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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
疎まれ王女と誕生祭

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371.疎まれ王女は促す。


「プライド第一王女殿下、御誕生日おめでとうございます。」


多くの来賓を振り切って私の元に挨拶に来てくれたのは、つい最近我が国の同盟国になってくれたランス国王達だった。

ありがとうございます、とそれぞれ彼らに挨拶を返しながら握手を交わす。セドリックが手の甲に口付けをしてくれた途端に、以前のことを思い出して肩に力が入ってしまう。でも、セドリックはまた大分落ち着いた様子で今回はちゃんと私とも目を合わせてくれた。


「すごい人気ですね、ハナズオ連合王国は。同盟国として私達も誇らしいです。」

いえ、プライド様こそ。とヨアン国王が返してくれながら笑ってくれる。我が国の同盟国は奴隷容認国ではない国が多いし、がっつり奴隷制の国は殆どない。ヨアン国王のチャイネンシス王国とも仲良くなれる国があれば良いなと思う。


「フリージア王国のお陰で我が国も国を開く準備が進みつつあります。ヴェスト摂政殿下のお力添えも感謝しております。」

力強いランス国王の言葉で褒められて、私まで嬉しくなる。

同盟締結の際の契約とはいえ、百年近く国を閉じていたハナズオ連合王国。更には防衛戦で国にそれなりの被害もあったハナズオの為にと、母上はハナズオ連合王国の国を開く準備に協力を惜しまなかった。右腕であるヴェスト叔父様に命じ、国を開くのに必要な準備などハナズオ連合王国への助言や援助をするように任せたらしい。……そして、影ではヴェスト叔父様の補佐としてステイルも関わっているのだけれど。書状のやり取りばかりだったので、きっとランス国王達はステイルが携わっていることは知らないのだろう。

その後も素晴らしい援助だったことを細かに語ってくれるランス国王とヨアン国王に顔が綻んでしまう。いくらか会話をそのまま楽しんだ後、ランス国王が背後に控えて待っていたセドリックに目をやった。さっき誕生日のお祝いは言ってくれたけれど、その後は二人の傍で笑むだけだった。そのセドリックがランス国王の許しを得て、並ぶように一歩前に出て口を開く。


「…プライド。またこうして会えて嬉しい。これからもどうか兄共々宜しく頼む。」

少し照れたように頬をうっすら染めたセドリックが、頭を小さく下げた。落ち着いた笑みのまま言ってくれて、もう大分マナーが板についた証拠かなと思う。何より敬語敬称が取り払われているのにほっとする。


「ええ、私もよセドリック。前みたいに話してくれて嬉しいわ。」

「その節はご迷惑をかけた。…だが、今でも貴方には前回のように接するべきだとも思う。」

お前、じゃなくて貴方と呼ばれるだけで少し可笑しくなる。フフッ、と笑いながら私はセドリックにグラスを傾けた。


「そんなことないわよ。貴方は〝王弟〟、私は〝第一王女〟。むしろ私が敬語を使うべきかしら?セドリック王弟殿下。」

「ッそんな、おやめ下さっ…いや、その……………やめてくれ。…それでは俺も同じ言葉で返さざるを得なくなる。」

うっかり敬語が出たことに恥ずかしそうに目を逸らすセドリックに、今度はランス国王とヨアン国王が肩を揺らして笑った。こうやって見ると本当に弟さんなんだなぁと思う。わかったわ、と返しながらそこでふと、大事なことを思い出す。


「でも良かった。その調子ならティアラともちゃんと話せそうね。」


ポンッ、と。

………まただ。見れば、セドリックの顔が真っ赤に染まってる。あまりに一瞬で茹だった顔を、あとから急いで隠そうとするようにセドリックが手のひらで口ごと覆って俯いた。


「……セドリック?」

まさか、と。口元が引き攣りそうなのを抑えて彼の顔を覗く。まだ耳まで真っ赤なセドリックは「すまん…‼︎」とくぐもった声で返してくれたけれど、赤みが引く様子は全くなかった。

