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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
冒瀆王女と戦争

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268.義弟は駆けつける。


「ッその奥の部屋の安否確認を‼︎兵士を見つけ次第に城外に避難か僕の元に‼︎」


崩落する城の中、俺は声を張り上げる。

ステイル様も早く避難を。と騎士の一人が叫んだが構わず俺は指示を繰り返す。一人の死人も許すものか!

俺が瞬間移動した時には、既に南棟内は酷く揺れ、殆ど崩れかかっていた。揺れが酷く、騎士は未だしも俺自身は瞬間移動を使わなければその場を動くことも困難だった。

「一階の扉前も確認を‼︎扉が歪んで閉じ込められている可能性もある‼︎」

俺の言葉に騎士が返事をし、奥の部屋の崩れかかった扉を蹴り壊して中に飛び込み、更に数人は一階まで床の穴から飛び降りた。確か城内の警備によれば残りは二人‼︎ジルベールも南棟内の警備は避難指示までは変えていないと言っていた。今はジルベールの人員配置と把握を信用するしかない。


「一名発見‼︎一階扉前です‼︎」

下の階から、そして繋ぐように階段の向こうからも報告が聞こえる。返事をし、すぐに瞬間移動で一階へ、更に取り残された兵士の背後へと移動する。そのまま振り返られる前にその背に触れ、この場から消して避難させる。騎士に礼を伝え、残り一人をと指示を飛ばす。

とうとう天井も崩れてきた時、上の階へと再び瞬間移動して避難状況を騎士達に確認した。奥の部屋には誰も居なかったと聞き、あと一人はと歯噛みした、その時。


「ッうわあああッ‼︎」


…突然の悲鳴に、俺も傍の騎士も同時に振り向いた。俺よりも騎士の方が反応が早く、声のした方へと駆け出し、奥から二番目の扉を開け、書庫に飛び込む。

俺も追いつけば倒れた書棚と書棚の間に挟まれた兵士が、必死に脱け出そうと手を伸ばしていた。

近くには窓があり、木の枝が伸びている。恐らくここの窓から避難しようとして、閉じ込められたのだろう。騎士が急いで書棚を動かそうとしたところで呼び止め、書棚から伸ばされた手を俺が掴む。そのまま瞬間移動させれば支えを無くした書棚が倒れこみ、床を更に鳴らした。


「これで最後だ‼︎騎士も全員避難して下さい‼︎」

声を上げながら、容赦無く傍にいる騎士から触れて消していく。一人、二人と数を数え、途中足元が崩れる度に短く瞬間移動をして先へと進む。最後に「我々で最後です‼︎」と俺の護衛の為に残った騎士達が声を上げた。そしてとうとう俺達がいた上階ごと建物が酷く傾き始めた瞬間、俺は騎士達と共に瞬間移動をした。

視界が変わり、崩落する建物内から見慣れた本陣へと切り替わる。



「ッ………間に、合ったっ…‼︎」

ひと仕事終え、騎士達と共にサーシス王国の本陣へ瞬間移動し終えた俺は、やっと一気に息を吐き切った。


「兄様!やっぱり南棟に行ってたの⁈」

ティアラが俺に駆け寄り、息を切らしていることに気づいて急ぎ水を手渡してくれた。

傍にいた騎士達が共に心配してくれる中、ティアラからそれを受け取り、俺は一気に飲み切った。


「南棟にっ…殆ど兵士がいなくて助かった…‼︎」

空のグラスを片手に項垂れながら思わず声を漏らす。

もともと、古く使われていなかった建物のお陰で警備自体もそこまで重きは置かれていなかった。…だからこそ、南方からの襲撃の対応にも遅れたのだが。

昨夜の作戦会議の段階で各方面の警備は頭に入っていた。更には両国の城中も隅から隅まで足を踏み入れておいた。お陰でジルベールから話を聞いてすぐ、南棟まで瞬間移動で駆け付けることができた。

敵兵も多くが南棟よりも中央棟や北棟を狙っていたからか、南棟の城内自体は殆ど侵攻もなかった。もともと配置されていた兵士も数人。駆け付けてきていた騎士は居たが、俺が声を掛けたら手早く南棟の兵士の避難に協力してくれた。

警備通りの配置にいた兵士は俺が背後から瞬間移動させ、一時的にその場を離れていた兵士やそれ以外も駆け付けた騎士達が救援と避難誘導してくれたお陰で滞りなく全員を避難させることができた。ジルベールが手早く中央棟と北棟内に報告を回したお陰でそれ以上南棟に入る味方兵を無くせたことも、…悔しいが結果としては大きいだろう。


「避難は完了だジルベール…‼︎少なくとも城内に取り残された者はいないっ…!」

息を整えながら、俺に駆け寄るジルベールに言い放つ。

それを聞いたジルベールが急ぎ、映像のヨアン国王にも報告を行った。この城の主であるランス国王にも伝えたいが、チャイネンシス王国内の敵兵掃討中で通信兵を通しての連絡は難しい。…そして、プライドにも。


