞こえてきた。


「おかえりなさい、ティアラ。どうしたの?」

入ってきても大丈夫よ、と声を掛けるとゆっくりと扉が開かれた。ティアラが少し慌てた様子で「突然ごめんなさいっ」と謝りながら、今度こそ私のもとに駆け込んできてくれた。

最近ティアラは自分の誕生祭でも何か発表か催しをしたいと考えているらしく、ジルベール宰相や時々母上達とも話し合いをしていた。今もその話し合いから帰ってきたばかりなのだろう。


「そのっ…一度玄関に…!兄様も居られるので!」

口をパクパクとさせながら「とにかくすごいんですっ!」と一生懸命訴えてくれるティアラに首を傾げて私は部屋の外に出た。その途端、何やら甘い香りが鼻をかすめた。

専属侍女のマリーとロッテを連れながら、アーサー達と一緒に部屋を出る。ティアラに手を引かれながら早歩きをするとティアラが自身を落ち着かせるように肩で息をしながら話してくれた。

ティアラが話し合いを終わってから私の部屋へ向かおうとした途中、玄関の方から聞き慣れた声が聞こえてきたらしい。それに引かれて見に行けば、驚きの大荷物が玄関に届いていたと。

ティアラの話を聞きながら、大荷物ということはまた彼が行きずりの盗賊か人身売買集団でも直接我が城に連れてきたのだろうかと想像する。…それにしては興奮ぎみのティアラが少し不思議だけれど。そうして玄関まで辿り着いた私達は


…圧巻する。


「!姉君、お疲れ様です。」

「アァ?早かったじゃねぇか、主。」

既にヴェスト叔父様と一緒に摂政業務に朝から携わっていたステイルと、そしてやはり配達人業務で訪れてくれたらしいヴァル達がそこにいた。



…大量の薔薇に、囲まれて。



「ステイル、ヴァル。……ええと、これは。」

思わずポカン、と呆けたまま棒立ちになってしまう。隣でティアラが「すごいですよねっ!」と嬉しそうに声を跳ねさせた。アーサーとエリック副隊長も目を向ければ私と同じように目を丸くして口も開いたままだった。


「アネモネ王国。…レオン王子からの贈物らしいです。姉君の誕生日祝い、ではなく盟友として友好の証だと。」

ステイルがレオンかららしき書状とカードを手に、私を見返してくれた。書状はまだ開かれていないから恐らくはカードに書いてあったのを読んだか、ヴァル達に話を聞いたのだろう。ヴァルが頭をガシガシと掻きながら「タダ酒飲みに行ってみりゃあ朝からコレだ」と零した。

そういえば何故ステイルとヴァルが一緒にいるのだろう。あまりに薔薇の山が現実味がなさすぎて、先にそっちの方を二人に尋ねてしまう。

ステイルに聞いてみれば、昨晩のパーティーから一晩王居に泊まった遠方の王族貴族をヴェスト叔父様と一緒に見送った帰り、ちょうど配達で我が城に訪れたヴァル達と鉢合わせたらしい。あまりに凄まじい配達物に、ヴァル達との同行と指定時間まではそのまま私に付いていて良いとヴェスト叔父様に任されたと。


「流石のヴェスト叔父様も驚いていらっしゃいました。…この、数ですから。」

ステイルの苦笑に、私もアハハ…と枯れた笑いを返してしまう。そのまま、そうよね。と言葉を返してしまう。

玄関から運び込まれた薔薇は広間を埋め尽くすほどの凄まじい量だった。もういっそ誰かのお葬式と思えるほど。…いや寧ろ室内薔薇園レベルだ。花束ではなく、全て根っこから土ごと纏められているのだから。母上に庭園に薔薇を植える許可を貰わないと。

既に衛兵や侍女達がある程度運んで並べてくれたけれど、並べきれずに結局広間を薔薇の山で囲うようになってしまっている。アーサーが思わずといった様子で「広間中すげぇ香りっすね…」と呟くとエリック副隊長が鼻を軽く擦った。ヴァルも舌打ち交じりに「掃き溜めの悪臭の方がマシだ」と呟いている。…私には良い香りだけど、ステイル以外の男性陣にはちょっとキツいのかもしれない。

ケメトが「僕は良い香りだと思います!」と笑うとセフェクが「私も」と薔薇に囲まれた広間を顔だけを動かしてぐるぐる見回した。二人はアネモネ王国から運んで来てくれた時にもじっくり見たのだろうけれど、こうして囲まれてみるとまた圧巻なのだろう。更にはただの薔薇の花ではない。その全てが綺麗な青色の薔薇なのだから。前世でもなかなかお目見えできない代物だ。