その隣ではランス国王とヨアン国王が苦笑いしている。…この様子を見ると二人はセドリックの恋については知っているようだ。

私にはもう普通に話せるみたいだけどティアラの話題だけでこんなんじゃ、直接会ったらまた茹で蛸で敬語必至だろう。以前ティアラから敬語を直せと言われたのに、これで会ったらまたティアラに怒られるのでは。……いや、それ以前にこのあと母上からの発表を聞いたら


「どうかいたしましたか、姉君?」


突然、横からステイルの声が入ってきた。振り向けば再び私の様子を見に来てくれたらしい。にっこりと笑って私の隣に並んでくれている。

ステイル、と呼べば、先にランス国王達が挨拶をしてくれた。セドリックも急いで口から手を離すと、まだ火照りが残った顔でなんとか礼を尽くしてくれた。ステイルからも三人へ挨拶が返され、そして再び私に尋ねるように顔を向けてくれる。


「大丈夫よ、楽しくお話ししてただけだから。」

「そうですか。一体どのようなお話を?」

どんな…。

ステイルからの切り返しに思わず言葉に詰まる。目でセドリックに尋ねると、赤い顔のまま燃える瞳がすごく訴えかけてきてた。…うん、私も言わない方が良いと思う。ステイルにとってこの上なく大事で可愛いティアラに恋慕なんて。………………恋。


「……〜〜っ。」

まずい‼︎なんか考えたら私まで顔が熱くなってきた!

前世も今世も恋とかそういうのに無縁で生きてダブル十八年。身近でこんなロマンス且つ、よく考えればお相手は主人公以前に私の妹‼︎リアル恋模様を目の当たりにしてると思ったら体温が上がってきた!

ステイルが「姉君⁇」と少し目を丸くして心配してくれるけれど、なんかもう考えれば考えるほど恥ずかしくなる。無意識に顔をパタパタ扇ぎながら何か話題をと視線を動かすとステイルの次は大広間の端にいるアーサーとまで目が合ってしまった。ステイル以上に目をまん丸にしてこっちを見てる。手を振るべきか考えたところで、そんな場合じゃないと自分で自分を叱咤する。


「セドリックに、…前みたいに話してくれて嬉しいわって話したの。ほら、以前会った時はすごく畏まられちゃったから。」

なんとか今度こそ言葉を紡いで誤魔化す。実際、さっきその話をしてたし嘘ではない。セドリックが私の話に合わせるように「いえ、本来ならば私はプライド第一王女殿下にはこうあるべき立場でっ…」と返してくれた。慌てたせいか、また敬語に戻ってる。


「そんなことないわ。私がセドリックにはこう呼んで欲しいって思ってるんだもの。…貴方はそのままでずっと素敵よ。」

セドリックが合わせてくれたお陰でやっと、顔の熱さが引いてきた。セドリックが「恐れ入ります…!」と返してくれたけど、まだティアラの火照りが消えないのかあいも変わらず顔が…、……いや、むしろ悪化している。一体どうしたのか。今この場にティアラは居ない筈なのに。

不思議に思い、セドリックを見ると完全に目を伏せてしまっている。何から目を逸らしているのかと思い、………理解する。


「…どうかいたしましたか?姉君、セドリック王弟殿下。」


…ステイル。

明らかに怪しいやりとりをしてしまった私を、ステイルが笑顔のまま少し黒い覇気を放っている。

もしかしてティアラの話をしていると気付いてしまったのだろうか。ステイルのその黒い笑顔を見た途端にセドリックの顔が赤くなってしまった。真っ青ならわかるけれど何故、赤⁈と最初は思ったけれど、……今は何となく察する。

多分、以前の私への無礼でステイルが怒ってくれた時のことでも思い出したのだろう。…かなり鮮明に。クッキーを食べた後に私が怒鳴った時にはステイルが間に入って怒ってくれたし、その後に私に謝ろうとしたセドリックにもステイルは毅然とした態度だった。恐らく今の彼の頭にはあの時の黒歴史が鮮明に巡っているのだろう。やはりまだセドリックも全部が全部克服したとはいかないらしい。

ステイルも公的な場だから笑顔でセドリックを覗いているけれど、誰の目もなかったら確実に怪訝な顔をしていただろう。何故不敬をされた張本人である私ではなく、ステイルの方で思い出すのか。…いや、私を見るたびに羞恥で死にかけられても困るんだけど。