ヴァルとの交渉後、奴をプライドの元へ瞬間移動させた俺は、一度サーシス王国の城本陣に戻っていた。

戦況全体の把握次第、俺もすぐにプライドの元へ向かうつもりだった、が。…戻ってきてみれば、予想を遥かに上回るほど本陣内が入り乱れていた。

ジルベールが急ぎ南棟の避難をと通信兵に連絡を回し、南棟からの避難を呼びかけ、何も知らず南棟へ向かおうとする兵士を引き止め、そして速さや頑丈さに特化した騎士を選別して南棟へ向かわせていた。

俺が説明を求めれば南棟が投爆を受け、いままさに崩落を始めているとのことだった。


迷っている暇も、プライドの元へ説明にいく暇さえもなかった。


南棟…プライドが向かった南方と重なる場所であることに不安は覚えたが、彼女には近衛騎士が付いている、更にはヴァルも送った。

プライドならばきっと大丈夫だろう、今はとにかくそれよりも被害を最小限に食い止めなければ。

そうして俺はジルベールやティアラに引き止められる前に、崩落する南棟の中へと瞬間移動した。


「…っ…南棟の兵や…騎士は皆、他の棟に避難させた…‼︎南棟の分、中央と北の防衛は厚くなった筈だ…‼︎」


本当に、ギリギリだった…‼︎すでに俺が入った時には足元も崩れ始め、壁も倒れ出していた。騎士達と連携し何とか全員を避難できたが、もっと早く俺が本陣に戻ってきていれば不要な危険も避けられ、南棟外部の騎士や衛兵、そしてプライドにも駆け付けられただろうと後悔する。

ヴァルと交渉するにしても、一度強制的に本陣まで連れてきてから交渉すべきだった。そうすればこの緊急事態にもすぐ対応することができただろう。


「ステイル様、今のは些か危険が過ぎました!瞬間移動があるとはいえ、万が一にも崩落で」

「姉君ならこうするッ!…お前も、俺と同じ能力であればこうする筈だ。」


ジルベールの言葉を真っ先に叩き切る。

確かに危険はあったが、こうしなければ兵士全員の安全は難しかった。一瞬言葉を詰まらせたジルベールだったが、俺が顔を背け、現状の報告をしろと改めて命じ



「ッステイル様‼︎」



…ようとした途端。先にジルベールに肩を掴まれた。驚き、思わず振り返ればジルベールが青筋を立てた険しい表情で俺を見つめていた。


「貴方様はっ…プライド様やティアラ様と同じく、今や我が国の大事な御方です…‼︎貴方様が危険に身を晒せば胸を痛める者が必ずっ…此処に、います…‼︎」


俺の肩に手を置いたまま、反対の手で自身の胸に当て訴えるジルベールに、思わず返す言葉を失う。自分でも目が開かれるのを感じ、口を結んだままジルベールを見返す。


「どうか、ゆめゆめお忘れ無きよう…!もしもの事があれば…っ。…それに、貴方様がプライド様を倣うように、貴方様の妹君もまた、貴方方の背中を見ておられるのです…‼︎プライド様と、そしてティアラ様を守りたいのであれば、御自身の行動だけでもどうか今一度御改め下さい…‼︎」


いつになく真剣で切迫したジルベールの言葉に言い返せなくなる。どこか意味ありげにも聞こえる最後の言葉に、俺が聞き返そうとした時だった。


「その通りよ兄様っ!」

パシッ、と今度はティアラに真横から両頬を挟まれる。今度は驚く間も無く「お姉様が同じことをしたら兄様だって心配するでしょう⁈」と怒られた。その途端、一瞬それを想像しただけで全身に寒気が走り、一気に頭が冷えきった。


「…っ、…すまなかった。」

ジルベールとティアラに謝罪し、それぞれに目を向ける。

ティアラは「すごく心配したんだからっ!」と怒りながら少し目を潤ませてくれ、…ジルベールは俺に頭を下げた後、どこか複雑そうな表情で俺とティアラを見比べていた。

まさかまた何か抱えているのかと、窘められた直後に早速今度は俺からジルベールを問い詰めたくなった。……その時だった。




ピィィィィィィイイイイイイッッッ…‼︎‼︎




…ぞわり、と。酷く全身が総毛立った。

プライドだ。

さっきも呼出された、単に民の救護要請だった、問題ない、きっと今回も無事だ、と必死に頭を落ち着けようにも〝投爆〟〝南棟の崩落〟〝南方の防衛〟〝先程のことで使うのを躊躇い気味になっていた筈の指笛〟が脳内を攻め立て、血の気が引いた。


「姉君…⁈」

言葉が漏れ、ジルベールやティアラに説明する間も無く瞬間移動する。再び視界が切り替わり、真っ先に目に飛び込んだのは








「……っ、…ステイル。」








無惨にも両脚に包帯を巻きつけた、プライドの姿だった。


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