……でも、なんかどこかで覚えがあるような。


勿論、前世で本物の青い薔薇なんて見たことがない。地味な人生でそんな素敵なイベントがあったら絶対忘れないだろうし。だとすれば、後は…


「姉君、どうぞ。」

ステイルが私に歩み寄り、持っていた書状とカードを手渡してくれた。

ティアラが「何と書いてありますかっ⁈」と私の隣にぴったりと並ぶ。私がティアラにも見えるようにカードから開くと

〝友好の証に。プライド・ロイヤル・アイビー第一王女が盟友、レオン・アドニス・コロナリア〟

と記されていた。昨晩もアネモネ王国からは誕生祝いを貰ったばかりなのに連日でなんか悪い気がする。

今度は書状を手に取り、封を開いて中を開いた。そのままレオンの直筆の書状を読み、…ちょっと驚く。中には、誕生日の贈物ができないのでその代わりにこれを、というメッセージとこの薔薇についての色々な説明。そして


「…私とアーサー。あともし宜しければ皆にも是非どうぞ、ですって。」


俺っすか⁈と、アーサーが思わずといった様子で自分を指しながら声を荒らげる。

ステイルが隣に並びながら「何か覚えはあるか?」と尋ねるとアーサーが何とも言えないように額に手を当てて「ッ…い、…一応…」と絞り出してくれた。エリック副隊長も思い出すように「そう言えば昨晩の誕生祭でレオン王子と何か話をしていたな」とアーサーに投げかけた。それにアーサーは無言でコクリコクリと二度頷いてくれた。


「なんか…皆、喜んでくれると思うからとか、…言って下さってて…。」

まさか本当にっ…‼︎とアーサーは凄く戸惑った様子だった。まぁアネモネ王国の第一王子から薔薇のプレゼントなんて簡単に貰えるものじゃない。盟友の私ならともかく、他の令嬢だったら確実に悲鳴を上げて喜ぶ品だろう。まるでサプライズのプロポーズのような贈物だし。

それにしても、と私は改めて手紙に目を通す。覚えがあると思えばそういうことかと思いながら、私は書かれている説明を皆にも聞かせた。


「アネモネ王国で原産の青い薔薇ですって。元々稀少なものだったらしいけれど大量栽培が成功して、これから各国にも輸出を進める予定の新商品らしいわ。」

流石貿易最大手、早速商売に進めちゃうなんて。しかも確実にこれは大ヒットするだろう。だって


「逸話から、この薔薇の茎を折って運命の相手に渡せば薔薇が青から赤色に変わるとされているらしいわ。」


ばっ‼︎と、気づけば男性陣が私と薔薇を見比べた。

あまりに明らかな視線に私も笑ってしまう。昨日婚約者候補の発表をして今日、こんな品が届いたら色々考えてしまうのも当然だ。

ティアラが「とてもロマンチックですねっ!」と目をキラキラさせて言ってくれる。うん、ティアラは絶対好きだろう。私がそれに応えながら「どうぞ、ぜひ皆も貰って。」とこの場にいる皆に声をかける。私の部屋に飾る分を早速土ごと分けてくれようとする専属侍女のマリー、ロッテにも是非持って帰ってと言うとすごく嬉しそうに目を輝かせてくれた。やっぱり、女性にはこういうのは嬉しいわよね。

私だってこうして逸話を読んだ後で薔薇を見るとどうしてもワクワクとときめいてしまう。凄く良い香りで綺麗だし、盟友であるレオンからの遠回しな誕生日祝いということもそうだけど、この薔薇の花は凄く私にとっても特別だ。


「おい、主。俺らも貰って良いんだな?」

不意にヴァルに声を掛けられる。

振り返れば、ケメトとセフェクが既に〝皆〟に含まれていると理解して薔薇へと手を伸ばしていた。…同時に棘に触る前にとヴァルに手で阻まれていたけれど。

私が勿論です、と答えるとヴァルは目だけでその場から全員を見回した。私も釣られるように見回すと、みんな折角土ごと運ばれた薔薇を折ってしまうのが勿体ないのか、手近な薔薇と私を無言で交互に見比べていた。

たしかにこんなに綺麗に咲いていたら折るのが惜しい気持ちはよくわかる。根っこと土ごと持って帰ってくれても良いのだけれど、流石にそれでは運ぶのが大変だろうか。ここはいっそ、庭師に頼んで皆の分は剪定してもらおうか。いやでもそれじゃあこの薔薇の見どころが、と考えた時。突然ちょうど視界に入っていたアーサー達とステイルが私の方を向いたままに顔色を変えた。何かと思って彼らの視線のままに背後を軽く振り返れば