「っ…申し訳ありません…!…ステイル第一王子殿下、…お見苦しいところをお見せ致しました…!」

セドリックが意を決して顔を上げる。やっぱりステイルが視界に入った途端にまた少し赤くなったけれど、それでも堪えるように顔に力を入れてた。…本人なりに頑張ってるんだなぁ、といっそのこと微笑ましい気分になってしまう。

ステイルが「いえ、とんでもありません」と返しながら三人と言葉を交わし合う。私の体調確認は終わったんだし、戻っても良い筈なんだけど王族三人のお相手の為かステイルは一向にその場を離れなかった。

私が話し疲れてるのかと思って気を使ってくれてるのかな、と思いながらステイルとハナズオ王族三人の会話を眺める。最後、ステイルがふと思い出したようにセドリック達へ話を振りかけた。


「ところで、姉君と僕へお話しして下さったということは次はティアラの元へでしょうか?流石に姉君だけと話せれば充分というわけでもありませんでしょうから。」

ティアラも我が国の誇る第二王女ですし、と話すステイルの言葉にセドリックがまた顔を紅潮させる。完全にティアラの単語に反応してしまってる。やっぱりステイルにも恋心がバレバレなのだろうか。

セドリックの反応にステイルが笑みを向けながら「宜しければ僕が案内しましょうか」と尋ねたけれど、セドリックが今は私と話していることを理由に丁重にお断りした。そんなことをしたら確実にステイルにバレてしまうと思ったからだろう。…いや、単にティアラと二人で話したいだけならば可愛いものなのだけれど。

お心遣いありがとうございます…と言いながら死にかけたセドリックがワインを口に含んだ。そのまま無意識にか視線の先がティアラに行ってまた顔が火照る。


ティアラは、私達がこうしている間も多くの来賓の挨拶に忙しそうだった。

それもその筈だ、ティアラは今年度、…といっても来年だけれど。次の誕生日には十六歳になる。誰がどう見ても可愛く可憐なティアラは男性からの人気が高い。パーティーの主役である私に挨拶を終えた多くの令息や王子がそのまま流れるようにティアラに吸い込まれる。…まぁすぐに再び肩を丸くして去っていくのだけれど。たぶん、ティアラも私への問いに同じ答えを返しているのだろう。

ティアラが笑顔で話す相手に妙齢の男性が現れた途端に、セドリックの赤みが一気に引いて眉が微かに動いた。恋する乙女かとツッコミをいれたくて仕方がなくなる。…相変わらず彼のこの焦れったさは変わらない。

でもすぐに話してる相手の私とステイルに顔を向けると「ティアラ第二王女殿下とも後ほど是非兄共々ご挨拶したいと願っております」と落ち着いた様子で答えた。お兄様達と一緒なら大丈夫だと思うけれど、………またティアラが怒って人前で顔を真っ赤にしてしまったら。


「…。………そうだわ、私もちょうどティアラと話したいことがありましたの。宜しければこのまま御一緒に。」

今のところティアラとセドリックのことを把握しているのは私くらいだし、ここは何とかしないと。

セドリックの二人きり希望を邪魔するのは悪いけど、今の状態の彼ではまだ私が不安だ。

ステイルが少し驚いたように目を丸くすると、では僕もと言ってくれた。セドリックは少し戸惑った様子だったけれど、ランス国王とヨアン国王は察したらしく笑いながら同意してくれた。


「さぁ、行きましょうセドリック。早くしないと母上の話が始まってしまうわ。」

既に緊張で足が動かせない様子のセドリックの背中に手を添え、軽く押す。私に押されたことで抵抗できずに足を動かしてくれるセドリックだけど、完全に顔がまた赤い。まぁ、ここからなら大丈夫だろう。ティアラと話そうとして顔を赤らめる男性なんて珍しくもない。ティアラからならば未だしもセドリックからの好意がバレバレな分は正直大して気に留める人はいない。

