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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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Ⅲ228.団員は苦労し、


「!あっいたいたレラちゃ~ん!もぉプリンはぁ~?!」


取り分けられたプリンの入った器を片手で駆けるアンジェリカは、やっと見つけた影に声がまだ届かないと理解しながらも手を振った。

突然執り行われた団長による差し入れをゆっくりと堪能したアンジェリカだったが、自分が食べ終わってもまだ影も形も姿を現さないレラが気になった。アレスに追い回されるオリウィエルをよろよろと追いかけたまま戻ってこない。

途中で団長もいなくなり料理長だけが配膳係になってから、自分も含めておかわりをしだす団員も出てきた以上レラの分がなくなる前にと器にプリン大盛りを盛って今は食後の散歩がてらに探していた。

やっと見つけたレラは、アンジェリカの予想通りオリウィエルと一緒にいた。更にはすぐ傍にはアレス、そしてラルクまでもいる。自分の声は向こうに届かないが、逆に向こう側からのアレスの怒鳴り声は優にアンジェリカの耳にまで届いた。


「だぁから触れりゃあ良いだろ!!その枯れ枝の腕檻に突っ込んでパッと洗脳しろグズ女!!!」

「やだやだやだ!!!怖い怖い怖いっ……!!噛まれる睨んでる絶対怒ってる!!食いちぎられる!!」

「だだだ大丈夫だよオリウィエルちゃん!!怖いのわかるけど触ったらすぐ仲良しになれるんだよね??ほら、ラルク君も今ならいるし……」

「動物に触れたくないならせめて猛獣達を解放しろもしくは餌になれ」

「…………うっざー」

アレスだけでなく続いて聞こえた二人の会話も含めてアンジェリカはぼそりと本心を溢す。

女性相手に頭ごなしに怒鳴るアレスも、そして自分を差し置いてレラに慰められているのにびえびえまだ泣いて喚くだけのオリウィエルもどちらもアンジェリカの中では苛立たしい。アレスがオリウィエルが犯したことを根に持っていることも、オリウィエルが今はサーカス団員としてやり直す気であることも説明を受けてわかっているがそれと目の前の光景の煩わしさは別だ。

駆けるのをやめ、のんびり歩み寄りながら器を手から滑らせないようにだけ留意する。距離が近付いた中で改めてみれば、捕まえてきた動物の入った檻を前にオリウィエルの腕を引っ張るアレスと鞭を構えるラルク、必死に腕を振り払おうとするオリウィエルだ。


レラちゃーん、と。残りの二人を無視し、もう一度呼びかける。しかしオリウィエルの喚き声が五月蠅いあまりレラの耳には届かない。

アレスの味方をすべきかオリウィエルの味方をすべきかも悩む中で、二人の壮絶な喧嘩に声をかけるのが精一杯のレラもまた精神的に追い詰められていた。ラルクと猛獣の為にもと思う反面、ここまで嫌がるオリウィエルに無理強いもしたくない。


オリウィエル自身、自分がやらなければいけないことはわかっている。自分を護ってくれる動物がいないと怖いからと、敢えて猛獣三匹を支配下に置いているのも自分だ。

そしてその頼みの綱である猛獣三匹も、さっきまでは自分を乗せて逃げてくれたのに今は伏せをしたまま待機している。大騒ぎするアレスの声を聞きつけたラルクが鞭で命じれば、好意の威力も最小限の状態で三匹同時に操っている状態の猛獣はラルクの命令を聞いてしまう。オリウィエルが酷く泣き喚いている分、グルグルとアレスに威嚇はし毛を逆立てる猛獣三匹だが上位命令者であるラルクの鞭の音には逆らえない。


ラルクもラルクで、今は機嫌が一段と悪い。

団長が戻ってきてから折角数年ぶりの好物を自室で堪能していたのに、アレスの怒鳴り声で慌てて飛びだした。しかも原因がオリウィエルで、猛獣達を解放する条件を折角アレスと団長が整えてくれたのに駄々をこねている。