…ヴァルが折った薔薇を一輪私に差し出していた。



突然のことに驚きながらも受け取ってみれば、その途端に薔薇が青から真紅へと変わっていった。

まるで魔法みたいに真っ赤に染まる姿に思わず目が奪われる。すごい、本当に綺麗な赤色だ。これなら絶対に人気が出るし、女性への贈物としても最高の…と、そこまで思ってから何故か皆から反応がないなと気がつく。折角、薔薇が綺麗に色が変わったのに感動しているのが私だけなんて一人子どもみたいで恥ずかしい。

でも、顔を上げて見ればエリック副隊長やティアラは顔が真っ赤だし、マリーやロッテは口元を押さえて目を丸くしているし、ジャックは目を凄い見開いてこっちを凝視している。ちゃんと皆、驚いてはいるようでほっとする。…何故かアーサーとステイルは顔面蒼白で固まっていたけれど。

特殊能力の持ち主である二人がまさか、薔薇の色が変わるくらいでそんなにドン引くとは思わなかった。一番年齢が若いケメトとセフェクなんて平然と「綺麗ですね!」「ヴァル!私にも頂戴!」と声を上げているのに。当のヴァルを最後に見上げれば、私と同じく周りの反応を見てニヤニヤと非常に悪い笑みを浮かべていた。何やら凄く楽しそうだ。


「でぇ?主は誰にその薔薇を差し出すんだ?」

私に顔を向けずに他の皆へニヤついた笑いで目を向けながら言うヴァルに首を捻る。差し出すも何も今こうして皆に配っているのだけれど。まぁ、この場の皆以外というならば…


「あとは、アラン隊長やカラム隊長。活けたら母上や父上、ヴェスト叔父様にも差し上げたいと思っています。騎士団にも可能ならまるごと一つは寄与したいですし、ジルベール宰相にも土ごと纏めてお渡ししたいわ。」

絶対これは奥さんのマリアも喜ぶだろうし、娘のステラちゃんも目を輝かせるに違いない。むしろジルベール宰相がロマンチックにマリア達に薔薇を渡す瞬間が見たいくらいだ。…あ、それを言ったら騎士団長と、副団長も奥さんがいると聞いたし土ごとプレゼントしようかしら。

「茎から切ったら全部赤色に変わっちゃうし、本当なら皆に根っこごと贈りたいのだけれど…。流石に丸ごとは大き過ぎ」



「ッそ、うなんですか⁉︎」



ふと、途中で言葉を切られる。

見れば、アーサーが目を丸くしたまま私を見つめていた。エリック副隊長やステイルも聞き捨てならないと言わんばかりに私へ視線を送っている。やはり皆、珍しい青色の状態で持って帰りたかったのだろう。


「ええ、人肌から離れたら赤色になっちゃうから。」

「だ…〝誰から渡されても〟…ですか…⁈」

今度はアーサーの代わりにステイルが尋ねてくれる。目を見開いたままかなり真剣な表情だった。エリック副隊長も赤みが少し引いた顔色のまま私を凝視していた。その、途端。


「ヒャハハハハハハハハハハハハハッ‼︎‼︎」


…突然ヴァルの高笑いが爆発した。驚いて振り返ればお腹を抱えたまま指でアーサー、ステイル、エリック副隊長を指差して笑っている。何がそんなに可笑しいのか背中を丸めて堪えようがないように爆笑していた。途中、何度か息切れをして苦しそうにしたけどそれでも笑いが止まらないようだった。

ヒャハハハハハハハハと笑いが続く度、指を差された男性陣が顔を真っ赤にしてヴァルを睨みつけていた。まずい、温厚なエリック副隊長まで拳を震わせている‼︎ステイルが「お前は知ってたのか⁈」と怒鳴ったらヴァルがやっと笑いが収まってきたようにヒィヒィ言いながら、また馬鹿にするようなニヤ笑いをステイルに向けた。


「レオンから何度も耳が腐るぐれぇに聞いてたんでなぁ?テメェらの間抜けヅラ見られただけでも、話に付き合ってやったかいがあったぜ。」

ニヤニヤとまた相手に不快を与える笑い方をしながら、ヴァルが一人ひとりを舐めるように見回した。そのまま見せつけるようにまた薔薇の茎を続けて二本折ると、ずっと彼にせがんでいたセフェクとケメトに手渡した。二人の手に渡った途端に青い薔薇が赤に変わった。二人とも目の前で色が変わったことに嬉しそうに声を上げている。


「俺にも命令権があるのを忘れてはいないだろうな…?」

ステイルが真っ赤な顔のまま地の底に響くような低い声を出した。更にはアーサーまでもが腕をポキポキ鳴らしてる。その途端、今度は殺気を感じ取ったセフェクがヴァルの隣に立って臨戦態勢を取り出した。それを見たティアラが慌てて駆け寄って止めてくれる。ケメトもあわあわしてはいたけれどその手はしっかりセフェクの手を握っていた。ヴァル一人だけがそれでもステイルを挑発するように「なんだ王子サマも俺から薔薇が欲しいのか?」と馬鹿にするような笑みで返していた。…直後、更にステイルの殺気が増す。


