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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
見かぎり少女と爪弾き

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1514/2210

そして約束する。


「ティアラ様もすっごい美人で‼︎それにアネモネ王国の王子も格好良くて、背とかもスラッと……」

「ディオスうるさい。これ以上騒ぎ広げてどうするの」


盛り上がるディオスの肩を突いたクロイが、冷ややかな声を浴びせるとそのまま私の隣に座る。

持参したノートを広げて落ち着ききったクロイにディオスもむっと唇を尖らせた。「クロイだってあんなにびっくりしてたくせに‼︎」と叫んだけれど、それも「王族相手に驚くのは普通でしょ」と言い換えされる。

クロイに倣うようにディオスもアムレットの隣に座るけど、その間も尖った目でクロイを睨んでいる。


「さっきなんてクロイ、ティアラ様と目が合ったとか行ってたじゃんか」

「合った、じゃなくて合った気がしたって言っただけ。急にこっち向いて微笑んでくるんだもん、そんな気がして当然でしょ」

「ほらみろ!やっぱりクロイだって」

ごめんなさいそれ気のせいじゃない。

双子の言い合いを聞きながらそれだけを確信する。ティアラはディオスとクロイに会ったことはないけれど私達からいろいろ聞いている。白髪にお揃いの髪留めに双子の二年生なんて、ひと目でわかったのだろう。

きっと今から城に訪れるのがあの子も楽しみなのだろうなと思う。……間違いなくセットでセドリックもついてくるけれど。ファーナム兄弟の前でティアラがセドリックにまた怒らないと良いけれど。


風通しの良くなった教室を見回す。もう殆どいなくなっている。

私達のクラスにはもう来たことがあるティアラ達だけれど、やっぱり機会があれば王族が見たいのは全員なのだろう。開校式の時も高台の上から動かなかったものね。

ふと、気になっているようだしアムレットも見に行かなくて良いのかしらと考える。多分レオンとティアラのことだからこの後は会いに来てくれる筈だけれど、それを知らないアムレットにとっては貴重な機会だ。

いっそここで私から提案してみるべきか。いやでも、その王族二人を差し置いて私達に会いに来てくれた二人を置いていくわけにもいかないし……。


「そういえばさジャンヌ、あの話しなんだけど」

そんなことを考えていると、いつの間にか喧嘩を終えたらしいクロイが話しかけてきた。

頬杖を突いて、心此所にあらずだった私を眺めていたように落ち着いた視線を送ってくる。あの?と首を傾げるけれどすぐには返事もこない。

ディオスもにこにこと上機嫌になっていて、私とクロイを揃って見つめていた。今度は本当に思い出せない。二人との話題ならアムレットも居合わせていたと思うのだけれど、と彼女にも目で尋ねたけれどキョトンとした表情が返ってくるだけだ。先ず〝あの〟とはいつのことだろう。

首を捻る私に、クロイは頬杖を突いたまま敢えてのように捕捉を加えず要件だけを先に叩きつけた。



「良いよ」



??良いよ?????

突然の許可に、余計わからなくなる。何か最近二人にお願いしたことがあっただろうか。

アムレットも首を傾けたまま目をぱちくりさせている。記憶力が良いつもりだったのに、まさか退化したのだろうかと自分が心配になる。

それ以上は言ってくれないクロイは、意地悪に口端が閉じたままちょっと上がっていた。確実にわざとわかりにくい言い方をしている。

ディオスなら教えてくれるかしらと思ったけれど、既にクロイと合わせていたのか口に人差し指を立てて「秘密」の意思表示をされる。こういうところはやっぱり兄弟だ。揃って悪戯好きなんて。

いつまでも教えてくれないクロイに、仕方なく私が降参する。額に手を当て、眉間を伸ばすように意識して口を動かした。

「……ごめんなさい、ちょっと思い出せなくって。何が良いのかしら?私、何か二人にお願いを」




「被服のネル先生。行く所ないなら僕らの家紹介して良いよ」




へっ⁈

打ち消された直後、今度は思いっきり声に出た。

私だけじゃない、アムレットもこれには机に手をついて前のめりになった。

本当に⁈と私より大きな声でクロイ達に聞き返す。

私に続いてアムレットの声に、クロイが顔だけ顰めて「二人ともうるさ過ぎ」とまた怒った。いやでもこれは驚かないのは無理すぎる。

被服講師のネル。私とアムレットに親切にしてくれた女講師で、実は私の直属刺繍職人だ。事情は知らないけれどずっとご実家を出る為に物件を探していた。

何故突然ネルが⁈と思えば、確かに昨日ディオスとクロイの前でネルの話題は出したことを思い出す。いやでもそこまで打診した覚えはないのだけれど!!?