猛獣三匹と比べれば猫も鳥も可愛いものだろと思うが、また泣いて許されようとしている。自分が来るまでは猛獣三匹がオリウィエルを背中に隠してアレスに牙を剥いていた。鞭でちゃんと命令を聞く猛獣達には心の底で安堵したが、アレスよりもオリウィエルの味方になっている猛獣達の状況が未だに気に食わない。

さっさとこの場で猛獣達三匹を取り戻し、そしてゆっくり自室で寛ぎ直したい。ボウル一杯のプリンなど子どもの頃も許されたことのない贅沢で、今の自分にとって極上の時間だ。せっかく団長が自分のことを考えて特別に用意してくれた配慮を、またこの女に邪魔をされるとはと今も別の命令を猛獣達にかけたくて仕方が無い。


猛獣三匹を無力化されたことで、オリウィエルの腕を掴んだアレスがじりじりと動物の入った檻へと彼女を引っ張る。もうこのまま無理矢理檻の中に自分の手ごと突っ込めば良いと考える。

やだやだとそれでも泣き喚くオリウィエルは、もう足が竦んで物理的にも引き摺られないと動けなくなってきた。三匹とも猛獣と比べればこじんまりとした大きさだが、威嚇されれば怖くないわけがない。自分が触れるその寸前に逆に噛み付かれたり引っかかれたらと考えればそれだけで衝動的に声を上げて首を振り暴れる。猛獣三匹と違って完全野生の生き物は、特殊能力がかかっていない状態で自分に攻撃してくる可能性は極めて高い。やっぱり今すぐ猛獣達を連れてサーカス団から逃げようかと、今この場から免れたい一心でその後のことは何も考えずに楽な方向ばかりを考えてしまう。

もし逃げたところで最終的に住むところも食べるものも無くしてサーカスに戻るという結論まで今は頭が働かない。


「ちょっと~!野郎二人でなに虐めてんのぉ!レラちゃん困らせないでくれるぅ~?!」

「!アンジェ!!見てねぇで手伝え!!テメェより厄介な女初めてだ!!」

「アンジェリカですぅ~。ていうかぁなんでそこで私出すのぉ?」

アンジェリカ、アンジェリカちゃんと。ラルクとレラがそれぞれ注意の方向を変える中、オリウィエルだけは代わらずやだやだ助けてと泣き喚く。レラを通してアンジェリカの存在に慣れてきそうだったオリウィエルだが、自分を助けてくれるとは思わない。むしろレラを困らせている状況と考えれば逆に敵に回られると思う。

ジリジリジリジリと少しずつ自分の身体が強制的に引っ張られるまま檻に近付く感覚は、アレスには意図せずともオリウィエルには過去に部屋へ放り込まれる瞬間を彷彿とさせられた。いっそ猛獣達の特殊能力を解いて、今自分の手を掴んでいるアレスをもう一度特殊能力でと一番鬼門となる選択肢まで思考に及んだその時。


げしり、と。自分の腕を掴むアレスの手を何の躊躇いもなくアンジェリカが蹴りつけた。


片手が器で埋まっている分、一番中身を溢さない方法を選んだアンジェリカの一撃は鍛えられたアレスの腕に打撃は与えなかったか、それでも「テメェ!なにしやがるアンジェリカ!!」と引っ張り込む力が一時的に止められた。


「嫌がる女の子無理矢理とかクズいからやめなってー。動物怖いっつってんじゃん!」

「ふざけんな!!このグズ女がラルクの次は猛獣共手放さねぇからこうなってんだぞ!!」

「ラルクぅ~~!!?あのさぁ?復讐はべっつに良いけどぉ、レラちゃんが預かってる間はほどほどにしなよ?レラちゃんまで困んじゃん」

んぐっ……と、ラルクが思わず細い喉を鳴らす。変わらずアンジェリカに歯を剥くアレスと違い、オリウィエルへ尖らせていた目も眼差しが戻る。

オリウィエルに対しては未だに恨みが残っているが、自分が今まで冷たくあたった相手の一人であるアンジェリカには今もあまり逆らえない。オリウィエルに世界が染まるまでは友人でもあった相手にこれ以上嫌われたくない。