「お…お姉様は薔薇の色が変わる仕組みをご存知だったのですか⁇」

「ええ。レオンからの書状に逸話から花自体の説明まで書いてあったから。」

セフェクを宥めながら声を掛けてくれるティアラに私はレオンからの書状を広げて見せる。

全て音読するのは喉が疲れそうなぐらいに細かく薔薇の逸話から、実際の世話や繁殖の仕方や現段階でわかっている生態まで記されていた。なんでも、折られてから茎の部分に触れていた温度が一瞬でも離れたりして変化するとその色を赤く変色させるらしい。

もしかして色なんて変わるわけないと皆思っていたのだろうか。それなら突然色が変わったことに驚くのも仕方ない。

そう思って、少し長いけれど私からレオンが記してくれた薔薇の生態と逸話を全部早口で説明した。生態はさておき、逸話の方はなかなかのラブロマンスものだった。簡単に語れば一人の女神に一目惚れした若者が青い薔薇を捧げて「私の人生をどうか貴方と共に」と告げたら女神の胸に灯った恋の炎と同じように薔薇の色も赤く染まったと。

やっぱりこういう花に関わる物語って恋愛ものが多いんだなと思う。

そこまで説明するとティアラが納得したように首をゆっくり縦に動かした。…逸話の方を話したらアーサー達の顔が更に火照ったけれど。私だって逸話とはいえ人様の恋愛話を口で語るのはなかなか恥ずかしいものがあるのに。ちなみに私はこの青い薔薇


前世のゲームで知っていたりする。


どこかで見たかと思えば、やっぱり前世のゲームの〝キミヒカ〟だった。

確か一作目のゲームでは城の庭園に植えられていた希少種の薔薇だった気がする。その逸話を知ってるティアラにそっと薔薇を差し出す場面が必ず全員一回はあった。差し出された薔薇が赤く染まって顔を火照らせるティアラと差し出す攻略対象者はゲームでもなかなか見どころだった、…気がする。でも、よくよく考えれば全員で薔薇が赤色に変わる時点で〝運命の人〟もなにも無い。レオンの説明と今のヴァルからの薔薇を見ても単なる恋人向けの逸話だ。

ティアラは何か考えるような仕草をすると、自分の侍女に庭師から剪定用のハサミを借りてくるようにお願いしてくれた。既にマリーが取りに行ってくれていると聞くと「楽しみですっ」と声を弾ませていた。

その間にもヴァルがニヤニヤと笑いながら「どうした?テメェのご主人サマに薔薇を贈るような野郎は他にいねぇのか⁇」と投げ掛けた。私はちゃんと後で庭師や城の人達が剪定して飾ってくれるから必要ないのに。

私に顎で使われるような扱いをされたのが頭にきたのか、三人とも薔薇と私を見比べては顔を真っ赤にして最後はヴァルを睨んでいた。


「ヴァル!僕ら何本まで持って帰って良いですか⁈」

「ねぇ、もっと取ってよ!こんなにたくさんあるんだから良いじゃない!」

ケメトとセフェクが一本だけじゃ物足りなかったのか、交互にヴァルを引っ張って訴えた。

ヴァルが煩そうに二人へ顔を顰めると「花なんざ持ち歩いてどうするんだ」と言い返した。邪魔になるだけだと言い張るヴァルにセフェクが「どうせ能力で運ぶんだから良いじゃない!」と睨み返す。

わいわいと楽しそうな三人をステイル達は未だに睨んだままだ。あの怒りっぷりじゃ、たぶんセフェクとケメトがいなければステイルもアーサーも薔薇を土ごとヴァルに放り投げるくらいしていたかもしれない。

するとちょうどマリーが庭師から借りた剪定用のハサミを片手に戻ってきてくれた。庭師も後からすぐに来てくれるらしい。マリーにお礼を言いながら、早速何本か皆に配る用に切ろうとした時。


「あっ、待ってマリー!」


突然ティアラが声を掛けた。どうしたのかと思えばマリーからハサミを受け取り、それを私の方に持ってきてくれた。……どこか既視感を覚える、満面の笑みで。


「せっかく素敵な薔薇なんですものっ!どうせ赤くなっちゃうならお姉様からここにいる皆さんに贈って差し上げたら良いと思います!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 夢は叶う→愛 なるほどね
[気になる点] 従属という点では【運命の相手】 ヴァルプラ、いいですねー
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