「だってジャンヌも昨日心配してたろ⁈被服のネル先生が住む家探してるって!だからクロイと一緒に姉さんにも話して相談したら、うちの家で良かったらって!物はないけど空き部屋なら余ってるし、ジャンヌとアムレットが仲良いなら絶対良い人だし」

「大人で女の人だしね。ここの講師として雇われた人なら僕らも安心できるし、姉さんも将来を考えて今から信用できる人に部屋貸してみるのも良いなって言ってたから」

堰を切ったように説明してるディオスに、クロイが補足する。

でもちょっと、展開が突然過ぎてついていかない。まさかネル先生のお家問題にファーナム姉弟達が関わってくれるなんて。第二作目ではただのモブ先生とちょっと目立つ生徒だったのに。


すぐに住める場所欲しいんでしょ?と駄目押しでクロイに言われればもう肯定しかできない。

ネルは早急に引越もしたがっているし、更には新たな仕事……というか私のドレス発注が入って忙しい。きっと今すぐにでも生活を落ち着けたい筈だ。

アムレットが「絶対ネル先生喜ぶよ!」と目を輝かす中、私は笑った口のまま固まった。いや、でも私達にとっては双方とも信用できる良い人だけれどお互いは多分まだ会ったこともないし。

ディオスが「今日ネル先生に二人は会う予定とかある?」と尋ねると、アムレットが「昼休みに会う!」と笑顔を向けた。

目的は達成された後も、やっぱりアムレットはネルに会うらしい。本当に仲良くなったんだなと思う。


「じゃ、アムレットから話しておいて。取り敢えず放課後に下見に来てくださいって。校門で待ってて貰えれば良いから。あとジャンヌ、君も来て」

「へっ?私も⁇」

「当たり前でしょ。僕らにはネル先生も他人だし。君が間に入らなくてどうするの」

「前に僕らの家遊びに来るって約束したよね⁈」

まさかの放課後イベント。

でもクロイの意見は筋が通っている。しかもディオスに約束を掲げられればもう何も言えない。確かにまた遊びに行くと一度約束してから未だ一度も私は再訪していない。

明日でジャンヌとしては最後だし、今のうちに会いに行くのは良いかもしれない。


ディオスが「アムレットも一緒に来る⁈」と誘えば「私はノートまとめなきゃいけないから」と断られた。

今度絶対遊びに行くわ!と続いたけれど、ネルと仲良しのアムレット不在にもの凄く不安になる。まさかフライングに正体がバレてしまわないだろうかとまで考える。できればネタばらし前に事故でバレるのだけは御免被りたい。

わかったわ、ありがとう。宜しくお願いねと二人に返せば、ディオスが「やった!」と両手を上げてまた教室に響く声で叫んだ。クロイも今度は注意しない。むしろちょっと笑んでいる。

上機嫌気味の若葉色の瞳と目が合ったと思えば、すぐに逸らされた。思い出したようにノートを開き、先人を切るようにペンを握る。


「はい、決まり。じゃあさっさと勉強するよ。今日は僕から先ね」

「あ!ずるいクロイ!僕も聞きたいことあったのに‼︎」

ジャンヌに‼︎と叫ぶディオスの苦情もクロイは全く無視する。

ここなんだけど、と私に向けてノートの記述部分を指す彼に私も今は指示通り頭と口を動かした。残り時間、女子が教室に戻ってきた後も鐘が鳴るまで早口で解説を続けた。



……取り敢えず確定までは放課後予定ということにしておこう。



早速ステイルとアーサーにお詫び事項が増えたことを自覚しながら。


Ⅱ197-2.202

Ⅱ386

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― 新着の感想 ―
[一言] プライド大半の問題が解決して遅めの青春を謳歌してるなー まあ中身は成年なんだけど
[気になる点] 明日で最後なの言わなくて良いのかな? いきなりお別れの挨拶なしでサヨナラはちょっと可哀そう。 ネタバレ予定ならアムレットや双子たちが城で働いてからするのか、視察でするのか、それとも別れ…
[気になる点] ネル先生と一緒にファーナム兄弟のところへ行くのか…。 ネル先生が「鬼門」のアーサーは連れていけない… アムレットが行かないなら、ステイルは一緒に行くだろうから 近衛騎士はエリックと、あ…
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