そんな相手にギロリと昔のように睨まれれば鞭を握る手も湿り気を帯びた。しかも言い方から判断しても、今の自分の正当性についても見抜かれていると理解する。


「動物に威嚇されるの怖いってんなら先生に動物用の睡眠薬調合して貰えばいいじゃん!!今までだって何度か使ってんのにオリウィエルちゃんにだけ使わないのはイジメだろバーーーカ」

ぐぐぐっ……と、思わず閉じたまま口の中を噛むラルクがぐっと目を絞る中、アレスの方はハッと今気付く。オリウィエルがさっさと触れば済むだけの話だと思い、それ以外を考えていなかった。

猛獣と関わることも少ないアレスと違い、猛獣使いのラルクは今までも必要な時に猛獣達を鎮めさせる為に麻酔や睡眠薬を使ったことがあるのは覚えている。特に猛獣達を躾けるまでは、一部の団員以外には牙を剥く猛獣を相手に移送の際は睡眠薬で眠らせるのもよくあったことだ。

騒ぐオリウィエルから動物に触りたくないと言われた時点で、ラルクの方はその手段も頭には浮かんだ。しかし、たかがオリウィエルの為に猛獣達に薬を飲ませるのも先生の手を煩わせることも気に食わない。嫌がるオリウィエルへ報復心のままにアレスを後押しする側に立ったのは偶然ではなく自分の意思だ。

それをはっきりイジメと言われると、ラルクの良心にペン先で刺されたように罪悪感で痛む。オリウィエルには殺しても気が済まないぐらいの恨みがあるが、しかし団長に団員として受け入れると言った時点で今の自分の行いがイジメと責められるべき行為だと自覚する。

しかし、オリウィエル相手に謝りたくない分、ラルクはがっくしと肩を落とした。「もう良いアレス……」とオリウィエルを引き摺るアレスへ声を掛ける。


「先生のところに行こう……。いつもと違う大きさの動物だが、先生に頼めばすぐに用意してもらえる。餌に混ぜて与えよう……」

多分さっきから気が立っているのも空腹の所為だろうと、そこまで察した上で提案するラルクにアレスも舌打ちをしながらオリウィエルの手を放した。

アンジェリカが介入した時点で引きずり込む動きが止まり少し冷静を取り戻したオリウィエルも、その瞬間に走ってレラへ駆け寄った。自分と同じくらい細いレラのそれでも背後に回り、身を縮める。

レラも猛獣小屋は担当外の為、動物用の睡眠薬の調合までは知らなかった。自分が入った時には睡眠薬など使わずともラルクの鞭一つで滞りなく猛獣達は言うことを聞いたのだから。「ごめんね気付かなくて」と慌てて青い顔でオリウィエルに謝り、何度も擦るようにその背や肩を撫でた。まさか彼女があと少し遅ければまたアレスに特殊能力を使おうとしていたなど思いもしない。


先導するラルクに促されアレスも続くが、無理強いしたことを謝るべきか否か考えオリウィエルを目だけで追い続け、最終的には謝らない。

ラルクと違い今回は報復の気はなかったアレスにとって、オリウィエルにはまた振り回されただけの印象の方が強い。触れれば無条件に懐かれる、噛まれるとしてもたかが一回だろと。それすら嫌がるぎゃあぎゃあ泣き喚くのはアレスにはまだ甘えだと思う。

何故オリウィエルの為にまだ自分とラルクがここまでしてやんないといけねぇんだと思いつつ、足を動かした。


「おいラルク、睡眠薬ぐらいオリエ本人に取りに行かせればいいじゃねぇか」

「この女に睡眠薬を預ける方が怖い。処方を間違えたら睡眠薬でも死すと先生も言っていた。もう良いから早く済まそう……。早く猛獣達を取り戻してテントに戻りたい……」

「お前まだアレ食い終わってなかったのかよ」


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― 新着の感想 ―
最近話が全然進まない。。。
うーん。サーカス団員って、全員どこかしらウザい。
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