周りに聞こえないようにセドリックが声を潜めて「プライド、待ってくれ」「心の準備が」とか呟くけれど、今じゃないと私がフォローに行くのは難しい。別にティアラが嫌いなセドリックをこのまま無理矢理くっつけてセドリックルートを!とか考えてはないし、特別推したいわけでもないけれどセドリックがこの赤面癖を治すまでの誤解だけは防がないと。私だってこんなお節介なお見合いおばさんみたいなことしたくないんだからね⁈と思いながら見た目は優雅に、そして実際は強制的にセドリックを連れていく。ランス国王やヨアン国王も並び、ステイルもそれに続いてくれた。


「!お姉様。」

ティアラが気が付き、こっちを向いてくれる。…同時にセドリックの姿を確認して少し眉が動いた。

やはり、まだ御立腹なのか。もしかしたら嫌いなセドリックを連れてきた私に怒ってたらどうしようとヒヤヒヤしながらティアラに目を向ける。更に、ティアラと話していた相手も私の方へと振り返り、…笑みを向けてくれた。私もまさかちょうどになるとは、と思いながらティアラと一緒に彼を呼ぶ。


「ティアラ、レオン。…ごめんなさい、お話し中にお邪魔してしまって。ランス国王方が是非ティアラにも挨拶をしたいと仰っていたから。」


ちょうどレオンがティアラと話をしている時に割って入ってしまったらしい。

私の言葉にレオンもティアラもとんでもない、と返してくれながらお互いが一歩引いた。それぞれセドリックやランス国王、ヨアン国王、そしてステイルと挨拶と握手を交わし合う。気が付けばなかなかの豪華メンバーが集ってしまった。今日のパーティーで注目を浴びてる人ばかりが集中したせいで、軽く見回しただけでも殆どの来賓が私達に目を向けていた。ライラック王国を始めとする各国王族貴族…我が国の公爵を始めとした貴族達も身を乗り出すようにして見ている。


「僕もハナズオ連合王国の方々と挨拶をしたいと思っていました。ですが、今はフリージア王国とハナズオ連合王国でお話ししたいところでしょう。是非、また後ほど」

「いえっ!れ、レオン王子も是非ご一緒に…!皆さんでお話しした方が楽しいですし。」

私達に気を遣って自らこの場から引こうとしてくれるレオンをティアラが慌てたように引き止める。

ティアラとしても人数は多い方が助かるのだろう。いまさっき皆で挨拶した時もまだ怒ってないようだったけれど、これからセドリックがまたティアラの苦手な敬語喋りしたらまた怒るかもしれない。

レオンも皆さんが宜しければ、と言ってくれ、暫くはそのまま皆でわいわいと語り合えた。特にレオンとヨアン国王は今まで接点が殆どなかったらしく、ランス国王の紹介の下けっこうしっかりと話し込んでいた。仮にも未だ奴隷容認国のアネモネと信仰深いチャイネンシスとの会合だったけれど、凄く穏やかに話が進んだ。私から見れば二人とも少し似てる雰囲気だし、気が合ったようで何よりだ。


…そして、セドリックとティアラは見事に会話をしていなかった。


挨拶以外は、見事に何も。ティアラが避けるのはまぁ若干わかるけれど、セドリックまでもだ。

どうせ何を話せば良いかわからないとかだろうし、私もそこまで余計なことをするわけにもいかないので黙っていたけれど。セドリックは流石にここまで来て兄と会話するのは違うと考えたのか、レオンやステイルと積極的に話をしていた。特にレオンがヨアン国王と話し始めてからはステイルと。ステイルが黒いオーラを出さなくなってからは普通に敬語であれば会話もできていた。

ステイルも今は大分穏やかな様子でほっとする。セドリックからフリージア王国についての質問を投げかけられ、全部見事に答えてくれていた。…こうしていればセドリックも今や立派な王族なのに。何故ティアラが関わるとあんなになってしまうのか。前みたいに視界に入るだけで赤面するよりは大分マシだけれど。

そう思いながら私はティアラと少し話した後、ヨアン国王、ランス国王、レオンとのやり取りを一緒に聞いていた。国の在り方や方針、他国との関わりや貿易など凄く参考になる話が多くて私もティアラもなかなか興味深く聞いたり、参加することができた。

話がなだらかに区切りがつき、そろそろまた他の来賓と…とお互いに目配せし合った。するとステイルと話し終えたセドリックが何か意を決するように今度はレオンへ口を開きかけた、その時だった。





母上からの話が…始まったのは。


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